襲来の空

 

 あの誘拐は、どうやら俺らの部隊に変わるところを、つまり交代の隙を狙われたようだ。

 前任の警護部隊がミスった模様。

 

 

 その前任部隊にすごく怒っていたな、四代目が。

 

 

 愛の力とは恐ろしいほどに、殺気が放たれる説教とは怖いものだと再認識した。

 俺に愛の力はいらぬくらいには、恋愛に辟易しておるがな。

 

 その後、堂々と四代目は警護対象と結婚した。

 

 いくらなんでも早すぎるのではないかと思うが……。

 所詮は他人事。

 俺自身の指針に触れなければいい。

 

 


 

 

「そろそろ、気を付けてねぇ。クシナさんがもうそろそろ臨月になるそうだから」

『もうあの警護対象は子持ちの人妻になるわけか』

 

 時が経つのは本当に早いものだ。

 

「……時が来る」

『ん?どういうことだ』

 

 ぼそりと呟いた瑠威に、注視していると彼女の横に光が生まれ始めた。

 

『……何の術だ?それは』

「ああ、違う違う。アルトゥが来たのよ」

【ほぅ。お前が、天空が連れてきた者か。お初にお目にかかるな。吾は六合。瑠威やこの世界では”アルトゥ”と呼ばれておる】

 

 光が背の高い人物になった。

 長い銀髪の男性で、何やら民族衣装を着こなしている。

 

『お前も神とやらか。なるほど、俺が苦手な匂いと雰囲気だ』

【そうか。お前は瑠威の記憶から見たが、神が苦手であったな。仕方なかろう】

『それでどうしてアルトゥは出てきたのだ?空は俺の家にいるが』

【この世界の者と約束していたことを守りに来ている】

『条件は?』

【”里の危機にのみ力を使う”。ただそれだけだ】

「とある者に宣言したからね。あーでも、それ言葉のあやも入れたでしょ?アルトゥは演算能力高いはずだから」

【そうでもせねば、この世界の平定などできぬ。吾が本気を出す時は……瑠威、お前が知っている”危機”の時のみだ】

「……結構シビアに行くわねー」

【運命を一つ動かすのに、いくらの労力がかかると思っておる。世の中、いや世界の理はそんなに甘くない】

『そうそう神がほほ笑むことはないか。次々に幸せが来るのは、ないからな』

「ガロは流石にわかってるよね~。だから神様って不幸しか与えんのよね~、聖書に書かれている神話とかそうじゃん」

『そういうお前もよく知っているな』

「一度はその不幸に負けた身だからねぇ。君は勇者に打ち破られたのだろうけど、私は自ら死したのでね」

『その時は弱かったのだな。今は結構強いが』

「こんだけ長生きしちゃうとねぇ。ああ、私これでも八十年は生きてるから。成長してるけどさぁ、一年分の成長が十年で、っていう理不尽な状況下だけど」

『時の神殿にでも行ったのか?』

「わぁお、懐かしい響き。行ってないけど、神域にいたことはあってるかな。ああ、君に渡した水晶はちゃんと持ってるかい?あれ自動防御壁出してくれるから」

『オートか。それは楽そうだ。お前は長生きしているようだが、俺の方が精神上は上だ。四天王くらいの立場から話せ』

「え、それ弱そう。嫌だから、君の隣くらいにしてくれ。それくらいの立場くらいであれば君の言葉くらいは聞いてあげるよ」

『食えぬ奴だ。だが、面白い』

 

 


 

 

 アルトゥと名乗った男性は俺の嫌いな神の部類で、俺らの部隊の象徴みたいな位置になっているといっていた。

 そして、本気を出せば恐ろしいという事も聞いた。

 

 

 だが、この里の結界があまりにも強いものだとは聞いていなかった。

 バチバチと音を立てて、巨体を防いでいる。

 

『どういう仕組みだ。俺ならばあのようなもの、全く持たないぞ』

「アルトゥ特製の結界だよ。まぁ、この里の人間は自分たちが作ったものだと勘違いしているけど」

『……チャクラの無駄遣いをしているのか、奴らは』

「敵を騙すにはまず味方からってね。んじゃ、行こう。あそこのお面野郎に」

 

 巨大なそれを操っていると思わしき変なお面をつけた者に向かっていく。

 移動していくのは俺ら以外にもいるが、他にもぐりこんだ敵に遮られ、簡単にそれらを屠っていく俺たちしか奴に近づいて行っていない。

 ボスクラスの奴らや幹部クラスの奴を一手で倒せるのは俺らだけらしい。

 

