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 二言で表現すると、以下のようになります。
  • スピーカーシステムで使うためのDACを、ヘッドフォンで正しく試聴評価できると言い切る人は、何も解っていない。
  • ヘッドフォンシステムで使うためのDACを、スピーカーで正しく試聴評価できると言い切る人は、何も解っていない。


 あるいは、ざっくりと羅列すると、以下のような話です。
  • 電波時計精度なんて要らないから、せめてCDプレーヤーレベルの時間軸精度は確保しようよ。
  • 一部のノートPCやAirMac Expressとかの音が「絶対的に良い音」を出す……ンじゃなく、それらがたまたま「時間軸的に普通」であって、一般的なUSB-DACが『時間軸的になんか変で、空気感を再現できない』ってことを理解しよう。
    • そしてそれら『時間軸だけが、なんか変』なUSB-DACにも、タイミングを良く整えたデジタルデータをぶち込んでやれば、(もともとUSB-DAC内部にあるCDプレーヤクラスの水晶発振子能力をフル活用できるので)普通にCDプレーヤーレベルの時間軸精度は出せるから、結果として「時間軸と周波数軸の両方がマトモな」アナログ音声を出せるようになって、普通はそこで十分満足できるということを理解しよう。
 ……と、そういう話でして。


 かえでオでは、先立って音の焦点?「ピンクノイズ・レスポンス・ツリー」についてという、周波数ドメインでの話を展開しました。
 最近では、この問題を解消する製品が、特にAVアンプを中心にどんどん出てきたので、個人的には一安心……と言いたいところなのですが、実はもう一つ、オカルトオーディオの世界に食い荒らさせていたことがあります。
 もう一つの問題……それこそが、時間軸ドメインに関する「揺れすぎバス(USB)問題」です。


 一般的に、USBオーディオデバイスは、CDプレーヤー単体のデキを認識できていない人たちにとって「PC直出しよりもノイズが少ない=全般的に音質を向上させるデバイス」として認知されています。
 ……しかし、これはただしくありません。ほとんどのUSBオーディオデバイスは「パソコン直出しと比べて、時間軸精度を1~2桁犠牲にする」代わりに、「パソコン直出しと比べて、振幅軸の広さを1~2桁良くする」代物です。
 パソコン内蔵のアンプというのは、正直言って振幅軸の広さ余裕(S/N比)が悪いものが多く、どうしてもノイズが乗ってしまいます。ノイズを避けるためにはUSB-DACがとてもよく機能します……が、USBは使い方を良く検討しないと「時間軸精度が悪化する」という、厄介な性質を持っています。


 ノイズの出方と時間軸精度とは、正比例の関係にも反比例の関係にもなく、別個の(=一次元的にまとめて評価することができない)問題として存在しているものです。
  振幅軸の音質問題と、時間軸精度の問題は、別々に評価してください! ……音質はよいが時間軸表現はメチャクチャなDACがあって当然ですし、音質はヒドイが時間軸表現はマトモなDACも存在できるのです。ここが、DACの評価にとって、絶対に忘れてはいけないことなのです。
 それに対して、二つの問題が強固にリンクしていて「一次元的に評価できる」と思い込んでしまったが最後、勘違いが後々まで影響して「評価がよいといわれるUSB-DACよりも、良い音がする→そのデバイスは素晴らしい!」という、一次元的な誤解をしてしまうことになります。
 実際には「ほとんどのUSB-DACが、時間軸的には理想の動作状態からかけ離れた動作を強いられている=時間軸的に見て、CDクオリティよりも劣化しているというだけの話だ」ってことを理解できていれば、こんな幼稚な罠には引っかからずに済む……のですが。

