「飴玉婆さん」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

飴玉婆さん」(2006/03/27 (月) 23:06:04) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

蒼「はぁ・・・・」 時間は放課後。蒼星石は今、物凄い落ち込んでいる。 原因は、そう時間を少し遡ってお昼休。 何気なく生徒と食事を摂っていた蒼星石。 ただ話題が、段々と自分達の学校の怖い噂へと流れていったのがそもそもの始まりで。 生徒A「あー、そう言えば先生は知ってます?」 蒼「え?何かな?」 生徒B「やだなー、今噂の飴玉婆さんの話ですよー。」 食事時に何でそんな話題をだすのかと蒼星石は叫びたかったが生徒の前なので自重した。 噂に上がった飴玉婆さん、蒼星石も口伝いぐらいにしか聞いたことが無かったが 何でも放課後、雨の降りしきる中、一人でいると、校門の前で老婆に話しかけられ飴玉を貰えるという。 その飴はこの世の物とは思えないくらい美味しいらしく、舐めると様々な効果があるというのだが、 話す生徒によってその効果はどれもバラバラで信憑性が薄い。 大方、よくある噂、都市伝説的な話だが恐い物が苦手な蒼星石にとってこの話題はもっとも触れて欲しくないものである。 蒼「は、はは、よくある話だよ。僕の学生時代にもそんな話の1つや2つ・・・」 何とかこの話題をスルーして他の話題に持っていこうとするが、生徒が許してくれない。 生徒A「いやいや、これはマジでいるらしいんですって!!」 生徒B「そういやー、これは先輩から聞いた話しだけど・・・」 要約すると、その先輩の友人が、その飴を老婆からひったくって家で舐めてしまう。すると夜中に老婆が現れ、 飴を返せというが、舐めてしまい飴はもう無いとその友人は答えると、目玉を抉り出せれてしまったとのことらしい。 そんな話だけで、蒼星石は失禁物である。 蒼「ば、馬鹿だなー・・・。そ、そんなことになれば警察が動くし、大々的に新聞にも載って、大騒ぎのは、筈じゃないか?」 どうにか現実的に思考を働かせ、恐怖を取っ払おうとするが・・・ 生徒A「あー、聞いたことあるわー、それ。何でも飴の正体は目玉なんだってなー・・・」 生徒B「そうそう。でもさー、この話を聞くと3日以内に自分の元に飴玉婆さんが来るんだってよ。     お前、どうする?やっぱ舐めちゃうわけ?」 そんな話を聞かされてはたまったものではない。蒼星石は必死に耳を塞ぐ。 蒼「だ、大丈夫・・・僕のところにはこない、こないったら、こない・・・。こない・・・こない・・・こない・・・」 生徒A「せ、先生?!」 ぶつぶつと言いながら、耳を塞ぐ蒼星石にちょっとクラッとしかけたA。 生徒B「だ、大丈夫っすよー。た、ただの噂話なんだから・・・」 自分の振った話でこうなった責任からか何とかフォローしようとしたBだったが 蒼「あー、あー、あー。聞こえなーい、聞こえなーい・・・」 と耳をペチペチと叩きながら、脱兎の如くその場から逃げ出す蒼星石。 2人には悪かったが、そういう話題が苦手なのでしょうがない。 そして、時間は冒頭の放課後へと移る。 蒼「はぁー・・・嫌な話聞いちゃったなー・・・」 しかも、不幸は重なるもので、空模様が午前中の快晴日和から一転、雨が降りしきってしまった。 噂通りだとすると、絶好の遭遇チャンスとなるわけで、蒼星石には堪ったものではない。 蒼「どうして、こう、僕が怖い話を苦手なのを知っていて、ああいう話題を出すのかなー・・・」 職員室で、自分のクラスの答案をチェックしながら愚痴る蒼星石。 