変態ではない!変身だ! ◆45MxoM2216

平和島静雄は、暴力が嫌いである




「臨也じゃ…ない!?」
平和島静雄が学生の割には老け顔の大男、蒲郡苛と合流してしばらく
互いに情報交換をするうち、静雄にとっては寝耳に水な事実が判明した

「ああ、あの折原という男、越谷小鞠が殺された時間帯はずっとラビットハウスという喫茶店にいた。この俺自身も一緒にいたのだから間違いない。
さらに言えばこの殺しあいが始まった直後、折原は先ほど話した空条承太郎と一条蛍の二人と合流している。
普通の少女である一条はともかく、空条は中々の使い手のようであった。
折原も中々小賢しいようだが、空条に隠れて誰かを殺せるとは思えんぞ」

言われてみれば不自然な点は多くあった
詳しく思い出そうとすると暴れたくなってしまうので朧気だが、あの妙な館内放送では臨也の声はしなかった
あの耳障りな声がしなかったおかげ…いや、せいでキレる寸前でありながら小鞠を巻き添えにしないために隠して行く程度の判断力は残ったのだ

考えてみれば、臨也にはわざわざ自分の声を誤魔化す必要はない
あの声で「シズちゃん」なんて呼ばれたら、それだけで静雄がキレると知っているのだから、それをしない理由もない

さらに、臨也はああ見えて直接凶器を持って静雄以外の誰かを殺そうとしたことはなかった

女の子を殴る趣味はないと言って笑いながら女の子の携帯電話を踏みつけるような人間だが…
普段からナイフを隠し持っていて初めて会った時も(静雄の方から殴りかかったとはいえ)斬りかかってくるような人間だが…



折原臨也は、人間を直接殺すような人間ではない


「じゃあ…誰なんだよ…!クソが…!」




蟇郡苛は、平和島静雄を評価していた
誰かを失った悲しみを背負う者同士、一種のシンパシーがあったのかもしれない
先ほどの一瞬の衝突の際、生身でありながら極制服着用者を凌駕するような一撃を放ってきたこともあり、これから共に戦う者として頼りになるとも思っていた
短気で熱くなりやすいようだが、直情型なのは自分も同じだ

だからだろうか…
彼は余計なことを言ってしまった


「うむ、あのキャスターという外道を討伐した後、衛宮殿に話を聞こう」

「衛宮?」

「うむ、ゲームセンターの様子を確認しに行ったのは彼だからな。
俺が平和島を越谷小鞠殺しの下手人だと思ったのも――」
そして、蟇郡は説明してしまった

ラビットハウスで香風智乃が腕輪探知機を使ったこと
その結果、ラビットハウスのあるG―7エリアに蟇郡苛と香風智乃含め八人もの参加者がいたこと
その後折原臨也を含む四人組と合流したこと
その四人組の中の衛宮切嗣が残る二人――平和島静雄と、越谷小鞠を探しに行ったこと
衛宮切嗣が越谷小鞠の死体を発見し、平和島静雄が犯人の可能性が高いと話したこと






バキ、と何かが折れる音がした
蟇郡が驚いて横を見ると、なんと平和島静雄が車の縁を手で砕いていた

「何をする!」
車を止めて蟇郡は思わず叫ぶ

「衛宮…衛宮切嗣…」
「おい、平和島?」
ただならぬ雰囲気で呟く平和島静雄に、蟇郡は困惑する

平和島静雄は、決して頭の良い人間ではない
小学生の頃、同級生である岸谷新羅が言っていた「一世代での進化」という推察も、未だによく理解できていない(これに関しては静雄が馬鹿というよりは新羅が天才すぎただけなのだが)
だが、物を一切考えられないような能無しでもない
あの時G―7エリアにいた八人
空条承太郎
一条蛍
折原臨也
香風智乃
蒲郡苛
衛宮切嗣
越谷小鞠
そして自分―――平和島静雄

そのうち、自分と小鞠を除いたら六人
その六人のうち、折原臨也を含む五人がラビットハウスにて待機
越谷小鞠を殺せるのは…唯一単独行動をとっていた、衛宮切嗣だけだということが分からないような能無しではない





「ええええぇぇぇぇぇぇえ゛みいいいいいいぃぃぃぃい゛や゛あああああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛!!!!」





喉も裂けよと言わんばかりの絶叫をあげる平和島静雄
車から素早く降りたと思ったら、なんと車を持ち上げだしたではないか!





