さがすのは僕のいのちじゃない。
となりで、手をつないでいるカギといわれた彼の方。
僕はいちど死んでるからだいじょうぶ。
えーっと、黒い人はふたりかぁ。
龍のお面と狼の面かぶってる。
?
祭りじゃないよね?
『彼によう?』
「いいや、君らに用だ」
「ビャクが連れてきたレイスケとやら。我らとともに、彼の部屋へ行こうか」
『お兄さんトラのことだね?いいよ、君らから悪いけはいしないもん』
だてに殺し合いの世界にいたわけじゃないよ。
「お、おい!レイスケ、おまえ!!」
『だいじょうぶだよ、君は』
「そうじゃなくて!お前の身が!」
必死ににぎってくる彼の顔は、最初のときには見られないような”へんか”があったことをものがたっていた。
これ、彼にとって良かったことかな?
「君は、ナルトくんだね。彼はもともと僕らの仲間なんだ。だけど一度ばらけてしまってね、彼にも家族はいない」
「心配せずとも、火影のところに挨拶してくるだけだ」
『だいじょうぶそうだよ!』
お兄さんトラの言ってたせんぱつ隊の人かな?
「どうしてホイホイしんじるんだってば!」
『?彼らがね、もしわるい人ならもっとマシなウソをつくよ?』
いつもそういう奴らといたし、そういう世界でがんばったよ。
死んだけど……
『彼はつれていけないの?』
「火影のところまでならいい」
「明日も遊べるよ?」
『じゃ、いっしょにいこう!』
僕は彼にもう片方の手を差し伸べた。
ほかげ(?)っていうのが、えらい人だっていうのはなんとなく分かった。
ナルトと言ったかなこの子もすこし安心してるみたいだし。
しんようできるかな?
顔見てから考えよう。
ひゃくぶんは一見にしかずって、言うし。
で、そのほかげのお部屋の前まで来たけど、入ってすぐにナルトが軽ーくしっしんさせられた。
聞かせたくないのか~。
「さて、話をしようかの。わしはこの里の三代目火影、猿飛じゃ」
『こんにちは、火影さん?さるとびさん?』
「どちらでも。それで、君もこの二人の仲間だと聞いたが」
【それについてはワイが教えよう】
いつの間にかお兄ちゃんトラが、トラから人にもどっている。
「貴方は……」
【ワイは察しの通り、先にここにきているであろう六と天の同類】
「あー、その二人はここじゃ、アルトゥと空って呼ばれてるから」
お兄さんトラの言葉を聞くと、龍のお面の人がそう答える。
「なんと!という事はもしや……」
【ふむ、真名によって縛られぬようにしたか。そうかならばワイもビャクと呼んでくれ】
「ビャク殿も神なのでありますか?」
【もちろんだ。ワイが司るのは風だ。移動や探索は得意だな】
「では……」
【この子は今三歳児だが、もとは五歳。話も通じるし、考え方は少しエリート思考であったが、一度死した身であってな。かなり丸くなっておる】
「そうか…………」
『気にしてないよ?僕はあの世界じゃもういらないブヒンだもん。親は死んだし、いい家族じゃなかった』
そう言えば、ほかげと言うおじいさんは顔をしかめた。
『僕をあわれまないで、僕のいた世界では殺し合いの神のイスうばいあいだったんだ。ここ、まだらくだよ』
「世界は広いという事じゃの。……こんな事を頼むのは気が引けるが…………」
『いいから言ってよ。たぶんたいはんのコトはできるよ?』
「ナルトのことを頼みたい」
『そこでねているきれいな髪の子?』
せいかくには眠らされた子ども。
僕と同じ一人ぼっちであそんでいた子。
「そうじゃ。この子は特殊でな、彼はとあるものの器になっておる。それがもとであらゆるものから狙われる、そして忌み嫌われる」
『じぶんと同じものじゃないと思うから、イシツだと思うから、だね』
「この子の友達兼護衛役になってほしい。小さなうちからすまん」
『さるとびさんはあやまりすぎ。かなしみすぎ。……いいよ、友だちにはなる。けど、ごえいやくなんて、やれるの?』
さつじんきと化していた僕でも、もっとおさなくなってしまった今はもっと力がない。
「それは私たちが教えるからね、大丈夫だよ。ああ、申し遅れてたけど、私は威守瑠威。アルトゥが連れてきた者」
「俺はガロ。賭けをして負け、その結果、空が連れてきた者」
『……わかった。ルイねえちゃん、ガロ兄ちゃんよろしく。ビャクもよろしくね』
【ああ、改めてよろしく】
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*来ました。三人目です。お気づきの方もいるかも知れませんが、レイスケ君はフルネームが豊穣礼佑です。
某バトルロワイアル形式漫画の神候補の一人ですね。もちろん一周目の。
で、ナルト君の幼馴染フラグです。五歳(アニメ版)であったのがもっと若くなっての登場。三歳児。
ビャクはいわゆる白虎ですねぇ。なぜか自分のことを”ワイ”と言っているのは、彼の個性です。
面倒なのはレイスケ君の話ことばが、難しいものは漢字変換できないこと。
小学生中ごろまでの漢字レベルくらいだから、面倒なんだよね……。