Trouble Busters ◆KKELIaaFJU


「ごめんなさいね……私がモタモタしていて、出発するのが遅れちゃって……」
「絵里さん! 勇者部五箇条の一つ! 『悩んだら相談!』です!!
 困ったことがあったら、まずは相談してくださいね!」
「友奈ちゃん……」
「まっ、解決できそうな悩み相談だったら俺にでも相談しな……
 こう見えても、銀さん人生経験だけは豊富だよ、ほら万事屋だからな」
「銀さん……」

 三人で海岸沿いを駅に向かってゆっくりと歩いていく。
 絵里が泣き止むのを待った結果、出るのが少しばかり遅れた。
 なので海を泳いで渡ってても西の島に急ぎたいのは山々だったが、彼らはその選択は取らなかった。

 ――――否、取れなかった。

 その理由として第一且つ最大の理由は…… 

「……実は俺、泳げないんだ……」
「銀時さん……」
「……仕方ないわね」

 侍・坂田銀時は所謂『カナヅチ』である。
 普段でも浮き輪や誰かの助け等があればギリギリ泳げる程度の泳力。

 しかし、今のこの状況。

 スクールアイドルであり体力にはそこそこ自信がある絵里だが、成人男性を支えながら泳げるほどではない。
 さらに銀時と同様未だに神威との戦闘のダメージが未だに残る友奈。
 この二人に手を引いてもらいながら泳げるかといえば……到底、無理なことであった。

 そして、何よりも……

「気分が悪ぃ……」
「ちょっと銀さん、こんなところで吐かないでよ……」
「誰が吐くかァァァ!!」
「銀時さん! そんな大声出すとまた気分が悪くなりますよ!!」

 今になって、先程食したマヨ丼が銀時にボディブローをかましてきた。
 こんな状態で泳いだら、確実にリバースする。
 カッコつけた女の子の前で容赦なくリバースする。

(あのヤロー、こんなもん食った後によく動けたもんだな……)

 もういないアイツの顔が銀時の頭に浮かぶ。
 絵里に背中を優しく摩られながら、銀時はそんなことを思い更けている。

 彼らは少し歩いては少し止まる。
 そんなことを繰り返しつつも進んでいく。
 そして、頃合いになったのでトランシーバーで桂たちに連絡を取る。

「ヅラ、聞こえるかー」
『ヅラじゃない桂だ、聞こえてるぞ、銀時』
「今、お前らはどこにいる?」
『今は『ヅラー! ウチも万事屋とお喋りするん!』ヅラじゃない桂だ(ガガ)』
「あぁ? なんだって? ちゃんと言え、このヅラヤロー!」
『だから、ヅラじゃないかつr(ガガガガ……プツン)』

「……あっ、切れた」
「さっきから電波悪かったからですね」
「ねぇ、銀さん電池コロコロしたの?」
「まだ、やってねぇ………やってみるか」

 電波が悪いのか、それとも電池が切れたのかわからないが、連絡が途絶えた。
 とりあえず、銀時はトランシーバーの電池を取り出して、掌で挟んでコロコロする。
 何度も掌で挟んで転がしてはトランシーバーに戻して、電源を入れる。

 ――連絡が付かない。

 それを4、5回は繰り返した。

 ――やっぱり、連絡が付かない。

 そんな銀時を絵里は半ば呆れつつも見守る。
 その最中、友奈はスマホの画面を見る。
 見えている右目だけでスマホの画面を見て、何か通信に使えそうな機能を探す。
 そこで見つけたチャット機能なるもの発見して、起動した。

 そして、目を疑う一文が彼女の右目に映った。


『東郷美森は犬吠埼樹を殺害した』


 その文面を見た瞬間、友奈の時が止まったような気がした。
 全身に流れる血が冷たくなるような気がした。
 その文面は嘘だと思わざるを得なかった。

「……何かあったのか?」

 その言葉に友奈の心臓は大きく跳ねたような気がした。

 いつものふざけた口調とは違う、かなりシリアスめな口調。
 その銀時の表情は先程まで吐きそうだった男とは到底思えないほど、びしっとしている。
 だが、トランシーバーの電池コロコロは止めない。

