忙しさの中のクディッチ

 

 薬と部屋の探索に追われながら、授業は続く。

 魔法史はなんとか眠気に耐えて、呪文学・変身術は一発合格の日々、天文学では夜空に癒され、薬草学はおもしろ魔法植物に触れ、魔法薬学に置いては八割くらいの出来で点を稼いでいた。

 セブルスの採点は結構辛口だぜ。

 二年生になったからと言って教科が増える事は無い。

 やはり三年から教科が増えるようだ。

 

 私にとってはありがたいねぇ。

 なにせ放課後をめぇいっぱい戦いの準備に使用してるから。

 そうじゃないと生死に関わるもん。

 

 

「よし、行くぞ!」

 

 今年も熱のこもった言葉で言うウッド。

 

『ウッド先輩、そう熱くならずに。まだ練習ですよ?』

「そうは言うが、禪。僕ら六年生は来年までしかいられないんだ。熱も入る」

 

 新しく入ったロン以外はまたかという風に、私とウッド先輩の会話を見ている。

 

「って、禪。それ先輩!」

『ロン、これが私の通常よ』

「ああ、ロンだったな。双子の弟の。禪は意外とクディッチには必要でな」

『主に情報収集での面だけどね』

 

 ロンは未だに状況が読めていないのか、ハリーをがっくんがっくんと揺さぶっている。

 

「それで向こうは?」

『箒を親の力で更新させたわ。まぁ、どこの家からかとかは、ちゃんと探ってきたから』

「流石だな」

『でも、今年はあんまり驚かせる事ができないわね。ハリーも私も既に出場してしまったし』

「驚かせる必要はないさ。実力を見せつけてやればいい」

『そうね』

 

 私とハリーの実力であればというウッド。

 確かにそうかもと思いながら、今年は個々での練習ではなく、チーム内での対抗戦となった。

 

 あー、こういう練習方法か。

 まぁその方が実戦ぽくていいわな。

 

 当たり前だが、ハリーと私は別チームでのシーカーで、双子も別々のチームだ。

 力はほぼ互角で、なかなか勝負がつかない。

 ハリーが取ろうとすれば、私が邪魔をしてかすめ取ろうとするし、ブラッジャーも邪魔をしてくる。

 逆もしかりだ。

 模擬戦といえるだろうそれは二時間ほど続いたところで、皆の息が上がり始める。

 それくらい激しい球の応酬と攻防のせめぎあいだった。

 私は全力を出さずにハリーの相手をし続ける。

 彼は気づかずに全力でぶつかってきていた。

 

 くくくっ、さぁどこまで出し続けれるかな?

 って、これ悪役のセリフ。

 でもやっぱ全力は出してあげない。

 ハリー、君には箒での行動能力でも伸びてもらわなきゃ、ね。

 

 その後五十分ほど続けて、スニッチを難なく掴んだ。

 模擬戦がそれとともに終了し、スニッチを除いた点数だけで見ればかなりの接戦であったとわかる。

 

 って、待て。

 ひょうひょうと点数見に行ってるの私だけ?!

 後ろ見たら皆バッタリ倒れてんですけどぉぉお!!

 いやぁあぁぁ!

 屍累々!!

 あ、ハリーは箒にもたれてなんとか立とうとしてる……。

 

 

 こうしてそうこうしている内に、練習は終わった。

 あ、余談だけど、皆その場から動かなそうだったので、浮遊魔法使用しちゃった。

 だって、お姫様抱っこできないもの。

 

 

 


 

 

『ということで、ポンフリー助けて』

 

 競技場に残して行くのはちょっと気が引けたので、ポンフリーのところまで運んできた。

 さすがに浮遊魔法を身体に直接かけっぱはいけないと思ったので、担架を創造魔法で創り、それに浮遊魔法をかけて運んだのだ。

 

「またですか……。って、今日は随分と多いのね」

『クディッチの練習が予想以上に激しくて……。皆、疲労困憊と寝不足です』

 

 毎朝四時起きの私はともかく、ハリー達に毎朝五時起きは辛いものだ。

 

「とにかく、ベッドへ。禪、魔法を解除して少し手伝いなさい」

『了解です』

 

