闇を欺いて 刹那をかわして ◆gsq46R5/OE


  結論から言うと。
  ホル・ホースとセルティ・ストゥルルソンの二人では、針目縫を打倒することは不可能だ。
  少なくとも、普通にやっていては。
  セルティの影は針目のハサミを壊すことは出来ないし、素の身体能力でも優っているのは針目の方。
  ホル・ホースの弾丸をものともしない強度のスーツも、かの片太刀バサミを相手にどれほど活躍できるかは怪しい。
  そしてホル・ホース。
  彼の場合、針目縫はセルティ以上に相性の最悪な相手だった。

  彼の体は紛れもない人間のものだ。
  セルティのように身を守る手段もなければ、先ほど惨殺された『勇者』のような力もない。
  なせば大抵なんとかなるなどという胡乱げな理屈で奮戦するには、彼の状況はあまりにも心許なかった。
  もし針目が本気でホル・ホースのみを狙ってきたのなら、彼の首と胴が離れるまで数十秒とかからないだろう。

 (舐められてるってことかい。ヘッ、男のイロハも知らねえような年頃で生意気なことだぜ)

  立派な男を名乗るなら、此処は軽んじられている事実に憤りの一つも燃やすところに違いない。
  しかし生憎と、ホル・ホースはその手の誇りやプライドを戦いの中に持ち込まない主義だ。
  強いて言うなら女相手への『尊敬』くらいのものだったが、今相手にしているのは間違いなく『尊敬』するべき相手。
  すなわち、女。だがホル・ホースは先刻、彼女へと『皇帝』の銃口を向けた。

  ――冗談じゃねえ。ありゃ、見てくれは女でも怪物だろう。

  ホル・ホースはその選択を悔やんではいない。
  針目縫は化物だ。
  見てくれは妖精か人形を彷彿とさせる可憐なものだが、その内側にはドス黒いものが犇めいている。
  そのことは、少女を惨たらしく殺し、死後さえ弄んだことからも明らかだ。
  下手な情け容赦を抱いてこれと関われば、今度は自分があの悪趣味な人形劇の主役にされてしまう。

 (けど、ま……飛び火が飛んでこねえってことは好都合だぜ)

  針目の心中はホル・ホースには推し量れない。
  戦術どうこうの質ではなく、もっと人格的な部分で、だ。
  今手を出してこないのだって、単に自分を侮っているわけではないのかもしれない。
  さっき、奴は自分をデザートと呼んだ。
  ひょっとすると、散々奴自身の強さを見せつけ、堪らず逃げ出したところで背中を刺す魂胆なのか。
  それは分からないが、ホル・ホースはそれでも現状を好都合だと信じる。

 (なんたって、嬢ちゃんがこっちを向かないでいてくれる間は――絶対死なねえんだからよ)

  命あっての物種という諺ではないが、生に勝る益はない。
  侮辱でも軽視でも何でもいい。
  大事なのは生きて、物事を考えられるということだ。

  そうすれば、必ず活路が見えてくる。
  ナンバーワンよりナンバーツーであること。
  それを信条とするこの男は、早くも首なしライダーというナンバーワンに隠れることで、虎視眈々と期を窺っていた。

  セルティの影で編んだ鎌が、針目縫の持つ片太刀バサミと甲高い音を立てて衝突する。
  だが今度は先の打ち合いと異なり、セルティはやや消極的な姿勢で戦っていた。
  感情の問題ではなく、戦いのスタイルがだ。
  鎌をまた弾き飛ばされるようなことがないように気を配りつつ、敵の間隙を縫うようにして振るう。
  当然針目は、たったそれっぽっち戦略を変えただけでどうこうできる存在ではない。それは彼女とて承知だ。
  しかしそれでも、確かに効果と呼べるものは挙がっていた。

  防戦に徹していることで、針目の攻める速度を低下させている。
  あらゆるものを断つ鋏が相手とはいえ、ほんのかすり傷程度の当たりでは影のスーツを貫通できない。
  事実針目はむっとしたような顔をして、ムキになり鋏を振るう手を早めてきた。

  これを好転と判断するべきか否かは、判断の分かれる所だろう。
  針目の手は早くなり、状況は最初よりもむしろきつくなってすらいる。
  ただ、池袋に名だたる首なしの化物が――全力で逃げと護りに徹しているのだ。
  如何に同じ化物と呼ばれた存在である針目でも、数秒、数十秒の速さで削り切れるほど甘くはない。

