風影とその直属の暗部達を砂へと送り、その際にチヨ様とも話して我愛羅達の班を木の葉へと護送した。
「まさかこういう事になっているとはな。風影様の命だから貴方の事は信用するが……」(バキ)
「バキ、父上の話をあまり信用していないのか」(テマリ)
『揉めている暇も今の内だけだろう。今の内に腹を割って話せることは話しておきたい。我愛羅君が眠っている間に、お前たちに言っておくこともある。とりあえず……サソリ、そんな場所に隠れてるなよ』(威守)
私のセリフにばっと周りを見渡す我愛羅班。
サソリは私の横の空席の椅子だと思っていたものから出てきた。
どんなとこにでも隠れているなぁ。
「って、バレてるかぁ。流石だな、ルイ」(サソリ)
『バレバレだ。私に通用するとでも?バキさん、テマリさん、カンクロウ君。構えを解いて、彼が本気なら君らは死ぬ寸前でしょう』(威守)
「そう言い切る根拠は?」(カンクロウ)
『君は、父親の方から聞いていないかな?サソリは冤罪によって抜け忍にならざるを得なくなっただけ。今は私の私兵よ』(威守)
「どうやら、聞いた話と一致するようね。カンクロウ、攻撃態勢はやめろ」(テマリ)
「ちぃ、仕方ねーじゃんよ」(カンクロウ)
「お前は熱くなり過ぎだな」(バキ)
攻撃態勢が解いたことで、部屋の雰囲気がましになる。
「それで、ルイ。こいつらも引き入れんのかよ。お前はつくづくおせっかい焼きだなぁ」(サソリ)
『仕方なかろう。それに彼らも必要なのよ、最悪の事態を避けるために』(威守)
「ま、いいか。同じ傀儡使いもいるようだし、俺はそいつを鍛えればいいのか?」(サソリ)
『……物分かりがいいねぇ。その通り。私は我愛羅君を鍛えるから』(威守)
「なぜ、その采配なんだ」(バキ)
『なーに、ただの相性振り分け。傀儡には傀儡を。人外持ちには人外持ちを。で、バキさんは確か”風”属性だったと思うから、テマリさんの方をお願いするわ』(威守)
「こっちのチャクラ属性も把握済みかよ。って今、サラッと人外って……」(カンクロウ)
『言ったわよ?私は我愛羅君と同じような存在なのよ』(威守)
「ならば、世界の勢力図が」(バキ)
『国同士の大きな戦争がなければいいのよ。平和がある程度保てさえすれば、そんなパワーバランスとか考えていなくていいわ』(威守)
「だが、平和というのはそう長続きしないというが」(テマリ)
『よくわかってるじゃない。だから、できるだけ平和な時期を持続して、逆に戦争の場合はその期間をできるだけ縮小させるのよ。より効率的に、できるだけ遺恨なく、ね』(威守)
「戦ってでしか理解できない者もあるだろうが、それは何とかなるんだろ?」(サソリ)
『ええ。まぁ、奥の手になりますが……』(威守)
紅茶をいれながら、皆に配っていく。
『さて、今回の任務及び、中忍試験について話そうか』(威守)
その後、私達は今後の動きを話し合い、我愛羅班は我愛羅君が目覚めると同時に木の葉入りを果たした。
我愛羅班を無事に送った後、私は火影室にいた。
上忍姿で。
「さて。既に中忍試験の為、各里から受験者がこの木の葉へと集まってきておる。我が木の葉からも中忍試験を受けるよう推薦したい班はおるか」(火影)
他にも集まっていた上忍の何人かが手を上げる。
もちろん、アスマ、紅、カカシ、ガイ。
そして私、威守だ。
「ほう、かなり日の浅い班もおるようだが」(火影)
『ノープロブレム。何も心配ないわ、呑み込みが早かったもの』(威守)
「大した自信だな」(アスマ)
「カカシの方はどうなのよ。かなりドタバタしてたって、聞いてるけど」(紅)
「まー、大丈夫でしょ。運も実力の内っていうからねぇ」(カカシ)
「では、その班の上忍のみ残り、他の者は準備に取り掛かるように」(火影)
その命により、上忍たちが散っていく。
部屋の近くで控えていた中忍たちも、それぞれの指示を聞きながら散っていった。
残るは既に知っている者のみ。
「威守殿」(猿飛)
『はい、では結界発動』(威守)
指を鳴らしただけで、部屋に結界が張られる。
音漏れ防止の結界だ。
それを見て、猿飛さんはため息をつく。
おいおい、いきなり崩れ落ちるんじゃないの。
「木の葉もここまでせんといけないとは」(猿飛)
『いきなり威厳崩さないでくださいよ。ほらカカシ達も吃驚しちゃってるでしょうが』(威守)
