それぞれの顔を一通り見ながら、誰がどこに行くか話す。
『今の話から考えて、木の葉側にはカカシ、サクラ、ナルト、サスケ、レイスケ、スイレン。砂側には、ディダラ、サソリ、私。岩側に、長門、再不斬、白。これがベストかしら?』(威守)
「狼とかいうやつは?」(再不斬)
『表向き、私や狼は火影直轄の特別暗部だからね。狼のやつは三代目の近くを離れることはできないのさ』(威守)
「今あげた里以外に行かない理由は?」(サスケ)
「人員が少ないだけだろ、うん」(ディダラ)
「いくつも里を関わらせるとなると面倒だしな」(長門)
『まぁ、主だった里全てに協力を仰ぎたいのだけど。そうもいかなくてね。情報統制とか、目的の方が弱いのよねぇ……あわよくばって考える連中も多いだろうし』(威守)
「いろいろ面倒なのね」(サクラ)
『だから、これが最低限よ。カカシ班と、レイスケに至っては中忍試験に参加することがまず条件となるでしょうし。サソリはちゃんと行かなきゃいけないし』(威守)
「……帰りたくねぇな、あの里には」(サソリ)
「そういうなよ、旦那。うん。旦那が一番地の利がある場所だろうしさぁ、うん」(ディダラ)
サソリから苦情が出たと思えば、カカシ班からも悲鳴が出た。
「ちょっと、待って!私達まだ下忍になったばかりなのに、中忍試験って!」(サクラ)
「……俺たちくらいのレベルで大丈夫なのか?」(サスケ)
「よっしゃ!上に行けるってことなんだよな?だろ?!ルイ姉ちゃん!!」(ナルト)
「ナルトは浮かれないの……。あー、威守さん?この班では第一試験すら無理だと思うが……」(カカシ)
『大丈夫大丈夫。案ずるより、産むがやすしってね。第一試験官はあの拷問官だし、第二試験はこちらがサポートするから』(威守)
「……ルイ姉ちゃん、それって不正って言わねぇ?いや、ここは情報漏洩?」(ナルト)
『実力で動いてもらいますよ~。もちろん。まぁ、運任せでもなんとか行けるから、大丈夫。どうにもならないのは、本戦だけですよ』(威守)
「……まぁ、確かに運でいけるんだよな……俺の時もそうだったし」(カカシ)
「いいのかそれで、中忍試験って……」(サスケ)
「”運も実力のうち”という。ルイがお墨付きをしてまで推薦してくれるっていうんだ。レイスケ、お前もそれでいいか?」(長門)
「もちろん!一度経験しておけば、たとえ試験に落ちたとしても、後で力になるよね!」(レイスケ)
「生きがいいなぁ。お前、ルイがいないとなれば、一人で試験を受けることになるだろうに」(サソリ)
「うん、ルイ。マジでそのつもりか、うん!」(ディダラ)
『それはない。一人で行かせるわけがなかろう。私の分身を付ける。レイスケ、それでいいな?いつもの威守班という陣形だ。ただし、上忍である私はそこにはいない、な』
「それって!」(サクラ)
「レイスケ、二人だけで大丈夫かよ?!」(ナルト)
「サクラ、ナルト。決めるのはレイスケだ」(カカシ)
「だが、カカシ。本来その中忍試験とやら、何人で行くのが定石だ?」(サスケ)
「そうだな~。大体班ごとの3、4人が普通だ。何しろ第二試験は連携が必要になることもあるからな。それに、受けない班員がいると、そいつは後の任務どうすればよいか運営側が渋る。つまり、班ごとでというのが条件なのさ」(カカシ)
カカシが説明するにつれ、やはり無理じゃないかとナルトやサクラの顔が渋る。
サスケでさえ、心配な表情をレイスケに向けていた。
「わかった。やる」(レイスケ)
「はぁ?!おまっ!わかってんのか?!実質一人でだぞ!!」(ナルト)
「無茶よ?!」(サクラ)
「何とかなるって。僕もルイ姉ちゃんに結構鍛えられてるし、そのお姉ちゃんが分身つを付けてくれるなら、何とかなるでしょ」(レイスケ)
「……ずいぶん、楽観的だが。勝算でもあるのか?」(サスケ)
「うーん、勘かな!」(レイスケ)
((((大丈夫かそれで))))
カカシ班は全員、胸の内で不安を募らせる。
『まぁ、レイスケはふつーに上忍クラスの術使えるから。大丈夫でしょ』(威守)
「え、何教えてんの?!威守さん!!」(カカシ)
『いやー、チャクラの属性攻撃とかいろいろ教えたらメキメキ腕を上げてねぇ。もしかしたら、カカシ君軽くひねれちゃうかも』(威守)
レイスケを見る目が皆変わった。
カカシ君は知っているからあまり心配していない様子のはずだけど。
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