  更に言うならば。
  セルティ・ストゥルルソンの力は鎌(それ)だけではなかった。


 「わわっ!」

  針目縫の足元から、水面に石でも落としたような波紋と共に黒い影が球体状に現れる。
  これで彼女を内へ幽閉できれば、たとえ破壊されようとも絶対に秒単位での隙が生ずるはずだと彼女は踏んだ。
  後は容易い。中から出てきた瞬間、首なり頭なりに鎌を叩き付けて昏倒させてしまえばそれで終わりである。

  だが当然、そうそう上手く物事は運ばない。
  影が閉じ切る瞬間に、その裂け目へと片太刀バサミが突き込まれた。
  後はそのまま、抉じ開けるようにして針目が中から現れる。
  好機と見たホル・ホースが『皇帝』を発砲するが、弾丸は首から上を軽く動かすだけで躱された。
  恐るべき動体視力だ。
  閉じかけた影の球を抉じ開ける芸当をやってのけながら、高速で飛来する弾丸まで回避するとは。
  怪物だな――セルティは自身のことなど棚上げにしてそう思う。

 「芸がないなんて言っちゃってごめんね! すごいよ、まるで手品みたい☆」

  尽くした手を手品呼ばわりされては、いよいよもって立つ瀬がない。
  これだけやって、まるで消耗している素振りがないのも恐ろしかった。
  セルティはギリギリの鬩ぎ合いで、肉体以上に精神が疲労してきているというのに。
  頭抜けているのは体だけではない――ということか。

 「でも、マジックにしては危なすぎるなあ。プンプンだよ、もう!」

  狂気的な笑みと共に再開される鋏での攻撃。
  それを鎌で止める。
  ――危ない。今のを止め損ねていれば、間違いなく串刺しにされていた。
  背中に冷たいものが走る感覚に戦慄しながら、セルティは再び数歩後退する。
  しかしこの場の判断に限っては、針目縫が勝った。
  後退することを予期し、彼女はその超人的な身のこなしでいち早くセルティの背後に回ったのだ。

  ――しまった!
  そう思った時には時既に遅し。
  針目の一閃が、セルティの背中に袈裟懸けの斬傷を刻んだ。
  そこからの追撃をさせなかったのは、やはりナンバーツーにおいてこそ映える男。

 「もー、うるっさいなあ」

  眉間目掛け駆け抜ける弾丸を、鬱陶しげに地面へ叩き落とす。
  それを確認し、ホル・ホースはチッと舌打ちをした。
  その反応は彼らしくニヒルなものだったが――内心は違う。
  今の舌打ちだって、針目に弾を落とされたことに対してのものではない。
  『首なしさんよ、何俺が居るってのに殺られかけてんだぁ~!? 危ねえだろうがッ!』の「チッ」だ。

 (――やべえやべえ! このホル・ホースとしたことが、どうやら出しゃばり過ぎだったみてぇだぜ……
  でも仕方ねえだろ今のはよッ! アイツが殺されちまったら、次に狙われんのは百パーおれなんだからよぉ~ッ!!)

  針目は、ホル・ホースへと一歩を踏み出した。
  だがその瞬間、体勢を立て直したセルティの大鎌が彼女を襲う。
  ――言うまでもなく、止められる。背後からだろうと、お構いなしだ。

  セルティとホル・ホースは最初のやり取り以来、これまで互いに一切の意思疎通を図っていない。
  そんな状況にありながら、セルティは共闘相手を狙わせてはならないことを理解していた。
  彼は恐らく生身だ。
  あの恐ろしい少女と戦闘していたらしい、最初に殺された少女以上に、きっと体は脆いだろう。
  それこそ、奴の攻撃など受ければ、たった一発でも十二分に致命傷として機能し得てしまうほどに。

  そしてそのことは、針目縫もまた理解していた。
  彼女にとって、ホル・ホースという男はまさしく『デザート』。
  影使いの首なしは彼女基準で強くこそないものの、簡単には攻め切れない“少し”面倒な相手だ。
  それに比べこの彼はあまりに弱い。
  針目の動体視力をすれば止まって見えるような豆鉄砲を撃ってくるだけのお邪魔虫。
  だから殺すのはセルティが死んだ後なり、本格的に尻尾を巻いて逃げようとした辺りなりでいい。
  まさに食後のデザートのように、彼を認識していた。

