OP候補1 ◆eQMz0gerts

それは唐突だった。
薄暗いコンサートホールのような場所で、彼等は目を覚ました。
彼等の中の誰一人として、このような場所に連れてこられた覚えはなかった。
故に、彼等の大半はたちまち混乱に陥り、ホール中がざわめきに包まれる。
混乱は人の口を軽くする。
親しい者を探す声。
知り合いを見つけて安堵する声。
知り合いを見つけて怒鳴り合う声。
様々な『声』がとびかった。
しかし、それもすぐに収まった。


「静まれ」


たいした大きさではないはずのその声。この騒がしい中では聞こえるはずのない声だ。
しかし、確かにその『声』は男も女も強者も弱者も、このホール中にいる者の意識を一つに纏めさせた。


「皆の者。心して聞くが良い」

いつの間にいたのか、声の主は舞台に立っていた。
服装は純白のスーツという簡素なものであり、背丈や体つきから判断すれば、男。
というのも、能面で顔を隠しており、『男』とは断定できないのである。
能面とスーツ。どう見てもミスマッチなその組み合わせ。そしてその出で立ちは誰がどう見ても『奇妙』だった

「皆に集まってもらったのは他でもない。やってもらいたいことがあるのだ」

能面の者は、淡々と言葉を発し続ける。
その声に、誰もが意識を集中させる。

「諸君らには、これから数日の間...生死をかけたバトル・ロワイアルを行ってもらう」

『殺し合い』
その言葉に、ホール中に戦慄が走る。―――が、しかし。


「ふむ。流石に死線を潜ってきただけのことはある。いや、恐怖にかられて声が出せんというだけか」

会場中の反応は、能面の者の言葉の通り。
意味がわからない、と思考が停止している者。
意味を理解し、身を竦み上らせているもの
意味を理解しつつ、「はぁ?」と困惑した表情を浮かべる者。
いつものことだ、と涼しい顔をしている者。
これから起こることへの期待に、ニィ、と口角を釣り上げるもの。
反応は人それぞれであったが、ホラー・パニック映画のような悲鳴があがることはほとんどなかった。


「これはこれで都合がいいか...では、ルールを説明させてもらう。このバトルロワイアルは、これからそちらを送る会場内で最後の一人になるまで行われる。
行動や殺し方は自由。殴殺するもよし。配布する支給品で殺すもよし。集団で殺すもよし。とにかく、なんでもありだ。
ただし、一つだけ制限がある。皆の者、己の首を触れてみたまえ」

能面の者の言葉通りに、大半の者が己の首に触れる。

「わかってもらえただろうが、そちらには首輪が付けられている。この首輪には爆薬が含まれており、ある条件をひとつでも満たすと爆発する仕組みになっている。
ひとつは、首輪に強い衝撃を与えたとき。ひとつは、余が時間ごとに指定する禁止エリアに足を踏み入れたとき。最後に...」
「おじさん」

人混みの先頭にいたツインテールの少女が、説明を遮り能面の者に問いかける。


「ばとるろわいあるって、なんなのん?」
「人間同士で殺し合うことだ」
「ころしあう?」
「要は、この場にいる者たちで命を奪い合えということだ。...こんなふうに」


少女に突きつけられたのは、一丁の拳銃。
状況を理解できていないのか、少女は不思議そうに可愛らしく小首をかしげるのみ。
能面の者が引き金に力を込めたときだった。
人波をかき分けて姿を現した、厳つい顔をした男の声が響き渡ると共に、頭部が鳥のような男が姿を現し、能面の者へと炎を放った。
能面の者が跳び退き炎を躱す。
それに少し遅れて厳つい顔をした男が、舞台へとあがり能面の者と対峙する。


「これ以上貴様の蛮行は許せん...呪うのなら、こんなバカげたことを考えた己を呪うことだな」
「な...なんだかよくわからねえが、真選組!あの能面野郎をひっとらえろ!...って、俺しかいねえのか!?」

チッ、と舌うちをすると共に、黒服の剣客が遅れて舞台へと駆け上がる。
戦況は2対1。いや、状況さえ理解できれば会場中の者全てが能面の男の敵と成り得る。
しかし、男は一切慌てる様子を見せない。


「...首輪が爆発する最後の条件。それは」


――――ピピピピピ

突如、アラーム音が鳴りはじめる。
アラーム音の出どころは、厳つい顔の男の首輪。
一瞬。ほんの一瞬だが、ギョッとした厳つい顔の男の動きが止まる。同時に


「余に明確な意思で逆らったときだ」


―――ボンッ


そんな音と共に、驚いたままの厳つい顔が空へと舞い上がる。
持ち主を失った身体がぐらりと揺れ、血を撒き散らしながら床に倒れる。
吹きとばされた頭部が、人波の中へと落ちる。
そして―――


