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「第三話 「現の第一世界」」(2006/07/13 (木) 22:06:37) の最新版変更点
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<p>第三話 「現の第1世界」<br>
<br>
<br>
ラプラスの後をついて行くと<br>
宙に浮いている扉が一つ現れた。<br>
ラプラスはそれを開けてどんどん進んでいく。<br>
私もその扉の向こう側へと急ぎついて行く。<br>
そしてドアの向こうには青空が広がっていた。<br>
<br>
「空・・・?」<br>
<br>
ふと見下ろすと下には自分の住んでいる町が見える。<br>
つまりは自分は上空に居るというわけだ。<br>
<br>
「此処は一体・・?私の住んでた町・・。」<br>
<br>
いつもの様にラプラスに尋ねる。<br>
ラプラスは一息置いて何時ものように語りだした。<br>
<br>
「夢とは現、現とは夢、<br>
夢は現の思いが見せる幻<br>
現とは夢の思いが成す世界。<br>
どちらも同じようなものです。<br>
まぁつまりはここは現実世界ですね。」<br>
<br>
長い説明が終わるとラプラスは下へ下へと降りていく。<br>
私はそれにはついて行かず<br>
自分の居る病院へと向かった。<br>
恐らく其処にはお姉ちゃんが居るから。<br></p>
<p>暫く浮遊していると病院が見えてくる。<br>
しかしこれってまるきり幽霊みたいだな・・・。<br>
そんな事を考えつつ病院に入り口から入る。<br>
そして受付に行き看護婦に聞く。<br>
<br>
「すみません・・・。私の病室は何処ですか?」<br>
<br>
返事が無い、というより聞こえても見えてもいないみたいだ。<br>
そりゃ幽霊同然の事になってるからそうだろう。<br>
しかし部屋を一つ一つしらみつぶしに探すのは・・・。<br>
そんな事を考えていると受付で誰かが看護婦に質問していた。<br>
<br>
「すいません、薔薇水晶さんの病室は何処でしょうか?」<br>
<br>
自分の名前が呼ばれぱっと見てみる。<br>
其処には笹塚、それに柏葉さんがいた。<br>
いや正確には柏葉さんでは無いのだが・・。<br>
<br>
「薔薇水晶さんの病室は2047号室となります。」<br>
「どうも、じゃあ行こう。」<br>
「うん。」<br>
<br>
二人は看護婦に言われた部屋へと向かう。</p>
<br>
<p>私も二人について行く。<br>
エレベーターに乗り二階に行って暫く歩くと<br>
2040番台の部屋が見えてくる。<br>
その中から47号室を探し見つけて<br>
私の名が書いてある札を確認すると二人はノックする。<br>
暫くすると中からお姉ちゃんの声がし<br>
二人は扉を開き中に入って行った。<br>
<br>
「こんにちわ雪華綺晶さん。」<br>
「久しぶり、雪華綺晶 。」<br>
「ええ・・。久しぶりですわ、笹塚ご夫妻。」<br>
<br>
お姉ちゃんは笹塚と柏葉・・・いや巴さんに向かって言う。<br>
<br>
「薔薇水晶・・・大変だね。」<br>
「ええ・・・けど死んではいませんわ。私はずっと待ちますわ。」<br>
「うん・・・きっと目を覚ましますよ。」<br>
<br>
こうやって目を覚ませなくて暇なんだけどな・・・。<br>
きらきーちゃん御免ね、心配ばっかかけて・・・。<br>
いっその事あの時死んでしまえば・・。<br>
<br>
「毎日毎日あなた方が交代で来てくれて本当に嬉しいです。<br>
感謝しますわ、ばらしーちゃんも喜んでいるでしょう。」<br>
<br>
え?毎日?今初めて知ったのだけど・・・。<br></p>