  が、せっかく仕留め切れるという場面で邪魔立てをされれば針目とて鬱陶しく思う。
  仕方のないことだったとはいえ、セルティにあの形で助太刀を試みたのは明らかに失策だった。
  セルティの妨害を物ともせず、針目は勿体ぶった足取りでホル・ホースの方へ歩んでゆく。

 「お……オイオイ、オイオイオイオイ! やめろ、来んじゃねえよッ!!」

  彼は情けなく尻餅を付いた。
  それから不格好に後退りしつつ、苦し紛れの射撃を針目へ放っていく。

  弾を弾く。
  避ける。
  軌道を変えて襲いかかったものをまた避けて、
  時には叩き落としてから踏み潰す。

  セルティが影の壁を生み出した。
  ――飛び越える。

  『皇帝』の弾丸を弾くどころか、器用に角度を調整してセルティへと放つ芸当さえ披露する。
  常人はおろか、超人でもそうそう不可能であろう魔域の御業。
  しかし、針目縫という存在に限っては赤子の手を捻るよりも数段容易いことだった。
  なぜなら彼女はREVOCS社が世界に誇る高次縫製師(グランクチュリエ)。
  究極の神衣を作り上げるという崇高な役目を帯びた職人の仕事には、ミクロ単位のズレさえ許されない。
  これはあくまでその応用だ。
  彼女にとっては何も特別なことではないし、何故このくらいのことが出来ないのかと不思議に思ってすらいる。

 「ち……ちくしょうッ! なんで当たらねえんだッ! 俺の銃はスタンドだぞッ!?」
 「なんだか知らないけど~、おじさまが弱すぎるだけじゃなーい?」

  針目との距離は狭まっている。
  背を向けて逃げればまだマシだろうに、彼がそうする気配はなかった。
  ……もっとも、そうした瞬間、追いかけて刺し殺す算段なのだが。
  最後の抵抗なのか、一際激しいペースで乱射される銃弾を払いながら、針目はにっこり微笑む。
  それを見て、最早諦めたのか。ホル・ホースもふっと笑い返した。

 「下手くそなピストルをどれだけ撃ち散らかしても、ボクには無意味だって気付いてもらえたかな?」
 「………」

  『皇帝』の弾数に限りはない。
  だが、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるとは相手が『狩人』の場合を除外した場合の話だ。
  少なくとも、針目は彼に狩られる軟弱な獲物ではなかった。

 「……あぁ、分かったさ。あのことわざ、ど~も嘘吐いてたみてぇだなあ」

  その時、針目は小さな疑問を抱いた。
  いよいよどうしようもなくなって、にっちもさっちもいかなくなった時。
  人間とは、生きることを諦めて訳の分からない行動に出たり、馬鹿みたいに笑ったりするものだ。
  しかし、今目の前の男が浮かべている笑みは――、


 「けどお生憎様だぜ。このホル・ホースは、『下手な鉄砲』なんざ撃たねえのさ」


  利益を確信している者の笑み。
  そして、その視線が針目ではなく、彼女の背後空間へ向けられていると気付いた時に、針目縫は失笑した。
  それは、時間差で襲いかかってくる数発の弾丸だった。
  大方、お得意の軌道変更だろう。
  僅かにタイミングをずらすことでまぐれ当たりを期待したのかもしれないが、そんな小細工に不覚を取る針目ではない。
  わざとらしく振り返って驚くジェスチャーを見せてから、あっさりと片太刀バサミの一振りで終わらせた。
  実に――実に呆気なく。ホル・ホースの最後の一手は砕け散り、


 「『上手い鉄砲』に、数はいらねえ」


  ――針目縫の胸を、一発の鉛弾が撃ち貫いていた。




  ホル・ホースは、やけっぱちだった。
  針目の標的がセルティから自分へとずれたその瞬間から、これはもう逃げようがないと確信していた。
  全て計算ずくに見えるが、尻餅をついたところまでは彼の素である。
  だが逆に言えば、それからの行動は全て打算ありきのものだ。
  銃の乱射も、情けない言動も。
  ――全ては最後に勝ちを狙うための布石。

  無策に乱射しつつ、時折スタンドの力による軌道変更弾を混ぜる。
  これでは相手にスタンドの特性を把握されてしまうが、それで良かった。
  それでこそ、相手を真に油断させることが出来るだろうと思ったからだ。

