朝起きて、気配を探りながら外へと出る。
水音を探してうろうろしながら、小川で顔を洗い、水分をとる。
『あー、水きれいだねー。やっぱここまで樹が大きいと原初の森みたいなんかな……』
昨日は参った。
ここいらの樹はとても大きいから、落下していても考える時間あったからいいけど。
いきなり落とすなよな、神様。
どこのスカイ○ォードソード編○ルダさん?
私自身のノリとしては銀魂っぽいノリなんだよ……。
ギャグ大好きの時々シリアス系。
あー……でもな。
この時代の、この世界じゃそりゃ無理ってもんだろな~。
シリアス万々じゃね?
それがわかってたから、神様相手でも敬語時々にしか使ってないんだよな……。
『面倒の文字しか浮かばないんだけど、二次元の世界がこうしてあるってことは、他の二次元の世界も存在していておかしくはないから……。たぶん、”帰れないってことは自分たちの問題なんだ”って、言ってるあの彼も存在していてもおかしくはないよね。そっちに跳ばされなかっただけマシか』
アルトゥが何を考えているかはわからない。
ここに私と彼が来た意味が世界の平定の為と、アルトゥは言っていたが、それは本当に意味があったのか……。
『でも、手が伸びるのに手を伸ばさないのは、ただのピエロよね。んなの嫌だし。じゃー、覚悟決めていこうぜ、そうしようぜ。て、今はいいけどこの考え方少し見直さんとなー。私って、こうして口に出して考えるタイプだったよ。ま、おいおい直してくでいいか』
水面に映った私は、昨日見た鏡の姿と同じで、なぜかポンチョを羽織っていた。
下はジーンズなので、かなり動きやすい。
『この世界じゃ異質な恰好よねー。ま、どうにでもなるか。それよりご飯どーしよ』
最初の関門は、どうやら食料の確保のようである。
が、食糧問題はいきなり解決した。
【どこに行っていた。ま、それもお見通しだが。それよりも早く食べて岩の上に行け】
拠点で待ち構えていたアルトゥが食事を作って待ってた。
おい。
どこから材料出した。
そして、どう調理した。
…………
神様だし何でもありか。
とりあえず、感からして毒は入ってなさそうなので、適度に食べて拠点から岩の上へと移動する。
登ってみてわかったが……。
天然アスレチックでした。
登山ってこんな感じなのかな……。
『景色いいなぁ。この世界で争いが多発してるとか嘘っぽくすら見える』
長く伸びた稜線とかを眺めていたら、後ろからクナイらしきものをあてがわれた。
……来たか。
「おぬしは誰ぞ?」
って、太陽属性でした!
『昨日からこの近くに住んでる者よ。でも、人に聞く時は先に名乗るのが普通じゃなくて?』
「……おい、お前が名乗れ。力の差は分かってんだろが」
ぎゃー、切れ味抜群がいらっしゃるぅ!
『一応一般人だよ、私は。でも、こんな時代だし、なんとなーくそっちが上だってのは分かるからいいか』
さりげなくクナイどけて、振り返る。
うわぁ、目の保養だなぁ。
『私の名前は威守瑠威。で、そっちは?』
臆さずに名乗ったら、二人ともため息をついた。
「わしは千手柱間だ」
「……ちっ、うちはマダラだ」
……マダラさん。
やっぱ、君の性格は子々孫々まで受け継がれてますよ……。
いきなり舌打ちすんなや。
「瑠威とか言ったな?おぬしは孤児か?」
「んじゃなきゃ、どこの回し者だ、あ”あ”?」
『孤児じゃないし、回し者でもないし。瑠威は瑠威だし。あー、性別は女の子。今年五歳』
私は再び景色を眺めながら、その場に座りなおした。
イケメンキャラ二人をずっと見てるのもいいけどさ、植物の方が和む。
そんな私の行動を見てか、二人はまたため息をついて同じように景色を眺めだした。
「俺の近くにいても飄々とした奴は初めてだな」
「それは、おぬしがいつも近寄りがたい雰囲気を出しておるからであろう?」
「あ”?」
「それだそれ。この小娘なら大丈夫であろう。我らのような、生業でもないし」
「しかしだな、この土地に住んでるとかいっとたぞ?」
『って、話すのはいいけどコソコソすんのはやめたら?えーっと、なんだっけ?変化?とか分身じゃなく私は生身の本物だから。というか、術なんて一個しかできないし』
…………
…………………
「本当におぬし五歳か?」
「それにしちゃぁ、よくしゃべんなぁ。あ”?」
『こんな時代だからね、否が応でも大人にならなきゃいけなかったんだよ』
「一人か?」
『一人ではないよ、もう一人いる』
人じゃないがな。
「兄か弟か?」
『しいて言えば兄かな』
絶対アルトゥは弟属性じゃない。
「血の繋がりは?」
『ないよ、でも魂の繋がりがある』
偽名とはいえ名付けてしまったのだ。
魂の一部がつながってしまったと考えてもいい。
「おぬしはどうしてここに来た?」
『景色がきれい。喧騒が遠い』
「唯一できる術ってなんだ?」
『二人して立て続けに質問?まぁ、いいけど』
適当にチャクラを練って、二人の近くに放ってみる。
水晶が地面に刺さった。
さすがに吃驚したらしい。
しげしげと水晶を見ている。
「血継限界か?」
「チャクラの性質は、土と炎、水……。見たことないな。だがそんなものじゃねぇか?俺の目と一緒だ」
「それを言うなら、わしのもそうだろう」
「……」
「……」
いきなり黙ったと思ったら、ため息をつく二人。
『空気重いよ?』
「お前は、その力の重要さがどんなのか分かってるのか?あ”?」
『知ってるから、ここに住むことにした』
「おぬしはどう思う?この世界を」
もう重要な話かぁ……
『人が少ないのに、戦い多すぎな世界。欲深い人の声が多い世界』
「そうか……」
『貴方たちがどうとらえてるかは知らない。でもこれだけは言える。”人の歴史は抗い続けることがその歴史”けれど、”選択するのは他人じゃない、自分である”っていうことくらい』
「お前本当に五歳か?」
『うん』
それから、しばし景色を眺めていた。
小一時間もせずに二人は帰っていった。
それぞれ家族がうるさいんだそうだ。
そういえば、二人戦う運命にあるんだったなぁ。
運命の神は二人に試練を与えたのか……
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