ろうたけたるおもい ◆WqZH3L6gH6


拾い上げると、それはサングラスをかけた中年男の魂が封じられた白カードであった。


「……桂さん」
「ああ……」


足早に南方を目指していた桂小太郎とコロナ・ティミルが橋を渡ろうとした際。
水面に浮かぶ光るものを発見したのはつい先程。
それは長谷川泰三の白カード。
桂と親交があり、コロナも桂から話に聞いた男。
1回目の放送に名を呼ばれ彼の死を受け入れているが、
いざ死の事実を目の当たりにすると、度合いは異なれど2人ともやるせない気分に陥らざるを得ない。



「どうしますか?」


コロナの問いを聴きながら、桂は周囲を見渡す。
だが長谷川の遺体は容易に見つけられそうにない。


「先を急ごう」


桂は一先ず遺体の捜索を諦めると、カードを懐に仕舞いコロナを促した。
淀んだ気持ちを少しずつ吐き出すかのように、両者は南西の島へ繋がる橋へと走って向かった。



「……カードの絵って固定されているんですかね?」
「……証明写真のように至極普通に写っているから、そうだろう」


白カードは死亡者それぞれの感情をまったく写さない。
参加者の誰々が死んだという証にしかなり得ないように思えた。
実際は各地に点在するパソコンを使えば情報を得られるが2人には知る由もない。


「友奈さんと犬吠埼さんのカードも拾えばよかったですかね……」
「……」

結城友奈と犬吠埼姉妹のカードはそれぞれの遺体の下に置いてきている。
2人は無言になり、並走を続け橋を渡る。
空は赤く染まり始めていた。


「どうしたんですか桂さん」

コロナは息を切らせながら問いかけた。
桂は黒カードを変化させたスマートフォン素早く効率よく操作している。
それは斃れた勇者の遺品であるスマートフォンだった。
いま2人がいる場はE-7南西のある民家。
桂の提案で休息を取る事にコロナも異論はなかった。
放送ギリギリで目的地に着くのは避けたかったから。
好奇心もあり彼女は桂が操作するスマートフォンを覗き込た。
彼の慣れた手つきに軽く感動を覚えながら、コロナはある一文を見て声を上げる。


M:『東郷美森は犬吠埼樹を殺害した』


「それは……」
「……騙りかも知れん」


友奈を単独行動へと駆り立てたチャットの一文。
桂も樹の事は聞いているが、あえてそれのみに囚われず、他の記録をチェックしていく。


D:『犬吠埼樹を殺したのはホル・ホース』


「あれ?」
「順番通りならMの後に送信された文だが……」


桂は表情を変えず思考する。


「今は置いておこう。コロナ殿、三番目の文に心当たりはないか?」


R:『義輝と覇王へ。フルール・ド・ラパンとタマはティッピーの小屋へ』


「……はい。覇王はアインハルトさんだと思います」
「単純に捉えるとRはアインハルト殿の協力者と言う事になるな」
「せめて発信者が誰か解ればいいんですが」
「姓か名の頭文字か、あるいは本名か……うむ」
「?」

桂はコロナに顔を向け、スマホを手渡した。


「コロナ殿、発信して確認を取ってくれ」
「え、桂さんの方が」
「いや、もし俺の名からだと確認が取りづらい。下手すれば二つ名でさえ同じになってしまう」
「……解りました、やってみますね」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

チャットに書き込みして30分が経った。
新しい書き込みはまだない。


「コロナ殿、このゲームに見覚えは無いか?」
「ウィクロスっていうんですか。ないです」

コロナはスマホの画面に映るカードゲームを見て答える。
まったく心当たりがない。


「そうか……どうしたものか」
「そのゲームが何か?」
「ゲームはこれだけなんだ」
「?。桂さん、遊びたい訳じゃないですよね?」
「……まあそうだが。ゲームを入れるにしてももっと知名度の高いのを入れるべきではと思うのだが」
「……現実逃避でゲームにする人はいてもおかしくないとは思いますが……。そう言えば」

疑問に思うコロナ。
桂はスマホを操作しWIXOSSのゲームの説明を読み、プレイ画面へと進める。
そしてゲームスタートとは別の項目をクリックした。

「ん。ランキングがあるだと?」
「え」

ランキングは得点が表示されるものではなく、どれだけ運営が用意した対戦相手を倒せたかが表示されるものだった。


「……7人か」
「プレイする人が本当にいるなんて」
「プレイヤー名は名無しか……特定できんな」


桂は先のゲームプレイヤーの推理を諦めつつも更に操作を続ける。
やがて画面にプレイヤーキャラにあたるルリグの姿が現れた。
桂は質問するかのように顔をコロナへ向けたが、彼女も首を振って否定。
ルリグの姿は頭にターバンを巻いた、肌の色がダークグレーの、白のレオタードのような衣装を着た少女だった。
それは桂達は知る由もないが、数時間前勇者の力を行使したウリスによく似ている。ルリグはクロという名だった。

