大蛇丸side
「うふふ、やはり彼が欲しい」(大蛇丸)
「大蛇丸様」(カブト)
「ああ、カブト。で、どう彼らは」(大蛇丸)
「いつも通りですよ。他の隊も木の葉に向け出発しました」(カブト)
「そう。なら一安心かしら、油断しなければいいのだけれどね」(大蛇丸)
どこかわからぬが、暗い場所で話をする悪党二人。
彼らがどうなるか。
今はわからぬ未来。
大蛇丸side end
どうやら我愛羅は無事に眠ったようだ。
寝顔は幼い。
なのにかかる負担は大人のそれ以上だ。
変わった事といえば、守鶴が小さな子狸としてついて回ることくらい。
『さて、いつ起きるか……。我愛羅君の目覚めが先か。それとも事が起こるが先か』(威守)
事件は水面下ですぐに起こっている。
いつ水面から顔を出してもおかしくはない。
あどけない表情の我愛羅。
この表情が苦悶に満ちたものに変わらないことを願うばかりだ。
既に雨隠れの二人がいたという事は、事前に打ち合わせてあった通り、岩隠れの方からは要請が受け付けられたという事だろう。
流石あのメンツだ。
素早いこと、この上ない。
「威守殿」(風影)
『礼を言われる筋合いではない。いや、たとえそれでも礼を言いたくば、この後のことが収まってからだ。全てが収集した時、だれが生き残るかもわからぬ。それに、我愛羅君のことだが、私よりも恵まれているはずだ。だからまだ、本当の笑顔を戻してやることは可能だろう』(威守)
「かたじけない。……威守殿は、いったい」(風影)
『まだ語る時ではない、とだけ言っておく。それに、この話は寝ている時に話すべき内容ではない。話せば、それが悪夢の発端ともなりえるのでな』(威守)
『それだけ私の話は酷だ』と言い、我愛羅君をベッドに寝かせた。
即席ベッドだが、それでも床よりかはマシなはずだ。
立ち上がり、風影や弥彦を見る。
『さぁ、暗躍という名の事件の回避を始めよう』(威守)
逃げるではない。
立ち向かう為の回避を。
問題は、敵がどのような場合で切り込んでくるか。
あのオカマ野郎。
攻撃パターン変則だからなぁ。
中忍試験は確定だけど、本当にあのタイミングか?
……ファーストコンタクトが違うんじゃないか。
我愛羅はもう狂わないだろうし、サスケもナルトもヤンチャはしなくなるだろうし。
でも、アイツは乗り移るという厄介な性質だ。
お前はオバケか!と前の世界で何度も思ったわ。
「威守殿」(風影)
あ、まだおられたんでした。
『とりあえず、小南!そこで我愛羅君見ていてちょうだい』(威守)
「わかったわ」(小南)
私は砂の人々と、弥彦、サソリ、ディダラを連れてホールから部屋へと入った。
そこは三日前までいたあの水晶のテーブルのある場所。
『では、話していきましょう。適当にお座りになってくださいな』(威守)
全員が席に着くのを確認し、口を開いた。
『さて、敵がどう動くか。ここは既に砂の方へ書簡が来ているところを考慮して、砂の誰かにとって代わるのではないかと思われるわ。でも、標的である彼のプライドはかなり高いはずだから、雑魚になるのはあっても時間として少ないんじゃないかしら』(威守)
「確かに、うん。一度遭遇したことがあるが寒気がしたぜ。うん」(ディダラ)
「俺も見た。あれを前にして勝つのはかなり骨が折れる」(サソリ)
「流石は、三忍といったところか。サソリでもそう思うとはな」(風影)
「俺でも、なんてよく言うねぇ。たぶん、普通に上忍してきている連中でも、暗部に入っている奴でもそう思うだろうよ」(サソリ)
「それが分かっていて、私は息子たちを送り込まねばならんのか」(風影)
『もどかしいでしょうね。でもそれは木の葉も同じ。岩隠れの方からも、雨隠れからも協力要請を受理してもらった。戦力的にはこちらが有利のはず』(威守)
「俺自身はたぶん行くことができない。だから、長門にこちらに居てもらうぞ」(弥彦)
「おめぇがいなくても、長門がいれば問題ねぇだろ」(サソリ)
「長門というのは……」(風影)
「確か、ブラックリストにそのような名前が載っておりました」(砂の暗部その1)
「……ルイの仲間は、一歩ズレれば超特級の抜け忍と言われても致し方ない者たちばかり。俺を含め、雨隠れから参戦する者はテロリストと呼ばれても仕方ない」(弥彦)
「それを言うなら、おいら達もだろ。うん」(ディダラ)
「そうだな、徒党を組んで国に挑むか、ソロで行くかの違いがあるだけだ」(サソリ)
『だが、ここに居る以上。抜け忍ではない。一度名前が載ってしまったリストからすぐさま消去したいが、そうもいかない。リストも信頼で出来ているからな。公にできる程の正義、罪と相対する何かがなければ、そうそうそこから名前は消えたりしない。たとえ既に屠られていても、線を引いただけでは消えないからな』(威守)
「……だが、そのような戦力だ。守りは充分ではないのか?今更協力要請せずとも」(砂の暗部その2)
「と、思うだろう。そうして戦力をそろえても、敵が完璧までに何者かになり切れる。または手の出しにくい組織の一部と化しているならばどうだ?」(弥彦)
「無理だろうなぁ、うん。目の前に水かがみがあるようなもので、おいそれと手が出せねぇ、うん。どうせ殴っても、反撃が来るし相手にダメージがねぇからな、うん」(ディダラ)
「部下たちがすまないな。だが、そうなると益々こちらから試験へと送り出すというのは辛い」(風影)
『一応、試験内容は把握している。で、どこで仕掛けてくるかも予想ができている』(威守)
「余裕じゃないか?」(砂の暗部その3)
「協調性さえあればな……。その為のこの会議と協力要請だ。ルイ、岩と木の葉はどうだ?」(サソリ)
『そうねぇ。とりあえず、弥彦の方から話も聞いて会談の方を秘密裏に設けるわ。欺くならば、味方から。悟られるのを徹底的に避けましょう』(威守)
「ま、ここに来た時と同じように木の葉に来れば安全だろ、うん。木の葉にこれさえすれば、俺たちがいるから結構安全だしな、うん」(ディダラ)
『ディダラの言うとおりだな。最初に言った通り、大蛇丸の狙いの一つは風影という名の隠れ蓑だ。ならば、木の葉への移動手段はこれが最良といえる。後は、このルートを敵に知られないよう、うまく立ち回れば大丈夫だ』(威守)
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