「そうは言っても、やはり年じゃ。そろそろ譲り渡しておきたいところだのぉ」(猿飛)
『意味ありげな視線を飛ばさないでくださいよ。この4人なら問題ないですけど、他の者がいたら示しがつきません。大体、私はあまり表に出ませんから皆に顔が効きません。他の物をあたってくださいな』(威守)
「瑠威って、火影様に堂々と言うねぇ」(カカシ)
『あのね、カカシ。この人の場合はほんの少し鬼畜気味な指示が多いのよ。私は既に裏で結構任務抱えているのに、そこに下忍もち上忍の役やれっていう指示きてるのよ?私じゃなきゃ、とっくに自殺してるわぁ』(威守)
「火影様、それは流石にやり過ぎじゃありません?」(アスマ)
「普通の上忍の配分量を軽く超えてますよ?」(紅)
「……と、待て。俺が話についていけていない。カカシちょっと教えて」(ガイ)
「んー、威守。どこまで話していい?」(カカシ)
『洗いざらい全部。というか隠していたって意味ないでしょ』(威守)
「威守殿の言う通りじゃ。カカシ全て話してしまえ。隠されれば、疑心が生まれるものだからの」(猿飛)
「火影様まで……、はぁ分かりましたよ。話しますから」(カカシ)
ため息をつきながら言うカカシの横で、アスマと紅が何とも言えない顔をしていたのは言うまでもなかった。
カカシがかいつまみながら全てを話していく間、私はさっさとお茶会のようなセッティングをしていく。
話し終わったときには、私は紅茶を入れ終わっていた。
「なるほど、それで威守さんに火影様があのような態度なのか」(ガイ)
「って、納得するとこはそこなの?」(カカシ)
「大丈夫だ!大蛇丸やらなんやらというのもちゃんと頭の中にはいれたぞ!」(ガイ)
「「「はぁ」」」(カカシ、アスマ、紅)
『はいはい、皆座ってくださいね』(威守)
「瑠威はいつも通りなのね」(カカシ)
火影室でティータイムというのも乙だな。
皆が席に着き、紅茶を一口飲む。
『さて、猿飛さんには既に話が来ていると思いますが、大蛇丸が手を出してくるでしょう』(威守)
「そうか……。引導を渡さねば」(猿飛)
「火影様が無理をなさるのは危険です。何のための暗部、何のための上忍ですか」(紅)
「だな。威守、大蛇丸以外の敵が来るかもっていうのはどうした?」(アスマ)
『色々此方で画策もしましたが、上手く対処が木の葉だけできるとは思えませんでしたので、既に砂・岩・雨のそれぞれに密使を送り応援を確保しました。ま、雨は私のところにもともといた人員ですがね』(威守)
「それにしても威守さんのところには、優秀な人材が多いわね」(紅)
「紅、そのメンツ分かるか?」(ガイ)
『なんで本人が目の前にいるのに他人に聞いてるのよ。メンツはそうねぇ、一口でいけば、全員もれなくビンゴブックの頂点を占めている人材というくらいかしら。一騎当千は出来るでしょう』(威守)
「そんな奴らが……、御する事は出来ているのか?」(ガイ)
『当然。私がいる限り大丈夫よ。逆に言えば、私以外の命令は聞かない。だから大蛇丸は私の存在をその狙いの中に入れた。まったく、サスケ君と猿飛さんだけでもかなり欲張りだというのに』(威守)
「やっぱ、そうなるのね。瑠威も狙われたわけだ」(カカシ)
「護衛対象が増えたな」(アスマ)
『ま、私は殺しても死なないから大丈夫。捕らわれても意味ないって』(威守)
「どこからそんな確証があるって」(ガイ)
『経験よ。これでも何回か死んでたりするのよねぇ』(威守)
「「「「は?」」」」(上忍一同)
「皆が驚くのも無理ない。威守殿の体質を考えれば」(猿飛)
『まー、人柱力よりも化け物に近いですしねぇ』(威守)
「威守殿。そのようなことを」(猿飛)
『的確でしょう。ま、私の身の安全は気にしなくてもいいってわけ。ま、それを分かっていてほぼ不眠不休で任務を入れる猿飛さんはかなりの鬼畜だよ』(威守)
「なんか、どっちもどっちな気が」(カカシ)
(((同感!)))(上忍一同)
『とりあえず、各里とも連携して情報は徹底させるけど。カカシ君、サスケ君頼んだ。此方でもサポートするから』(威守)
「了解」(カカシ)
解散した後、私はほんの少し困った事態になっていた。
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