世界の座標軸からみえるのは


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(…なんだこれは)

『参加者候補リスト』を眺めてから俺、レイ・ジョーンズはそう考えた。
最後の記憶は誰もいない廃屋で1人寝たところまでで途切れている。おそらくそのあとに連れてこられたのだろう。
まったくただでさえ少ない人類で殺し合うだなんて馬鹿げている。それより俺以外に人類が生き残っていたことにも驚きではあるが、どうもこのリストはおかしい。
ルーズベルト大統領にムッソリーニ、ヒトラーという偉人たちが名を連ねている。おそらく追い込まれた状況でよく現れるサイコパスだろうが、それよりも気になるのが一人、いた。

(マグワイヤー巡査…?彼は俺が殺したハズじゃ…)

心優しかった小太りの警官、マグワイヤーさん。彼の勇気にはたびたび救ってもらえたし、彼がいたからこそ俺は生きている。
だが、彼は死んだはずだ。自分の娘を俺に託し、アンデッドと化して、死んだはず。

「…まさか2回目のアンデッド化か?」

マグワイヤーさんが死んだあと、彼はパーフェクトウイルスというウイルスをある製薬会社に打ち込まれ、モンスターと化した。
彼の力は強大なもので、化物に相応しかった。だが優しい心は消えてはいなかった。
「わたしを、ころせ、じょーんず、くん」
そう聞こえた。いや幻聴かもしれないがそう聞こえたんだ。
俺は一発だけあったRPG-7をマグワイヤーさんに撃って、彼だったモノは、死んでいった。はずだ。

「…クレイジーだ」

マグワイヤーさんを2回生き返らせて何になる。彼はもう苦しんだはずだ。もういいじゃないか。
もしこの名簿が事実であるならば俺は、あのAKANEを許さない。いや、許せない。
運悪く俺に与えられた武器はスペツナズナイフ。まあ当たりか。もう一つは小説と…仮死薬。使えるかもしれないが、とりあえずは奥にしまおう。

あぁそれとマグワイヤーさん以外にも知り合いが多くいた。中でも気をつけるべきは「マシロ」という少女だ。
実際に会ってないがマグワイヤーさん曰く最高にヤバイ奴らしく、生きるためならば人を殺すのも躊躇しないというサイコパス野郎だ。
もしこいつが居たらヤバそうだ。参加してないことを祈る。

話を戻す。
俺が居るのは地図によるとG-7。坂道だ。
普通の人間ならへばるだろうが、あのアウトブレイクを今日まで生き残った俺からしたらランニング程度で登れる。
やがて登ると、目の前に女が立っていた。東洋人のようだ。チャイニーズかジャパニーズかコリアンか?またはヴァイタミンか?まったくあのへんの顔は見分けがつかないぜ。

「hold!」

俺は大きく、ゆっくりとスペツナズナイフを構えながら女に言った。
もし逃げられてもスペツナズナイフていうのは優秀で、刃の部分を噴出できるようになっているから、それで足止めをすればいいだけの話だ。
アンデッドどもには足止めも糞もなかったが、人間相手なら好都合。

「手を挙げてくれ。君に敵意がないかどうかを確認させてほしい」

一般人ならこんなこと申し訳ないから、敵意がないことを伝えておく。
通過儀式のようなものである、ということを付け足しておいた。
だがどうも目の前の女は俺を見ても何も思わない。普通は状況が状況だし、アウトブレイク発生当初の不良たちのように反撃でもするものかと思っていたが違うようだ。

「きゃー。初対面の人にナイフ向けるなんてこわーい」

向けられるとは思わないような声色。ケラケラと笑いながら女は俺から視線をそらす。
こういうのに慣れているのだろうか、いや慣れるはずだろうが普通は慌てる。俺でも逆の立場なら慌てる。
なぜ彼女は慌てないのだろう。いや、ここはそれを置いておこう。