  針目縫はDIOをすら思わせる邪悪な怪物だが、しかし思慮深い方ではないとホル・ホースは踏んだ。
  いや、賭けた。
  外れれば終わりだが、どの道臆病風に吹かれたところで待ち受けるのは死、のみなのだ。
  であれば、少しでも望みがある方に望みを託す方が賢明に決まっている。
  そして思惑通り、針目縫はホル・ホースの真の狙いに気付かず、『油断した』。

 「…………、」

  針目は、地を噴き出す自分の胸へ手をやり、きょとんと首を傾げる。 
  それから、ホル・ホースへ目をやった。

 「油断したな、嬢ちゃん。そいつが命取りよ」

  彼が手にしているのは、白煙をあげる小さな銃。
  その気になれば手のひらにさえ収められそうなほどの。
  デリンジャー。古くより暗殺用に愛用されてきた小型拳銃。
  これこそが、ホル・ホースが針目縫を殺すために用いた切り札だった。

  自分の武器が『皇帝』だけだと錯覚させ、背後からの軌道変更弾による奇襲を『切り札』であると重ねて誤認させる。
  それから真打ちたる、このデリンジャー拳銃で勝負を決める。
  標的に据えられた時に即興で思いついたというだけはあり、作戦と呼ぶには単純すぎる。
  しかし、いざ実際に決行されてみて、土壇場で気付き、対処できる人間はごく少数だろう。 
  元々このデリンジャー拳銃は、支給されていることは確認していたが、使い時でないと押し込めていた代物だ。

  事実セルティとの戦いでも役に立つ場面はなかった。
  が、この少女にセルティのような強固な護りがあるようには見えない。
  使い所さえ見誤らなければ、ひょっとすると効果を発揮してくれるかもしれない。
  そう考え、セルティと針目が打ち合っているどさくさに紛れてカードから取り出し、袖の内側へ隠しておいたのだ。

  ホル・ホースはその場から、飛び退くようにして脱する。
  彼女の鋏の間合いから外れるためにだ。
  撃った箇所からしてまず助からないだろうが、最後っ屁を食らっちゃ敵わない。
  ……もっとも、彼女が本気になったなら、これしきの距離を文字通りすっ飛ばすことも苦ではないだろうが。
  さて、どうなるか。
  ホル・ホースがじっと針目の一挙一動へ目を凝らす。
  するとそこでは。

 「ふ、ふふふ」

  胸の傷を見て、針目縫が怒るでも泣くでもなく、――笑んでいた。
  これまで通り、一見すると愛らしい、しかしその本性を顧みるとどこまでも冷たく恐ろしい笑顔で。
  場数を踏んだスタンド使いであるホル・ホースさえも、素直に恐怖したくなるような表情で笑っていた。

 「おじさま、やるぅー。普通なら死んでたよ、これ」
 「……あん?」
 「ボクじゃなかったら、ね☆」

  体をくねらせて嗤う針目。
  明らかにそれは、胸を撃たれた人間の動きではない。
  何かがおかしい。 
  その違和感にホル・ホースが気付くまで、そう時間は掛からなかった。

 「……! 『治って』やがるのか……!?」

  針目の胸の傷口から漏れ出る血液の量が、時間進行と共に目減りしているのだ。
  ――普通なら。
  ――ボクじゃなかったら。
  “針目縫”でなければ、死んでいた。
  その意味を理解したホル・ホースは、思わず叫ぶ。

 「て、てめえ……『不死身』かッ!」


  ――――彼が叫ぶのと、一陣の黒い『風』が吹き抜け、彼を攫っていくのはまったく同時の事だった。





  セルティ・ストゥルルソンは、ホル・ホースの叫びを聞くなり即断した。
  針目縫は確かに許しがたい。
  しかし、擬似的であるかもしれないとはいえ不死身と錯覚させるほどの生命力を持っている相手。
  対するこちらは既にジリ貧の傾向が見え始めており、明らかに彼女と張り合うには戦力が足りないのが現状だ。

  ――これ以上は拙い。
  そう見なしたセルティは支給品のバイクを乱雑に取り出すや否や乗車。
  事故にならない程度に抑えてこそいれど、それでも高速なことに変わりはない運転で、ホル・ホースを連れ去った。
  一歩間違えば大惨事になりかねない超人技だが、なりふり構ってはいられなかった。
  ……それに、これでもドライビング・テクニックには一日の長があると自負している。
  自分に対し銃を向けて来た男など、放っておけばいいと言えばそれまで。
  だが、セルティ・ストゥルルソンはお人好しである。
  たとえ一時的なものであろうが、共闘関係にある相手を見捨てて逃げ出すような真似を彼女は決してしない。
  ……尤も、セルティに抱えられるような形になっている当の彼は、突然の事態に未だ混乱しているようだったが。