「この子はクロ……」
「……何かあるな」
「参加者でこの子を……このゲームを知ってる人はいるんでしょうか……」
「うーむ、いたら手がかりになりそうではあるが」


もし2人が勇者の姿を見ていなければ、注目まではしなかっただろう。
興味を引いた理由の1つはクロの雰囲気が勇者か、あるいは少々繭に通じる幻想的なものがあったからだ。
桂の指が震えた。


「…………」
「桂さん」


コロナはプレイをさせないように咎めるように言った。
だがその口調はゲームセンター行きを止めた時のように強くない。


「このゲームは我々参加者への挑戦状だろう」
「……」
「クリアした場合、そのプレイヤーに何が起こるかは解らんが。
 少なくとも殺し合い障害にならない範囲で利益を得られる事はあり得ると思う」
「でも、わたし達は……」

桂は頷く。

「……戦えるだけに我々は戦に集中しなければならん。ゲームに集中できる時間は残念だが今はない」
「……」


戦闘者の役割を忘れていない桂の姿を見て、コロナは思わず視線を落とした。
時間にして18時間未満経過。DIOらとの戦いに敗走を余儀なくされた上に、これまで協力者や仲間も少なからず喪っている。
にも関わらず主催打倒に繋がる情報は現状何一つ得られていない。
今のままではゲームに翻弄され、流されているだけだとコロナは実感していた。
桂は続ける。


「ないが……。例えば戦う事ができない参加者がいたらどうだろう?」
「……!」
「そう、その参加者にゲームクリアを手伝ってもらう。
 我々がクリア報酬を手にできなくてもいい。
 もしあればだが、どのように報酬がプレイヤーに譲渡されるかが大事なんだ。
 上手く行けば、それらを通じて主催の出方や殺し合いを始めた真の目的が見えてくるかも知れん」


コロナは桂の説を聴きながら天井を仰ぎ見た。


『――単なる殺し合いが目的では無く、その過程か何かに狙いがあるとそう言いたいのだな?』


そして数時間前の7人いた時の桂達の推理を思い出し、ゲームの事を考える。
アプリWIXOSS。クリアしても直接殺し合いの打開には繋がらないだろう。
だけどコロナ自身も少々なり興味を出せるものをここに来て発見したとなれば。


「わかりました桂さん。もう止めません」
「そうか」


桂は柔らかさを感じる声を上げ、画面を切り替えた。
コロナはそのままプレイをすると思っていただけに少々呆気にとられた。
けど続ける。


「桂さん」
「?」
「後で皐月さん達にそのこと伝えましょうね。他の人にもですけど」
「む」
「こんな状況でゲームを勧めるなんて、普通は不真面目に見られちゃいますから」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

放送まで1時間を切った。
2人はスマホの機能は大体チェックした。
もっとも肝心な機能のも、今。
実体を伴わない花弁が舞う。
緑色の桜の花びらと、どの花とも判別できぬものと。


勇者スマホの力を行使した桂は羽織を着用していた。
その羽織は勇者の戦闘服に酷似している。
それ以外は先程までの服装と容姿のまま。


勇者スマホの力を行使したコロナは、友奈の勇者服と同じデザインのものを着用していた。
ただその色彩はコロナのバトルジャケットと同じ紺色を中心としたものだった。
容姿は髪の色以外に違いはない。その色はアインハルト・ストラトスと同じ緑がかったもの。



「友奈さんの口ぶりだと他の人は変身できなさそうだったのに……」
「……」


戸惑うコロナと若干厳し目の表情をする桂。
黒カードの裏の説明文を見て、疑問に思った2人が試しにと使ってみた結果がこれだ。
コロナは掌を開いては握りを繰りかえす。
2人の感想は多少の違いはあれど共通していた。
未知の力が自らの肉体を増強させていると。


「…………桂さん」
「どうした」

「ちょっと手合わせ願えませんか?」


2人は走る。先程と比べ明確に早い速度で。


「魔法は強化されない?」
「ええ、他の能力はかなり強化されてはいるんですが……」


申し訳無さそうにコロナ。
桂はコロナのいう魔法や魔力をあまり理解はできないというか、しきる事はできない。
だが彼女が得意とする技術は勇者の力と同時に扱うのは困難なのは手合わせしたからか理解はできた。


「DIOのような相手と戦っても単独では……」
「僅かな隙を狙われては、か」
「……アインハルトさんならもっと上手く扱えると思うんですが」
「強いんだな」
「……はいっ」


