Dとつけば

 

 

「どうして、助けてくれなかったの!櫻姉さん!」

『あれくらいはなんとかしてもらわないと』

「あれくらいって!雲雀さんだぞ?!並中最強だぞ?!!最弱の俺がどうできるってのさ!」

『……ツナ。貴方は強さ云いの前にその根性を直した方がいいわよ?』

 

 

 家に帰ってきたらいきなり噛みついてくるツナを、そうあしらって自分の部屋へと入る。

 

 

『まったく、我が弟ながら情けない』

 

 どうしたらあんなに他人に頼るのだろう。

 

「おい」

 

 声の先を見れば、真っ暗な部屋の中でリボーンが待っていた。

 

「今日のはなんだ」

『ああ、力ですか?ちょうど綱吉と同じ年で使えるようになりまして』

「九代目やザンザスには?」

『一応、教えましたが……。どうもこの力は私だけらしいの。前任者もいないですし、その年の夏休み、家族にはキャンプと言いながら山に籠って、コントロールだけは出来るようにしました』

「そうか……。という事は大技とかはまだないな」

『ええ、細やかなコントロールは出来るのですが……』

「……邪魔したな」

 

 トテトテ歩いて部屋を出て行こうとするリボーン。

 

「味方に秘密にしていなければそれでいい」

『エスプレッソいる?』

「明日の朝でいいぞ」

『わかったわ。おやすみ』

 

 リボーンが部屋を出てゆき、私は制服を脱いだだけでベッドに倒れ、そのまま一時間寝てしまった。

 


 

 

 

「……やっぱりな。救助に使う様に精神を研ぎ澄ましていたんだな」

 

 ドアの隙間から、倒れるように寝た櫻を見て言うリボーン。

 

「前任者もいねぇーんだ。そりゃ、いろいろ苦労するはずだ。しかも、櫻には厄介なおまけもついている」

 

 厄介なおまけ。

 それは、前世のこの世界の記憶だ。

 綱吉どころか、ボンゴレやその周囲の情報もそれには含まれている。

 

「だが、心配するな。考えすぎるお前には、頼もしい味方もいるぞ。第一、俺が此処に居る理由の一つでもあるんだからな」

 

 

 


 

 

 

 

 雲雀さんが校内を回ることに専念しはじめて、数日後。

 私は書類を早めに切り上げて、家に帰ることにした。

 雲雀さんはリボーンを探すことに夢中で、そのような事は気にしないだろうから、大丈夫。

 たまには夕食を作ろうかと、帰り道献立を決めながら家に帰る。

 イーピンという居候もこの前増えたから、量を増やさなくてはいけない。

 

 すると、なぜかスーツ姿の男性が道路に大量発生していた。

 

 Why?

 

「嬢ちゃん、すまないがここから立ち入り禁止だ」

『え?なぜです?私の家そこなのですが……。あ、生徒手帳あるので、住所やら名前やら確認してください』

 

 近寄ってきた男性にそう言って生徒手帳を渡す。

 彼は暫し、それを見ていたがいきなり敬礼した。

 

 What?!

 

「失礼しました!貴女が櫻様ですね!」

 

 その声を合図に、家へと道が開かれる。

 

 ……私はモーゼか何かか?

 

 とりあえず、頭をひとかきした後。

 生徒手帳を返してもらい、家に入る。

 

 ……あ、これギャロップお兄さん進化前か。

 あれだ。

 ”D”とついているのに、あの世界に放り込まれたらひと溜りもなくなく消されそうなイケメンお兄さんだ。

 

 

 キッチンに入ってみれば、やはりというか金髪のお兄さんとリボーン、あと渋いおじさんがいた。

 

「帰ったな、櫻」

「よぉ!お前が櫻か。俺はディーノ!よろしくな」

 

 うん、何となくわかってたけど、注意しないとね。

 

『はじめまして、ディーノさん。とりあえず、縁側に居らず玄関で靴を脱いで二階へ行きませんか?日本では靴は脱ぐものです。今、奈々お母さんは買い物に出ているようなのでいませんし、長旅で疲れたでしょう。私の部屋でエスプレッソをいれるので、よろしければそちらへ』

「おお、すまんな」

 

 ということで、庭から玄関へと行ってもらい、私は窓を閉めてからそちらへと向かう。

 部屋に案内し、椅子をすすめてエスプレッソを四ついれた。

 