  それにしても、激しく、厳しく、何より苦い戦いだった。
  これからのことについて考えるためにも、一旦どこかで休憩を取りたい所だ。
  ただ逃げ切れた確証もない以上、此処ならば流石に安全だろうという位置までは最低限離れる必要があるだろう。

 (少しばかり暴れ馬だが……まぁ、乗りこなせないレベルじゃないか)

  愛馬の代わりに駆る機械の馬の乗り心地を評しながら、セルティは戦地となった分校より逃走する。
  ――彼と彼女の安息は、もう少し遠くになりそうだ。


【E-4/一日目・黎明】

【セルティ・ストゥルルソン@デュラララ!!】
[状態]:疲労(中)、胴体にダメージ(小)、背中に切り傷(軽度)、針目縫に対する強い怒り、少女(犬吠埼樹)を失った悲しみ
[服装]:普段通り
[装備]: 犬吠埼樹の首(影の籠の中) 、V-MAX@Fate/Zero
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)、
    黒カード:PDA@デュラララ!!、不明支給品0~1枚
[思考・行動]
基本方針:殺し合いからの脱出を狙う
1:今は逃げる。どこかで期を見て休みたいし、男(ホル・ホース)との情報交換もしておきたい。
2:首を隠す手段を探す。できればヘルメットがほしいところ
3:知り合いとの合流。臨也には一応注意しておく。
4:鋏の女(針目縫)はいずれどうにかする
5:旦那、か……まあそうだよな……。
[備考]
※制限により、スーツの耐久力が微量ではありますが低下しています。
 少なくとも、弾丸程度では大きなダメージにはなりません。

【ホル・ホース@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
[状態]:疲労(小)、混乱
[服装]:普段通り
[装備]:デリンジャー(1/2)@現実
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)、黒カード:不明支給品0~2
[思考・行動]
基本方針:生存優先。女は殺さない……つもり。
1:な、なにがどうなってやがる……!?
2:ジョースター一行やDIOには絶対に会いたくない。出来れば会う前に野垂れ死んでいてほしい。
[備考]
※参戦時期は少なくともDIOの暗殺に失敗した以降です




 「ふーん。あの女の子、ボクの体に何かしたんだ」

  不服そうに唇を尖らせて、針目縫は呟いた。
  彼女の『不服』を買うことがどれほど恐ろしいことを意味するかは、彼女を知る者ならば誰もが承知だろう。
  体の不調に針目が気付いたのは、首なしの化け物がバイクでもってガンマン共々逃走した後のことだった。

  ――胸の傷の治りが、いやに遅い。
  普段なら数秒もすれば完治してしまうような軽い傷なのに、三十秒近く経ってもまだ傷口が生きている。
  この様子では、たかが小さな銃創相手に一分、遅ければ一分半は回復までに掛かるということになりそうだ。
  無論、これしきの傷で動きを阻害されるほど針目縫は弱く出来てはいない。
  ただ、それでも総体的に見れば弱体化しているのは確かに違いあるまい。
  例えば、もし件の傷を作るに至った銃弾がもう少し位置がズレていて、心臓を直撃でもしていたなら。

 「……さてと。もう追い付けないかな~?」

  口ではそう言いながらも、針目はセルティたちが走り去った方向へと歩み始めた。
  曲がりなりにも殺されかけたことへの苛立ちも確かにある。
  しかしそれ以上に、この体へ手を加えるような真似をした主催者――繭へと、針目は苛立っていた。
  針目縫にとって、自らの体は誇りであり、素晴らしいものだ。
  素晴らしき、生命戦維で編まれた体。
  あろうことか、それにゲスな手で触れ、『改悪』しただなんて。

  ――断じて、許せる訳もない。針目縫は笑顔の下に邪悪な怒りを燃やし、北へと往く。

  自らが好き勝手に弄んだ『勇者』の成れの果てになど、最早見向きさえせずに。


【F-4/旭丘分校周辺/一日目・黎明】

【針目縫@キルラキル】
[状態]:胸に銃創(回復中、行動に支障なし)、繭への苛立ち
[服装]:普段通り
[装備]:片太刀バサミ@キルラキル
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)、黒カード:なし
[思考・行動]
基本方針:神羅纐纈を完成させるため、元の世界へ何としても帰還する
1:男と首なしを追いかけてみるけど、間に合うかなあ。
2:流子ちゃんのことは残念だけど、神羅纐纈を完成させられるのはボクだけだもん。仕方ないよね♪
3:何勝手な真似してくれてるのかなあ、あの女の子(繭)。
[備考]
※流子が純潔を着用してから、腕を切り落とされるまでの間からの参戦です。
※流子は鮮血ではなく純潔を着用していると思っています。
※再生能力に制限が加えられています。
 傷の治りが全体的に遅くなっており、また、即死するような攻撃を加えられた場合は治癒が追いつかずに死亡します。
※分身能力や変装能力の制限がどうかは、後の書き手さんへお任せします。




