The Euro Front


『マブラヴ オルタネイティヴ』および『トータル・イクリプス』に登場する人型兵器「戦術機(Tactical Surface Fight)」。
その戦術機の立体アイテムとしてボークスが展開するA3(Advanced system of Action Arms)シリーズをフィーチャーしたHobby JAPAN連載『Tactical Surface Fighter In Action(TSFIA)』のオリジナルシリーズ。

ストーリー

第一話「Zerberusschanze(ケルベロスの砦)

(Hobby JAPAN 2009年3月号掲載)

第二話「Fluoreszenz(蛍火)

(Hobby JAPAN 2009年4月号掲載)

第三話「Vorländerwölfe(波打ち際の群狼)

(Hobby JAPAN 2009年6月号掲載)

第四話「Fresh Breeze Strikes!」

(Hobby JAPAN 2009年8月号掲載)

第五話「Friend or Foe」

(Hobby JAPAN 2009年10月号掲載)

第六話「Fire Discipline」

(Hobby JAPAN 2009年12月号掲載)

第七話「Haves and Havenots」

(Hobby JAPAN 2010年3月号掲載)

第八話「Natural-Born Gunslingers」

(Hobby JAPAN 2010年8月号掲載)


登場人物

イルフリーデ・フォイルナー Ilfriede von Feulner

【CV:伊藤静】
フォイルナー公爵家の一粒種。
騎士道と徳操を重んずる明朗快活でまっすぐな少女。
ドイツ騎士団の末裔であり、"ドラゴン・ハート"と讃えられた祖先を崇拝し、父の教えに従い、フォイルナー家の名誉と人々を護る事を重んじている。
体術全般、特に剣術に長け、突撃前衛を目指している。スカッシュが得意で、腕前は第一中隊をボコボコにするほどである。貴族でありながら極度の味音痴であり、フォイルナー家の恥と言われているが本人は気にしていない。しかしスコットランド料理のハギス(正確にはイギリス人の調理方法)は口に合わないらしい。(ツェルベルス部隊員共通である)
家紋はドラゴン(ドラッヘ:Drache)の意匠。
家訓は『炎の中から己を高めよ!』
  • 2000年3月21日:国連軍大西洋方面第1軍・ドーバー基地所属・西独陸軍第44戦術機甲大隊、通称ツェルベルス大隊配属
  • 2000年4月3日:第2中隊(ロート:Rot(赤)中隊)第3小隊配属。担当ポジションは砲撃支援。
  • 2000年5月26日:初陣。コールサインはローテ12。
  • 2000年7月16日:独仏連合旅団合同大規模間引き作戦参加。
  • 2000年8月初頭:異機種・異国籍部隊間連携訓練(DANCCT)参加。独仏臨時編成部隊“ミュルーズ”に編入される。
    担当ポジションは強襲掃討。コールサインはミュルーズ8。

ヘルガローゼ・ファルケンマイヤー Helgarose von Falkenmayer

【CV:中島沙樹】
ファルケンマイヤー侯爵家の長女。
冷静沈着で合理的思考を重んじるが故に言葉を飾らないが、その心には熱い騎士道精神が宿っている。フェンシングを得意としていて、その腕前は第一中隊の連中をズタズタにするほどである。
オールラウンドな天才型で知略に長け、直情的なイルフリーデとは何かにつけて意見が衝突する。部隊内では一番の日本通であり、正座も一番ガマ・・・上手にできるようである。
甘いものと可愛い動物に弱いが、それを隠している。部屋にはお気に入りの熊のぬいぐるみ(おそらくテディベア)がいる。甘いものではバナナ系の味が好みであるようだ。ショートケーキも作ったことがあるらしい
家紋はグリフォン(グライフ:Greif)の意匠。
  • 2000年3月21日:国連軍大西洋方面第1軍・ドーバー基地所属・西独陸軍第44戦術機甲大隊、通称ツェルベルス大隊配属
  • 第2中隊(ロート:Rot(赤)中隊)第2小隊配属。担当ポジションは突撃前衛。
  • 2000年5月26日:初陣。コールサインはローテ6。

ルナテレジア・ヴィッツレーベン Lunateresia von Wizleben

【CV:名塚佳織】
ヴィッツレーベン伯爵家の次女。
淑徳と慈しみに満ちた天然系お嬢様。
正義感と王道思想は人一倍であり、一見儚げに見えても芯は強く、やや頑固な側面もある。
イルフリーデとヘルガローゼのクッション役になることも多く、困りながらも楽しんでいるようである。
情報管理や状況分析に長け、特に戦術機関連の知識が豊富。朝まで生討論会も可能。
その情熱は「戦術機を婿にする」と周囲に噂される程。なお料理の腕は国際問題になるほど壊滅的であるらしい。車の運転はかなり乱暴。
家紋は獅子(レーヴェ:Löwe)の意匠。
  • 2000年3月21日:国連軍大西洋方面第1軍・ドーバー基地所属・西独陸軍第44戦術機甲大隊、通称ツェルベルス大隊配属
  • 第2中隊(ロート:Rot(赤)中隊)第1小隊所属
  • コールサインはローテ8。ポジションは制圧支援だが動きまくるタイプ

