Pure girls project ◆Z9iNYeY9a2
ふと目が覚めた時、私南ことりは見覚えのない場所に立っていました。
街灯がポツポツと光る道、目の前には大きな建物が見えますがそれが何なのか、真っ暗な状態では判断がつきません。
「怖いよ……」
真っ暗な深夜に見覚えのない場所に一人で立っていたことなんてない私は、怖くて震えていました。
思わず手と手を重ねた時に、見覚えのない腕輪が嵌っていることに気が付きます。
ふと、あの夢のような光景で説明されていたことを思い出します。
一人の女の子が殺されて、いきなりカードになったあの光景が脳裏に浮かんできました。
ホラー映画とファンタジー映画が混ざったような。
思い出すだけでも身震いがするものだったけど、その最中にこのカードの使い方についても説明されていたことを思い出しました。
あったのは、赤、青、白、黒のカード。
「…確か、赤と青で食べ物と飲み物が出てくる…んだよね?」
記憶を便りに、食べたいものを念じてみます。
すると、出てきたのは茶色とベージュの色をしたふんわりした食べ物。
「わぁ…、すごい」
一人で食べきれそうな、1/4ホールくらいの大きさのチーズケーキ。
せめて1ホール丸ごと出てきてくれたらよかったんだけどなぁ。
「あ、でも今深夜だし、こんな時間に食べたら体に悪いよね…」
テレビで言っていました。夜遅くに甘いものを食べると、生活習慣病になりやすくなるとか、太りやすくなる、とか。
それで体重が増えたらこの前の穂乃果ちゃんと花陽ちゃんのようにダイエットをすることになってしまうのかな、Printemps皆でダイエットマラソンなんてどうだろう、とか。
今思えば、こんなことをこんなところで考えてしまう辺り、今自分がどんなところにいるのか分かっていなかったのかもしれません。
地面に座って、一旦チーズケーキを脇に置いた私は黒いカードに手を伸ばしました。
すると、出てきたのは赤い糸を巻いた糸束でした。
服を縫うのにも使えそうですが、あまり役に立ちそうな気はしませんでした。
ただ、その赤白く光るその糸束は何だかとっても不思議なものに感じました。
「…何だろうこれ?見たことない糸だけど……」
こんな不思議な糸もあるんだなぁ。服飾の勉強は頑張ってきたつもりでしたが、まだまだだったみたいですね。
糸を仕舞って他に何が入っているのか確認しようと思った、その時でした。
――――――ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ
「ぴぃ…!?」
静かで物音一つしないこんなところで耳に届いた何かが唸るような声。
もしかして幽霊?!
心臓が止まるんじゃないかと思った私は思わず座り込んだまま後ろに下がり。
ずりっ、ずりっ。
地面を擦るような音と共に何かが近づいてきています。
気が動転した私は頭を抱えたまま蹲って。
「ひぃぃ……」
夢なら早く覚めてほしい、と。
そう思いながら目を閉じていると。
「うぇ~~~~~~……」
聞こえてきたのは女の子の声。
「そ、そこのあなた……」
呼ばれた気がして、目を開いたところにいたのは学ランを着た茶髪の女の子がそこにいました。
何だかとても可愛らしい幽霊さんだなぁって思っていたら。
「何か、何か食べ物をください……、お腹が空いて……」
何だかダイエットのカロリー調整とトレーニングの時の穂乃果ちゃんみたいな、ううん、それよりもかなり重症そうな子が倒れていて。
思わず、脇においていたチーズケーキをカップごと差し出したら。
「ぱくっ」
「あ」
一口で食べられちゃいました。
手ごと。
余談ですが、この時の手を噛まれた痛みで、ああ、やっぱりこれは夢じゃないんだなぁってようやく気が付きました。というよりも確信しました。
◇
「ありがとね!えっと、南さんだっけ?!」パクパクパクパク
その後、放送局内のロビーの椅子に、白いカードで灯りを作って座っていました。
「私は満艦飾マコっていうの!本能寺学園2年甲組の劣等生!」ガツガツガツガツ
「劣等生って…自分で言っちゃうんだ…」
話しながらも満艦飾さんは一生懸命手と口を動かしています。
どうやらカードの使い方についての説明を聞いていなかったらしく、説明してあげるとコロッケのような何かを大量に取り出して食べながら話をすることになったのです。
満艦飾さんいわく、それは家でよくお母さんが作ってくれる、「その辺で拾ったものを全部詰め込んだなんだか分からないコロッケ」らしいのですが、それに何が入っているのか聞く勇気はありませんでした。
「うーん、やっぱりお母さんが作ったものと比べたら何か味が落ちるなぁ」
「それで、どうしてあんなところでお腹空かせてたの?」
ともあれ、話を進めます。
いくら何でも、あんなに動けなくなるほどお腹を空かせるような人には見えません。
それが数日間食事を取っていないようにも思えるほどの状態だったのは何か理由があったんじゃないかなぁと。
「そうなの!それがね、これからみんなで最終決戦だーーー!!ってテンションだったところでいきなりこんなところに連れて来られてね!