「すまない、だが君もあんな地獄を見てきたなら分かるだろうが…俺も約一年ぶりに会った人間だ。もしかしたらアンデッドかもしれない」
「アンデッド?…あぁ。あなた『私と違う』のか」
「殺し合う気がないというならこっちに来るんだ。あの主催は俺が倒す。君は何処か安全な場所に案内をしよう」

地図によると、この近くには…道場?というところがある。そこにでも向かい他の対抗する者たちに彼女を保護してもらおう。
そして仲間を集め、主催を倒す。そういったシナリオは出来ている。大丈夫だ。計画通り行くはずだ。

「一応聞くけどさ、あなた名前は?」
「レイ・ジョーンズだ。SWAT隊員なんだがなんせSWATは壊滅してしまってね。元、と言った方がいいかもしれないな」
「ふーん。私は平沢茜。よろしくねー。ジョーンズさん。あなたに色々聞きたいことがあるんだけど、いい?」
「…まあこういう場だしな、大丈夫だ」

女、いや茜は小柄な体の背伸びを伸ばしながら、まるで普通のように、息抜きをするように俺に疑問を投げかける。

「私日本人なんだけどさ、なんで言葉通じるの?」
「…!?そ、そういえば…」

…だった。彼女は日本人、らしいのだがそれは、どうでもいい。
なんで、茜と俺は喋れてるんだ?日本が学校で英語を習っているというとは知っているが、俺の西海岸訛りの英語を聞き取れて、簡単にすらすらと会話できる日本人なんてなかなかいないぞ。

「おかしいと思ったのよねー。私、大学生だけど日本の英語教育はスピーキングとリスニングに力入れてないから外人来た時焦ったけど流暢な日本語話し始めるから驚いちゃった」

…共用語はお互い違うし、日本人とも行動を共にしたが言語が通じず苦労した思い出がある。
いったいどうなっている?茜は考える俺を差し置いて言葉を続けていく。

「私の予想なんだけどさ、多分変換機みたいなのが勝手に作動されてるかなんなのかなと」
「だ、だがそれならばまず君と会話した時に気づくだろう?」
「誰も気づくわけないよ。皆そう思わないようになってるから」

…なっている?
茜はあたかも分かりきっているかのように口を開いた。この短時間でそこまで考察をしたのか?いやそれは無理だ。情報が足りていないようであるし、茜もおそらく最初にあった人間は俺のはずだ。
茜の口は止まる兆しがない。次にゆっくりと、俺の首を指さした。

…なっている?
茜はあたかも分かりきっているかのように口を開いた。この短時間でそこまで考察をしたのか?いやそれは無理だ。情報が足りていないようであるし、茜もおそらく最初にあった人間は俺のはずだ。
茜の口は止まる兆しがない。次にゆっくりと、俺の首を指さした。

放送でも言っていた『首輪』。これがあるから自由を奪われてしまっていて、更にいくつかのチームに分けられている。という。
悪趣味なもんだが、これがどうしたのだろう。俺は茜の言葉に耳を傾ける。

「首輪。なんでジョーンズさんの爆発しないの?」
「…!」
「反抗したら殺すって言ってたしねー」

思い出した。俺は「主催を倒す」と口走ったはずだ。
もしあの音声通りであるなら俺は主催に反抗され首輪を爆発されたはず。一体、どうやって俺たちが反抗すると見破るのだろう。首輪に盗聴機能かなにかがついてるのかもしれないが、それならば殺されているはず。

「…じゃあ、なぜ俺は死なない」
「主催の見落としか気まぐれかまたは───私達じゃ勝てない戦力を持っているか」
「娯楽目的か?」
「さぁね。もしかしたらそういう一面もあるだろうけど、どうもそれだけじゃないみたいねー」