ヴィルフリート・アイヒベルガー

【CV:千葉一伸】
国連軍大西洋方面第1軍・ドーバー基地所属・西独陸軍第44戦術機甲大隊、通称ツェルベルス大隊大隊長。
同第1中隊(シュバルツ:Schwarz(黒)中隊)指揮官。
階級は少佐。
ポジションは突撃前衛。コールサインはツェルベルス1。
グレートブリテン防衛戦の七英雄、"黒き狼王(シュバルツァーケーニッヒスヴォルフ:Schwarzerkönigswolf)"
揚げたジャガイモが好物である。
  • 搭乗機は漆黒のEF-2000 タイフーン。強化装備も黒である。
彼のタイフーンはユーロファイタス社のテストベッドも兼ねているため
主機出力などに調整が加えられている

ジークリンデ・ファーレンホルスト

【CV:小林沙苗】
ツェルベルス大隊第1中隊(シュバルツ:Schwarz(黒)中隊)第2小隊小隊長。
同第1中隊副官・突撃前衛長も兼ねる。
事実上の大隊No.2。
階級は中尉。
ポジションは突撃前衛。コールサインはツェルベルス2。
グレートブリテン防衛戦の七英雄、"白き后狼(ヴァイスヴォルフ:Weißwolf)"
  • 搭乗機は純白のEF-2000 タイフーン。強化装備も白である。
  • ヴィルフリートとは幼馴染で一期下。

ゲルハルト・ララーシュタイン

【CV:黒田崇矢】
ツェルベルス大隊第2中隊(ロート:Rot(赤)中隊)中隊長。
階級は大尉。コールサインはローテ1。「音速の男爵」の異名を持つ七英雄の一人。
近接格闘戦を得意としていて前衛を好んでいるが、大隊長であるアイヒベルガー少佐が突撃前衛を務めていることから、不測の事態に備え通常は迎撃後衛を務めている。
2m以上の長躯と片眼鏡が特徴。口ひげが自慢。
気を遣わない男。奇行に走るため、初対面の人間は度肝を抜くことになる。
奇人と目されることも多々あるが、その立ち居振る舞いは紳士的であり、
地主貴族出身者で構成されたツェルベルス大隊に於いて、最もエレガントな人物であるとみられている。
スカッシュの審判が得意である。
人の心を読むのも得意だったりするがわざと読まないこともある。音速の男爵だけに噂話を広めるのも非常に早い。
  • 搭乗機はEF-2000 タイフーン。パーソナルカラーは赤。強化装備も赤である。

デュオン・シュトルムガイスト

ツェルベルス大隊第3中隊(ブラウ:Blau(青)中隊)中隊長。
階級は大尉。「衝撃の薔薇」の異名を持つ七英雄の一人。
ヴィルフリートを尊崇している部隊の若きNo.3。ジェントリーで誠実なフェミニスト。貴公子系美男。薔薇を好むようで、機体には蒼い薔薇のマークがある。
搭乗機はEF-2000 タイフーン。パーソナルカラーはコバルトブルー。強化装備もコバルトブルーで統一している。

ブリギッテ・ヴェスターナッハ

【CV:皆川純子】
ツェルベルス大隊第2中隊(ロート:Rot(赤)中隊)第3小隊小隊長。
階級は中尉。コールサインはローテ3。
眼帯をしているのが特徴。彼女の眼帯話は部隊員の数だけ噂話があるとされている。実際には網膜投影とリンクする精密照準用の電子機器が移植されていて、戦闘時以外は眼帯で保護している。

ヴォルフガング・ブラウアー

【CV:高橋伸也】
階級は少尉。ポジションは強襲掃討。コールサインはローテ11。
第3中隊所属だったが、小隊の先任全員を目の前で失い、再編中の第2中隊に配置転換される。
一応貴族でありながら紳士的な振る舞いも無く、粗野にして小姑的。

