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ジュンと雛苺と水銀燈」(2006/06/10 (土) 08:45:07) の最新版変更点

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<br> <br> ジリリリリリ・・・ジリリリリリ・・・<br> 定刻通りに、時計がけたたましく鳴る。<br> 「ふぁあ・・・」<br> 時計を止めながら、あくびを一つ。<br> ただいまの時刻を知るために、枕元にある眼鏡をかける。<br> 「七時か・・・」<br> などと一言感想を吐く。<br> 僕は部屋を出て階段を下り、リビングに向かう。<br> リビングには朝食を採っている姉が居た。<br> 「ジュン君おはよう。」<br> 「おあよ・・・ふぁあ・・・」<br> 僕はそうだるそうに挨拶をした。<br> 「ちょっと顔洗って来る・・・」<br> そう姉に告げ、とぼとぼ洗面所へ向かった。<br> <p>「よしっ!」<br> 顔を洗い終え、気合いを入れるため頬を叩く。<br> そして部屋に戻り制服に着替える。<br> 「ジュンく~ん、雛ちゃん来たよ~。」<br> 僕が制服に着替え終えるとほぼ同時に、姉からそう連絡が入る。<br> 「はーい。」<br> 僕はそう答えた。<br> それにしてもなんでいっつもこんな絶妙な時間に来るんだ?<br> あいつ、僕を監視してるんじゃないだろうな?<br> などとくだらない事を考えながら、リビングに向かう。<br> 「ジュン~!」<br> と言う声が聞こえたのと同時に腹に鈍い痛みが走る。<br> 「お前はいっつもいっつも抱きつきやがって・・・」<br> 「雛ちゃんとジュン君はいつ見てもラブラブね~。」<br> 「違ーう!」<br> これだから朝は嫌いだ。<br> <br></p> <p>「行って来ます!」<br> 少々不機嫌になりながら、吐き捨てるように僕は言った。<br> 「あっ、ジュン待つのよ~!じゃ、のり行って来ま~す。」<br> そう言うと雛苺は俺の横まで走って来た。<br> 「二人とも~車には気をつけるのよ~。」<br> と姉が言ったので「分かってる~。」と返事一つ。<br> 俺の横でいろいろ話してるこいつの名前は雛苺。<br> いわゆる幼馴染み。<br> 僕と同じ歳。<br> 背は小さいが、これでもちゃんとした高校一年生。<br> 身長・体重・性格すべて小さい頃から変わってないと思う。<br> 魔法使いより珍しいかも知れない。<br> 「ジュンちゃんと聞いてるの~?」<br> 少々顔を膨らませたような顔で言う。<br> 「聞いてる。聞いてる。」<br> 僕は期待通り全く聞いて無かった。<br> 「じゃ、さっき言った事言ってみて!」<br> 「えっ?」<br> これは予想外な事になった。<br> どうしよう・・・<br> 「早く言うの~!」<br> 「そっ、それより早く水銀燈の所行くぞ!待たせるのは悪いしな!」<br> そして僕は少し歩くのを早めた。<br> 「ジュンごまかすなんてズルいの~!」<br> そう言いながら、雛苺は僕の元へ走ってきた。<br> <br> <br></p> <p>「ピンポーン」<br> 僕と雛苺は水銀燈の家の前に来ていた。<br> 水銀燈の家は凄いデカい。<br> そして広い。<br> この家に来るたび「社長ってやっぱ儲かるだな」とつくづく思う。<br> ちなみに雛苺の家は僕の家とさほど変わらない。<br> そんな事を考えてるとインターホンの受話器を取る音が聞こえた。<br> 「はい。」<br> 「あっ、桜田です。」<br> 「少々お待ちください。」<br> と言うメイドさんとのいつもと変わらない会話を終えると、鉄で出来た柵が自動的に開く。<br> ふと雛苺の方を見ると、満面の笑みで目をキラキラさせそれを見ている。<br> 何が面白いんだ?<br> <br></p> <p> 鉄の柵が開ききるのを見た後、僕らは玄関まで歩いた。<br> 雛苺はキョロキョロ辺りを見回しながら歩く。<br> 「ねぇねぇジュン、あれ凄いのー!」<br> 「お前いつも見てるだろ。飽きないのか?」<br> 「凄いのは凄いのー!」<br> と笑顔を僕に向けて言った。<br> 可愛いな・・・<br> あぁこれが娘をもつ父親の心境なのか。<br> こんな事を思ったり、雛苺と話をしたりしてたら、いつの間にか玄関に着いた。<br> 水銀燈が出て来るまで待つ。<br> 雛苺は今日も扉やその周りの彫刻などを見ている。<br> よく飽きないな。<br> <br></p> <p>しばらく待っていると扉が開いた。<br> 「行ってらっしゃいませ、お嬢様。」<br> 「お留守番よろしくねぇ。」<br> と言いながら水銀燈が出て来た。<br> 「銀ちゃんおはようなのー!」<br> 雛苺は片手を挙げてそう言った。<br> 「雛ちゃんおはよぉ。ジュンもおはよぉ。」<br> 「あぁ、おはよう。」<br> 体をかがめ雛苺の頭を撫でながらそう言ってきた水銀燈に、僕はそう言葉を返した。<br> 水銀燈とは小学校六年間・中学校三年間・そして高校も同じクラス。<br> いわゆる腐れ縁。<br> そういや、なんで社長の娘なのに公立の学校に通ってたんだ?<br> まぁどうでも良いか。<br> 雛苺とは性格を含め全てが正反対だ。