【アーシュラの話】
・魔獣だか大型動物だか知らないけどね、最近オランの各所で、妙な生き物が目撃されてる。
・裏通りとか排水溝の近くとか、そういう人目につきにくいところをズルズル這い回る、長くてぶっとい生き物っぽいモノが夜中に出没してる。
・人を襲ったりとかはしなくて、むしろ驚いて声をあげたりすると、向うから逃げていく。
・このあと小教室で調査の割り当てやって、夜から謎生物の捕獲または追跡ってことになりそう。
・怪生物はね、街の西側での目撃が多いらしい。
・他の地区での目撃例も無いわけじゃないから、いま例の助教授が、衛士隊の詰所に聞き込みしに行ってる。
・どの辺りを調べに行くのかもハッキリしてないけど……そうね、西側の地区を調べないってことは無いでしょうから、探せば誰かしら知り合いが見つかるかも?
・確か、大きさは2メートル以上、蛇のようにズルズル這い回るように動いてて、匂いは「近くだと腐臭がした」なんて証言はあった。
【シリルの話】
・今は主に南側地区の、比較的人が少なくて、そんなに狭くない通りに出るみたい。メインの通りから1~2本裏に入ったところ、とか。
・基本、襲うのは猫だけらしいけど、猫を連れていた男性が跳ね飛ばされて大怪我した。
・もちろん猫は喰われちゃった。
【プリン助教授の話】
・具体的には酒場や歓楽街のある地域、そのあたりの裏手……つまり人気が無いところで、夜11時以降くらいに目撃情報があるらしい。
・場所はかなり分散しているうえ、同じ場所での繰り返しの犯行は報告されていないから、目印の類は見つかっていない。
・よく考えれば「酒場や歓楽街」の近くでないかぎり、深夜に人が出歩くことは無い以上、他の地区から目撃情報が入ってきにくいのだろう。
【シュタイン教授の話】
・いちおう信憑性の高そうな情報を統合すると
「体長3メートル前後。色は黒、腐臭がする粘液に包まれている。ウロコや毛など、体表の様子に関しては不明」
「体の太さは直径1~2メートルだが、1メートル前後の幅がある隙間になら入っていってしまう」
「猫を襲うが人間を恐れ、犬や鼠を襲っているところは目撃されていない」
「頭に目・鼻・耳などは無く、顎もない、ワーム的な口と牙の配置らしい」
といったところ。
・とりあえず「謎生物12号」って呼んでる。