ベルナデット・ル・ティグレ・ド・ラ・リヴィエール Bernadette le Tigre de la Rivière

歯に布着せぬ行動派の少女。
「ただ一振りの剣たれ」という家訓を体現し、無名の騎士を以って自らを任じている。
その本名が示すように、フランス革命で市民側についた貴族の血を引くが、代々家名は内にのみ秘めた誇りとしており、積極的に外に明かすことは無い。
その家訓にも示されたとおり、ただ軍人の家系としてリヴィエールの姓のみ名乗っている。
フランス陸軍第13戦術竜騎兵連隊・第131戦術機大隊に所属する勇猛な突撃前衛であり、極度の大食少女。前線国家の突撃前衛としては珍しい突撃砲4門によって突撃前衛を行っている。その戦闘スタイルのためか「前衛砲兵」という異名を持つ
第131戦術機大隊ロレーヌ中隊・第2小隊(ドゥジエム)所属。
階級は少尉。コールサインはロレーヌ4。
ちなみに、仏語でティグレ(Tigre)はチグリス、リヴィエール(Rivière)は川。つまりは、チグリス川。その語源は虎(Tiger)と同じ。
ベルナデットの戦術機左肩にマークされているバラの紋章は、ラ・リヴィエール家の紋章をベルナデットが単純化、衛士個人のパーソナルマークとして使用しているものである。
  • 2000年5月26日:独仏連合旅団合同大規模間引き作戦参加。
  • 2000年7月16日:独仏連合旅団合同大規模間引き作戦参加。
  • 2000年8月初頭:異機種・異国籍部隊間連携訓練(DANCCT)参加。独仏臨時編成部隊“ミュルーズ”に編入される。
    担当ポジションは強襲掃討。コールサインはミュルーズ7。

クロニクル04にて生存を確認、どうやらフランス軍過激派の真意を理解していた節がある。

人類の既存兵器で唯一の成功例であるJFKハイヴ攻略戦にて急先鋒を務めた。
が、ハイヴ内部攻略戦の最中に激戦による長刀負荷にラファールが耐え切れなくなり戦線離脱――ー生存する。


戦術機

EF-2000 タイフーン

EF-2000 タイフーン 「黒き狼王」 ヴィルフリート・アイヒベルガー専用機

EF-2000 タイフーン 「白き狼」 ジークリンデ・ファーレンホルスト専用機

EF-2000 タイフーン 英国陸軍仕様

ラインメイタル Mk-57中隊支援砲

BWS-8 (Blade Weapon System-8) 近接戦闘斧槍(フリューゲルベルテ)

BWS-3 (Blade Weapon System-3) 要塞級殺し(フォートスレイヤー)

ダッスオー ラファール


用語

西ドイツ陸軍第44戦術機甲大隊"ツェルベルス" JA44"Zerberus"

西ドイツ軍の特殊任務部隊"ツェルベルス"は、最新鋭機・EF-2000 タイフーンを装備する緊急即応展開部隊である。
その名の如くヨーロッパ大陸という"地獄"に続く門──英仏海峡を睨む門番として、ドーバー城の地下に建設された要塞に駐屯している。
戦術機部隊の編成は1個大隊だが、多数の側面支援部隊を従えているため、実質的戦力は1個戦術機甲連隊に匹敵する。
部隊構成員の殆ど、特に衛士は旧東プロイセンのユンカー(地主貴族)出身者で占められている。
なおエンブレムはラテン語表記のため『Cerberus』となっている。

"ツェルベルス"部隊章解説

西ドイツ陸軍第44戦術機甲大隊"ツェルベルス"の部隊章には、ギリシャ神話に登場する地獄の番犬ケルベロスがあしらわれている。
その三本の首はそれぞれ、過去、現在、未来を表しており、地獄から逃げ出す亡者や迷い込んだ生者を見逃さぬよう不眠不休に近い状態でタルタロスの入り口で監視しているという。
このくだりが、過去のBETA侵攻によって現在"地獄"と化している欧州大陸に続く門──英仏海峡を睨むドーバー基地群に属し、未来に於いてそれを奪還すべく即応遊撃戦を展開する部隊に相応しいとしてシンボルに採用された。

ツェルべルス大隊徽章

西ドイツ陸軍第44戦術機甲大隊の部隊章。キリスト教の象徴である十字を戴く騎士の盾に、ギリシア神話に登場する地獄の番犬『ケルベロス』があしらわれたもの。
1985年、第一次グレートブリテン防衛戦の際、BETAの圧力に崩壊しかけた欧州連合軍の前面に留まった西ドイツ軍戦術機甲師団(貴族及び騎士の末裔で編成された部隊)は、全滅に等しい損害を被りながらもテムズ川を死守した。その生存者によって再編された第44戦術機甲大隊に対し、当時の欧州連合軍総司令アーサー・ダウディング大将は、その勇戦と栄誉を称え地獄の番犬たる"ツェルベルス"の部隊名を授け、それを元に徽章がデザインされたのである。

