・「怪物」に襲われて生還した猫。
・5日前の夜に「怪物」に襲われたらしい。
・その日の深夜、悲惨な状態で裏路地を彷徨っていたところを、遅くなっても帰らない彼を心配して探していた友人達によって発見された。
・明るくて社交的で、陽気なやつだった。
・かつてはつややかな黒い巻き毛だったという体毛は全て抜け落ち、彼自身の牙と爪の欠片――恐怖に強張るあまり、自ら欠けさせてしまったのだろうか――と一緒に散らばっていた。
【ブロックの証言】
・「黒い……黒い、でかい蚓みたいな化け物がフィリップを……奴はすごい勢いで……ああ、神様! 奴の中から、ひどい腐臭が漂ってきていて……奴の口には刺、みたイ、な……牙……き、きば……? 」
・「牙が牙が丸く並んだだだ口が俺を俺をオレヲ、奴は俺を丸呑みにして畜生助けてくれ俺は奴の中に押し込まれていってああフィリップの右目が飛び出しちまって俺を俺を見ている助けてくれ押しつぶされそうだ、
ああふぃりっぷのうしろにもたくさんのねこがうめきごえが! ああ きこえる!! あれは、
や つ の な き ゴ え で は な かっ た ん だ !」
・「夜に歩いてはならない! あの音は――奴の泣き声ではなく、奴の中の猫が――押しこめられた何匹もの猫たちがあげた、悲痛な絶望と苦悶の呻きなのだ!!
ああ、声が聞こえる! 夜に閉じ込められた声が!! 」