あまり納得していない者もいるが、とりあえず事が事だと、話を進めていく。
『先ほども言ったが、風影が危ない。うちはを狙うやつが、その狙う過程で風影を狙っている』(威守)
「その情報はどこからだ?」(サソリ)
『暗部:狼からだ。あいつは私と同じで消えない分身を作り出すことができる。もちろん、影分身の比ではないほどの頑丈な奴だ』(威守)
「で、どう叩く?うちはを狙うという事は、用意周到な奴だろう」(長門)
「一筋縄じゃ行かねぇだろ、うん」(ディダラ)
『だから、再不斬さんや白君。カカシ班にメンバーとして入ってもらったんだ。大体、やつの狙いは”うちは”。となれば、そこに居るサスケは狙われるに決まっているしな』(威守)
「なるほど、囮ですか」(キサメ)
『そこまで辛辣じゃないわよ。守られているだけじゃ、嫌だろうという意味。狙われるお姫様役なんて嫌でしょ?』
「ぶっ!サスケがお姫さまって!!ぐはっ!」(ナルト)
「黙れ、ナルト。もちろん嫌に決まっているだろうが」(サスケ)
「あーサスケ君、ナルトもう黙ってるわよ。というか、その黙らせ方……」(サクラ)
「手っ取り早いだろうが。おいウスラトンカチ。さっさと回復しろ」(サスケ)
「ひどいってばよ、サスケ……」(ナルト)
「………………」(カカシ)
いつもの日常コントを終え(おい!w)、うーんと考え込んでいたディダラが口を開いた。
「で、この時期に狙われるってことは、中忍試験か?うん?」(ディダラ)
「しかも今回の試験は、木の葉。ならば、来賓として風影が来ることも可能でしょう。狙われるとしたら、その移動途中ではないかしら」(スイレン)
「そうだな。あの砂の上層部ならば、あいつ出してくるだろうよ。風影の息子どもをよぉ」(サソリ)
「サソリさん、砂の上層部がよほど嫌いですねぇ」(キサメ)
「嫌いに決まってるだろうが。あいつらは俺を早々に”風影三代目”の暗殺者として断罪という名の汚名を着せたんだぞ?!」(サソリ)
「「「「?!」」」」(カカシ班)
『すまないな、サソリ。私は砂の里まで手を伸ばすが遅かった。驚くものも多いが、先ほどサソリの参入について語らなかった理由がこれだ。彼は誤解されただけで、罪に問われ、抜け忍になるしかなかったのだよ』
「俺はやってないぞ!」(サソリ)
『落ちつけ、サソリ。ここに居る皆には周知の事実だ。風影三代目はただの病死。君はその遺言に従っただけ』(威守)
「……すまねぇ」(サソリ)
『ここのメンバーも知っている。調査してきたのは、狼だし。その後で長門とキサメで証拠も掴んだ。堂々としていろ』
「つまり、有名な天才傀儡師は、ただの冤罪だったと?」(カカシ)
「ああ。もともと、”里”というシステムは木の葉がオリジナルだ。他の里はそれを見習ったまで。繁栄と隠れ蓑にはちょうどいいからな。だが、真似は出来ても真の目的が違うならば、中身はおのずと変わってしまう」(長門)
「ですわね。そのしわ寄せで出来たのがこの集まりですが……」(スイレン)
「スイレンさん、それは暗黙の了解ですよ」(キサメ)
「で、キサメさんと長門さんが砂に行った感じはどうだったんだよ、うん」(ディダラ)
「「息苦しい」」(キサメ、長門)
「…………それは砂漠だからか?」(サスケ)
「んなわけないだろう。里の空気自体が重い。まぁ、木の葉も似たような空気が最近漂い始めたのだがな」(長門)
「……」(ナルト)
心当たりがあるのか、ナルトとサスケは黙ってしまった。
『それについてはすまないとしか言えない。長門、木の葉については私が多いに関わっている。一度生まれてしまった恐怖はそうそう消えてくれぬから、なかなか立ち消えてはくれないの』(威守)