<p>
「とんでもない、友達がこんな状態なんだからみんな駆けつけずにはいられないさ。」<br>
「うん、みんな心配してるもの、水銀燈や真紅らもね。」<br>
<br>
毎日笹塚らの他に銀ちゃんや真紅達も来ているんだ・・・。<br>
有難うみんな・・・。<br>
<br>
「しかしもう一週間ですのね、早いですわ・・・。」<br>
<br>
え?一週間?<br>
<br>
「そうだね・・・ずっと寝ているんだね。」<br>
「でもきっと目を覚ましますよ。」<br>
<br>
もう一週間経ってたの?私そんだけの間ずっと寝てたんだ・・。<br>
<br>
「ええ、きっとじゃなく必ず覚ましますわ。」<br>
<br>
時間の問題らしいんだけどね・・。<br>
その後は笹塚が花を置いてくれたりなんやらしてくれて<br>
やがて帰っていき私ときらきーちゃん(気付いてないだろうが)<br>
の二人きりとなった。<br>
<br>
「・・・ばらしーちゃんはあの人らのようにはならないで下さいね。」<br>
<br>
あの人ら・・・。<br>
恐らくきらきーちゃんはジュン、そして蒼星石に翠星石の事を言ってるのだろう。<br>
<br>
「あなたは死んだりなんかしませんよね、あなたは強いものの。」<br>
</p>
<p>・・・そんな事ない、私は弱い・・・。<br>
<br>
「もう・・・歌も聞こえないですね。」<br>
<br>
「・・・歌?」<br>
<br>
その後もきらきーちゃんの言う事を聞いていたが<br>
歌の事はわからなかった。<br>
まぁいいか、私はそう思い窓から外へと出て行った。<br>
そうだ、少し商店街の方でも行こう。<br>
どうせ暇だしこんな幽霊みたいな状態で行く経験なんて<br>
そうそう出来ないしね・・。<br>
私はそう思い地面へと降りていった。<br>
此処は・・・そうだ、あの店の前だ。<br>
私は気付いてその店を見てみる。<br>
ローゼンメイデン、私が半分死んだ今でも<br>
と言っても一週間しか経ってないらしいが<br>
これと言って変わりは無いようだ。<br>
私は店の中へと入ろうとする。<br>
幽霊みたいなもんだから多分すり抜けて行くだろな。<br>
私が扉に手をかけるとお約束どおりドアには触れない。<br>
ってな訳でドアをそのまま直進する。<br>
ぶつかる瞬間にすり抜けるとわかってても<br>
やはり怖いので目を瞑る。<br>
目を開けたその時、目の前にはいつもの喫茶の光景が<br>
広がっていた。<br></p>
<p>5年近く前から此処でバイオリンを弾いてる金糸雀<br>
そして料理と紅茶を運ぶ雛苺<br>
紅茶を黙々と煎れる真紅<br>
酒の注文があまり無いのですっかり<br>
料理を作る以外何もしていない白崎さん。<br>
皆が居た。<br>
<br>
「皆・・・久しぶり。」<br>
<br>
やはりさっきと同じ様に聞こえない。<br>
もしかしたら誰か霊能力かスタンドか何か持っていて<br>
私の声が聞こえるんじゃないかと期待したんだけどな・・・。<br>
真紅らはその後もいつも通り働いている。<br>
暫くすると店のドアが開く。<br>
<br>
「やぁようこそローゼンメイデンへ・・・って水銀燈さんですか。」<br>
「その台詞に改変は無いのねぇ。」<br>
<br>
銀ちゃんはそう言うと真紅の目の前のカウンター席に座る。<br>
<br>
「サービスの紅茶にテキーラちょうだぁい。」<br>
<br>
酒の注文が来たので白崎さんは真紅の後ろで酒を入れ始め<br>
真紅は紅茶を煎れ始める。<br></p>
<p>
注文の酒と紅茶が来ると銀ちゃんはどちらも一気飲みし始める。<br>
・・・酒もそうだけど危ないよ。<br>
と言うより90℃近くの紅茶なんてどうやったら一気飲み出来るんだ?<br>
