「―文月の頃 その2―」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「―文月の頃 その2―」(2006/08/18 (金) 00:27:54) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
<p><br>
翠×雛の『マターリ歳時記』<br>
<br>
―文月の頃 その2― 【7月7日 小暑】<br>
<br>
<br>
暦の上で小暑を迎えて、本格的な暑さに見舞われる時期が訪れたものの、<br>
今年の梅雨は未だに明けず、連日、曇天が続いていた。<br>
<br>
世間では小暑よりも、五節句のひとつ、七夕と呼ぶ方が一般的である。<br>
駅構内や、駅ビルの地下街、ショッピング・モールも、七夕一色となっていた。<br>
週末の金曜日という事もあって、道行く人の足取りは軽く、どこか楽しげだ。<br>
<br>
<br>
翠星石と雛苺も、午後三時には早々に大学の研究室を後にして、街に繰り出していた。<br>
駅前の商店街では毎年、市の協賛で、七夕祭りが盛大に開催されるのである。<br>
二人が到着した時には多くの露店が営業を始めており、おいしそうな匂いが風に乗って、<br>
彼女たちの鼻先をくすぐっていった。<br>
<br>
「今年も、様々なイベントが行われてて、活況を呈してるですね」<br>
「ヒナはね、子供の頃から、七夕祭りに来ると不死屋のチョコ苺を食べるのが習わしなの」<br>
「そう言えば……いっつも買い食いしてやがったです」<br>
<br>
チョコバナナならぬチョコ苺とは、文字通り、大粒の苺を三つほど串に刺して、<br>
カラフルなチョコにダボ漬けした激甘な一品である。<br>
駅前商店街の不死屋で、七夕にのみ販売される、レアな菓子だった。<br>
<br>
「蒼星石は、割と気に入ってやがるですけど、私の口には合わねぇです」<br>
<br>
味は悪くないが、食べた後に必ず喉が渇くので、翠星石は苦手だった。<br>
言いながら、喉に絡み付く甘さを思い出してしまったらしく、<br>
うえっ……と舌を出して見せる翠星石。<br>
渋面を浮かべる彼女に、雛苺は人差し指を立てて、チッチッと横に振った。<br>
<br>
「翠ちゃんは子供なのねー。チョコ苺は、違いの解る女のゴールドブレンドなのよ?」<br>
「……ワケ解んねぇです。あんな物を、ありがたがって食べる方が子供の証拠ですぅ」<br>
<br>
翠星石が、雛苺に流し目をくれて、ふふん……と、鼻先で笑う。<br>
それを受けて、雛苺もカチンと表情を強張らせ、可愛らしく頬を膨らませた。<br>
<br>
「ひっどーい。そうやって、すぐヒナのこと子供扱いするんだから!」<br>
「怒るのは、図星だからですぅ?」<br>
「違うのっ! 大体、翠ちゃんだって毎年、冥路屋のすもも飴を食べてるでしょ!」<br>
「チョコ苺ごときと一緒にすんなです。あれは大人の『すうぃーつ』ってヤツです。<br>
水飴の甘さと、すももの酸味が複雑玄妙な味わいを醸し出して……。<br>
そう…………例えるなら、ファーストキスみたいな甘酸っぱさですぅ」<br>
<br>
頬に手を当てて、はふぅ、と熱っぽく吐息した翠星石をジットリと睨め付けながら、<br>
雛苺が小声で「ただの色ボケなのっ」と口走ったから、さあ大変。<br>
忽ち、雛苺の頭は翠星石の握り拳に、真横からガッチリと挟み込まれてしまった。<br>
雛苺は四肢を振り回して暴れたが、グリグリと締め上げてくるので、逃れられない。<br>
<br>
「もう遅い! 脱出不可能よッ! 無駄無駄無駄無駄無駄ァ――ッ、ですぅ」<br>
「痛たたたたっ! ごめんなさいっ! ごめんなさいなのぉっ」<br>
「謝っても遅ぇです。今日という今日は、きっちり教育してやるですよ」<br>
「ひえぇ――ん」<br>
<br>
