[―水無月の頃―]の変更点 - ローゼンメイデンが普通の女の子だったら @Wiki

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「―水無月の頃―」(2006/07/23 (日) 23:39:43) の最新版変更点

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翠×雛の『ﾏﾀｰﾘ歳時記』 ―水無月の頃―　　【６月６日　　芒種】前編 梅雨入りして間もない、六月初頭。 ここ数日、曇天ながら雨の降らない日が続いている。 そんな、ある日のこと。真紅の家の庭に、翠星石と雛苺が集っていた。 今日は、二十四節気のひとつ、芒種。 芒（のぎ）とは、稲や麦の種に付いている針状の毛のことだ。 穀物を稼種する季節の意味で、麦刈り、田植えなど農家は多忙となる。 だが、勿論、翠星石たちは農作業を手伝いに来た訳ではない。 紫陽花の手入れが、イマイチよく分からないからと、真紅に呼ばれたのだ。 「まぁた随分と、健やかに伸びてるですね。深ぁい愛情を感じるですぅ」 生い茂る紫陽花を見るなり、翠星石が放った感想である。 良い意味に聞こえるけれども、裏を返せば、伸び放題。 つまりは、全く手入れがされていない事への皮肉だった。 「……意地の悪いことを言わないでちょうだい。 　さあ、雨が降り出さない内に、さっさと片付けてしまいましょう」 低く垂れ込めた雲を見上げながら、真紅は二人に呼びかける。 確かに、梅雨空は今にも泣き出しそうだ。 「しゃーねぇですね。剪定は私に任せるです。 　真紅と雛苺は、切り落とした枝葉の処理を頼むですよ」 「あいあいさーなの」 「解ったわ。今、枝を束ねるための、荷造り紐を持ってくるわね」 小走りに玄関へ向かう真紅の背中を、軽快な鋏の音が、追い掛けてきた。 耳元に藪蚊の羽音を聞き、鬱陶しげに手で追い払いながらも、剪定を続ける翠星石。 切り方も手慣れたもので、バチンバチンと、見事なくらい大胆に刈り込んでいく。 それでいて、雑多な印象を感じさせないから流石だ。 素人だと、こうはいかない。 バッサリ切りすぎて、枯らしてしまうか。 枝の先っちょだけ伐るに留まり、暫くすれば元通りの藪に逆戻りか。 二つに一つ。真ん中は無い。有ったとしても、偶然の産物だ。 「相変わらず、大した手捌きね。あんなに枝ぼうぼうだったのに」 「ヒナ達には、とても真似できないのよー」 切り取られた枝を束ね、紐で結ぶ手を休めずに、真紅と雛苺は感嘆した。 「別に、感心されるほどの事じゃねぇです。普段から庭木いじりをしてれば、 　誰だって出来ることです」 褒めそやす二人に、素っ気なく応じる翠星石。 だが、やはり満更でもなさそうで、頬を僅かに緩ませていた。 ひと仕事を終えた三人が、ソファーにゆったりと腰を降ろして、真紅手ずから 煎れたブレンド紅茶の味わいと香りを楽しんでいると―― 「うよ？　降り出しちゃったの」 居間のガラス越しに見る紫陽花の葉を、雨粒が叩き始めていた。 パラ……パラ……と。 「五月雨に打たれる紫陽花……絵になって、とっても風流ですぅ」 五月雨や紫陽花は六月の季語とされ、しばしば、俳句にも詠われる。 しかし、雛苺は徐に眉根を寄せて、不思議そうに頚を傾げた。 「なんだか、おかしいのー。六月なのに、どうして五月雨なの？」 「雛苺、貴女……そんな事も知らないの？」 真紅はティーカップを持ったまま、困った様な表情を浮かべて、言葉を続けた。 「ズバリ言うわよ。何故、六月なのに五月雨か。それは――」 「ご……ごくり、なのー」 「歌を詠むとき、水無月雨だと語呂が悪いからなのだわ！」 「ほぇー。真紅って博学なのねー」 頻りに感心する雛苺に、翠星石が脇から口を挟んだ。 「おバカ苺。そんなヨタ話を、真に受けるなです。 　マジレスすると、現在の六月が、陰暦の五月に当たるからですぅ～」 「ええっ？！　翠ちゃん、それホントなの？」 「ったりめぇです。真紅の言った事は、みぃんなウソです。 　