「困ったら相談! ……なんでしょ?」

 絵里には友奈なにか無理をしているように見えた。
 まるで先程の自分と同じように思えたから…………。

「銀時さん、絵里さん……実は……」

 友奈は銀時と絵里にチャットの文面を見せる。
 二人は覗き込むようにそのスマホの画面を見る。

「この二人って……確か友奈ちゃんの……」
「…………はい」

 一人は先程の放送で呼ばれた少女の名前。
 もう一人は友奈から聞いていた少女の名前。
 大変重苦しい空気が3人の間に流れる。

 絵里は思う。
 これがもし自分の立場だったら……。
 そう考えると、とても正気なんかではいられなくなる。
 それでもこの子―――結城友奈は包み隠さずに話してくれた。

 その時、銀時が口を開いた。

「これって間違った情報なんじゃね?」
「え?」
「いやぁ、ネットでデマ情報とかなりすましとかはよくあるって聞くしな」
「確かに……」
(なんで江戸時代にインターネットがあるのかしら?)

 そんな野暮なツッコミを入れようとしたが……。
 恐らくは絵里が知る江戸時代とは、銀時の江戸時代は違うものなのかもしれない。
 『事実は小説より奇なり』という諺はあながち間違っていないのかもしれないが……
 ここまで来ると別のことを考える。

 パフェやインターネット、電車の存在している『江戸時代』から来た銀時や桂。
 西暦よりも三百年も先の未来から『神世紀』から来た友奈。

(コロナちゃんが言っていた多元世界ってそういうことなのかしらね)

 普通の女子高生が冷静に考えれば考えるほどあり得ない話だ。
 だが、彼らの話に嘘はないと『信じている』からこそ十分にあり得る話だ。
 そう、思う絵里であったが……、

「―――つまり、この情報は嘘っぱちなんじゃねぇか?」
「……なるほど」
(しまった、今、銀さん達は何を話してたの?)

 恐らくは重要であろうところを絵里は聞き逃してしまった。
 しかし、絵里が聞き逃しても話は進む。

「この発言者『M』って誰なんでしょう?」
「……まさか長谷川さんか!?」
「なんで長谷川なのにMなのよ……!」
「そりゃ、長谷川さんは『マダオ』だからな、長谷川さんは『M』だよ」
「銀時さん、『マダオ』ってなんですか?」
「まるで
 ダメな
 おっさん……略して『マダオ』だ」
「でも、その長谷川さんって人は……」
「…………ああ」

 マダオはもういない。

 だが、すでに死亡している長谷川泰三(Madao)を除いても……
 苗字もしくは名前が『M』で始まる名前は……。
 ・間桐雁夜(Matou)
 ・南ことり(Minami)
 ・東郷美森(Mimori)
 ・三好夏凜(Miyoshi)
 ・満艦飾マコ(Mankansyoku Mako)
 ・纏流子(Matoi)
 ・本部以蔵(Motobe)
 ・宮永咲(Miyanaga)
 ・宮内れんげ(Miyauchi)
 ・入巣蒔菜(Makina)
 の10人。

 この内すでに死亡している4人(雁夜、ことり、マコ、咲)。
 そして、先程まで一緒に行動しており、そのようなこともできそうにないれんげ。
 その5人は書き込みの時間等からして必然的に除外される。

「残り考えられるのは5人か……いや、2人か」
「そうね」

 さらに除外されるのは3人。
 纏流子……皐月の妹。わざわざこんな回りくどいことはしないであろうと皐月の情報から十分推測される。
 東郷美森、三好夏凜……友奈の仲間。友奈の情報からするとこんなことをする人物とは到底思えない。
 そして、下手人と書かれた東郷美森当人がわざわざ書いたとは考えづらい。

 と、なると考えられるのは……

「この『本部以蔵』って人か『入巣蒔菜』って人のどちらかが東郷さんを陥れようとしている……?」
「可能性があるだけだ」
「そうね」

 この二人のどちらか殺し合いに乗っており、友奈の友人である東郷美森を陥れようとしている。
 なんという卑劣な手を使う男(もしくは女)だ。

「……ねぇ、だったらこっちからもこのチャットに書き込んだらいいんじゃないかしら?」

 そこで絵里は提案した。
 チャットに書き込んでこの『M』なる人物の反応を見る。
 それとついでに、発言者名を確認しようとする魂胆であった。
 そして、意を決して……