それで流子ちゃん達を探そうって走り回ってたの。そしたら気がついたらいきなりお腹が減って動けなくなっちゃったの」
「……ゲームの話?そういえば流子ちゃんって名前は…」
満艦飾さんのその名前を聞いて、ふと思い出して名簿を開きます。
さっきまでは気が動転していて開けなかった、カード内の名簿。
知りたくなかったけど、そこには穂乃果ちゃん、絵里ちゃん、にこちゃん、希ちゃんの4人の名前がありました。
もしこれに気付いた時私一人だったら、気が動転してどうにかなってしまっていたかもしれません。
「えーと……、私漢字読めないんだ。南さん、ちょっと名前読んでもらっていいかな?」
「いいよ、えーと……」
幾つか何て読んだらいいのか分からない名前が混じっていることに四苦八苦しつつも全部を読み上げました。
満艦飾さんの知り合いは、纒流子、鬼龍院皐月、蟇郡苛、針目縫の4人だということが分かりました。
ちょっと読むのが難しかったな……。
「流子ちゃんは私の友達でねすごく強いし、皐月様も蟇郡先輩もすごく強いんだよ!みんな集まればきっとこんなところ早く抜けだして帰れるよ!
あ、だけど針目縫はすごく危ないから気を付けないと」
「そうなんだ、私の友達はね……」
そんな感じで、満艦飾さんが食事を終えるまでの間、気がついたら話し込んでいました。
友達のことだったり、μ'sっていうスクールアイドルのグループで活動していることだったり。
「すごい!南さんってアイドルだったんだ!」
「アイドルじゃなくてスクールアイドル…っていって学校の部活でアイドルをやってるってだけなんだけどね」
「すごい!じゃあ歌とか作れたりするの?!」
「私は衣装担当だから―――」
「すごい!じゃあ服とか作れたりするの?!」
「えっと…、うん」
「すごい!」
すごい一つが追加される度に、ズイ、ズイという効果音と共に目を輝かせながら迫ってくる満艦飾さんに圧倒されて。
なんというか、すごくマイペースな子だなぁって思いました。
一人で怯えてた自分とは違って、こんなわけの分からない状況でも明るく振舞っていて。
その明るい様子を見ていたら、何だか穂乃果ちゃんを思い出すような気がしてきました。
「あ、そういえば南さんは音ノ木坂学院に行くんだよね?」
「うん、もしかしたらみんなそこに来るんじゃないかなって思うから」
「じゃあちょうどいいや、私は本能寺学園に行こうと思うんだけど、途中まで一緒に行こうよ!」
「でも、いいの?真っ直ぐ行くより遠回りになっちゃうかもしれないのに」
「大丈夫!!ドーンと泥船に乗ったつもりで!ふん!」
泥船じゃ沈んじゃうんだけどなぁなんて、そんなことを思いながらも。
この底抜けにポジティブな満艦飾さんに救われている自分がいるような気がしました。
「よし、そうと決まったら急ごう!大丈夫、真っ暗でも怖くなんてないよ!」
「こ、怖がってなんてないよ!」
「まずは音ノ木坂学院だね、行こう南さん!」
「うん。…ありがとう満艦飾さん」
そんな想いがふと口に出てしまったのか、私は不意にお礼の言葉を述べていました。
「マコでいいよ。苗字だと長いし、それに南さんはケーキくれた恩人だし」
「それじゃあ、私もことりでいいよ」
まだまだ先のことは分かりませんが、。
きっとみんな大丈夫だよね?
誰も欠けることなんてなく、またみんなで歌えるよね?
ねえ、穂乃果ちゃん…、みんな…?
【E-1/放送局/深夜】
【南ことり@ラブライブ!】
[状態]:精神的疲労(小)
[服装]:音ノ木坂学院の制服
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(10/10)
黒カード:生命繊維の糸束@キルラキル、不明支給品0~2枚(未確認)
[思考・行動]
基本方針:みんなで帰る
1:μ'sのみんなやマコさんの知り合いを探しつつ音ノ木坂学院に向かう
2:現状に少しの不安
[備考]
※参戦時期は2期7話以降のどこか。
※マコの知り合いについて情報交換をしました
※生命繊維の糸束の詳細は確認しておらず、変わった糸としか認識していません。
【満艦飾マコ@キルラキル】
[状態]:健康、満腹
[服装]:本能寺学園の制服、喧嘩部特化型二つ星極制服
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(5/10)、青カード(8/10)
黒カード:喧嘩部特化型二つ星極制服
[思考・行動]
基本方針: みんなで帰る!!
1:みんなを探しつつ音ノ木坂学院へ向かい、その後本能寺学園に向かう
2:流子ちゃん、皐月様、蟇郡先輩を探す。針目縫は警戒。
※参戦時期は23話終了後。
※μ'sのメンバーについて情報交換しました
※喧嘩部特化型二つ星極制服は制限により燃費が悪化しています。
戦闘になった場合補給無しだと数分が限度だと思われます
【生命繊維の糸束@キルラキル】
極制服や神衣に織り込まれている特殊な繊維「生命繊維」を糸束にしたもの。
衣類に編みこむことで、その量に応じて強力な力を発揮することができるようになる。
現状ではただの切れにくい糸だが、道具や環境が揃って衣類を作ることができれば…?
【喧嘩部特化型二つ星極制服@キルラキル】
満艦飾マコに本人支給。
学ランに学帽、高下駄の形をした極制服。
ステゴロの戦闘スタイルに合わせてマコの身体能力を最大限まで高めるが知力だけは上がらない。また、燃費も悪い。
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最終更新:2015年08月16日 16:59