アナザー1「突発的思考能力の危険性有り」
「はぁ、『海洋の星』ねぇ。」
見渡す限りの海。目の前に島一つないという辺鄙な環境に飽き飽きしてきている。
私?私の名前は「アズライト」。ツインテールの青緑色。
私がこの船に乗った理由、それは姉のゾイサイトを探すため。
姉が消えたのは1年前。姉も客船『天空の星』に乗ったまま行方を暗ませた。
怪奇現象だとなんだのと叫ぶ大人にうんざりだった。そんなこと言う暇あったら探せと言いたかった。
別に姉に未練があるとかそんなもんじゃない。ただ単に探したいだけ。
自分勝手で意味不明な行動をとるのが私と姉の共通点。
それと私と姉は双子。一卵性双生児だからきっとすぐに分かる。
私は絶対に姉を見つけて家に連れ戻す。なんとしても・・・。
「お嬢さん、お若いのにお一人ですか?」
妙に大人びたやつが私の後ろから話しかけてきた。
20代後半と言ったところか。いいところももう少しという感じの声だ。
「別に。一人でいることが私にとっての唯一楽になる空間よ。」
「それは寂しい人だ。人といることも楽しいですよ?」
なんだこの男は。なれなれしいな。
「おっと、大事なことを言っていませんでしたね。」
「何?あなたの様な人は大抵ナンパかなんかだと思うけど。」
私が振り向いた瞬間、その男は私に笑いながらこう言った。
「あなたが探している人はきっともう少しで会えますよ。」
「どういうこと?」
そう聞いた瞬間とてつもなく大きな揺れが。
ゆれだした瞬間にその男はゆっくりと消えていく。
「ちょっと!待ちなさいよ!まだ肝心なところを・・・・!」
次の言葉を言おうとした瞬間に暗闇が私を襲った。
最終更新:2008年04月03日 01:58