普段、凛とした人物の脆い部分を見たさに、そういう話題を振られるのが日常茶飯事になっているのだろう。 銀「あらぁ・・・あなたも、あの噂を聴いたのぉ・・・?」 そんな中、いきなり水銀燈が話しかける。だが、いつもと違い顔色が優れない。 蒼「あ、水銀燈。貴方も・・・ってことは・・・水銀燈も?」 銀「そうなのよぉ・・・貴方なら話すけどぉ・・・。じ、実は私もああいう話は苦手でぇ・・・」 若干、涙目気味に蒼星石にことの顛末を話す水銀燈。 男子生徒との雑談で、その話を聞かされてしまい、その日以来、夜もあまり眠れないのだと言う。 しかも、今日で噂の3日目が経つのだと言う。水銀燈は子供の頃からそういう話は苦手だと聞いていたが普段の態度を見るに 嘘だと思っていた蒼星石だったが、話してる最中、ずっと震えっぱなしなのだから、そうとう怪談話が苦手なのだろう。 蒼「で、でも何で僕がそれで苦しんでいるって分かったのかな?」 銀「貴方が愚痴ってる内容を聞いたら、私と同じだから助け合いましょう・・・と思ってぇ。」 蒼「は、はは、只の噂話」 と蒼星石が言いかけたとき 翠「噂じゃねぇですー!!実際にウチのクラスの奴は見たって言っているですー!!」 と若干どころか明らかに興奮しながら話題に入り込んできた翠星石。 銀「ちょっと、翠星石ぃ!!貴方、一体どこから・・・」 蒼「そ、そんなことより、翠星石!!君は今までの話を聞いていたのかい!!   人が困ってる話題で、更に追い討ちをかけるような真似はやめなよ!!」 自分も同じ話題で困っているのだ、と水銀燈に助け舟を出す蒼星石。 翠「そんな話は聞いてねーですぅ。ところで気を付けるといいですぅ・・・   何でも飴玉婆さんは噂を聞いた奴のところに現れる際には、問答無用で目ん球引っこ抜いていくらしいですよぉ・・・」 ジト目でそう語る翠星石。蒼星石も水銀燈もその言葉に戦慄が走る。 2人にはお構いなしとヒーッヒッヒッヒと不気味な笑い声を残して去っていく翠星石。 蒼「ちょ、ちょっと、す、翠星石!?」 銀「も、もう、いいわよぉ・・・。あの娘がいると余計な事言われそうで堪らないわぁ・・・」 たしかにそうだと蒼星石は考える。そして、水銀燈がある提案を持ちかけてきた。 銀「ね、ねぇ、蒼星石?あ、あのぉ・・・そのぉ・・・今日はちょっとい、一緒に帰らない?   ほ、ほらぁ、今日は雨も降りだしたし、わ、私、今日は傘を持ってきてないのよぉ・・・。」 普段、一緒に帰ったことなどないのだが、やはり噂話の影響なのだろう。 蒼星石もそれで苦しめられていることもあって、了解した。 そして2人の仕事も早々と終わり、帰ることになる。しかも珍しく、定時上がりである。 まあ、こんな状態で、残業してから夜中に帰ることなど出来やしないだろう。 仲良く相合傘で職員玄関から出てきたところを生徒に冷やかされたりもしたが・・・。 そして、校門に辿り着こうというときに水銀燈が震えだした。 蒼「ちょ、ちょっと、どうしたんだい?」 銀「な、何言ってるのよぉ?!言ったじゃなぁい・・・、私今日で3日が立つのよぉ・・・。   噂通りなら、雨も振ってるし、で、出てくるかもし、しれないわぁ・・・。」 蒼「わ、分かったよ・・・。じゃあ、ほら、水銀燈は目を瞑ってて。僕が校門を抜けるまで手を繋いでてあげる。   校門を抜けて、何も無かったら合図を出すから・・・ね?」 そんな子供みたいな真似、冗談じゃないと思ったが、事情が事情だけに断れない水銀燈。 恥ずかしげに手を差し出し、目を瞑る。 銀「こ、こんなところ、真紅には絶対に見せられないわぁ・・・」 蒼「(僕だって本当は恐いのに・・・)」 そして仲睦まじいカップルみたいな格好で、校門を無事に抜け出した2人。 