平和島静雄は、暴力が嫌いである


「落ち着けぇ!!!確かに状況証拠的には衛宮殿が怪しいかもしれんが、彼はこの便利な乗り物を快く俺に譲ってくれた!とても悪人には見えん!」
持ち上げられた車から飛び降りて着地した蒲郡は、持ち前の大声で一喝した後に静雄に説得を試みる
蟇郡にとって衛宮切嗣という男は、物欲しげな視線を送ってきた自分に対して快くコシュタ=バワーを譲ってくれた上に、気遣う言葉さえかけてくれた恩人だ

さらに言えば蟇郡はこの殺し合いに巻き込まれてから、パラレルワールドといった「なんだかよく分からない」現象に遭遇した
そんな「なんだかよく分からない」中で、状況証拠だけで恩人を殺人者だと決めつけるほど短気ではなかった


だが…

「あああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
平和島静雄の暴力には、理屈も理論も通用しない

激情を抑えきれない静雄は、とうとう車を空高く放り投げてしまった
数瞬の後、大きな音を立てて落下した車は、いつかの壊惨総戦挙でサバイバル自動車部に襲撃された時のようにボロボロになってしまった
そしてなんと、静雄は南東…ラビットハウスの方面へ行こうとしているではないか!

(平和島静雄という男…見誤ったか!)
短気なところもあるが、信用できる男だと思っていた
しかし、あまりにも短気すぎてすぐに我を忘れるほどの怒りを見せる男だったようだ
完全に回りが見えなくなっているようで、あれではもしラビットハウスに行ったら衛宮だけでなく周りの人間も巻き込んで暴れるだろうことは容易に想像できた

これでは、折原臨也の言った『誰であろうと喜び勇んで暴力を振るう悪いやつ』というのも、ある意味的を射ている
本人に悪気はなくても、結果的にそうなってしまうのだ

「行かせんぞ!!」
蟇郡は静雄の前に立ちふさがる

「三ツ星極制服、最終形態…!」
(だが!!そんな人間だからこそ、風紀部委員長として手綱を握らなければならん!)
蟇郡の身体を光が包む
なんか全裸になってるようにも見えるが、光で局部は隠れているのでよしとしよう

「縛の装・我心開放!!極戦装束!!!」
そして、蟇郡は『変身』した
そこに先ほどまでの制服の面影はない
顔には防具のような戒めがあり、腹部は大きく開いている
さらに両腕が金属質の布で覆われており、右腕には炎を纏っている
これが縛りの装・我心開放
伊織糸郎が四天王に繕った最後の極制服―――戦極装束の一つである

「さぁ、気が済むまで俺を殴れ!」
蟇郡は静雄の激情を受け止めることにした
言葉での説得が通じないなら、肉体言語で臨むまでだ

「邪魔だああああああ!!」
完全に我を失っている静雄は、全力で腕を振りかぶる

(我心開放に変身した以上、多少殴られようがかまわん!俺の胸を貸してやる!)
自らの防御能力に絶対の自信を持つ蟇郡は、静雄が落ち着くまで彼の攻撃を受けきることにした

