「では、とりあえずチャクラ練ってみて」
『チッ、面倒だな』
チャクラを練って見せた。
「おお、さすが魔王。奇麗に練りあがってる」
『序の口だろう?』
「あー、俺様流は変わらないのね。んじゃ、ベタたけどそこら辺の樹に登ってみて。一度やって見せるから」
そういうと、瑠威は樹に登っていく。
「こんな感じかな」
『……あっさりと登るものだ』
「ありがとう。んじゃま、登ってみて」
チャクラをもう一度練り、樹に登ろうと試みる。
が、一歩目で弾かれた。
「あらま。チャクラ強すぎだよ」
『……それはこの樹に対して、だろうな。という事はもう少しイメージを変えて練って』
もう一度やり直ししてみる。
今度は普通に登れた。
「お、もう登れたんだ」
『こういうことか。しかし、一度で登れぬくらいにこの力は扱いづらいな』
「ガロはイメージで力を使うの?」
『まぁ、そうだな。あとはもともと持っていたはずの力を認識しながら、だ』
「そうか……。あー、でも私も最初はイメージのみでできちゃったからなぁ。ま、とりあえず次行こうか」
横に流れていた小川を指して。
「この上に立ってみて」
『水面に立てという事か?』
「ん、そういうこと」
『それは……こうだな』
あっさりとやって見せる。
「……さすが。君の最初の記憶がどこまであるか知らないけれど、貴方の輪廻の最初は水の上での決戦でしたからねぇ」
『そうでなくとも、もともとの世界ではこれくらい出来ていなくては魔王ではなかったからな』
仕切り直し、何の変哲もない紙を渡された。
『なんだこの紙は』
「チャクラに反応する材質で作られた紙でね。あー、例えばここに三枚あるんだけれど、ちょっと見ててね」
一枚ずつ片手につかんでいく。
一枚目は濡れて。
二枚目は崩れ。
三枚目は燃えた。
『三枚とも違う反応だな』
「流したチャクラの性質が違うからね。一枚目は水、二枚目は土、三枚目は火」
『それは俺にもできるモノか?』
「ガロの性質が同じであれば。でも、たぶん違うから、この中の一つくらい合うんじゃないかな。とりあえず、今練れるチャクラ流してみてその紙に」
『ああ』
言われた通り流してみる。
すると、紙は燃えた。
「火みたいね」
『……もう一枚くれ』
「?」
『別のチャクラのイメージがある』
「ああ、君のイメージで使ってた方?んじゃ、はい」
『うむ』
もう一度チャクラを流す。
今度は昔のイメージを意識して。
すると紙にはシワが入った。
『これは?』
「雷だね。て、その組み合わせって・・・・・今後の中心点の一つと同じかぁ。うーん、ガロはもしかしたら結構重要な任務に就いてもらわなくちゃいけないかも」
『面倒だな』
「とりあえず、簡単な術からいくか。雷は……あんまなぁ得意じゃないのよね。とりあえず火からいきましょうか」
こうして特訓が始まったのだった。
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