徐々に増え始めた人混みを気遣いもせず、じゃれ合う二人。<br>
彼女たちの背に呆れた声が掛けられたのは、その直後の事だった。<br>
<br>
「……お前ら、なにやってんだよ。通行の邪魔になるだろ?」<br>
<br>
聞き慣れた声に、彼女たちが振り返ると、そこにはジュンと、浴衣姿の巴が立っていた。<br>
二人もデートがてら、七夕見物に来たのだろう。<br>
巴は、どこかの出店で買った綿菓子を手に、彼女たちの仲良しぶりを見て微笑んでいる。<br>
幸せそうな巴をちょっとだけ羨ましく思いつつ、翠星石は渋々と雛苺を解放した。<br>
<br>
「しゃーねぇです。ジュンと巴に免じて、おバカ苺の教育は、またの機会にしてやるです」<br>
「余計なお世話なのっ。翠ちゃんこそ、その性格を叩き直してもらった方が良いのよ?」<br>
「ぬなっ! こぉんの……」<br>
「きゃあっ。トモエ、助けてなのー」<br>
「ダメよ、二人とも。こんな混雑してる所で喧嘩しちゃあ」<br>
<br>
雛苺が素早く巴とジュンの背後に隠れると、巴は彼女を庇って、翠星石を宥めた。<br>
巴の言い分は至極当然のことなので、翠星石も怒りを堪えるしかない。<br>
押し黙った彼女に、巴の穏やかな口調が届く。<br>
<br>
「それに……今日は、一年に一度、織姫と彦星が出会える日なんだもの。<br>
喧嘩なんか似合わないでしょう?」<br>
<br>
翠星石は、織姫と彦星を、自分と蒼星石に置き換えてみて、少し、反省した。<br>
感動の再会を喜んでいる脇で、喧嘩なんかされたら興醒めしてしまう。<br>
<br>
「そうですね。今日みたいな曇り空でも、二人の再会を楽しく祝ってやらねぇと呪われるです」<br>
「やっぱり、お祭りは楽しまないとね。折角だから、イベントにも参加してみない?」<br>
「? 何のイベントです?」<br>
<br>
翠星石が頚を傾げると、巴は「これなんだけど」と、帯に挟んでいた団扇を差し出した。<br>
その団扇は、駅前で祭りの実行委員が配っていたものだ。<br>
手に取ってみると、七夕恒例ベストカップルコンテストなる印字が……。<br>
<br>
「実はね、わたしと桜田くんも参加するの。二人でパフォーマンスを披露するのよ」<br>
<br>
さり気なく二人の仲を自慢しているのかと穿った解釈をしながら、<br>
参加賞の欄を走り読みしていた翠星石の目が、一点で止まった。<br>
<br>
優勝 『国内旅行ペアチケット』<br>
<br>
たまには祖父母に、感謝の気持ちを贈りたいなと考えていた翠星石にとって、<br>
コレは、なかなか魅力的な言葉だった。祖父母も、国内旅行なら気楽に行けるだろう。<br>
それに、ジュンと巴に、これ以上の良い目を見させるのも癪に障った。<br>
飛び入りで優勝をかっさらい、彼らの悔しがる顔を見るのも、また一興だ。<br>
<br>
「雛苺っ! 私たちも、コンテストに参加するですよ」<br>
「うよ? でも、女の子同士じゃ出られないと思うのよ?」<br>
「お前が男装すればいいです。髪を後ろで束ねれば、ちったぁ凛々しく見えるですよ。<br>
胸にサラシ巻いて、顔もメイクで誤魔化して、<br>
上背の低さは下駄でも履いて底上げすりゃバッチリですぅ」<br>
「なるほど、その手が有るか。どうせ舞台の上だし、遠目には判らないかもな」<br>
「宝塚っぽくて面白いかも知れないわね。雛苺、やってみれば?」<br>
<br>
翠星石の案に、ジュンと巴も興味を示して煽ったため、雛苺は孤立無援となり、<br>
男装せざるを得なくなってしまった。<br>
<br>
「で、でもぉ……男の子の格好しても、声は変えられないのよー」<br>
「へーきです。声でバレるなら、喋らなきゃ良い道理ですよ。<br>
受け答えは、私に任しとけですぅ」<br>
<br>
最後の抵抗も、翠星石がアッサリと粉砕した。<br>
