第一話【執行者】

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―人の心はどこにあるのだろう。 そんな小さな疑問が始まりだった。 疑問は徐々に大きくなり、 やがて、強大な力を生み出した。 科学とも魔術とも違う。 高次元粒子と呼ばれるそれは、戦争を変えた。 人の心の力を糧に、自らを剣へと変える術式。 折れない剣。 強靭な心を持つものは、数々の戦場で無敗。 ただ、自身が兵器と知りながらも それでも戦い続け、結果、折れない剣は歪みつつあった。 血に染まる空を見上げ、 新たな敵を補足する。 『はあ・・・また来たのか。』 まだ華奢な身体が発光を始める。 その瞬間、宙空から無数の剣が出現した。 そっと腕を中空へ差し出し、目を閉じる。 この一撃で、さらにまた人が死ぬ。 そう思いながらも、戦いを終わらせるためには、と。 彼は腕をソッと振り下ろした。 すまないと心の奥底で軋む何かを感じながら。 瞬間、空が割れた。 宝剣の一撃は多くの命を奪った。 燃える大地の中、少年は誰に言うでもなく呟いた。 「執行者・・・か・・・そんな権利が俺にあるとでも・・・」 ―15年後 ―学園都市桜門郊外 「さって、とー。今回の仕事内容は・・・」 そう言って【柊優子】は手帳を眺めた。 依頼主は桜門学園治安維持部。 依頼内容は【感染源の捕獲】 補足として生死は問わないと書かれてある手帳の一部を彼女は引きちぎり、闇夜に手放した。 「はあ、桜門の執行部はどうにも手薄のようね。何かあったのかしら」 愚痴りながらも彼女はライフルの照準あわせに入った。 【感染源】 それは15年前の戦争後に突如現れた一種の病気だ。 感染方法は未だに不明。 ただ、分かっていることと言えば 1.その病原体は人や動物に感染すると急激に組織を変換させ、未曽有の化物へと変えること。 2.化物に理性はなく、猪突猛進であること。 3.通常兵器ではまったく歯がたたないこと。 これぐらいである。 1と2に関しては別段驚くことでもない。 すでに蔓延してから15年も経ってる今になってみれば常識になっていた。 問題は3だ。 最近の感染源は妙な進化をしたらしく、ここ数年通常兵器はやや効くからまったく効かないモノへと変わった。 まあ、マシンガンやらミサイルやらが効いていれば化物なんて呼ばれないのが実情なのだけども。 そんなことを思いながらも私は光学スコープを凝視し続ける。 感染源は猪突猛進であること。 桜門から脱走したってことは、必ずこのルートを通らなければ外に出れない。 そして、そのルート上にそびえ立つ大きな時計塔の中腹当たりに私は陣取っている。 「石田君、そちらはどう?来た?」 無線機に向かって問いかける。 しばらく反応を待ってみたけども、無線機からは何も聞こえない。 私は少しイラつきながらも出来る限り優しく問いかけた。 「い・し・だ・く・ん?寝てるんじゃないでしょうね?」 無線機のスピーカー越しにガタッと音がした。
―人の心はどこにあるのだろう。 そんな小さな疑問が始まりだった。 疑問は徐々に大きくなり、 やがて、強大な力を生み出した。 科学とも魔術とも違う。 高次元粒子と呼ばれるそれは、戦争を変えた。 人の心の力を糧に、自らを剣へと変える術式。 折れない剣。 強靭な心を持つものは、数々の戦場で無敗。 ただ、自身が兵器と知りながらも それでも戦い続け、結果、折れない剣は歪みつつあった。 血に染まる空を見上げ、 新たな敵を補足する。 『はあ・・・また来たのか。』 まだ華奢な身体が発光を始める。 その瞬間、宙空から無数の剣が出現した。 そっと腕を中空へ差し出し、目を閉じる。 この一撃で、さらにまた人が死ぬ。 そう思いながらも、戦いを終わらせるためには、と。 彼は腕をソッと振り下ろした。 すまないと心の奥底で軋む何かを感じながら。 瞬間、空が割れた。 宝剣の一撃は多くの命を奪った。 燃える大地の中、少年は誰に言うでもなく呟いた。 「執行者・・・か・・・そんな権利が俺にあるとでも・・・」 ―15年後 ―学園都市桜門郊外 「さって、とー。今回の仕事内容は・・・」 そう言って【柊優子】は手帳を眺めた。 依頼主は桜門学園治安維持部。 依頼内容は【感染源の捕獲】 補足として生死は問わないと書かれてある手帳の一部を彼女は引きちぎり、闇夜に手放した。 「はあ、桜門の執行部はどうにも手薄のようね。何かあったのかしら」 愚痴りながらも彼女はライフルの照準あわせに入った。 【感染源】 それは15年前の戦争後に突如現れた一種の病気だ。 感染方法は未だに不明。 ただ、分かっていることと言えば 1.その病原体は人や動物に感染すると急激に組織を変換させ、未曽有の化物へと変えること。 2.化物に理性はなく、猪突猛進であること。 3.通常兵器ではまったく歯がたたないこと。 これぐらいである。 1と2に関しては別段驚くことでもない。 すでに蔓延してから15年も経ってる今になってみれば常識になっていた。 問題は3だ。 最近の感染源は妙な進化をしたらしく、ここ数年通常兵器はやや効くからまったく効かないモノへと変わった。 まあ、マシンガンやらミサイルやらが効いていれば化物なんて呼ばれないのが実情なのだけども。 そんなことを思いながらも私は光学スコープを凝視し続ける。 感染源は猪突猛進であること。 桜門から脱走したってことは、必ずこのルートを通らなければ外に出れない。 そして、そのルート上にそびえ立つ大きな時計塔の中腹当たりに私は陣取っている。 「石田君、そちらはどう?来た?」 無線機に向かって問いかける。 しばらく反応を待ってみたけども、無線機からは何も聞こえない。 私は少しイラつきながらも出来る限り優しく問いかけた。 「い・し・だ・く・ん?寝てるんじゃないでしょうね?」 無線機のスピーカー越しにガタッと音がした。 たぶん、寝てたんだろう。 無理はない。 かれこれ3夜目の襲撃なのだから、眠たくなるのも無理はない。 そうこうしていると、無線機から気だるそうな声が聞こえた。 『大丈夫だ。こちらからは敵を認識している。もう少しでそっちからも見えるんじゃないかな』

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