桂のその言葉は自分とアインハルトに向けられたもののように聞こえた。


「……ところで桂さん、神威と針目縫と、あとアザゼルって人と交渉するって本気ですか?」
「奴も、皐月殿から聞いた針目縫も、多分アザゼルという男も性格的に主催に反感を持つのは予想できる
 最悪でも情報交換くらいは可能だろう」
「だけど……」
「可能なら奴らの矛先を主催に向けさせる。それ以上、殺し合いを加速させるつもりはない」
「それは分かるんですけど」


コロナからしてもこれだけゲームが進行しているだけに足止めの意味でも、
対主催戦の準備という意味でも、あえて敵対戦力と部分的に協力するという行動は否定できない。
だが、神威とアザゼルはまだしも針目縫と交渉となると不安が強かった。
コロナも皐月から針目縫に関しての情報を聞いている。
会話は可能だが、交渉は無理な性分だと。
アザゼルに至ってはもっと情報が少なく、どう対応していいかまるで解らない。

勇者の力はコロナ同様に桂の身体能力も強化できている。
だが、その強化はコロナのと比べて明らかに見劣りするもの。
コロナから見て単独で神威やDIOと戦っても勝ち目はないと思えたし、桂も否定はしていない。
彼女の心は不安で占められていた。


「……なに。直接面前に出て会話しようとは思わん」
「え?それなら、いいんですが……」
「それも皐月殿と、放送後になんとか連絡を取ってからするつもりだ」
「解りました」


一先ずコロナは安心した。



「まあこの力、充分使いこなせなくとも移動には便利だろう」
「……ですね」

たなびく桂の長髪を見ながら、ようやくコロナは笑った。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【F-7/万事屋銀ちゃん付近/一日目・夕方】

【桂小太郎@銀魂】
[状態]:胴体にダメージ(小) 、勇者に変身して移動中
[服装]:いつも通りの袴姿
[装備]:風or樹のスマートフォン@結城友奈は勇者である
    晴嵐@魔法少女リリカルなのはVivid
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(17/20)、青カード(17/20)
    黒カード:鎖分銅@ラブライブ!、鎮痛剤(錠剤。残り10分の9)、抗生物質(軟膏。残り10分の9)
    長谷川泰三の白カード
[思考・行動]
基本方針:繭を倒し、殺し合いを終結させる
1:万事屋へと向かう。
2:コロナと行動。まずは彼女の友人を探し、できれば神楽と合流したい。
3:神威、並びに殺し合いに乗った参加者や危険人物へはその都度適切な対処をしていく。
  殺し合いの進行がなされないと判断できれば交渉も視野に入れる。用心はする。
4:スマホアプリWIXOSSのゲームをクリアできる人材、及びWIXOSSについての(主にクロ)情報を入手したい。
5:金髪の女(セイバー)に警戒
[備考]
※【キルラキル】【ラブライブ!】【魔法少女リリカルなのはVivid】【のんのんびより】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。
※金髪の女(セイバー)とDIOが同盟を結んだ可能性について考察しました。
※勇者に変身した場合は風か樹の勇者服を模した羽織を着用します。他に外見に変化はありません。
 変身の際の花弁は不定形です。強化の度合いはコロナと比べ低めです。


【コロナ・ティミル@魔法少女リリカルなのはVivid】
[状態]:胴体にダメージ(小) 、勇者に変身して移動中
[服装]:制服
[装備]:友奈のスマートフォン@結城友奈は勇者である
    ブランゼル@魔法少女リリカルなのはVivid 、
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(16/20)、青カード(17/20)
     黒カード:トランシーバー(B)@現実
[思考・行動]
基本方針:殺し合いを終わらせたい。
1:みんなの知り合いの話をしたい。
2:桂さんと行動。アインハルトさんを探す
3:桂さんのフォローをする
4:金髪の女の人(セイバー)へ警戒
[備考]
※参戦時期は少なくともアインハルト戦終了以後です。
※【キルラキル】【ラブライブ!】【魔法少女リリカルなのはVivid】【のんのんびより】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。
※金髪の女(セイバー)とDIOが同盟を結んだ可能性について考察しました。
※勇者に変身した場合は友奈の勇者服が紺色に変化したものを着用します。
 髪の色と変身の際の桜の花弁が薄緑に変化します。魔力と魔法技術は強化されません。


[全体備考]
※結城友奈、犬吠崎風の死体の周辺に散らばっていた黒カードは回収されました。
桂及び皐月・れんげの所持するスマホが風か樹のどちらであるかは次以降の書き手に任せます。
※勇者スマホにアプリゲームWIXOSSがインストールされています。内容は折原臨也のスマホのと同一です。
※桂とコロナが少しばかり模擬戦をしました。
※友奈か風か樹のスマホでチャットに書き込みをしました。
 内容は次回以降の書き手さんにお任せします。


時系列順で読む


投下順で読む


173:彼ら、彼女らの約束 桂小太郎 189:何の為にこの手は
173:彼ら、彼女らの約束 コロナ・ティミル 189:何の為にこの手は