<br>
<br>
<br>
エントリーを済ませ、貸衣装で変装も完璧――かどうかは兎も角。<br>
準備万端の二人は、ステージの後ろで待機していた。意外に、参加者が多い。<br>
<br>
「どいつもこいつも、優勝賞品に釣られた『クマー!!』な連中ばっかりですぅ」<br>
「……翠ちゃんだって他人のコト言えないの」<br>
「なんとでも言えです。参加した以上は、絶対に優勝してやるですよ」<br>
「ここまで来たら、ヒナも覚悟を決めたのっ。でも、どうやって会話なしで話を進めるの?」<br>
「サイレント映画みてぇに、身振り手振り、表情の変化で、感情を表現するです。<br>
そもそも、天の川なんて幅の広い川の両岸に立ってたら、声なんて届きっこねぇですよ。<br>
そんなワケで、雛苺の演技力が試されるです。<br>
私もフォローするですから、一世一代の大芝居を演じやがれです」<br>
「……出資者は無理難題を仰る、なの」<br>
<br>
<br>
大まかな打ち合わせをしている内に、審査は進んでいき、遂に二人の番となった。<br>
互いの瞳を見詰め、力強く頷き合うと、勢い良くステージに駆け出していく。<br>
そして、バックスクリーンに描かれた天の川が二人を隔てて見える位置に着いて、<br>
翠星石の扮する織姫が、対岸の彦星に祈りを捧げる場面からパフォーマンスが始まった。<br>
<br>
祈りを終えた翠星石は、歓喜の笑みを満面に湛えながら、頭上で右腕を大きく振る。<br>
対岸に立つ雛苺も、それに答えて両腕を振って見せた。<br>
だが、天の川を渡ろうと、雛苺が一歩を踏み込むや、流れに足を取られて転倒。<br>
二度目の挑戦では、腰まで水に浸かった所で下流に流され、あわや溺れそうになった。<br>
その様子を、対岸でハラハラしながら見詰める翠星石は、<br>
痺れを切らして手旗信号で応援メッセージを送る始末だ。<br>
彼女たちのコミカルな演技に、観客席がドッと湧いた。<br>
<br>
彦星に成りきった雛苺は、どうやって川を渡ろうかと、腕組みして頚を傾げたり、<br>
結跏趺坐の姿勢で瞑想を始めたり、いきなり三点倒立して思案に明け暮れた。<br>
そして、閃いた。<br>
なんと! 雛苺は徐に取り出した木の板をサーフボード代わりにして、天の川に飛び込み、パドリングを始めたではないか。<br>
観客席から「おおっ!」というどよめきが発せられた。<br>
<br>
対岸に陣取る翠星石も、雛苺に息を合わせて、<br>
在る筈のないロープを必死に引っ張る仕種をする。<br>
『あいとー!』『一発ぅ~!』的なノリで、<br>
観客席に向けて鷲のマークの栄養ドリンクを突き出す演技も忘れない。<br>
全てアドリブのパフォーマンスだけに、<br>
よほど気の合ったコンビでなければ、こうはいかなかった。<br>
<br>
いつしか湧き起こっていた観客の応援に後押しされて、二人は遂に再会を果たした。<br>
互いの手を取り合い、見つめ合う。長かった一年間。<br>
どんなに、この瞬間を待ちわびたことか……。<br>
<br>
静かに、二人の距離が縮まり、抱擁が交わされ――<br>
<br>
<br>
――ると思いきや、やおら雛苺が腕時計に目を落とし<br>
<br>
『ごめん。もう帰る時間だから。また来年~』<br>
<br>
と、笑顔で手を振り、帰りだしたではないか。<br>
見事なまでのダメ男っぷりに、観客席からも「おいおい……」と呆れた声が飛んできた。<br>
流石に、これで終わっては元も子もない。<br>
翠星石は、どこからかタライを持ち出してきて、パドリングで去って行く雛苺を追いかけ始めた。<br>
だが、天の川の真ん中でタライがひっくり返り、溺れかける翠星石。<br>
観客たちも「彦星ー! うしろうしろ!」と野次を飛ばす。<br>
彼女の大ピンチに気付いて、取って返した雛苺に助けられ、<br>