…不思議な子だ。
まるで体験したかのように、主催者側のようにスラスラと答えている。
そういえばあの音声のアカネと茜は名前が同じだ。
何か関係があるのか?主催者側から送り込まれた存在か?ならばこうやって質問に答えず俺を殺しにかかるだろう。
更に茜の肉体は貧弱で、腕も足も細い。俺を殺すほどの力はないだろう。
そんな細い体の茜は顔に苛立ちを見せながら、崖の向こうの海を振り向いて見ながら、言葉をもらした。

「…完全に私のやり方じゃないの」

何処かちらりと写った表情からは苦虫を噛み潰したような顔に思われた。
そんな茜の言葉も気になるが、今はそれよりも。茜に聞きたいことか多すぎる。
まとめる暇もない。思った事を頭の中の検閲を通さず聞きまくる。

「私の…?あのアカネと君に何か関係が?名前も一緒だ。君はこの殺し合いの真意を知っているのか?」
「すとーっぷ。いきなりたくさん聞かれても困るなぁ。おねーさん困っちゃう」

…君よりも俺のが年上なんだが。
と言いかけるが堪える。茜はまた最初のようにケラケラと笑い、俺へと思い出したような素振りを見せた。
読めないが、この少女の話を聞く必要がある。彼女は非力であるかもしれないが、『弱者』ではなさそうだ。

「大丈夫、何もないから。あ、質問の答えだけど。私は乗る気なんてないから」
「…話をもっと聞きたい。俺に着いてきてくれないか」

茜は俺の言葉に対し、また唐突に黙りこむ。
やがて数秒の間。俺はどこか変な間が気になり、茜を尋ねた。

「…どうした?」
「なんでもない。じゃ、行こうよー」

そう茜は言うと、今度は俺を置いていくかのように俺の右隣を通りすぎていく。
イマイチついていけてない俺を差し置いて。彼女は歩みを進めていく。怖いものなど何もないように。

「…彼女が真相を掴む鍵かもしれないな」

俺は後ろから、歩みをすたすたとはやめる彼女に追いつくために、駆け出すのだった。
─────────────

「やっぱりそういうことするか、『私』」

…私だって腹が立つことはある。
よりにもよって選ばれたのが私だなんて。存在は認識していた『もうひとりの私』。こんなことまでするとは思ってなかたなあー。
予想はなんとなくついていた。なんでって?分かってよ。
私は『悪魔(イレギュラー)』。本来あんな平凡な世界に居る人じゃないんだって。

だからさあ、なんとなくだけど分かる。他の世界軸の存在が。こういうと、他の同級生たちはドン引きするだろうから言わないんだけど。

「私を殺すのは私。人を見下すのも私。『私じゃない私』は黙ってろって話」

名簿には駆君と叫君がいた。あと叫君の妹も。まあ、叫君呼ぶなら呼ぶよね。その方が楽しそうだし。ほんとはそういうことしたかったけどさ。叫君の頼みもあるし出来なかった。
まるでそういう、私の本質も見破ってるかのような参加者候補。

…舐めてる。

「…私は、あなたの椅子に座ってみせる。どんな殺し合いの場でも頂点は私だ。そこんところ分かっておいてよ───AKANE」

【H-7/崖/一日目/深夜】

【平沢茜@アースR】
[状態]:強気
[服装]:普通の服
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品1~3
[思考]
基本:主催を倒し、自らがこの殺し合いの主催になる
1:AKANEの元へ行く
2:ジョーンズには守ってもらいたい
3:叫、駆、嘘子の動向が気になる
[備考]※名簿は見てます

【レイ・ジョーンズ@アースEZ】
[状態]:困惑
[服装]:ボロボロのスワット隊員服
[装備]:スペツナズナイフ×4@アースEZ、小説『黒田翔流は動かない』@アースR、仮死薬@アースR
[道具]:基本支給品
[思考]
基本:主催を倒す
1:一般人は保護
2:茜の話を尋ねる
3:マシロ、マグワイヤーが気になる
[備考]


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