ツェルベルス大隊特殊カラーリング


ヴィルフリート・アイヒベルガー少佐機

ジークリンデ・ファーレンホルスト中尉機

一般機
機体の特別塗装はBETAに対する迷彩塗装効果が認められない事から世界各国の軍隊で採用されているが、その適用は機体損耗の少ないエースや精鋭部隊などに限定されている。
整備性(部品の共有性)という側面に於いては不利益な特別塗装が認められる理由は、前線の士気高揚という絶大なメリットを生み出すからである。殲滅戦が常という凄惨な対BETA戦に於いて、強者の証であるパーソナルカラーを纏う機体(=衛士)の存在は、前線将兵にとって何にも代え難く、幾万の援軍に匹敵するほど心強いのである。
ツェルベルス大隊では、中隊指揮権を付与された衛士の搭乗機を特別色に塗装する伝統がある。
これは前述の士気高揚だけでなく、衆人環視に曝す事で"高貴なる義務(ノブレス・オブリージュ)"を常に自覚させるという、騎士(=貴族)出身者のみで編成された部隊特有の狙いがある。
なお、塗装色は身分や爵位を表すものではなく、搭乗者に一任される。

パーソナルマーク

パーソナルマークは、主に欧州戦線においてエース機などに採用されているパーソナルカラー、及びその士気高揚効果の小規模版とも呼べるものとして、力量に自信のある衛士が好んでペイントを行っている。なおペイント自体は塗り直し・塗り替えも頻繁に行える簡易的なものであり、部品の共有性・整備性を損ねる事は無いよう配慮されている。

国連大西洋方面第1軍ドーバー基地群

俗に言う"地獄門"──ドーバー・コンプレックス(ドーバー基地群)とは、グレートブリテン島の南端・英仏海峡を睨むドーバー城周辺一帯に建設された大規模基地群であり、周辺一帯に連なる複数の軍事拠点・要塞線の総称である。
これらは、1985年の英国本土防衛戦の後、BETAの大規模再上陸と将来的な欧州奪還を見据えた前線中継基地として、86年から建設が開始された。
1996年の基地施設完成後は欧州連合軍の主力が展開し、散発する小規模BETA群の上陸に対処している。
ドーバー・コンプレックスのシンボルであるドーバー城は85年の戦闘の際に全壊しており、英国防衛の成功と欧州の奪還を誓った記念碑として、ほぼ完全な姿で復元されたものである。

欧州史概略

1978年のパレオロゴス作戦以降の欧州の戦いは、そのほとんどが熾烈な撤退戦であった。
東欧を席巻したBETAは、その勢いのまま西欧地域へと侵攻した。
これに対し欧州連合軍は河川部を駆使した遅滞防御を行ったが、奮闘も虚しく83年にベルリンが陥落する。
さらにベルギー南部に到達したBETAはアルプス山脈をの北を抜ける形で西進し、英仏海峡・イベリア半島に殺到した。
欧州での戦闘が激化したのはこの時期で、85年のパリ攻防、ダンケルク撤退戦、それに続くBETAのイギリス本土上陸はその絶頂となった。
イギリス本土防衛戦にはイギリス軍の他、同国に駐留する全欧州軍が参加した。
一時はロンドン南部まで侵攻を受けたが、半年にわたる死闘の末にBETAを英仏海峡に叩き落とす事に成功する。
また、この戦いでは欧州撤退戦で壊滅的な損害を受けた機甲部隊の代替として、米軍のF-14トムキャットF-15イーグル、欧州連合軍のトーネードADVなど、当時の最新鋭戦術機が多数投入され、戦術機の全局面性の高さが証明された。
だが、その代償は大きく英国南岸部はほぼ完全に壊滅。
欧州連合軍、英国軍ともに甚大な損害を被り、欧州各国は以後10年近くの間、戦力の回復に努める事になった。
94年のイタリア半島、スカンジナビア半島からの戦略的撤退後、ブリテン諸島及び地中海・大陸沿岸島嶼部に拠点を移した欧州各国軍はBETAの渡洋侵攻を防ぐべく、"間引き作戦"と"能動的防衛"を戦略の二本柱としながら将来的な欧州大陸奪還に備えている。

  • トピックス1
    イギリスは、欧州圏では唯一本土を維持している為、日本帝国と同様に、国連軍とは一線を画する独自の指揮系統を保持している。
  • トピックス2
    ソ連のアラスカ撤退後、チェコスロバキア・ルーマニアなどの旧ワルシャワ条約機構各国は、東欧州社会主義同盟を結成し、グリーンランド及び英国を拠点に国連軍の指揮下で戦っている。