名は体を表すと言うように、真紅の存在自体が、真っ赤なウソなのですぅ」 「ちょっ！　翠星石っ！　なんて失礼なコトを言い出すのっ」 いきり立つ真紅に、翠星石は、嘲りの眼差しを向ける。 居間の雰囲気は、第一次世界大戦前のバルカン半島にも等しい火薬庫と化していた。 正に、一触即発で大爆発の危機。 雛苺は、そんな息苦しい空気を払拭しようと、窓の外を指差しながら、明るく切り出した。 「まあまあ、二人とも。見て……あの紫陽花、とっても綺麗な紅紫色なのよー」 言われて、翠星石と真紅も、窓の外に目を向けた。 「そうね。梅雨空に映える色合いなのだわ」 「確かに、いい色です」 「どんな肥料をあげたら、あんな色合いが出るの？」 そんな事を訊かれたって、真紅には答えられない。 代わりに、翠星石が自信たっぷりの口調で返答した。 「赤みが増すのは、鉄分が多いからです。 　ああいう色の花を咲かせる紫陽花の根元には、大概、死体が埋まってるですぅ」 「ええっ？！　し、死体っ？！　あわわわ……し、真紅……まさか」　 「バカ言わないで！　なんなの、その聞き捨てならないウソ八百はっ」 「ウソかどうかは、ほぉら……あの根元を、見てみやがれですぅ」 言って、翠星石は、枝葉を取り除かれて土が露わになった紫陽花の根元を指差した。 ……だが、薄ら笑っていた彼女の表情が、突如として凍り付く。 おそらく、雨に打たれて両面を覆っていた土が、洗い流されたのだろう。 なにやら丸みを帯びた、茶褐色の物体が、にょっきり頭を覗かせていた。 しかも、眼窩らしき二つの窪みも、見受けられるではないか。 翠星石はギョッと目を見開いて、根元を指差したまま、口をぱくぱくさせた。 「が……がが、が……」 「うよ？　ガガガＳＰ？」 やおらボケた雛苺の脳天に、間髪入れず、翠星石のまさかりチョップが炸裂する。 あまりにも痛々しい音を耳にして、真紅までが、思わず顔を顰めた。 「すっとぼけてる場合じゃねぇですっ！　ひょっこり骸骨島ですぅ！」 「はぁ？　ちょっと落ち着きなさい、翠星石。 　自分が何を口走っているか、ちゃんと理解しているの？」 「とーぜんですっ！　真紅こそ、あれを見やがれです！ 　どう見ても人骨です。本当にありがとうございました、ですぅ！」 しかし、真紅は翠星石が指し示す先を見遣っても、慌てず騒がず。 「イヤだわ。粗大ゴミでも埋まってたのかしらね」 素っ気なく言って、小雨のそぼ降る中、サンダルを突っ掛けて花壇に歩み寄った。 そして、徐に茶褐色の物体を鷲掴み、ズボッ！　と引っこ抜く。 「…………あら。本当に、頭蓋骨なのだわ」 「ひぃぃー！　猟奇殺人事件ですぅ！」 「落ち着くの、翠ちゃんっ！　まだ死んでるとは限らないのよー！」 すっかり恐慌状態の翠星石と雛苺を余所に、真紅は眉間に縦皺を寄せて、 矯めつ眇めつ、頭蓋骨を観察していた。 そして、いきなり「そうそう！　思い出したわ」と大声を出した。 「翠星石、貴女も憶えているでしょう？　幼稚園の頃に埋めた、タイムカプセル！」 「ふへっ？　そ…………そう言えば、適当な入れ物が無くて、 　銀ちゃんが持ってきたドクロの置物をカプセル代わりにした記憶が……」 「そう！　アレよ。すっかり忘れていたのだわ。懐かしいわね」 「私も、綺麗サッパリ忘れてたですぅ」 「うゅ……ヒナは知らないのよ？」 「雛苺とは小学校に上がって知り合ったから、当然なのだわ」 「あの時は、私と蒼星石、真紅に銀ちゃん、ジュンと巴だけだったです」 小学校で雛苺、中学校で金糸雀、高校になって薔薇きら姉妹と親友になったのだ。 翠星石と真紅は、泥にまみれたドクロを、懐かしそうに眺めていた。 この頭蓋骨、勿論、石膏で造られたレプリカである。 頭頂部が蓋になっていて、継ぎ目はガムテープで、しっかり目張りされていた。 「折角ですから、開けてみるですよ」 「でも、みんなに知らせなくて良いのかしら？」 「みんなだって、きっと忘れてるです。私たちだけで、開けちまえばいいのです」 「……それもそうね」 真紅は庭の片隅にある水道で、ドクロに付着した泥を、丹念に洗い流した。 