「木の葉を改善する前に、砂を改善するのか?」(サソリ)
『内堀は既にやれるだけの事はしてある。今度は外堀からだ。ほかの里の状況を見て、こちらの里が変わってくれればいいとおもうのだが?』(威守)
「なるほどな、うん。確かに、ルイは目を光らせてるよな、うん。”うちは”に関してはちゃんと助けたんだろ?うん」(ディダラ)
「おい、今言うなよ。はぁ、やはりお前を呼ぶんじゃなかったかぁ?あ”あ”」(サソリ)
『はぁ。素直な部下を持つと、上司は疲れるね……。サスケ君、そういう事だから君の家族は心配しなくてもいい。全身全霊かけて、治療する。だが、彼ら二人だけしか残してやれなくてすまない』(威守)
「……詳しい内容は後で聞くとさっき言った。だから、絶対に兄たちを助けろ」(サスケ)
『もちろん』(威守)
「で、結局。首謀者はどこのどなたで?」(キサメ)
『キサメさんなら知っているだろう?この頃進出してきた新しい里』(威守)
「ええ、こちらにリストが」(キサメ)
テーブルにキサメが広げたリストの紙を、全員でのぞき込む。
『この音の里というのが、首謀者のいる場所だ。首謀者の名前は”三忍”の一人、大蛇丸』(威守)
「……あいつか」(長門)
「うん?知ってるのか?」(ディダラ)
「俺の師匠も”三忍”の内の一人だ。それに、直接会っている。戦いの最中でな」(長門)
「……さっき言っていた戦いの時だな。だが、大蛇丸が関わってくるとなると」(カカシ)
「火影の方にも話を通しておいた方がよさそうだな。サソリ、砂の方はどこまで話を通せる?」(長門)
「元部下までだ。それ以上は俺のババァがうるせぇ」(サソリ)
「で、威守の方は火影様の方に話を通すのは大丈夫なの?」(カカシ)
『今の三代目ならば、な。だが、元老院の方は話をしても凝り固まっている。こちらの味方は少ないと考えてほしい。上忍連中にもどこまで話を通せるか……』(威守)
「大蛇丸のことだ。サラッと私怨も交えて三代目を狙う可能性もある」(カカシ)
「へぇ、よく知ってるんですね」(キサメ)
「大蛇丸の抜け忍になった経緯は、上忍たちの中でも恐ろしい話だったからな。当時の関係者や被害者は、その恐怖を身にもって知っている。俺もあの恐怖の対象になりかけていたのだと後で資料で知ったからな、ゾッとした」(カカシ)
「いったいやつは何を……」(サクラ)
「子供は知らない方がいいんだが……」(カカシ)
「おいおい、今更だろうが。俺の抜け忍になった経緯も相当えぐかっただろうがよぉ」(再不斬)
「むごいからと言って、話すことをためらうのは情報の不足を招きます。カカシさん、話してください」(白)
「うー……ん。じゃぁ、話すが……大蛇丸。やつは人体実験していたんだ。それも何十人とな」(カカシ)
「……なるほどな。いくつも死体が重なっていたわけだ」(サスケ)
「俺は、サスケの冷静さが逆に心配だってばよ……」(ナルト)
「やばーいやつだったわけね。カカシ先生、生きててよかったわね!」(サクラ)
「……ありがと。抜けて以来、消息不明だったけど……そんな場所に潜伏しているとは。しかも里ってついているってことは……」(カカシ)
『カカシ君が考えている通り、やってる可能性あるね。人体実験』(威守)
「厄介そうだな。へんてこなモノとかそのうち出てきそうだ」(長門)
「フラグ立てんなよ、うん」(ディダラ)
「ディダラ、それこそ今更だ。俺らはそのへんてこなモノに当てはまるんだぞ?」(サソリ)
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