蒼星石が何も無いことの合図を水銀燈にだした。 銀「や、やったわぁ!!こ、これで今日から安心眠れるわぁ・・・。」 何事も無かったのが余程嬉しいのか、目には涙が溢れている。 蒼「何だ、やっぱり只の噂だったんだ・・・」 そして蒼星石も自身に降りかかることが無いこと知り安心する。 だが、その安堵に胸を撫で下ろした束の間、その安心は次の瞬間、崩壊する。 ○○「ヒーッヒッヒッヒぃ・・・お嬢さん方ぁ・・・この飴はいかがですー?」 蒼「なっ?!」 銀「い、嫌ぁぁぁぁ!!!!!」 いきなりフードを被った長い髪の女性らしき人間?に飴を薦められた2人。 深くフードを被っている所為で詳しい年齢が分からないが、どこか不気味なオーラを放つ。 コレが噂の「飴玉婆さん」なのだろうか? 蒼「そ、そんな・・・た、た、たしか一人の時にしか現れないって聞いたのに・・・」 銀「い、いやぁ・・・めめ、目玉はを抉られるなんて、ぜ、ぜた、絶対に嫌よぉ・・・ううぅ・・・。」 恐怖のあまり泣きながら蒼星石にしがみつく水銀燈。 ○○「ヒッヒッヒッヒ・・・食べないですかー?なら、そのお嬢さん方の目玉をー・・・」 蒼「あ、あれ?その声・・・しゃがれてはいるけど、どっかで聞いたことがあるような・・・」 老婆らしき人物の声に心当たりがあるのか考え込む蒼星石。 そして何故か慌てだす老婆らしき人物。 ○○「な、な、何を言っているですー?!私の名前は飴玉婆さんですー・・・。    そ、蒼星石のしっている奴とは別の人間なのですー・・・。」 蒼「・・・」 そう答えを聞くと、無言で老婆?のフードをバサリとを剥ぎ取る蒼星石。 中から出てきたのは・・・ 翠「・・・ヒッヒッヒッヒー、お前らの目玉を抉ってやるですぅ・・・」 正体がバレたのに演技を続ける翠星石。往生際が悪い。 蒼「・・・何してるの?」 無表情で言い放つ蒼星石。 翠「な、何言ってるですかー。私は飴玉婆さんですー・・・痛っ!!」 いきなり拳骨をお見舞いする蒼星石。しかも、また無表情。 蒼「ふーん・・・まさか、君がこんなことをするなんてねぇー・・・」 翠「うう、ば、バレちゃあしょうがねぇです。た、たしかに翠星石が悪かったですぅ・・・ゆ、許しやがれ・・・痛っ!!」 また拳骨をお見舞いする蒼星石。 蒼「君がそんなことする人だとは思ってもいなかったよ・・・」 翠「だ、だから、謝っているじゃねえですか?!」 蒼「ダメ!!水銀燈を見てご覧・・・。ほら、君の所為で腰が抜けて大変なことになってるだろう?   それなのに君は全然悪びれた様子も見せないで・・・」 ここから蒼星石の長いお説教が始まる。途中から復活しだした水銀燈も加わり 翠星石にとっては地獄の審判に匹敵するほどのお叱りを受ける羽目になった。 蒼「それじゃ・・・君が今までやった悪戯を、今度の全校集会で謝るって話忘れないでね?」 銀「後、一ヶ月は全校舎のトイレ掃除をやってもらうわぁ・・・」 2人の怒りの結果、このような裁きが下った翠星石。 翠「ちょ、ちょっと待つですぅ!!全校集会はともかく、一ヶ月のトイレ掃除は・・・」 いくらなんでも、やりすぎだと非難しようとしたが 銀「何、言ってるのぉ?!この服をクリーニングと弁償しないだけ有難いと思いなさぁい。」 腰を抜かした際に泥が付着したり、破けてしまった部分を指差しながらそう答える水銀燈。 オールブランド品で全身を飾っているので、弁償になれば翠星石は大赤字だろう。 翠「うう・・・やっぱり、こんなことやらなきゃ良かったですぅ・・・」 その後、有栖学園新聞には頭を下げた翠星石が一面を飾ったと言う。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
目安箱バナー