東西ドイツ

BETAの侵攻に伴い欧州各国は相次いで政治中枢を海外に移転した。
東西ドイツもその例外ではなく、それぞれ北アイルランドに居を構え、一時的な連合を形成、中華民国と中華人民共和国による"統一中華戦線"に類似した形態を保っている。
西ドイツは欧州連合の中ではイギリスに次いでフランスと並ぶ有力国家であり、数多く存在する海外製造拠点の生産力を背景に、イギリスに次いで多くの戦力を拠出している。
個々の部隊の戦闘能力も高い水準を維持している事から、欧州連合の最精鋭として西ドイツ軍を挙げる識者も多い。

東西ドイツ軍編成

2000年時点、東西ドイツ政府は主要機能をアフリカ南部、中南米に待避させると共に、陸・海・宙三軍の主要戦力を欧州連合軍に編入させている。
かつてソ連と並ぶ陸軍国家として知られたドイツだが、その伝統は欧州撤退後も変わらず、戦術機甲戦力・戦車戦力共に欧州連合最精鋭とうたわれている。
その為、グレートブリテン第一次防衛線には、EF-2000タイフーンを集中配備する第44戦術機甲大隊ツェルベルスの他、西ドイツ陸軍兵で編成される第1戦術機甲軍、東ドイツ陸軍兵で編成される第2戦術機甲軍を配備し、間引き作戦、対上陸防御などの第一線で活躍を続けている。

欧州・西欧での間引き作戦

BETAの大規模侵攻は、ハイヴ周辺域に存在するBETAの個体数が増加し、一定域内での飽和量に達するとその外緑部にいるBETAが押し出される形で開始される。この大規模侵攻を事前に阻止するため、人類は「間引き作戦」と呼ばれる漸減作戦をBETA支配域に対して定期的に行っている。特に欧州戦線においては、英仏海峡付近のBETA個体数増加が英国本土への侵攻の引き金になると見られていることから、海峡に近いフランス北部を中心としたBETAの間引き調整作戦を展開している。またアフリカへの浸透を防ぐため、ジブラルタル海峡周辺やシチリア島でも頻繁に作戦を行っている。
この際、沿岸部については水上部隊の艦砲射撃による長距離飽和攻撃が可能となっているが、時にフランス北部では艦砲射撃の効果が薄れる3~50km以上の内陸部に進出することも多い。この場合は欧州固有の「オールTSFドクトリン」に従ってMk57中隊支援砲を中心とした戦術機即時展開打撃部隊を展開し、支援砲撃を行っている。

ドイツ・フランス連合旅団

Deutsch-Franzosische Brigadeは、1982年に編成されたドイツとフランスが兵力を拠出して編成した合同部隊である。独仏いずれの指揮下にも属さず、欧州連合軍の直接指揮下に置かれている。『パレオロゴス作戦』の際、欧州連合軍の主力を為す両国が戦略の相違から適切な連携が取れなかった*1反省から、国連の仲介によって創設された。
通常は独軍側1個連隊「ロートリンゲン」、仏軍側1個連隊「アルザス」の計2個連隊から編成されているが、間引き作戦や大規模迎撃戦の際は、欧州連合、国連などから増援を受け入れて対応する。実質的な戦力は通常編成の戦術機甲師団を優に上回っているが、創設当初の精神を貴び、慣習的に『旅団』の名で呼ばれ続けている。また中核となる2個連隊の名称は、独仏連合の象徴として両国の国境に存在するアルザス=ロレーヌ(ドイツ語ではエルザス=ロートリンゲン)地方に因んでいる。

ソビエト連邦

ソビエト連邦は、陸軍兵力戦術機甲戦力において米国に次ぐ世界第二位の戦力を保有している共産主義国家である。欧州連合と共に地球上での対BETA戦初期において主力を務めたが、パレオロゴス作戦の失敗後、BETAの反撃によってモスクワを喪失した。
ユーラシアの広大な大地はBETAの圧倒的な物量が猛威を発揮する地形であり、正面からの防衛戦を行ってもいたずらに戦力を消耗するだけとの判断から、それまでの徹底抗戦主義から戦略を転換し、戦術核を駆使した焦土戦術を採用し兵力の温存を計りつつ、極東への撤退を続けた。
そのため国力の低下は国家機能そのものに大打撃を被った欧州各国よりも低い度合いに抑える事に成功し、中華人民共和国と並んで最も多くの対BETA戦闘を経験してきた事から、国際政治上では依然として大きな影響力を有している。
現在では「全ての人民は兵士たれ」のスローガンの元に全人民の軍属化を進め、国家機能の全てが軍事最優先となっている。