水を切るため、勢いよく上下に振ると、中でゴソゴソと音がする。 当時、何を入れたかなんて、もう憶えていなかった。 周りを、ざっと雑巾で拭くと、真紅は風化してベタ付くガムテープを剥がし始めた。 <hr> 『保守がわり番外編　　着信アリかしらー！？　その３』 金「そもそも、人柄でターゲットを選んでたのが、根本的な間違いだったのよ。 　　主役級のライバルを、イの一番に陥れる事こそ策略の基本かしらー」 ♪ｗｗｗ♪ 紅「あら、メールなのだわ。って、誰よ･･････こんな下らない悪戯をするのは」 【やあ（´・ω・） 　突然だけど、このメールを読んだ君に、彼との破局が訪れてしまう呪いをかけたよ。 　ああ、君がショックを受けるのも無理はないよね。でも、まずはモチツケ。 　この呪いには、逃れる方法が一つだけ用意されているんだ。 　どんな方法かって？　ズバリ！　君が恋敵だと思ってる親友に、呪いのメールを転送するだけさ。 　君だって、恋敵に彼を奪われてしまうなんて嫌だろ？ 　うん、強引なのはわかっている。仏の顔もって言うしね。 　謝って許してもらおうなんて思っていない。じゃあ、賢明な判断を期待するよ】 金「くぅ～っくっくっく！　今度こそ、カナの策は完璧かしらー！」 ジ「よう。どうしたんだ、金糸雀。随分と上機嫌じゃないか」 金「あら、ジュン。こんな所で遭うなんて奇遇かしら」 ジ「もしかしたら、運命の出会いってやつかもなー。あははは･･･」 金（な･･･なんだかイイ雰囲気。ひょっとして、カナにも春が来たかしらー！？）(*ﾟдﾟ*) 紅「ん？　あれは、ジュンと金糸雀？！　なんなの、あの幸せ桃色オーラパワーは。 　　まさか･･･あの呪いって、ホントに？　きいぃっ･･････気に入らないのだわっ！」 金「っ！！　また･･･このタイミングでメール着信？　や、やっぱり～」｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡ ･･･経験値が増えた。金糸雀はレベルが上がった･･････ような気がした。

翠×雛の『ﾏﾀｰﾘ歳時記』 ―水無月の頃―　　【６月６日　　芒種】前編 梅雨入りして間もない、六月初頭。 ここ数日、曇天ながら雨の降らない日が続いている。 そんな、ある日のこと。真紅の家の庭に、翠星石と雛苺が集っていた。 今日は、二十四節気のひとつ、芒種。 芒（のぎ）とは、稲や麦の種に付いている針状の毛のことだ。 穀物を稼種する季節の意味で、麦刈り、田植えなど農家は多忙となる。 だが、勿論、翠星石たちは農作業を手伝いに来た訳ではない。 紫陽花の手入れが、イマイチよく分からないからと、真紅に呼ばれたのだ。 「まぁた随分と、健やかに伸びてるですね。深ぁい愛情を感じるですぅ」 生い茂る紫陽花を見るなり、翠星石が放った感想である。 良い意味に聞こえるけれども、裏を返せば、伸び放題。 つまりは、全く手入れがされていない事への皮肉だった。 「……意地の悪いことを言わないでちょうだい。 　さあ、雨が降り出さない内に、さっさと片付けてしまいましょう」 低く垂れ込めた雲を見上げながら、真紅は二人に呼びかける。 確かに、梅雨空は今にも泣き出しそうだ。 「しゃーねぇですね。剪定は私に任せるです。 　真紅と雛苺は、切り落とした枝葉の処理を頼むですよ」 「あいあいさーなの」 「解ったわ。今、枝を束ねるための、荷造り紐を持ってくるわね」 小走りに玄関へ向かう真紅の背中を、軽快な鋏の音が、追い掛けてきた。 耳元に藪蚊の羽音を聞き、鬱陶しげに手で追い払いながらも、剪定を続ける翠星石。 切り方も手慣れたもので、バチンバチンと、見事なくらい大胆に刈り込んでいく。 それでいて、雑多な印象を感じさせないから流石だ。 素人だと、こうはいかない。 バッサリ切りすぎて、枯らしてしまうか。 枝の先っちょだけ伐るに留まり、暫くすれば元通りの藪に逆戻りか。 二つに一つ。真ん中は無い。有ったとしても、偶然の産物だ。 