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○あらすじ
ボエ~

○本編
拝啓
お母さん、お姉ちゃん、元気ですか?
お父さんは大人しくしてますか?
翔は悪さしていませんか?
先程、私はこう書きました。
「もう帰りたいです」
と。
何だか、帰れるみたいです。



言波家が幻想入り 心詠 第一部最終話



パチェ「というわけで、おはよう霊夢」
霊夢 「……珍しいお客さんね。あんたって、朝方には見えないんだけど」
パチェ「月も日も、私の領分よ」
霊夢 「正直もうちょっと寝たいんだけど。まぁいいわ入りなさい」
パチェ「お邪魔するわ」
心詠 「お邪魔します……」


起きてすぐ、この神社に連れられて来ました。
顔は泣いて腫れてるし、髪はボサボサ、何よりお風呂に入りたかったのですが、魔法でチンカラホイです。
便利ですね。



魔理沙「なんて出不精な奴だ!私にも教えてくれ!」
アリス「全く魔力の無駄遣いね。今度教えてちょうだい」


と言ってた2人は置いてけぼりです。
今頃は図書館の掃除をしているはずです。


霊夢 「……2人きりで?」
パチェ「小悪魔がいるから、大丈夫でしょう」
霊夢 「へー、余裕ね。
    あんた達は朝ごはん食べる?」
パチェ「3人前も用意してないでしょうに。
    咲夜にお弁当作ってもらったわ」
霊夢 「あら、助かるわ」


……『餓えた獣は餌付けに限りますわ』と言ってたのは内緒です。
抱えてた重箱の包みを解くと、明らかに3人前以上の量のお弁当が出てきました。


パチェ「はい、味噌汁の具よ」
霊夢 「いつもすまないわね」


準備万端にも程がある気がします。
気にしたら負けなんでしょうきっと。
食事を済ませ、やっと本題です。


パチェ「この子、外来人なんだけど、帰してもらっていいかしら」
霊夢 「ええ、良いわよ」


二つ返事でした。


霊夢「じゃーちょっとアンタ、こっち来なさい」


ちょっとビクビクしながらついて行きます。
表に出て、鳥居の下まで来ました。


霊夢「ちょっと動かないでね。えーっと……」


ぺたぺたと御札が張られていきます。
気のせいでなければ、針のようなものも刺さってる気がします。
痛くないけど、何とも落ち着きません。


霊夢 「外国とか古代とか平行世界とかから来てる場合あるから、戻る方法も人によるのよね……」
パチェ「そんなの、どうやって特定するの?」
霊夢 「決まってるじゃない。勘よ」
パチェ「ああやっぱり。つまらないことを聞いてしまったわ」


このお札、意味あるんでしょうか。
……と、霊夢さんが私から離れ、鳥居に手を当てました。


霊夢「貴方の帰り方は……こうね」


言葉と共に、光が満ち溢れます。
思わず目を閉じ、おそるおそる開くと鳥居の中が水面のように揺らめいています。


霊夢「このまま鳥居をくぐれば、元の場所に出られると思うわ」


そう言いながら、体に張り付いたままだった御札が取り除かれました。
思わず、パチュリーさんの方を振り向きます。
目と目が合います。

昨日のことは、夢だと思って忘れなさい。貴方の世界に、魔法は必要ないでしょう?

頷き、前に向き直ります。
……でも怖いので、そっと首だけ突っ込んでみます。
その先にあったのは、確かに、私の良く知る夕暮れの通学路……!
そして、ヘッドフォンから流れてくるラジオ……!!



間違いない
やった

帰ってこれたんだ!!



突然、
後ろにひっぱられ、倒れこみます。
見上げる空に映るのは、鳥居と青空。
慌てて起き上がり、後ろを振り返ってみます。
てっきり霊夢さんかパチュリーさんに引っ張られたかと思ったのですが、どちらも手が届く範囲にはいません。
ですが、こちらを見る目は驚きに見開かれて……。


パチェ「ちょ、ちょっと、心詠、鳥居から手だけ出してごらんなさい」


言われた通りにしてみます。
すると、私の腰から、黄、黒、桃、黄、青の光の帯が出ていました。
なに……これ?


パチェ「手を抜いてごらんなさい」


消えました。


パチェ「もう一回」


現れました。


霊夢「アンタ、ちょっとこっちに来た時のことを話しなさい」


険しい顔をした霊夢さんに問い詰められました。
とはいってもあんまり話すことはありません。


心詠 「家に帰る途中、突然空から落ちました」
霊夢 「やられた……あいつの仕業に違いないわ」
パチェ「そうね……多くの外来人に見られる傾向ね」
霊夢 「でも、それならそろそろ、したり顔で現れるはず……?」


そういって中空を見つめる霊夢さんとパチュリーさん。
しばらくそのままでしたが、何も起こる気配はありません。
その間、私は試しに再度再々度と鳥居から出てみましたが、やっぱり戻されます。
腰の光の帯がゴムのようにひっぱっていることだけははっきりしました。


霊夢 「おかしい。そろそろ絶好の機会のはずなんだけど」
パチェ「もうちょっと話を進める必要があるのかも。
    心詠、あなた……『5人』の知り合いに、心当たりあるかしら?」


まさか、まさかそんな……体がガクガク震えて止まりません。
手をどうにかこうにか動かして、私はポケットに入っていた生徒手帳から、写真を取り出しました。
うちの家族は似てないことで評判ですが、初めての人への説明のため持ち歩いています。


パチェ「家族写真ね」
霊夢 「びっくりするほど似てないんだけど……きっと先祖返りね。
    こっちでもたまにあるのよ」


……そんな慰め方は初めてです。
お母さんに聞いてみようかな。


パチェ「多分青がこの子で、緑が……何かしらこのゴーレム」
霊夢 「桃がこの子で、黒が……この人ね」
パチェ「黄がお父さんでしょうね」


お父さんだけが確定しているのが……いや何でもありません。
ちょっと落ち着きました。


心詠 「きっとうちの家族全員、ここに来たんじゃないかと思います」
霊夢 「うーん、この光からすると……まず間違いなく、『全員集めないと帰られない』んじゃないかしら?」
パチェ「何のためにこんなことを?」
霊夢 「ゆかりにしてはこう……酷い話だわ。何か裏があるんじゃないかしら。
    あなた、何か心当たりはないの?」
心詠 「さぁ……?」


うーん。
3人でしばらく考え込みましたが、答えが見つかるはずもありません。


霊夢 「この期に及んでも紫が現れないなんて……」
パチェ「こうなったら、心詠の家族を探し出すしかないわね。
    それまでは……うちに、来る?」


思い出すのは、あの悪魔です。


パチェ「大丈夫、大丈夫だから……」
霊夢 「いっておくけどうちはダメよ」


選択肢がありませんでした。
ああ……家族の中で一番大人しい私がこんな目にあっているのですから、皆はどんな目にあっているのやら……。


一部完