束欧州社会主義同盟

東欧州社会主義同盟は、東ドイツを事実上の盟主として、ポーランド、チェコスロバキア、ルーマニアなど旧ワルシャワ条約機構加盟国から形成された国家同盟である。BETA大戦勃発後、東欧諸国はBETAの侵攻を西欧に先んじて受けた上、アラスカに撤退したソ通からの経済・軍事援助が停滞した事で一時は崩壊寸前に陥ったが、欧州連合からの援助をうける事でかろうじて国家体制維持に成功している。
BETA侵攻の直撃を真っ先に受けた彼らの所有兵力は極めて限定的で、能動的軍事活動を行えるレベルにはない。現在は欧州連合軍に兵力を提供し、その一環としての活動を主としている。個人装備から戦術機、戦術ドクトリンに至るまで、ほぽ全てがソ通式を受け継いでいるが、東西ドイツでの軍事交流開始をきっかけとして、他の東欧同盟国でも西側技術を導入する動きが見られ始めている。

イギリス

欧州圏に国土を残す最後の大国である英国は、欧州連合軍の盟主の座に相応しい軍隊を保持している。80年代初頭の欧州撤退戦でソ連・ドイツを始めとする有力国が次々と陥落していく中、英国は自国の軍備を戦術機中心の対BETA戦兵備に切り替える事に成功し、英国本土に侵攻するBETA群をからくも撃退した。以後、欧州大陸大西洋沿岸部への間引き作戦、及び散発的な上陸に対する迎撃を主任務としつつ、欧州大陸反抗に備えた戦力の拡充を図っている。
英国は最新鋭の戦術機、EF-2000タイフーンの事実上の開発国でもあることから、英国陸軍は欧州各国中最大のEF-2000配備数を誇っている。この他F-5改修型のトーネードも今なお主力であり、加えてアメリカから払い下げられたF-4を訓練部隊や後方部隊向けに多数配備している。また、英国海軍は米国に次いで世界第二位の規模を誇る。多数の巡洋艦を中核とした外洋型海軍であった同海軍だが、英国本土防衛線での戦訓から沿岸部の対地制圧を主目的とした編成へと装備を更新しており、大西洋~地中海沿岸部を中心における間引き作戦の主力を務めている。

東ドイツ

東ドイツは、正式国名を「ドイツ民主共和国(Deutsche Demokratische Republik)」とする社会主義国家である。
1944年の第二次世界大戦終結後、米・英・仏・ソの四か国による占領下に置かれたドイツは、資本主義陣営(西側)と共産主義陣営(東側)によって分断されるという悲劇に見舞われた。
ソ連の衛星国として成立した東ドイツだったが、1970年代当時の最新鋭兵器であるMiG-21戦術機の国内生産を可能としているように、東側ではソ連・中国に次ぐ国力を持つ有数の工業国家として発展している。その反面、ドイツ社会主義統一党(SED)の一党独裁体制や、秘密警察である国家保安省(シュタージ)による徹底した国民の監視、軍事・重工業に偏った産業体制なども影響し、国民の生活水準は西ドイツや他の欧州先進国にBETA大戦以前より大きく水をあけられていた。
第三次世界大戦に備え「東西冷戦の最前線」と位置づけられていた東西ドイツだったが、1973年のBETAの地球襲来によって冷戦が表面上の終結を迎えた事から一転して「欧州防衛の最前線」となり、1970年代終盤から80年代初頭にかけ、その国土では二度に及ぶ世界大戦を上回る熾烈な戦闘が繰り広げられた。

アメリカ

BETA大戦初期、欧州方面防衛に於いて米国はNATO軍最大の勢力として主導権を握っていたが、1978年のパレオゴス作戦失敗をきっかけにした1980年の欧州連合軍成立以降は国連軍経由を主体とした関与に移行した。しかしながら、東シベリア陥落までは欧州が北米大陸に最も近いBETA支配域であったこともあり、米軍が大西洋・欧州方面から完全に撤退することはなかった。
2001年時点では、モンタナ級戦艦1、エンタープライズ級正規戦術機母艦1、ニミッツ級正規戦術機母艦2からなる母艦打撃群を中核とした第2艦隊と第6艦隊をそれぞれ英国本土近海と地中海に常時展開している。
これら2艦隊は、母艦6からなる師団規模に匹敵する戦術機戦力と、2隻の戦艦による強力な対地制圧能力を有し、欧州各地に投射可能な機動兵力として欧州防衛の一翼を担っている。
また、海上機動戦力以外にも、英国本土とジブラルタル海峡には米国海兵隊を中心とする戦術機戦力が常駐している。中でも、英国本土に駐留する第2海兵遠征軍(ⅡMEF)は、大西洋側の欧州大陸沿岸に対する限定強襲揚陸作戦など数多くの実戦経験を有した米国海外派遣部隊の中でも1、2を争う精鋭部隊である。

西ドイツ陸軍第1戦術機甲軍

イギリス及びアメリカから供与されたトーネードADVF-16ファルコンなどの第2世代機と、重戦術歩行攻撃機A-10サンダーボルトを主力としており、イギリス本国軍、在英アメリカ軍に並ぶ有力な戦力である。