「相変わらず、大した手捌きね。あんなに枝ぼうぼうだったのに」 「ヒナ達には、とても真似できないのよー」 切り取られた枝を束ね、紐で結ぶ手を休めずに、真紅と雛苺は感嘆した。 「別に、感心されるほどの事じゃねぇです。普段から庭木いじりをしてれば、 　誰だって出来ることです」 褒めそやす二人に、素っ気なく応じる翠星石。 だが、やはり満更でもなさそうで、頬を僅かに緩ませていた。 ひと仕事を終えた三人が、ソファーにゆったりと腰を降ろして、真紅手ずから 煎れたブレンド紅茶の味わいと香りを楽しんでいると―― 「うよ？　降り出しちゃったの」 居間のガラス越しに見る紫陽花の葉を、雨粒が叩き始めていた。 パラ……パラ……と。 「五月雨に打たれる紫陽花……絵になって、とっても風流ですぅ」 五月雨や紫陽花は六月の季語とされ、しばしば、俳句にも詠われる。 しかし、雛苺は徐に眉根を寄せて、不思議そうに頚を傾げた。 「なんだか、おかしいのー。六月なのに、どうして五月雨なの？」 「雛苺、貴女……そんな事も知らないの？」 真紅はティーカップを持ったまま、困った様な表情を浮かべて、言葉を続けた。 「ズバリ言うわよ。何故、六月なのに五月雨か。それは――」 「ご……ごくり、なのー」 「歌を詠むとき、水無月雨だと語呂が悪いからなのだわ！」 「ほぇー。真紅って博学なのねー」 頻りに感心する雛苺に、翠星石が脇から口を挟んだ。 「おバカ苺。そんなヨタ話を、真に受けるなです。 　マジレスすると、現在の六月が、陰暦の五月に当たるからですぅ～」 「ええっ？！　翠ちゃん、それホントなの？」 「ったりめぇです。真紅の言った事は、みぃんなウソです。 　名は体を表すと言うように、真紅の存在自体が、真っ赤なウソなのですぅ」 「ちょっ！　翠星石っ！　なんて失礼なコトを言い出すのっ」 いきり立つ真紅に、翠星石は、嘲りの眼差しを向ける。 居間の雰囲気は、第一次世界大戦前のバルカン半島にも等しい火薬庫と化していた。 正に、一触即発で大爆発の危機。 雛苺は、そんな息苦しい空気を払拭しようと、窓の外を指差しながら、明るく切り出した。 「まあまあ、二人とも。見て……あの紫陽花、とっても綺麗な紅紫色なのよー」 言われて、翠星石と真紅も、窓の外に目を向けた。 「そうね。梅雨空に映える色合いなのだわ」 「確かに、いい色です」 「どんな肥料をあげたら、あんな色合いが出るの？」 そんな事を訊かれたって、真紅には答えられない。 代わりに、翠星石が自信たっぷりの口調で返答した。 「赤みが増すのは、鉄分が多いからです。 　ああいう色の花を咲かせる紫陽花の根元には、大概、死体が埋まってるですぅ」 「ええっ？！　し、死体っ？！　あわわわ……し、真紅……まさか」　 「バカ言わないで！　なんなの、その聞き捨てならないウソ八百はっ」 「ウソかどうかは、ほぉら……あの根元を、見てみやがれですぅ」 言って、翠星石は、枝葉を取り除かれて土が露わになった紫陽花の根元を指差した。 ……だが、薄ら笑っていた彼女の表情が、突如として凍り付く。 おそらく、雨に打たれて両面を覆っていた土が、洗い流されたのだろう。 なにやら丸みを帯びた、茶褐色の物体が、にょっきり頭を覗かせていた。 しかも、眼窩らしき二つの窪みも、見受けられるではないか。 翠星石はギョッと目を見開いて、根元を指差したまま、口をぱくぱくさせた。 「が……がが、が……」 「うよ？　ガガガＳＰ？」 やおらボケた雛苺の脳天に、間髪入れず、翠星石のまさかりチョップが炸裂する。 あまりにも痛々しい音を耳にして、真紅までが、思わず顔を顰めた。 「すっとぼけてる場合じゃねぇですっ！　ひょっこり骸骨島ですぅ！」 「はぁ？　ちょっと落ち着きなさい、翠星石。 　自分が何を口走っているか、ちゃんと理解しているの？」 「とーぜんですっ！　真紅こそ、あれを見やがれです！ 　どう見ても人骨です。本当にありがとうございました、ですぅ！」 しかし、真紅は翠星石が指し示す先を見遣っても、慌てず騒がず。 