「こい!平和島静雄!」
平和島静雄の拳が縛りの装の腕に当たり…










「ああ~いいぞぉ、もっとだ、もっと責めろ、俺を責めてみろ~!」
蟇郡の甘い声が周囲に響き渡った…









「お前、変態だったのか…」
余りにも予想外の出来事に怒りが霧散した静雄は、複雑そうに呟く

平和島静雄は、暴力が嫌いである
折原臨也以外には好んで暴力を振るわない彼は、一度激情が収まると、とりあえず話を聞く気にはなった

「変態ではない、変身だ!」
『変態』などという言いがかりをつけられた蟇郡は『変身』を解いて断固抗議するが、とにかく今は平和島が冷静なうちに話をするべきだと判断した

「先ほどの情報交換でも話したように、この島にはなんだかよく分からないものが溢れている
状況証拠だけでは犯人と断定はできん!なにより今は、あのキャスターという外道を成敗するべきであろう!!」

キャスター討伐が本来の目的だった以上、静雄もこれには反論できなかった

「しかし!お前が彼を疑うのもまた道理!
キャスター討伐を終えた後、改めてもう一度彼に話を聞く!
それで構わんな!!?」

「…ああ」
渋々といったように返事をする静雄

完全に納得したわけではないようだが、ひとまず落ち着かせることができたようである
一息付いた蟇郡は、コシュタ・バワーに元の形に戻るように念じる
元通りになったオープンカーを見て、こんな便利な物を快く渡してくれた人物が殺人者だと疑いたくはないという思いを強くする蟇郡
だが、今はそれよりも優先すべきことがある

「さぁ、時間を浪費してしまった
乗れ!!放送局へ急ぐぞ!!」



示される通りに助手席へ乗り込めば、蟇郡の運転でオープンカーは走り始める
かくして、今度こそ衝突は必至であった筈の二人は一人の男の甘い嬌声によって再び道を同じくした

静雄は、老け顔の変態の大男と二人きりたぁうすら寒いな、と内心で愚痴をこぼした
それから、本当ならばこの車の後部座席に、小さくて怖がりなメイド服の少女が一人乗るかもしれなかったと考えて
犠牲者は俺だけで充分かもな、と遠くの空を見た

【E-4 T字路/朝】


【蟇郡苛@キルラキル】
[状態]:健康、顔に傷(処置済み、軽度)、左顔面に少しの腫れ
[服装]:三ツ星極制服 縛の装・我心開放
[装備]:コシュタ・バワー@デュラララ!!(蟇郡苛の車の形)
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
   黒カード:三ツ星極制服 縛の装・我心開放@キルラキル
[思考・行動]
基本方針:主催打倒。
   0:放送局に行き、外道を討ち、満艦飾を弔う。
   1:平和島静雄の手綱を握る
2:キャスター討伐後、衛宮切嗣から話を聞く
   3:皐月様、纏との合流を目指す。優先順位は皐月様>纏。
   4:針目縫には最大限警戒。

[備考]
※参戦時期は23話終了後からです
※主催者(繭)は異世界を移動する力があると考えています。
※折原臨也、風見雄二、天々座理世から知り合いについて聞きました。


【平和島静雄@デュラララ!!】
[状態]:折原臨也およびテレビの男キャスターへの強い怒り 衛宮切嗣への不信感
[服装]:バーテン服、グラサン
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:ボゼの仮面@咲-Saki- 全国編
         不明支給品0~1(本人確認済み)
[思考・行動]
基本方針:あの女(繭)を殺す
  0:テレビの男キャスターをブチのめす。そして臨也を殺す
  1:蟇郡と放送局を目指す
  2:犯人と確認できたら衛宮も殺す
  3:こいつ(蟇郡)、変態だったのか…

[周辺への影響]:
E-4エリアのT字路にて、平和島静雄がコシュタ・バワー@デュラララ!!を空高く放り投げました
近隣エリアにいれば、コシュタ・バワーを目撃できたかもしれません


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095:あげたかったのは、未来で 蟇郡苛 132:One after another endlessly
095:あげたかったのは、未来で 平和島静雄 132:One after another endlessly