 それでも暗部か、といいたいがそれは忍びの在り方による性質ともいえるので、致し方なかろう。

 

 瑠威が結界を越え、お面と対峙する。

 

「誰だ!」

「その言葉そっくりお返しする。集え、晶!」

 

 一発目から水晶を使った術をお見舞いしているではないか。

 あれは、瑠威が最初に見せてくれた特殊術の類。

 アルトゥから強制的にもらってしまった力なのだそうだ。

 この世界ではかなりレアのものだったらしく、血継限界とか血継淘汰という他には誰も居ない状態の能力だそうだ。

 

 一斉に襲い掛かる水晶の群れに、敵はギリギリの位置でそれらを躱していく。

 

 ほぅ、それを躱すか。

 ならば。

 

『雷槍』

 

 槍を取り出し、雷をまとわりつかせて敵に繰り出す。

 それすらも敵は躱した。

 

 チッ、感がいい奴だ。

 

「狼!適度にいなして後退!」

『了解した』

 

 瑠威の言葉通りもう一撃してから、後退する。

 

 すると、鉄砲水のような勢いのある水撃が敵に命中し、敵をかなり遠くへと飛ばした

 

 

「アルトゥね!さっさと警護対象のとこへ戻るわよ!雑魚は他に任せる!」

『ああ』

 

 確かにその方が先決だ。

 俺らがいた理由だとて、四代目が命令したほかにはないし、縛り付けられるのは嫌である。

 

 

 が、帰るとそこは血の海。

 

 

『おい!』

「くそがっ!!」

 

 四代目と警護対象の生命徴候(体温・脈拍・血圧・呼吸・意識状態)を確認した。

 

 どれも反応がない。

 なんという事だ。

 今の今まで、俺らの部隊は目的を挫かれたことはない。

 が、このザマはどうだ。

 情けない限りではないか。

 かろうじて生きているのは、二人の子供と思しき赤子。

 その手はあまりに小さかった。

 少しだけ未熟児で生まれてきたようだ。

 へその緒でさえ切れておらぬというのに、親を亡くさせてしまう不甲斐ない俺たちを許してくれ。

 

『いったいどういう事だ』

「それはこっちが聞きたいわよ!私達が離れたのは十分くらい、けどその間に……こんな」

『……傷はかなり深い。警護対象は刃によるものだな。四代目は何やら獣に突かれたような傷だ』

「それがどうし……!」

 

 

【裏をかかれた。面倒な】

 

 

 何かに気をついた状態で固まる瑠威とガロ。

 そこにアルトゥが現れた。

 

「!」

『誰にだ』

【同郷の、同じ部類の輩にだ】

「どうして……」

『嫌なのだろうな』

「!」

『俺はもともと悪だ。こういうことをする輩と同類のな。だからこそ、わかる』

「じゃあ……」

【瑠威。既に人払いと防音の結界を張った。思い切り話してよい】

『気が利く神だ。で、誰がこれの犯人か予測としては誰だ?』

 

 

「……………………ゾウ

『ん?』

「たぶん、あいつしかいない。四代目、いや歴代火影を忌み嫌っていた、ダンゾウしか!」

【だろうな。瑠威の記憶の中でもかなり嫌な奴だった。それが吾らがいるというだけでこれだけ暴走する……】

「信念はあった!そういう奴のはずだ!だというのに、これだ。もうあいつを斬り殺したい!!」

【だが、もう一件残っておる。そちらはどうする?】

「起こしたくない!けど、それは驕りで……」

『人が死ぬのは嫌いか。八十年生きていても、所詮は人だな。俺がやるか?そうすれば瑠威の負担ぬならぬ』

「それも駄目!」

『ではどうする?』

 

 しばし沈黙する瑠威。

 どうやら思考が止まらないようだ。

 

 

 

【仕方ない。では、吾と天空で何とかすることにしよう。だから……】

 

 

 

 

 

 

 

 

 四代目の死と、警護対象の死が発表され、多くの人々が涙にくれた。

 その後、また三代目が火影の座に戻った。

 

 

 

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*あっさり死んでしまう両親。

 ナルトごめんね、もっといい状況にしたかったけど、やっぱりこの二人は役目があるから他の選択肢がないんだ。

 死んだと見せかけたかったけど、それじゃいろいろと崩れ去るからね……。

 

 次からは本編になりますが、まだオリジナル続きます。

 

 

 


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