東ドイツ陸軍第2戦術機甲軍

東ドイツ(ドイツ民主主義人民共和国)将兵・装備から編成された戦術機甲軍。
2000年時点の主力装備がMiG-23/27などの東側旧世代機であるため、西側技術を多く導入したMiG-31Mフォックスハウンドや独ソ共同改修機であるMiG-29OVTラーストチカへの機種転換を急ピッチで進めている。

フランス陸軍第13戦術竜騎兵連隊

第13戦術竜騎兵連隊は、83~84年のフランス攻防で勇名を馳せた部隊である。
その時の戦功により、フランス軍伝統の「竜騎兵連隊」の名誉称号を付与された。
なお、部隊マークは「祖国を守護する竜」をシンボルとしている。
フランス政府のケベック移転後は、アルジェリア、及びスエズ運河防衛線などのアフリカ方面に配備されているが、その内、最新鋭機ラファールへの機種転換を受けた一個大隊(第131戦術機大隊)を欧州連合軍麾下の"ドイツ・フランス連合旅団(DFB)"へと派兵した。これはラファール装備部隊としては初の欧州方面への配備である。

欧州連合

1973年、BETAの地球侵攻により東西冷戦は過去のものとなった。そしてソビエト連邦はカシュガルハイヴ(H01)から北進したBETA群の圧力により徐々に極東へ後退、それに伴い東ヨーロッパ諸国に対する影響力を完全に失った。BETAの西進による東欧の惨状に戦慄した北大西洋条約機構(NATO)及び欧州共同体(EC)の西側各国はワルシャワ条約機構加盟各国と協議し、欧州共同体を拡大発展させ、欧州連合(EU)を創設した。
当初は対BETA軍事同盟という側面が突出していた欧州連合だが、戦火の拡大に伴い軍事の枠を越えた準連邦体制へと変容した。80年代に行われた難民移送・大陸脱出が、後のアジアでのケースに比較して順調であったのは、準連邦体制であった故の賜であった。2000年の時点で欧州連合本部は、北アイルランドの街・ベルファストに置かれ、国連、米国の協力の下、難民支援活動なども行っている。

欧州連合軍徽章

欧州連合の指揮下にある各国軍将兵が身につける徽章。1972年の創設以来、徽章デザインは数回更新されており、現徽章は1990年に制定されたもの。12個の星は加盟国数ではなく、ヨーロッパに伝統的に伝わる『完全と無欠(perfection and completeness)』を象徴したものである。

モン・サン・ミシェル要塞

英国海峡、サン・マロ湾沖に浮かぶチャネル諸島に建造された、欧州大陸奪還の橋頭堡とされている基地群である。
1984年、圧倒的なBETAの西進によってフランス全土が戦場となる中、サン・マロ湾に浮かぶ絶景の修道院、モン・サン・ミシェルに戦火が及ぶ事を恐れたベネディクト会の修道士たちが、修道院の歴史と伝統を保存すべく沖合いに浮かぶチャネル諸島基地群に保護を求め、聖遺物や一部の建造物の緊急避難を要請した。この頃、チャネル諸島は海峡防衛に対する前線基地化に伴い英国直轄領となっていたが、英国政府はこの要請を快諾。脅威(ラ・メルヴェイユ)と呼ばれた修道院の構造体そのものの移設こそ叶わなかったものの、時には戦術機を用いて聖遺物のみならず一部の装飾壁や内装、象徴的な尖塔のジャージー島への移設に成功し、ベネディクト修道会はモン・サン・ミシェル臨時修道院を要塞内に開設した。
1987年の西欧失陥に伴い、本来のモン・サン・ミシェル修道院は修道士たちの危惧通り戦火を受けて泥濘に沈み、またチャネル諸島要塞群自体の危険性も高まったため、英国政府は修道会に対し英国本土への避難を勧告したが、修道会はあくまで残留を希望。「モン・サン・ミシェル臨時修道院」及びベネディクト修道会はそのままジャージー島やガーンジー島に留まり、欧州戦線を戦う兵士たちへの祈りを捧げ続け、彼らの精神面の支えとなった。
1996年、チャネル諸島基地群が欧州大陸奪還の橋頭堡として英国軍から欧州連合軍に移管された際、欧州本土を臨む湾に孤高に浮かぶその姿をかつてのモン・サン・ミシェル修道院に喩え、修道会の許可とフランスを始めとする欧州連合国の圧倒的支持を得て、この基地群にモン・サン・ミシェル要塞の名が冠される事となった。無論、同修道院は今なお要塞内に健在であり、かつてのモン・サン・ミシェルの伝統に倣い、駐留部隊の指揮官は儀礼的に聖ミカエル(サン・ミシェル)騎士団員に任命される慣習が続いている。