「イヤだわ。粗大ゴミでも埋まってたのかしらね」 素っ気なく言って、小雨のそぼ降る中、サンダルを突っ掛けて花壇に歩み寄った。 そして、徐に茶褐色の物体を鷲掴み、ズボッ！　と引っこ抜く。 「…………あら。本当に、頭蓋骨なのだわ」 「ひぃぃー！　猟奇殺人事件ですぅ！」 「落ち着くの、翠ちゃんっ！　まだ死んでるとは限らないのよー！」 「バカですかっ！　死んでるに決まってるですぅ！」 すっかり恐慌状態の翠星石と雛苺を余所に、真紅は眉間に縦皺を寄せて、 矯めつ眇めつ、頭蓋骨を観察していた。 そして、いきなり「そうそう！　思い出したわ」と大声を出した。 「翠星石、貴女も憶えているでしょう？　幼稚園の頃に埋めた、タイムカプセル！」 「ふへっ？　そ…………そう言えば、適当な入れ物が無くて、 　銀ちゃんが持ってきたドクロの置物をカプセル代わりにした記憶が……」 「そう！　アレよ。すっかり忘れていたのだわ。懐かしいわね」 「私も、綺麗サッパリ忘れてたですぅ」 「うゅ……ヒナは知らないのよ？」 「雛苺とは小学校に上がって知り合ったから、当然なのだわ」 「あの時は、私と蒼星石、真紅に銀ちゃん、ジュンと巴だけだったです」 小学校で雛苺、中学校で金糸雀、高校になって薔薇きら姉妹と親友になったのだ。 翠星石と真紅は、泥にまみれたドクロを、懐かしそうに眺めていた。 この頭蓋骨、勿論、石膏で造られたレプリカである。 頭頂部が蓋になっていて、継ぎ目はガムテープで、しっかり目張りされていた。 「折角ですから、開けてみるですよ」 「でも、みんなに知らせなくて良いのかしら？」 「みんなだって、きっと忘れてるです。私たちだけで、開けちまえばいいのです」 「……それもそうね」 真紅は庭の片隅にある水道で、ドクロに付着した泥を、丹念に洗い流した。 水を切るため、勢いよく上下に振ると、中でゴソゴソと音がする。 当時、何を入れたかなんて、もう憶えていなかった。 周りを、ざっと雑巾で拭くと、真紅は風化してベタ付くガムテープを剥がし始めた。 <hr> 『保守がわり番外編　　着信アリかしらー！？　その３』 金「そもそも、人柄でターゲットを選んでたのが、根本的な間違いだったのよ。 　　主役級のライバルを、イの一番に陥れる事こそ策略の基本かしらー」 ♪ｗｗｗ♪ 紅「あら、メールなのだわ。って、誰よ･･････こんな下らない悪戯をするのは」 【やあ（´・ω・） 　突然だけど、このメールを読んだ君に、彼との破局が訪れてしまう呪いをかけたよ。 　ああ、君がショックを受けるのも無理はないよね。でも、まずはモチツケ。 　この呪いには、逃れる方法が一つだけ用意されているんだ。 　どんな方法かって？　ズバリ！　君が恋敵だと思ってる親友に、呪いのメールを転送するだけさ。 　君だって、恋敵に彼を奪われてしまうなんて嫌だろ？ 　うん、強引なのはわかっている。仏の顔もって言うしね。 　謝って許してもらおうなんて思っていない。じゃあ、賢明な判断を期待するよ】 金「くぅ～っくっくっく！　今度こそ、カナの策は完璧かしらー！」 ジ「よう。どうしたんだ、金糸雀。随分と上機嫌じゃないか」 金「あら、ジュン。こんな所で遭うなんて奇遇かしら」 ジ「もしかしたら、運命の出会いってやつかもなー。あははは･･･」 金（な･･･なんだかイイ雰囲気。ひょっとして、カナにも春が来たかしらー！？）(*ﾟдﾟ*) 紅「ん？　あれは、ジュンと金糸雀？！　なんなの、あの幸せ桃色オーラパワーは。 　　まさか･･･あの呪いって、ホントに？　きいぃっ･･････気に入らないのだわっ！」 金「っ！！　また･･･このタイミングでメール着信？　や、やっぱり～」｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡ ･･･経験値が増えた。金糸雀はレベルが上がった･･････ような気がした。

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