 ポンフリーに従い、一人一人ベッドへと担架から移動させる。

 その際に魔法を解除していった。

 全員をベッドに移し終えれば、ポンフリーが持ってきた薬をもらいうけて飲ませてゆく。

 

「こんなになるまで、練習するとは。禪、貴女からも少し言っておきなさい。練習は程々に、と」

『ええ、そうするわポンフリー。やり方自体は正解だと思うので、時間制限を設けるわ。クディッチはスニッチがタイム制限だけど、練習では決着つけるとかいらないからね。そうもっと考えて、この練習方法使用時間は一時間だけにして、スニッチはとっても点に入らずにそのまま継続。スニッチは取っても、もう一度取り直し……』

「禪。貴女も少し休んでは?貴女だけが考えていても、事は動かないものですよ?」

『うっ、痛いところ突いてきますね。まぁ、そうなんだよねぇ。ウッド先輩もダウンしてるし、ハリーもロンもだし。今の内に改善点だけでもメモしようか。そうしよ』

 

 早速メモを出して今の内容を書く。

 

「はぁ、書いたら寝なさい。と、いうよりお迎えが来てますね」

 

 ホワッツ?

 迎えだ・と・?

 嫌な予感しかないんだけど……

 とりあえず内容を書き終えて、後ろへ恐る恐る振り返る。

 

 保健室の入り口には魔王化したセブルスがいました。

 

 ぎゃぁあああああ!

 やっべぇえぇぇぇ!!

 

「まったく貴様というやつは……」

 

 おぅふ。

 これはオワタ、マジでオワタ。

 

「また魔法を使ったのだろう?」

『う……』

「誰かに見られでもしたらどうする」

『そこは結界魔法で姿消してました。ハリーが気を失う直前にそれを気にしていましたし、私もそれはやばいと思いましたので』

「……賢明だな」

 

 セブルスはそう言うと私を担いだ。

 どうやら、私に選択肢はないよう。

 

「地下牢に戻るぞ」

『……はい』

 

 という事で、強制連行です。

 

『ポンフリー、皆の事まかせた!』

「ええ、いってらっしゃい」

 

 


 

 

「禪。お前また作ったな?」

『……はい。これからセブルスに見てもらおうと思っていた矢先でしたが……必要になりまして……』

 

 だってねぇ。

 放っておいたら結界ごと、彼の魔力に染められそうな気がしたんだもの。

 さっさと行動おこすしかないじゃない。

 

「はぁ。禪、分かっているのか?それがいかに危険かを」

『分かっているつもりですよ。そういう危ういところを、慧にフォローしてもらっています。正直言って、私自身も綱渡り状態だと自覚を持っていますが、これしか手がないんですよ』

 

 とりあえず地下牢から直ぐに、二人で秘密の部屋へと移動する。

 今日は双子もハリー達もクディッチ練習に倒れたり、その看病だったりで忙しいはずだ。

 そう推測し、当っていたのを秘密の部屋に降りきってから確信した。

 

「それでどこだ?」

『こちらへ』

 

 錬金の間へと誘導する。

 そろそろ方角で部屋の名前を付けるのは嫌になっていたので、あの剣が大量に刺さっていた部屋をそう呼ぶことにしたのだ。

 他の部屋もおいおい名前を付けようとは思うが、今は置いておく。

 

 天蓋に覆われたそれを、見せればセブルスの目は大きく見開かれた。

 

「禪、お前は分かっているのか?!」

『分かっているつもりですよ。これを作るには、本来知識や経験など様々な事が足りない事も』

「ならばなぜ!」

『その大釜の底を見てください』

 

 それが全ての答えだ。

 

 セブルスが大釜の中を覗き込む。

 底は暗いが、中に沈んでいる物がページがめくれている状態だったので、何とか分かるだろう。

 

「……なんだ?」

 

 彼がそう言うのも、ごもっとも。

 それの存在を彼は知らない。

 そして、知らされてはいない。

 敵の、最大の切り札にして、この物語の要因でもあるのだから。

 

 

 

 

 

 さぁ――――――

 

        ――――――この物語の要を崩してやろう。

 

 

 

 

          次ページ:歯車になるか、それとも――

 

 


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