二人は一緒に彦星の家がある岸に上陸した。<br>
<br>
『死ぬかと思ったです。もう、この川を渡りたくねぇですぅ』<br>
『じゃあ、所帯を持って、一緒に暮らそうなのっ』<br>
『この甲斐性なし、やっとプロポーズしてくれたです』<br>
『これってつまり、美人局もなのねー』<br>
『それを言うなら押し掛け女房ですぅ!』<br>
『うよ? でも、嬉しいの♪ ふつつか者ですが、宜しくなのよ』<br>
<br>
と、仕種だけで、一言も喋らずに掛け合いを表現してゆく。<br>
そして、恥じらいながらも抱擁を交わしてラストを飾った。<br>
観客の盛大な拍手に、両手を振って応えながら、二人はステージを降りた。<br>
<br>
「どーなるかと思ったですけど、なんとか纏まって良かったですぅ。<br>
雛苺も意外に演技派ですね」<br>
「ヒナもビックリしてるの。きっと、翠ちゃんが相方さんだったから出来たのよ」<br>
「……私も、同じかも知れねぇです。雛苺だからこそ、アドリブで演じ切れたのかも」<br>
<br>
普段、なんとなく一緒に居る理由も、気心が知れて安心できるからなのだろう。<br>
<br>
「無理矢理、付き合わせたワケだし、御礼はしなきゃいけねぇですね。<br>
審査結果が発表されるまで、まだ時間があるし……なにか食べに行くです。<br>
チョコ苺くらい、好きなだけ奢ってやるですよ」<br>
「ホントに?! あ……でも、この格好で行くの? ちょっと胸がキツイのよー」<br>
「うるせーです。どーせ、結果発表の時にはステージに並ばなきゃいけねぇですから、<br>
いちいち着替えるのも面倒臭ぇです。ささ、素早く行って来るですぅ」<br>
<br>
翠星石は、渋る雛苺の背中を乱暴に突き飛ばして、賑わう雑踏の中に飛び出していった。<br>
<br>
<br>
<br>
――――そして。<br>
<br>
コンテストの結果は、審査員の全員一致で、翠星石たちの優勝に決まった。<br>
参加ペアの中で唯一、コメディ風のパフォーマンスだったことも、印象を深くしたらしい。<br>
翠星石は優勝賞品を受け取ると、帰り道で雛苺に、どうしてチケットを欲しがったのか、<br>
理由を話した。すると、雛苺は笑って、<br>
<br>
「ヒナは、お祭りを楽しめただけで満足なの。チケットは翠ちゃんにあげるのよ」<br>
<br>
と、快く譲ってくれたのだった。<br>
喜び勇んで帰宅した翠星石は、早速、祖父母に旅行のチケットを手渡した。<br>
<br>
「偶然、手に入ったですけど、私は予定が合わなくて行けねぇから譲ってやるですぅ」<br>
「はっはっは。ありがとうの、翠星石。マツや、何処行きのチケットなのじゃ?」<br>
「下北半島・恐山の旅だそうですよ、お爺さん」<br>
<br>
「…………天の川の代わりに、三途の川を見に行くのも一興かもしれんのぉ」<br>
<br>
<br>
今年の七夕は、例年になく平穏だったそうな。<br>
<br></p>
<hr>
<br>
『保守がわり番外編 着信アリかしらー!? 最終話 特別編』<br>
<br>
<br>
翠「なんだったら・・・・・・今すぐでも良い・・・ですよ?」<br>
蒼「・・・・・・ああ、もうっ! 我 慢 で き な い!」<br>
<br>
翠「ひゃっ! ちょ・・・くすぐったいです、蒼星石ぃ・・・」<br>
蒼「くすくす・・・ダメだよ。キミは今、ボクの妹なんだもの。<br>
ボクのコトは・・・お姉さまって呼ばなきゃね」<br>
翠「あうぅ。お・・・・・・お姉さまぁ・・・ですぅ」<br>
蒼「よく出来ました。んふ・・・翠星石の髪、いい匂いだね。とっても甘い薫りがするよ」<br>
翠「やぁんっ! み、耳は・・・だ・・・ダメ・・・ですぅ――」<br>
<br>
|ご電| <br>
|ざ柱|д゚)=3 金「うはwww鼻血でそう・・・・・・ハッ! 見入ってる場合じゃないかしら。<br>
