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<p>「一つ屋根の下 第十六話 JUMとダイエット」</p>
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<p><a title="yane16" name="yane16"></a></p>
<p>「ごちそうさま・・・」<br>
コトっと静かに音を立てて箸を置く蒼姉ちゃん。<br>
「蒼星石？もう食べないですか？」<br>
「え？う、うん・・・ちょっと調子悪くて・・・誰か僕の余ったオカズ食べていいよ。」<br>
そう言って蒼姉ちゃんは早々と席を立ってソファーに座りテレビを見る。<br>
「は～い、ヒナが食べるの～。」<br>
「カナよ。カナが食べるかしら～。」<br>
「私も・・・では、三等分という事で・・・」<br>
キラ姉ちゃんがスッと今日のおかずのハンバーグを綺麗に三等分する。<br>
「それにしても、ダメですわよ？蒼星石。確かに最近は暑いですけどしっかり食べないと。もふもふ。<br>
あ、翠星石。御飯のおかわりですわ。」<br>
スッとドンブリを差し出すキラ姉ちゃん。姉ちゃんは食いすぎだよね・・・すでにドンブリ４杯目・・・<br>
「もう、みんなおばかさんねぇ～。調子が悪いって言ったら当然、あの日・・・」<br>
「水銀燈！JUMの前で何を言うですか！第一、蒼星石の周期は翠星石と同じでこの前終わったばかり・・・」<br>
「す、翠星石！！」<br>
銀姉ちゃんを非難する翠姉ちゃんの爆弾発言で、蒼姉ちゃんがソファーから抑止の声をあげる。<br>
「はっ、し、しまったですぅ・・・J,JUM！翠星石を罠に嵌めやがったですね！？」<br>
どこをどう解釈したらそんな結論が出てくるんですか？翠姉ちゃん。<br>
「あらぁ、JUMったらそんな事知りたかったのぉ？うふふ、ならお姉ちゃんの教えてあげるわぁ。お姉ちゃんは今は<br>
大丈夫な日だからJUMがその気なら中に・・・いたぁい！耳！耳！！」<br>
真紅姉ちゃんが目を吊り上げて銀姉ちゃんの耳をも吊り上げる。<br>
「全く、お下品よ水銀燈。食事のときはもう少し黙りなさい。」<br>
ごもっともです。でも、余りに静かな我が家の食卓ってのも怖いよな・・・</p>
<br>
<p>「はぁ～～～～～～～～。」<br>
僕が浴場に行こうとすると物凄い溜息をつきながら歩く蒼姉ちゃんに会った。<br>
お風呂上りで髪を纏めるためなのか、短いながらも後ろで一つに結っている。チョコンと出てる髪が可愛らしい。<br>
「蒼姉ちゃん、お風呂上り？どうしたの？」<br>
「ほへっ・・・わぁ！JUM君！？」<br>
いや、そんな驚かれても。にしても、どこか気が抜けてるなぁ。蒼姉ちゃんにしては珍しい・・・・<br>
「蒼姉ちゃん大丈夫？何か調子悪そうだけど？」<br>
「だ、大丈夫だよ。だいじょう・・・ぶ・・・んっ・・・」<br>
急に蒼姉ちゃんの体が崩れ落ちる。僕はとっさにその体を抱きかかえる。お風呂上りのシャンプーの香りが<br>
心地いい。ほんのり温かくて柔らかい肌が僕をドキドキさせる。<br>
「そ、蒼姉ちゃん！？」<br>
「あれっ・・・あはは、何かのぼせちゃったみたいだよ。ありがとうね、JUM君。もう大丈夫だから。」<br>
「でも・・・・」<br>
蒼姉ちゃんはゆっくり体勢を直すと、ニッコリ笑っていった。<br>
「ありがとう、JUM君は優しいね。でも、僕は大丈夫だから・・・じゃあ、お休み・・・」<br>
そう言って蒼姉ちゃんは部屋に戻っていった。僕はどこか困惑しながら視線を前に戻す。すると・・・<br>
「JUM・・・えっと・・・あ～～～れ～～～～」<br>