レインダンス中隊

レインダンス中隊はECTSF計画に参画した欧州各国の共同出資により設立された戦術機メーカー「ユーロファイタス」の技術実証機実戦運用部隊である。
1994年、ユーロファイタスは英国の強力な支援と意志の下、技術実証機ESFPの試作に成功、米国製戦術機F-15の導入に傾きかけていた欧州各国へアピールするための技術実証機実戦運用部隊『レインダンス中隊』を編成した。英国政府支援の下で国連欧州方面軍に派遣されたレインダンス中隊は、各地での作戦に参加するとともに戦闘実証を集積。単なるデモンストレーションの域を超え、その成果は1998年の先行量産型ECTSFに色濃く反映された。またその戦績は高く評価されており、先行量産型の引渡し開始後にも部隊の存続が決定。EF-2000による特務教導中隊として、2001年現在も欧州連合軍の一員として活躍中である。
なお同部隊は二隻のエリザベズ級空母(HMSデューク・オブ・エディンバラ、HMSアーク・ロイヤル)を改装戦術機母艦として運用しており、北海からスエズ運河に至るまで、ヨーロッパ大陸の全周を飛び回るレインダンス中隊を支えている。
部隊の人選にはオルタネイティヴ第4計画も関わっており、因果律量子論の実証実験としてA-01と同じ選考基準で集められている。

ゾイデル塩原

オランダ・アムステルダム北部に位置する広大な塩原。BETA大戦以前はオランダの誇る欧州最大の干拓地であり、全長32㎞に及ぶ大堤防(アフシュライトダイク)によって外海と隔てられた、淡水のアイセル湖と豊かな農地が存在していた。
1983年、ベルリンの陥落に続いて西進を続けるBETAに対し、オランダ軍及び欧州連合軍はオランダ防衛の伝統である「ウォーターライン」戦術を展開。第二次大戦頃には無用の長物とされた人工洪水による防衛線ではあるが、地表を侵攻してくるBETAに対する遠浅の海や湖沼地帯の持つ遅滞効果が見直され、80年代に急遽再整備が進んでいた。
無論当時の欧州連合軍もこれでBETAを防ぎきれるとは考えていなかった。オランダ国民脱出のための時間を稼ぎ、そしてオランダの背後に位置するイギリス海峡沿岸部へのBETA浸透を最大限遅らせるのが目的であった。同年、最終的にアムステルダム近郊まで迫ったBETAに対し、オランダ政府は遂に大堤防の破壊を決断、北海から雪崩れ込んた海水はゾイデル海跡、次いでウォーターラインに沿ってオランダ低地部を席巻し、人類に脱出のための最後の時間を提供した。
その後、BETAによって北海沿岸部の「大地の平滑化」が進んだ影響で海水の流入が止まり、また欧州各地共通の現象としてゾイデル海に注ぐ河川のほとんどが枯渇したため、ゾイデル海一帯は巨大な塩湖となり、1995年頃には海水の蒸発が進んで巨大な塩原と化している。

オルタネイティヴ第3計画

オルタネイティヴ第3計面は、人工ESP発現体によるBETAへの直接思考探査を主目的として策定された、ソ連政府の主導による国連の対BETA戦略計画である。1968年にオルタネイティヴ第2計画の予備計画として発足し、1973年のBETAの地球侵攻を受けて本計画へと昇格している。
ESP研究と遺伝子操作によって生み出された人工ESP発現体は、第6世代まで生産され、数々のハイヴ突入作戦に投入されたものの生還率は6%と極めて低かった。多大な犠牲を払って行われたリーディングの結果としてBETAにも思考の存在が確認されたが、同時に人類を生命体として見なしていないという衝撃的な事実のみが明らかとなり、それ以外には対話はおろか、BETAの行動原理一つ判明しなかった。
なお、オルタネイティヴ第3計画自体はBETAに対する陽動実鉦実験等この他にも数々の実績を残したものの、1995年のオルタネイティヴ第4計画の発動に伴い第3計画は予備期間無く終了し、その成果も日本帝国が主導する第4計画に全て接収された。

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最終更新:2017年03月16日 19:40

*1 ドイツ軍は『BETA群の殲滅・ミンスクハイヴの制圧を目的とした攻勢』を重視していたのに対し、フランス軍は『侵攻の遅滞を目的とした守勢』を唱え、『パレオロゴス作戦』そのものに反対していた。当時はフランス側の姿勢を"消極的"と批判する声が多かったが、後年、作戦の総括が進むにつれ、遅滞戦術に必要な戦力の温存を図ったとして再評価する傾向が強まっている。