|るで|
今こそ、黄昏の魔弾と呼ばれたカナの稲妻キックを食らわせるかしらっ!」<br>
<br>
金「天下の往来で、何やってるかしらっ! エロパロまで飛んでけ――っ!!」<br>
翠「ふぎゃっ?!」彡☆<br>
蒼「ひぎぃっ!?」彡★<br>
<br>
<br>
金「・・・ふう。取り敢えず、地球の平和は守られたかしら。でも、また失敗ね。<br>
途中まで巧く運んでいたのに・・・。あ~あ。やっぱり、カナはアリスに成れないかしら?」<br>
み「あれぇ? どうしたの、カナ。独りで夕日を見上げて黄昏てるなんて」<br>
金「あ、みっちゃん。いま、帰りかしら?」<br>
み「そう言うこと。カナも?」<br>
金「ええ」<br>
<br>
<br>
み「な~んか、カナと並んで帰るのも久しぶりねー。<br>
あたしが学生の頃には、こうして、よく一緒に帰ってたっけー」<br>
金「うん。ホントに久々かしら」<br>
み「・・・どしたの? さっきから、なんか元気ないわね」<br>
<br>
金「ねえ、みっちゃん。究極の乙女になるには、どうすれば良いのかしら?」<br>
み「なぁに? 唐突な質問ね。そもそも『究極』の定義が曖昧だわ」<br>
金「・・・やっぱり、みっちゃんでも解らないかしら?」<br>
み「当然でしょ。あたしだって全知全能の神様じゃないもの。<br>
でも、そうねえ・・・・・・こういう考え方は、どう?<br>
例えば、カナに好きな男の子が居たとして、彼の前で『誰よりも輝けた』時こそ、<br>
究極の乙女になれたって、言えるんじゃないかな」<br>
金「う~ん。カナは本気の恋ってしたことないから、例えがよく解らないかしら」<br>
み「取り敢えずは、失敗を怖れず、結果を焦らないこと・・・ぐらいね。<br>
カナはまだ若いし、これからこれからぁ」<br>
金「そうね・・・うん! ありがとう、みっちゃん。なんだか希望が湧いてきたかしらっ!」<br>
み「そりゃ良かったわ。亀の甲より年の功ってヤツね」<br>
金「あ、それじゃあ、カナの家はこっちだから、ここでお別れかしら」<br>
み「はいは~い。気を付けて帰りなさいよー」<br>
金「うんっ! じゃあね、みっちゃん」<br>
<br>
金「っと、そうそう。ねえ、みっちゃん」<br>
み「ん? なぁに?」<br>
金「みっちゃんは、究極の乙女になれそうかしら?」<br>
み「・・・・・・訊かないで」・゚・(つД`)・゚・.<br>
<br>
<br>
<br>
――その夜。金糸雀はバスタブに身を沈めて考えた。<br>
<br>
金「誰よりも輝いてる・・・かぁ。ジュンに、そんな事を言われてみたいかしら。<br>
だったら、待ってるよりも即行動よ。言わぬなら、言わせてみよう金糸雀・・・字足らずかしら。<br>
えぇ――い!<br>
下らないコト言ってる間に、張り切って、玉のお肌に磨きをかけるかしらーっ!」<br>
<br>
<br>
そして、翌朝――<br>
<br>
<br>
金「おはようかしら、ジュン」<br>
ジ「ああ。おはよう、金糸・・・うっ!」<br>
金「どうかした?」<br>
ジ「いや・・・・・・なんて言うかな。金糸雀の額を見て、目が眩んだ」<br>
金「・・・それって、まさか・・・誰よりも輝いてるって意味かしら?」<br>
ジ「平たく言えば、そうなるなぁ」<br>
金「ホント? ホントにホント?」<br>
ジ「う・・・うん」<br>
金「あはっ! 良かったぁ。それじゃあ、また後でね、ジュン」<br>
ジ「あ、ああ・・・またな」(殴られるかと思ったのに、なんで上機嫌なんだ?)<br>
<br>
<br>
金(うふふふ・・・ジュンにとって、カナが一番輝いてるって証明されたかしらー♪<br>
ありがとう、みっちゃん! カナはやっと、アリスになれたかしらぁ)<br>
<br>
<br>
・・・これで良いのかと思いつつも、キッチリ(?)〆<br>