<br> 共通してる点はどちらも何をしでかすか分からない所だけだな。<br> <br> <br> <br></p> <dl> <dd>三人横一列になっていつもの道を歩く。<br> 梅雨の時期のせいか少々蒸し暑い。<br> 水「それにしてもジュンはよくウチの高校受かったわねぇ。」<br> 唐突に水銀燈が僕にそう言ってきた。<br> J「まぁそれなりに勉強したからな。」<br> 水「それなりにってレベルで受かる学校じゃないわよぉ。それにジュン私より頭悪いじゃない。」<br> J「そりゃそうだろ。」<br> 水銀燈には専属の家庭教師が何人も居る。<br> 僕はと言えば、せいぜい塾に通うくらいだ。<br> ちなみに雛苺は、ナチュラルボーンに頭が良い。<br> 雛「ジュンはやれば出来る子なのー!」<br> 僕らの話を聞いていたのか、雛苺がフォローをいれてくれた。<br> J「ありがとう。僕の味方はお前だけだよ。」<br> と言い、雛苺の頭を撫でた。<br> 雛「ジュンはなんでこの高校受験したの?」<br> J「家から近かったからかな。」<br> 水「嘘ぉ。私達と一緒に居たかったからじゃないのぉ?」<br> とニヤニヤにながら水銀燈が聞いてきた。<br> 僕が受けるって言った後に決めた奴がよく言うよ。<br> <br> <br> とそうこう話してる内に学校に着いた。<br> 僕らが通ってる私立ローゼン高等学校は、広くてデカい。<br> 生徒の総勢が5000人くらいだから仕方が無いっちゃ仕方が無いけど。<br> この学校には色々な噂がある。<br> その一つに、この学校が広過ぎて毎年行方不明者が出ると言う噂がある。<br> そして、広過ぎて魔物が居るって噂もあり、毎年誰かその魔物に食われてるらしい。<br> みんな常に魔物に食われぬよう「明日は我が身」と思って授業を受けなくちゃならないらしい。<br> 一体どんな学校だよ。<br> と一通りツッコミを終えた所で僕らは自分の教室に向かう事にした。<br> J「そういや生徒会ってどうなってんだ?」<br> と水銀燈に聞く<br> こいつははこれでも生徒会長。<br> 水「その事なんだけどぉ、ジュン生徒会に入ってくれない?」<br> J「なんで僕が?」<br> まさか生徒会に誘われるとは思いもしなかった。<br> 水「また一人辞めちゃったのぉ・・・」<br> J「またかよ・・・もう五人目だぞ?」<br> 水「だからお願い。ねぇ、良いでしょぉ?」<br> J「まぁ僕は良いけど・・・」<br> 僕は何か頼まれると断れない。<br> この性格早く直さないといけないな。<br> <br> 雛「雛も生徒会入るのよー!」<br> と僕らに向かって元気に高々とした声でそう言った。<br> これは少々ヤバイ事になった。<br> 水「あ、あのねぇ雛ちゃん、生徒会の仕事って大変なのよぉ。」<br> J「そ、そうだぞ雛苺。生徒会なんて重い荷物運んだりするだけだぞ!」<br> 僕は水銀燈と二人で制止に入る。<br> 雛「でも、雛だけ仲間はずれなんてヤなのー!」<br> と顔をぷぅーっと膨らませて言う雛苺。<br> ヤバイ!もう第二段階まで入ったぞ!!<br> 水「ひ、雛ちゃん。誰も仲間はずれなんて言ってないじゃない!」<br> J「そ、そうだぞ雛苺。会いたい時は何時でも会えるじゃないか!!」<br> 僕は水銀燈と二人で必死に説得する。<br> 雛「そんなの嘘なの!ジュンも銀ちゃんも雛の事嫌いなの!だからそんな事・・・うぐっ。」<br> と言って雛苺は泣き出してしまった。<br> 水「わ、私は雛ちゃんの事大好きよぉ?だから泣き止んで、ねっ?」<br> J「帰りに好きなだけ苺大福買ってやるから、早く泣き止むんだ雛苺!」<br> 僕らはそれぞれに雛苺が泣き止むように説得。<br> だが雛苺はそれを無視し、泣き続ける。<br> 泣く雛苺。そしてその前であたふたする僕と水銀燈。<br> これじゃあまるで、僕たちが雛苺を虐めてるみたいじゃないか。<br> そしてそう思って見てる他の生徒の視線が痛い・・・<br> 雛「うっぐ・・・じゃあ・・・」<br> やっと落ち着いたのか雛苺が喋り始めた。<br> J&水「じゃあ?」<br> <br></dd> <dd>そして思わず声がそろう僕ら。<br> 雛「じゃあ・・・うっぐ・・雛も・・・生徒・・・・ひっく・・・・会に・・・入れて・・・・うっぐ・・・・・くれる?」<br> 途切れ途切れながら、何とか言葉を言い切った雛苺。<br> 雛苺がこうなってしまったら、僕らはその欲求を飲まなきゃいけない。<br> 水「も、もちろんOKよぉ!」<br> 水銀燈は雛苺の前でしゃがんで指で円を作りそう言った。<br> 雛「ホントぉ?・・・うっぐ。」<br> 手で涙を拭きながら言う雛苺。<br> 「えぇ、ホントよぉ。だから早く涙を拭いてぇ。」<br> そう言い水銀燈はハンカチを雛苺に渡した。<br> J「あー雛苺が居る生徒会が楽しみだなー。」<br> もうどうにでもなれ。<br> 僕はどこかヤケクソになっていた。<br> 雛「これからも三人一緒なのー!」<br> と僕と水銀燈の腕をとり、笑顔で言った。<br> 僕らは、それに苦笑いで答えるしかなかった。<br> しかし、立ち直りが早すぎないか?<br> <br></dd> </dl>

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