「へぇ。なかなか綺麗な部屋じゃないか」

『ありがとうございます。こういう木のぬくもりや植物が好きで、いつの間にかカフェみたいになってしまいましたけど』

「そうか。改めて自己紹介する。俺はキャバッローネファミリーのボス、ディーノだ。こっちはロマーリオ」

「はじめまして」

『こちらこそ、改めて名乗るわ。私は風の守護者、沢田櫻よ』

「自己紹介が終わったようだな。櫻、ディーノは俺の元教え子だ」

 

 いつの間にかエスプレッソのお代わりを求めるリボーン。

 ……いつ飲み干した。

 

『そう』

「……さすがは九代目とスクアーロに聞いたとおりだな。その分だと俺たちの情報も”知ってる”か?」

『ええ、残念なことに』

 

 ため息をつきつつ、エスプレッソをもう一度入れ、リボーンに渡す。

 

『それで、私のような危うい者のところになぜ?』

「あー、それだ」

『?』

「櫻。お前、詰め込み過ぎじゃねぇか?」

『……』

「スクアーロは俺の学友になるんだが、あいつが珍しく心配しててな。様子を見に来た」

「俺がいるのに、な」

「リボーンはすごくても一人だろ?それが心配なんだ」

『そ、う。スクアーロが……心配させちゃったな……私はそんなに壊れそうなのか?』

「俺が見ても、お前はいろいろ一手に引き受けすぎだぞ」

「リボーンがこう言うんだ。少し、力を抜け

『うん……あ、でもどうやったら力を抜くか分からないです……』

 

 これは本音だ。

 捨てるか、捨てないか。

 そんなの出来ないから、選択しても、叶う事がないとわかっているから、ずっと流されていることを選んでいる。

 雲雀さんの事だってそうだし、部下がついた件だってそうだ。

 逃げることは簡単だったのに、応戦してしまった。

 見逃すことは出来たのに、そうはしなかった。

 そういう風にいつの間にかなってしまっていて、たくさんの物を捨てずに背負ってしまっていた。

 

「……櫻は変なところでツナに似てるからな」

『でも、ツナにはそうなって欲しくないよ……』

「ツナも重要人物になってくるからな。リボーンの話だと、大丈夫だ」

『そっか。よかった』

「それはそうと、お前一度くらい朝飯作るのやめとけ」

『え、でも……』

「大丈夫だ、櫻嬢ちゃん。今夜は俺がここに泊まる」

『……逆に心配です』

「ディーノ、お前まだ体質治ってなかったのか」

 

 きらーんと目を光らせるリボーン。

 その目は調教師のそれだ。

 

「う、面目ない」

「ボス、ここは朝一に俺が来ます」

 

 助け舟を出すロマーリオ。

 

「おお、サンキュー。ロマーリオ」

「味の審査は俺がやるからな。手を抜いたら――」

「リボーン!脅かすなよ。俺だってそれくらいはできる」

「ほほう、どうかな?」

 

 ああ、完全になめられてるな。

 

 


 

 

 

 その後、私はとりあえず夕食の仕込みだけして、ツナの帰りを待っているディーノさんたちにエスプレッソを渡しに行く。

 

「って、ちっとは力抜けよ」

『既に体に浸み込んでますよ。いえ、魂に浸み込んでますね。前世からこんなだったので』

「ま、自然体の方がいいんだろうが、櫻のそれはもはや病気だぞ。ちっとはジッとしてろ」

 

 リボーンとディーノさんに咎められつつ、その場に座った。

 

『そろそろかな?』

「だろーな。ツナの事だからやっぱり遅いな」

『徒歩時間?』

「ああ」

 

 確かに、あの子は遅い。

 私は五分で着くが、彼はその四倍はかかる。

 

「櫻、お前の基準で考えるなよ。お前の通学時間の二倍が普通だ」

『それでも、本来の二倍かかるってどうなの?』

「まぁな。――今度、しつけるか

 

 ああ、南無三。

 頑張れ、ツナ。

 


 

 

「リボーン!また何やったんだ!」

「来たな」

『お帰り、ツナ』

「うぁあ!」

 

 リボーンと私の声よりも、部屋にいたロマーリオさんの眼光にビビるツナ。

 

「部屋の中にもいる?!」

「まってたぞ、ツナ」

「一体これは何なんだよ!」

「よぉ、ボンゴレの大将。遥々イタリアから遊びにやってきてやったぜ。俺はキャバッローネファミリーの十代目ボス、ディーノだ」

「キャバッローネって、マフィア?!!」

 

 ビビるツナ。

 ……さっきからビビり過ぎだろ、綱吉。

 

「プッ、ハハハハハ!こりゃ、駄目だな!」

「え?」

「オーラがねぇ、面構えが悪い、覇気もねぇし、期待感もねぇ」

「足も短けぇ、金もないし、力もない」(リボーン)