薔薇姉ちゃんが何を思ったか急に床に倒れてゴロゴロ転がりながら僕の足元に来て一言。<br>
「JUM・・・のぼせちゃった・・・介抱して・・・」<br>
・・・貴方は何がしたいんですか？転がれば気持ち悪くもなるって。<br>
「む～～～・・・・JUMのイケズ・・・でも・・・蒼星石・・・変だったね・・・」<br>
薔薇姉ちゃんほどじゃないけどね。と、僕は思う。それより、いい加減立ち上がったら？<br>
「そうだね・・・らしくないって言うか・・・どうしたんだろ・・・」<br>
僕らは真面目な四女の明らかな異変を感じていた。</p>
<br>
<p>そして、次の日の夜についに事件が起こった。<br>
「ただいまぁ・・・・」<br>
消え入りそうな声で蒼姉ちゃんがリビングへ来る。学校帰りだ。それはいい・・・顔色が明らかに悪い。<br>
「そ、蒼星石！？どうしたですか？」<br>
「え？何でもないよ・・・？何でも・・・・」<br>
そこまで言って蒼姉ちゃんはフラリと体勢を崩し、倒れそうになる。近づいた翠姉ちゃんにより抱きとめられた<br>
蒼姉ちゃんは明らかに血の気が引いていた。<br>
「蒼星石！？JUM、布団用意するです！！それから・・・・・・！！！」<br>
翠姉ちゃんが迅速に指示を飛ばす。僕らは言われるままに行動を起こした。</p>
<br>
<p>「あれっ・・・・僕は・・・・」<br>
しばらくし、僕らが見守る中蒼姉ちゃんは目を覚ました。<br>
「蒼星石。話してもらうですよ？何があったですか？」<br>
「だから何も・・・・」<br>
そんな蒼姉ちゃんを翠姉ちゃんが思い切り抱きしめて言う。<br>
「嘘です！翠星石にも言えない事ですか・・・？蒼星石が辛いのは翠星石も辛いんですよ・・・？<br>
翠星石と蒼星石は・・・魂を分かち合った双子じゃないんですか・・・？」<br>
「翠星石・・・うん・・・ごめんね・・・あのね・・・実は・・・その・・・・」<br>
蒼姉ちゃんがモジモジしている。余程言いにくい事なんだろうか。<br>
「あ・・・あのね・・・その・・・体重が・・・増えてて・・・その・・・・」<br>
室内がシーンとする。ソレダケデスカ？いや、女性には深刻なのかもだけどさ。<br>
「えっと・・・蒼姉ちゃんそれだけ？僕から見たらドコも変わらないんだけど・・・？」<br>
「そ、それだけ何て酷いよ！だって・・・さ・・さ・・三キロも・・・増えてて・・・そのせいか最近、体が重いし、<br>
走りにくいし・・・後ね・・・肩が凝るし・・・だから・・・僕・・・」<br>
蒼姉ちゃんがズーンと沈んでいる。姉ちゃん達も同じ女性だから分かるのか無言だ。この人以外は。<br>
「まぁ、大丈夫ですわよ蒼星石？人間案外太らないものですわ。私、全然体重増えませぬもの。」<br>
それは貴方だけですキラ姉ちゃん。普通の人間はあれだけ食えば間違いなく太ります。<br>
「でもでも・・・あの、その・・・えっと・・・ブ、ブラもきつくなったし・・・・」<br>
あ、何か真紅姉ちゃんから闘気が発せられた気がする。すると、銀姉ちゃんが蒼姉ちゃんを羽交い絞めにした。<br>
「ひゃあ！？水銀燈！？な、なに！あんっ・・・んんっ・・・そんなトコ触んないで・・・」</p>
<br>
<p>「な、何してやがるですかーーー！？」<br>
翠姉ちゃんが銀姉ちゃんに非難の声をあげる。<br>
「黙って。やっぱ直接のがいいわねぇ・・・蒼星石、ちょっと脱がすわよぉ？」<br>
銀姉ちゃんは慣れた手つきで蒼姉ちゃんの服を脱がす。スラッと細そうなお腹が見え、その上に青の・・・<br>
「ぶっ！？ぎ、銀姉ちゃん！？」<br>
「あらぁ、JUMもいたわねぇ。雛苺、ちょっとJUMに目隠ししてなさぁい。」<br>
「了解なの～！JU～～M！」<br>
がばっとヒナ姉ちゃんが僕に抱きついたかと思えば、僕の視界は真っ暗に包まれた。<br>