『私、結城友奈は放送局に向かっています!』

 と、この文面で友奈はチャットに書き込む。
 そして、3人で発言者名を確認する。


 ――発言者は『Y』となっている。


「「「これは……どっちなんだ?」」」

 結城友奈(Yuuki Yuuna)、苗字、名前ともにイニシャルは『Y』である。
 これではこの『M』なる人物の苗字、名前のどちらが『M』なのかわからない。

「……なんかお前どこかポンコツなところあるよな?」
「ポ、ポンコツじゃないわよ!!!」

 完全にアホなことをしてしまった。
 そう、思った瞬間に絵里の顔は恥ずかしさのあまり赤面した。
 そんな絵里を銀時は溜息を吐きつつも、宥める。
 その様子を見て、友奈は少しばかり気が抜けた。
 だが、すぐに気を取り直す。 

「友奈ちゃん、一つやることが出来たわね……」
「はい………」

 東郷美森と犬吠埼風を探したい。
 こんな情報で一番苦しむのは絶対にこの二人だ。
 この状況だからこそ、何かよからぬことが起こりかねない。

「……少し急ぐか」
「ええ」
「はい」

 三人を歩くペースが少し早くなった。

(東郷さん、風先輩、夏凜ちゃん……今、どこにいるの?)

 勇者はそれでも歩を前へと進める。
 その右目の輝きは変わらない。

 しかし、その左目に映るものは――――『無』であった。

【C-5/海岸沿い/一日目・午前】

【坂田銀時@銀魂】
[状態]:疲労(中)、全身にダメージ(中)
[服装]:いつもの格好
[装備]:無毀なる湖光@Fate/Zero
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(8/10)、青カード(10/10)
    黒カード:トランシーバー(A)@現実、黒カード:不明支給品0~2枚(本人確認済み)、包帯とガーゼ(残り10分の7)、担架
[思考・行動]
基本方針: ゲームからの脱出
1:西回りで放送局で向かう
2:神楽と合流したい
3:神威、流子、DIOは警戒
 [備考]
※【キルラキル】【ラブライブ!】【魔法少女リリカルなのはVivid】【のんのんびより】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました
※友奈が左目の視力を失っている事に気がついていますが、神威との戦闘のせいだと勘違いしています。
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。

【絢瀬絵里@ラブライブ!】
[状態]:精神的疲労(小)、疲労(小) 、髪下し状態
[服装]:音ノ木坂学院の制服
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(8/10)、青カード(9/10)
    黒カード:エリザベス変身セット@銀魂、アヴァロン@Fate/Zero
[思考・行動]
基本方針:皆で脱出
1:銀さん達を信じる。
2:希と穂乃果に会いたい。
3 :多元世界か……
 [備考]
※参戦時期は2期1話の第二回ラブライブ開催を知る前。
※【キルラキル】【銀魂】【魔法少女リリカルなのはVivid】【のんのんびより】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。
※多元世界についてなんとなくですが、理解しました。

【結城友奈@結城友奈は勇者である】
[状態]:疲労(小)、胴体にダメージ(回復中)、味覚・左目が『散華』、前歯欠損、顔が腫れ上がっている、満開ゲージ:0
[服装]:讃州中学の制服
[装備]:友奈のスマートフォン@結城友奈は勇者である
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(10/10)、黒カード:なし
[思考・行動]
基本方針:殺し合いを止め、主催者を打倒する。
1:勇者部のみんなと合流したい。
2:銀さんと絵里さんと一緒に西回りで放送局に向かう。
3:早急に東郷さんと風先輩に会いたい。
[備考]
※参戦時期は9話終了時点です。
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。
※【銀魂】【キルラキル】【ラブライブ!】【魔法少女リリカルなのはVivid】【のんのんびより】の世界観について知りました。

【三人の共通思考】
  • 駅で電車を使い、北西の島に移動して、南下して放送局に向かう。
  • 『東郷美森は犬吠埼樹を殺害した』は『本部以蔵』もしくは『入巣蒔菜』が流したデマだと判断しました。
  • また『本部以蔵』もしくは『入巣蒔菜』は殺し合いに乗った参加者だと判断しました。


時系列順で読む


投下順で読む


097:アイス・ブルーの瞬間 坂田銀時 141:知らぬが仏
097:アイス・ブルーの瞬間 絢瀬絵里 141:知らぬが仏
097:アイス・ブルーの瞬間 結城友奈 141:知らぬが仏