  セルティ・ストゥルルソンとホル・ホースが逃げ去り。
  それを追う形で生命戦維の化け物、針目縫も去ったその数分後。
  誰もいなくなった旭丘分校を訪れる、少女の姿があった。
  片目を眼帯で覆った、どこか浮かない顔をした彼女の名前は犬吠埼風。
  同郷の『勇者』と別れ、彼女は取り敢えず北側の島へと渡ることに決めた。

  別に意識したつもりはなかったが、東郷の言った南東の市街地へは、彼女の提案通り行かないことになる。
  彼女はこれから市街地へ向かい、あの銃で命を奪うのだろう。
  誰かを救うためにある勇者の力で、人を、殺すのだろう。

 「……銃声、した気がしたんだけどな。誰もいないや」

  こんな顔をしてどうする。
  何を迷うことがある、やると決めたというのに。
  何を慮る必要がある――東郷は、あんなにも見事に殺し合いへ順応していたのに。
  部長の私が、どうしてこんなに宙ぶらりんなのだ。

 「はぁ……」

  分校の中に参加者がいるかどうか確認してからでも、少し中で休もうかな。
  ふと、風はそんなことを考える。
  身体的な疲れは微々たるものだが、今の内面のままで殺し合いへ挑むなど自殺行為にも程があるというものだ。
  少し、色々と、整理したい。
  東郷のこと。
  勇者部のみんなのこと。
  そして、樹のことも。

 「……ん?」

  そこで、ふと。
  風は、そこに転がっているあるモノを見つけた。
  片目なこともあって今ひとつ見辛いが、奇妙な形をした何かが、赤い液体らしきものをぶち撒けている。
  赤い液体。
  否応なしにその正体を連想し、連鎖的にあれが何かも理解した。

 「死体……か」

  やはり、銃声はここから鳴っていたようだ。
  大方あれは、この戦いで死んだ哀れな犠牲者の遺骸だろう。
  そんなものを進んで観察し喜ぶ趣味はないが、ひょっとするとカードが残っているかもしれない。
  少し呼吸を整えてから、死体を検分すべく近付いて――

 「……あ」

  世界が、止まった。

  その死体には『首』がなかった。
  すっぱりと、綺麗に切断されていた。
  首から上がないから、それが誰かは分からない。
  けれど。
  着ている服と、その体格。
  それを見て――犬吠埼風は、分かってしまった。

 「……い、」

  べしゃりと。
  死体が作る血溜まりに座り込んで。
  名前を、呼ぶ。

 「い、つき?」

  その瞬間――犬吠埼風の中の何かが、完全に壊れた。



【F-4/旭丘分校/一日目・早朝】

【犬吠埼風@結城友奈は勇者である】
[状態]:腹部にダメージ(小)、精神的疲労(極大)、錯乱
[服装]:普段通り
[装備]:風のスマートフォン@結城友奈は勇者である
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:なし
[思考・行動]
基本方針:繭の力で、世界を正しい形に変えたい
   1:???????
[備考]
※大赦への反乱を企て、友奈たちに止められるまでの間からの参戦です。
※優勝するためには勇者部の面々を殺さなくてはならない、という現実から目を背けています。
※東郷が自分と同じ理由で殺し合いに乗ったと勘違いしています。


支給品説明

【デリンジャー@現実】
ホル・ホースに支給。
手のひらサイズの小型拳銃で、暗殺用として主に使用される。


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045:1+1+0+1−1= セルティ・ストゥルルソン 102:まだ見えぬ未来(よる)の先にーーInter sectionーー
045:1+1+0+1−1= ホル・ホース 102:まだ見えぬ未来(よる)の先にーーInter sectionーー
045:1+1+0+1−1= 針目縫 081:夜と朝の間に
050:New SPARKS! 犬吠埼風 074:犬吠埼風は■■である