目に飛び込んできた世界は、鮮やかな緑だった。
『って、どこじゃい!』
【叫ぶのは良いが、危ないぞ】
へ?
うわぉ!
ここ木の上か!
てかリスポーン地点がここってビックリなんですけど!
『岩の形といい、木の配置といい。コレのちの木の葉の里地点じゃねーですか?』
【いい場所だろう?】
『アルトゥがそれ言う?と、いうか、なんか都合よすぎないか?』
【貴女は疑い深い方ですねぇ。私もわざわざ人型でお邪魔しているというのに】
人型だと?
振り向けば銀髪の美人がいた。
『やべぇ。美人だ。長髪男性なのに、すっごく美人だ』
【いったい長い髪に何の恨みがあるか知らぬが、神はその力を髪の長さで保つ。レベルみたいなものだ】
『なるほど……。一瞬、あの変態忍者と区別するためかと思いましたよ。あー、でもその髪は紫がかってますね。見分けつくわ』
【あれと一緒にするでない。さて、とりあえずここに拠点作れ】
おおい!
『アルトゥ?!ここに作ったら先住民なんじゃ!』
【発言権が得られよう?】
『確信犯か』
【お前のいた世界でもそれは重要であったろう?】
『まぁ、それを得るために何リットルの血が流れたことか……。そ―考えると、のちの戦いもわかりやすい、っちゃ分かりやすいよ……』
【先にお前自身も確認してみろ。鏡は出してやる】
アルトゥが手をかざして鏡を私の前に出してくれた。
『えええええっ!』
ある程度の予想はしていたが、なぜに齢五歳前後の姿!
『……この姿で拠点作れと?というか、降りれんし』
【そこは特殊能力がもう付いていよう?】
『何そのチート設定。あー、この世界じゃそうでもない限り生き残れんってか?』
【当たりだ。では、さっさと作れ】
『う、うっ。ブラック企業だ……』
【特殊能力という報酬をあげたのだ。それなりに動け】
えー。
って、言ってても仕方ないよな……。
んじゃ、どうすればいいんだ?
えーっと、チャクラは……あ、練れた。
どう発動していいか分からないから、とりあえず少し離れた地面へ発射。
ガガガッ!
『なんか出た!というかあれ水晶じゃね?!』
【良いであろう?】
『あー、うん。見た目的には……。しかし、アルトゥくらいの人だから、水晶なの?清浄とか聖域とかあるよね?』
【察しが速い】
『あーどうやって降りよーな……。クッション性もなんもねぇ』
そう考えていたら背中を押された。
『って、落ちる!死ぬ―』
【絶叫している場合があるならば、努力しろ】
マジで死ぬなこの高さ。
マイクラでも死ぬ高さじゃね?
んだが、やってやらぁあ!
チャクラを練って、発射切り離しをせずに私に繋げたままにして!
『はぁああ!』
ズガガガッ!
水晶が地面に突き刺さり、私の体を支えるように落下を防いだ。
重力という負担が衝撃となって、体に来るが、何とか耐えられる程度のもの。
『た、助かった……』
あー怖かった。
【さて、そこでどうだ?ここに穴を掘ってちょいといじれば拠点になろう?】
『って、人が必至のダイブしたのに、させた当の本人はいともたやすく降りてきてるんですか?!』
【そこは神クオリティだ】
『……あー、うん。もういいや』
アルトゥに言われるまま、適当な穴を能力で作って、拠点に改造しました。
……えっと、アルトゥさん?
そっちのベッドはどこから出したので?
キングサイズなんですけど……
でも、神様だし、なんでもありか……
『さて、次はどうすべきかな……』
原作介入?
バッチ来い!
柱間さんが太陽属性なのも、切れ味抜群のマダラさんも結構萌えます!
ま、遠目で見ていても癒しだよねぇ。
【それよりも、名はちゃんと決めたか?】
『苗字が威守(いかみ)。名が瑠威(ルイ)。苗字はアルトゥもこれでいい?』
【ああ。それでいい。】
『というか、今この世界の主人公居ないし。というかその親達すら生まれてすらいねぇ……』
【だが、発端がおる】
『んじゃ、とりあえず毎日岩の上に行けばいい?てかあの二人ちゃんと生存してる?いったい何歳よ……』
【ちょうど別れる直前くらいの歳であろうな】
『うわぁ……。なんつ~チョイスだよ。二人の幼馴染(仮)になれってか?』
【今日はもう遅い。さっさと寝て明日からにしろ】
さすが神様。
こっちは置いてきぼりです。
混乱しまくりだよ。
なんだこの急展開。
はい、眠る前に確認します。
私、威守瑠威は前世で若くして自殺いたしました。
それは重い罪という事で、神様の都合もありどっかの世界への世直しとして跳ばされてしまいました。
んで、拠点を作らされて、なんとその作った場所が木の葉の里の基礎部分でした。
というか工事予定地。
そして、もう幼馴染のような飛び入り参加をして、あのお二人から発言権奪って来いというようです。
アハハ……
内容的に死にそう……。
何この無理注文の羅列。
特に最後!
やべぇ……シカマル君のような頭が欲しい……。
あー、でもダンゾウへの牽制にはなれるかなぁ?
がんばろ、私。
こうして、私は混乱しながら眠りについた。
木の葉で作ったベッドで。
『そんなに大きなベッドなら一緒に寝させてくださいよ!』
【吾と寝ると?もう少し力をつけてから寝言は言え。そうでなければ、私の寝相だけで死ぬぞ?】
うわぅ。
キングベッドだとしても、そこに寝るのは命がけでした。
アルトゥの言うとおりにもっと強くなってからにしようと思います。
自殺した事があるとはいえ、命は大事にしたいです。
次ページ:意味の有無へ