『ついでに成績が悪くて、根性がない』

ああ……)

「幸も薄そうだ。ボスの資質ゼロだな」

 

 コックリ頷くリボーンに、ロマーリオと私が笑う。

 

(初対面でいきなり駄目だしー?!というか、櫻姉さんまで……)

 

「リボーン!何なんだこの人たちは!」

「ディーノはお前の兄弟子だぞ?」

「兄弟子?」

『ま、とりあえず座りなさいな、ツナ』

「櫻姉さんまで!」

 

 といいつつも、綱吉はテーブルを挟んでディーノさんの前に座った。

 

「悪い事ばかり言ったが、気を悪くするなよ。ボンゴレ十代目。俺もリボーンに会うまで、ボスの資質なんてこれっぽっちも無かったぜ」

「リボーンに会うまでって、まさか……」

「俺はここに来るまで、ディーノをマフィアのボスにすべく教育してたんだ」

「マジで?!!」

「リボーンのと君は容赦なくてな。何度死にそうになった事か」

 

 もちろん、そうでしょう。

 このリボーンが手を抜くはずがないもの。

 ツナの時もそうだけど、生かさず、殺さずでやってるよね。

 

(俺もそんな目に会うの~……)

「おかげで、今じゃ五千のファミリーを持つ一家のボスだ」

 

 五千、意外と多いのよね。

 確か、三番目に規模が大きいんだっけ。

 

「本当はリボーンにもっと色んなことを教わりたかったが、お前のところに行くっていうんで、泣く泣く見送ったんだぜ?」

「あの、僕はマフィアのボスになる気はさらさらないんで、リボーンを連れて帰ってくださって結構です!……ひぃ!」

 

 あ、ディーノさんがひと睨みしたな。

 

「ははははは!リボーンの言う通りだ!こいつ、昔の俺にそっくりだな!」

「えぇ?」

「俺もボスの座を継ぐ気はなかった。はなからマフィアを目指す奴にロクなのはいねぇからな」

「いや……でも僕は……」

「リボーンの腕は確かだ。きっとお前も立派なボスになれる」

 

 そう、ツナなら大丈夫。

 

「それでも、やらねぇって言うんなら――」

「え……ひぃ、わぁ!」

「――噛むぞ!」

 

 うわ~、あれがエンツィオか。

 ほんとに星の模様いっぱい。

 

「か、亀?」

「ふっ。人が悪いですぜ、ボス」

「こいつはエンツィオといって、リボーンにレオンをくれといったら、代わりにくれたんだ」

「このレオンは俺の相棒だからな」

「何なんだ、この人たち」

 

 ツナは腰が抜けたような体制のまま呟いた。

 部屋のドアが開き、イーピンとランボが入ってくる。

 二人は追いかけっこをしているようだ。

 だが、ランボは案の定、手りゅう弾を玩具として使っているらしく、両手に持っていて、盛大にこけた。

 

 大馬鹿。

 

 力を使うかと構えると、リボーンが肩に飛び乗ってくる。

 

 ……使うなということか。

 

 手りゅう弾は窓の外へと落ちて行ったが、ディーノが鞭を使って上へと軌道修正し、爆発した。

 外にいたディーノさんのファミリーに傷はない。

 ただ、ディーノさんは靴を脱いだので、靴下で着地したが。

 

「わぁ、あの人カッコいい」

「わかったか?ファミリーの為に命を張るのがボスだ」

「何でもかんでもそこに結び付けるなよ!」

 

 この後、ディーノさんは泊まることになった。

 


 

 

「櫻、お前はロマーリオとホテルへ行け」

 

 いきなり真剣な目で言うディーノさん。

 

『え。でも、夕食の下準備しちゃったし』

「それくらい、ママンに言っておいてやるぞ?下準備したなら、献立だけでも言って行け」(リボーン)

『リボーン。有難いけど、なんで――って、まさか』

「やっぱりな。お前、もう超直感があるんだろう?」(リボーン)

「マジか」(ディーノ)

『……うん、微かだけど。でもかなり前から』

「どれくらいだ?」(リボーン)

『おじいちゃんに会って、三日後くらいには、あったよ』

「って、かなり早いじゃねぇか!」(ディーノ)

「……そうか。じゃ、尚更だ。ロマーリオ達と行け」(リボーン)

『…………うん』

 

そうして、私はリボーンとディーノさんに押されて、ロマーリオさんたちとホテルへ向かうことになった。

ちゃんと献立は言っておいたので、奈々お母さんがそうしてくれるだろう。

 

 

 

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