そんな疑問を浮かべていると銀ちゃんが喋りだす。<br>
<br>
「今日は・・・誰が行ってるのぉ?」<br>
“今日は確か・・・笹塚らが行ってるのだわ。」<br>
「あのバカップルらねぇ、雪華綺晶
会うの久しぶりでしょうねぇ。」<br>
“そうね・・・こんな形で久しぶりに会うことになるとはね・・。“<br>
<br>
水銀燈が喋ると声が出ない真紅はいつものように<br>
メモに言葉を書いて必死に返事をする。<br>
<br>
「もうお見舞いなんて行きたくないわぁ。だって哀しいものぉ。<br>
次行くまでには治ってるように祈るわぁ。」<br>
“そうね・・・早く治るよう祈っときましょう。“<br>
<br>
銀ちゃん・・・真紅・・。<br>
心配かけて・・・こんな子で御免ね・・。<br>
<br>
パンパン!<br>
<br>
薔薇水晶がそんな事を考えてると後ろで音がする。<br>
其処にはラプラスが居た。<br>
他の誰も気付いてはいないようだ。<br></p>
<p>「心配してくれてるとは嬉しいものですね。<br>
しかし彼女らの言葉ばっか聞いてる場合ではありませんよ。<br>
時間が無いんですから。」<br>
<br>
手を叩き終えたラプラスが話す。<br>
しかし時間が無い・・・?<br>
暇つぶしに来た筈だが・・・。<br>
<br>
「時間が無いって・・?」<br>
「あなたの目が覚める時期が迫ってます。<br>
だからその前に色々行ってもらおうと・・。」<br>
「行きたくないって言ったら・・?」<br>
「・・・え?」<br>
「目が覚めるまで此処に居たいって言ったら・・・?」<br>
「うう・・・。」<br>
「冗談よ・・・ラプラス、じゃあ早く行きましょう。」<br>
<br>
私がちょっと意地悪してそう言うとラプラスは元気を取り戻す。<br>
兎は寂しがり屋と聞いたがほんとにそうなんだな。<br>
<br>
「さて次は・・・思想の集う第0、1世界とはまた別の場所に行きましょうか?」<br>
「思想の集う場所とは別の・・?」<br>
「ええ、強いて言えばあなたの心の中の思いを探検しようという訳です。<br>
あなた自身があなた自身を見つけていく、どうですか?」<br>
<br>
うん、悪くないね・・。<br></p>
<p>「うん・・じゃあ行こうか・・。」<br>
「畏まりました、ではまた空へ行きましょう。」<br>
<br>
ラプラスはそう言うと喫茶の外へと出て行く。<br>
私もそれについていく。<br>
みんなばいばい、またね。<br>
私は喫茶の中のみんなに手を振ると外へと出る。<br>
しかし今思ったが自分と同じ様な人がいっぱい居るな・・。<br>
此処に来るまでにも(特に病院で)見かけていたが<br>
居る事に気付かなかったよ・・・。<br>
きらきーちゃんに会うのに必死だったからかな?<br>
ラプラスの後を追いながらそんな事を考える。<br>
考えてる内にラプラスが上空で停止する。<br>
そしていつもの様に空間に穴を開ける・・・と思ったら<br>
指をパチン!と鳴らし始める。<br>
すると私の体から光の球みたいなものが出て<br>
光が扉の形を作っていく。<br>
一分もすると光は消えたが其処にドアが出現していた。<br>
<br>
「今度はあなたの世界なので“兎の穴“からは行けないのですよ。<br>
さて・・・それでは参りますか。」<br></p>
<p>ラプラスが扉を開けるのでそれについて行く。<br>
さて・・・私の世界ってどんなのだろうかな?<br>
<br>
「では・・・あなたの記憶、“思い出“を辿りましょうか。<br>
まずは歓喜の第2世界へ・・・。」<br>
<br>
思い出か・・・。見て回るのは悪くないね。<br>
私は期待を膨らませながらついて行った。</p>