「アヴドゥル―――――!」

ひとつの絶叫と共に

「きゃああああああああ!!」

今度こそ、悲鳴が会場中を包み込んだ。
ホール中に悲鳴がとびかう中、能面の者が呆然と立ち尽くす剣客に尋ねる。

「...命が惜しければ、速やかに舞台から降りることだ。わかったな、土方十四郎」

剣客―――土方十四郎の腕が震え、刀の鍔がカチャカチャと音を立てる。

「...ああ。わかったよ」

土方は息を吐くとともに、全身から力を抜く。瞬間

「てめえが救いようのねえ外道だってことがな」

能面に、土方の剣が突き刺さる。
その突きの勢いを殺さず、そのまま能面の者を壁に叩き付けた。
否、叩き付けたはずだった。
土方が貫いたのは能面のみ。刺されたはずの能面の者は、能面に刀が刺さる寸前で消えていたのだ。
なぜだ?どこに?
その疑問に答えるかのように、背後から声が聞こえた。


「なお、この殺し合いにおいての詳しい詳細はそちらに支給される物に記しておく。万が一忘れた場合、それで確認するがいい」

男は、土方に背を向け、群集へと語りかけている。
なぜ躱されたのか?その答えを考える前に、土方は背後から斬りかかる。
しかし、能面『だった』者は、振り返りもせずに土方の剣を躱すと、土方に足払いをかけ、土方はそのまま人混みの中へとダイブさせられてしまった。

「んのやろっ」
悪態をつき、立ち上がろうとしたときだ。
能面『だった』者と土方の視線が交差した。

「......!」
「...最後に。優勝した者には、いかなる望みを与えよう。いかなる望みも、だ」


能面が剥がされればその素顔が露わになる。当然のことだ。
それを見た時、土方は叫んだ。否、叫んだつもりだった。

「――――――――――!!」

土方の叫びは誰にも届くことなく。ホール中の者たちの意識が闇へと堕ちた。

ホールに残されたのは、一人の男と首なしの身体、そして転がる一つの頭部だけだった。

【モハメド・アヴドゥル@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース 死亡確認】

「...ま、わるかねえんじゃねえの?」

頭上から男に投げかけられる声。
最初から潜んでいたのか、忍のような恰好をした男がヒラリと天井から舞い降りた。

「これなら上からとやかく言われることもねえだろ」
「...この者は」

男が、忍に背を向けたままアヴドゥルの身体を見つめている。

「誰よりもはやく、力無き少女を守ろうとした。混乱に陥っているあの状況の中で、躊躇わずにだ。本来ならそれは余の役目だというのに」
「あんたがこうするしかなかったことはわかってる。だから気にすんな...って言いてえところだが、あんたにゃ酷な話か」
「......」

忍の慰めにも、男は答えない。ただ無言で身体を震わせるだけだ。

「...耐えられなくなったらいつでもいいな。俺がその首落としていつでも為り代わってやる。なあに、汚れ仕事は慣れたもんさ」
「...だが、お前に全てを押し付けることはできぬ」

男は、血に塗れるのも躊躇わず、アヴドゥルの身体を両腕で抱きかかえた。

「重てえだろ?ただの命じゃねえ。あんたが生殺与奪の全てを握っている人間の命だ。一人でもそれなんだ。俺にゃ、お前さん一人で全員分の重さに耐えられるとは思えんがね」

忍が、アヴドゥルの頭部のもとへと降り立ち、傷つかぬように頭部を持ち上げる。

「埋葬、するんだろ。そんくらいはいまの俺にも手伝える」
「全蔵...」
「忘れんな。あんたが堕ちるときは俺も堕ちるときだ」
「...すまない」


忍―――全蔵の口元が僅かに緩む。


「そんじゃ、共に外道の道を歩むとするか。将軍...いや、茂茂よ」


【主催】

【徳川茂茂@銀魂】
【服部全蔵@銀魂】

【GAME START】


※支給品はランダム支給品1~3、成人男性一日分の食糧と水、バトルロワイアルについての詳細が記述された説明書です。デイパックはなんでも入る仕様です。
※禁止エリアは6時間ごとの放送で、3エリアづつ発表されます。これも上記の説明書に記載されています。