「？水銀燈らしくねーです。いつもならむしろ見ろって感じですのに。」<br>
全く同感です。銀姉ちゃんにもようやく姉としての自覚がでてきたのかね。<br>
「おばかさぁん・・・JUMが見ていいのは水銀燈だけなのぉ～。いくら姉妹といえどもぉ、JUMが見ていいのは<br>
水銀燈だけぇ。何だったら下着以上もJUMには見せてもいいわよぉ？」<br>
やっぱり銀姉ちゃんは銀姉ちゃんだった。大体、貴方は僕が頼んでないのに見せるくせに。<br>
「！雛苺！外していいよ。その・・・僕も恥ずかしいけど・・・JUM君なら・・・」<br>
「ダメよぉ、ヒナ。もし外したらその瞬間から『うにゅー』を『うにょー』に改名するわよぉ！」<br>
「うよ・・・うにょーは嫌なの！ぜ、絶対外さないの！！」<br>
果たして銀姉ちゃんにそんな決定権があるのか・・・そして引っかかるヒナ姉ちゃんもどうかと思う。そんな訳で<br>
僕は今ヒナ姉ちゃんに目隠しされて目が見えない。というわけで、以下音声のみでお楽しみください。<br>
「ふむ・・・やっぱり・・・でも蒼星石もなかなかいいわぁ。ほらほ～れ。サクランボを摘みましょ～♪」<br>
「はぁ・・ん・・・あん・・・水銀燈ぅ・・・だめぇ・・・ん・・・」<br>
「ええんか～ええんか～ええのんか～～～？」<br>
「どこのエロ親父ですか！？いい加減離すですぅ！！」<br>
「JUM！貴方何を鼻の下伸ばしてるの！？不潔なのだわ！」<br>
「うよ・・・JUM？何で前屈みになってるの？」<br>
そりゃ仕方ないですよヒナ姉ちゃん。蒼姉ちゃんの可愛らしい何とも言えない、あ・・・あえ・・・ごほん！声が<br>
聞こえて、それにマイサンが反応しちゃったんだからさ・・・</p>
<br>
<p>「で、結局なんだったのさ？」<br>
目隠しをとかれた僕が言う。何だか顔が紅潮してる蒼姉ちゃんが妙に色っぽい。<br>
「簡潔に言うわぁ。蒼星石、一応聞くけど・・・貴方いつから体重増えたって言ってるの？」<br>
「え？入学式の後の身体測定・・・僕、今年は計らなかったから・・・普段も計らないし。」<br>
・・・・・え？今なんていいました？入学式？蒼姉ちゃんは２年生ですよ？つまり・・・１年以上前？<br>
「ほんとにほんとにおばかさぁん。貴方ね、成長を計算に入れてるぅ？身長伸びれば体重は増えるわぁ。」<br>
「で、でも・・・体が重いのとか、肩が凝るのとか・・・その・・・ブラのサイズとか・・・」<br>
蒼姉ちゃんってたまぁに天然じゃないかなって思う。<br>
「胸が大きくなっただけでしょう？実際、大きくなってたわよぉ。そのために触ったのぉ。」<br>
明らかに触る以上の事もしてたけど、気にしない。<br>
「ま～～ったく、蒼星石はどっか抜けてやがるですぅ。翠星石に心配かけさせやがって～。」<br>
そんな事言う割にはどっか翠姉ちゃんは嬉しそうだった。<br>
「私も・・・蒼星石くらい食べれば・・・胸が・・・・」<br>
僕はボソッとそんな事を言った真紅姉ちゃんを見逃さなかった。まぁ、それは銀姉ちゃんものようで。<br>
「やめときなさぁい。貴方はただ横に大きくなるだけよぉ。」<br>
うわ、ひど・・・これには真紅姉ちゃんは反論もできずに打ちのめされていた。OTZな感じに。<br>
「さぁ、御飯にしましょう。今日はしっかり食べるといいですわ、蒼星石。」<br>
「うん、ありがとう。みんな、ごめんね。迷惑かけちゃってさ。」<br>
蒼姉ちゃんはそう言うといつもの明るい笑顔で笑った。僕は思う。蒼姉ちゃんは自分では男の子っぽいとか<br>
気にしてるみたいだけどさ・・・まぁ、今回は明らかに失敗だけど、体重の事とかで悩む蒼姉ちゃんは<br>
立派に女の子だなってさ。<br>
END<br></p>
