監視の目がうざい。
養父のせいだろ?俺のせいじゃねぇ。
……この世界に来て、身体も若返ったからか言葉遣いが微妙に違うな。
いや、若返ったというより全くの別物なのだが。
まぁ、いいか。
ある程度は好きにして良いと空も言っていた。
悪であるはずの俺からすれば、世界征服とかすんなという事だが……
この世界に関しては俺はどうでもいい。
あの世界だけが特別だったのだ。
この世界で興味があるのは……強いもの。
空に聞くと、先陣の仲間とやらも強いらしい。
今は子供とはいえ、いずれはそういう輩とも手合わせしてみたいものだ。
で、そのためにも今目の前に立つ建物へ歩を進めた。
今は戦争時ではないが、いつそうなっても可笑しくないという。
だから小さい俺のような孤児は、普通の家庭がある子供たちよりも早く教育を受けるのだ。
まぁ、俺に普通は必要ないがな。
……いや、このアカデミーとやらでいきなり本気出したらダメだろう。
爪を隠すか…………そのためには”普通”が必要になるか。
あー、どう隠そうか。
……たぶん俺のほかにも同じような奴はいるだろう。
そいつらの実力より下であればいいか。
下に見られる屈辱はいやだが、しなかった場合に降りかかる面倒ごとの方が嫌だ。
監視どもがいるからな、今までの行動以外は怪しまれる。
……女神どもよりは楽だな。
とりあえず、授業とやらを受けてみるとするか。
……結論を言おう。
かなり面倒だ。
ここの教師は肝心なところは最後あたりに話す。
ポイントをきっぱり教えろ。
面倒くさいだろうが。
早めに入学させるほどに人材不足ならば、効率よく教育すべきじゃないか。
全ての文章を覚えるつもりないぞ。
だから、概要説明はやめろ。
と、心中で叫んでも意味はないな。
仕方ない、適当に流そう。
しかし”普通より下”の設定は難しい。
これくらいか?とクナイを投げたら岩にヒビを入れてしまった。
……無理そうだ、この設定。
中の下じゃなく、中の上なら何とかなるくらいだな。
あまり監視どもに警戒されたくはないのだが………………
できないのだから仕方ないな。
で、アカデミーではそれでいくとして……
自習は必要だろうな。
絶対にここでやるのは基礎だろう。
だが俺はそんなもので満足などしない。
精神年齢はかなり行っているからな。
……しかし、そんな資料は隠されているだろう。
一人暮らしになる際も引っ越しを強いられたくらいだしな。
ダメかも知れぬが、空に頼み込んでみるか…………
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*相変わらずのガロ。
というか、怒ってますねぇ。
支配者として、教育体制が嫌のようです。
まぁ、開き直ったようですがね。
さ、次行こう。