 ちなみに……↓は知っておいて損がないかも。
  • 【振幅】軸の精度は「ふつうのイヤフォンやヘッドフォン」でも容易に検知できるくせに「よくセッティングされたスピーカーシステム」でさえも検知しにくい。
    • これはヘッドフォンが、【発音体が耳に近いので、振幅軸の差を感知しやすい】ことと【左右の音が空間で混ざらないので、もともと空気感を再生できない】ことに由来しています。
      • スピーカーで聴く空気感の再現はよくないのに「ヘッドフォンで聴くと、良い音に聴こえる」のは、空耳でもなんでもなくて「音質の確保に必要となる、貴方にとって必要十分な振幅軸精度が、その機器によって確保されているから」ということ。
  • 【時間】軸の精度は「ふつうのスピーカーシステム」でも容易に検知できるくせに「よくできたイヤフォンやヘッドフォン」でさえも検知しにくい。
    • これはスピーカーシステムが、【発音体が耳から遠いので、振幅軸の差を感知しにくい】ことと【左右の音が空間で混ざるので、よくセッティングされたスピーカーシステムでは空気感を再現できる】ことに由来しています。
      • ヘッドフォンで聴く単純音質はよくないのに「スピーカーシステムで聴くと、良い音に聴こえる」のは、空耳でもなんでもなくて「空気感の再現に必要となる、貴方にとって必要十分な時間軸精度が、その機器によって確保されているから」ということ。
 振幅軸と時間軸の、どっちも高いレベルで実現できるDACを買おうとすると、正直とんでもなく高額なDAC(+高精度のクロックジェネレータ)が必要となってしまいます。
 ……でも、貴方が「ヘッドフォンシステム」と「スピーカーシステム」との性質差を認識して、それぞれに適切なDAC(+パケットコレクター)を選ぶようにすれば、わざわざ多大な投資を行わなくても、必要十分な品質の音楽を聴くことが出来るはずです。
  • スピーカーシステムには、音質がそれなりでも良いから、とにかく時間軸精度がCDレベルとなる物を選ぶ。
    • それで間に合わなければ、はじめて「音質・時間軸精度が両方ともCDプレーヤー精度となる組み合わせ」を選ぶ。
      • それでも間に合わない泥沼状態になって、はじめて「時間軸精度が超CDレベルとなる物」を選ぶ。
  • ヘッドフォンシステムには、時間軸精度がそれなりでも良いから、とにかく音質精度がCDレベルとなる物を選ぶ。
    • それで間に合わなければ、はじめて「音質・時間軸精度が両方ともCDプレーヤー精度となる組み合わせ」を選ぶ。
      • それでも間に合わない泥沼状態になって、はじめて「振幅軸精度が超CDレベルとなる物」を選ぶ。
 ……こうしてみると、どちらにせよ「音質・時間軸精度が両方ともCDプレーヤー精度となる組み合わせ」が、中間点として存在することになります。
 アレコレと試してしまって、結果ものすごい投資をすることになる……という泥沼化を避けようとする場合、まずは「音質・時間軸精度が両方ともCDプレーヤー精度となる組み合わせ」を目指してシステムを構成するとよいでしょう。

 残念なことに、2010年10月11日時点では、「音質・時間軸精度が両方ともCDプレーヤー精度となる組み合わせ」を得るために、【37,000円の投資+光(TOSLINK)入力対応のDAC】が必要になるようです。
 ただ、2010年11月中以降は【19,800円+ふつうのUSBDAC】の組み合わせをやるための機器について、量産版が販売開始となるので、それを使っても問題は解決できます(先行販売枠の機体を2010年10月22日に購入し、目的を有効に果たせることを確認済みです)。
 さらに次の段階としては、これを【9,800円+ふつうのUSBDAC】で実現出来るようにしたいですし、できれば【普通のDACが、普通にCDクオリティの時間軸精度を持つ】ように誘導したいと考えています。
 一般的なUSB-DACが抱える、「音質はよくても、時間軸精度が悪い」というちぐはぐな状態を悪用して生まれた「ゾンビのような」オカルトオーディオが、早期に全滅するような時代が来て欲しいな……と、いま個人的にはそう考えていることです。


 ……そんなわけで、ここでは「それぞれのUSB-DACが持つ、元からの音質は活かしつつ、時間軸精度だけを復活させよう」ということを提案したく。
 時間軸の揺れについては、CDプレーヤークオリティでは飽き足らず「電波時計精度」にまで高めないと気がすまない……という人もごく一部にはいるようですが、一般的には「CDプレーヤークオリティの時間軸精度が出れば十分」なので、高級機方面についてはひとまず放置することをオススメします。
 そのうえで、「ただ必要精度な水晶発振子がついていれば、それでOK」って訳ではなく、「必要精度の水晶発振子をつかって、どうUSBパケットタイミングの影響を緩和するか」という、造り方の問題について取り組んだ機材を選んでください。
 #USBの時間軸精度をCDプレーヤークオリティに戻すためには、特殊な精度を持つ外部クロック機材など必要ありません……ふつうの水晶発振子で十分です。逆に、水晶発振子より高精度なクロックを使っても、「USBパケットタイミングの揺れをD/A変換より前に修正する、真っ当な考え方の設計」が為されていなければ、いくら高精度クロックをぶち込んでも無意味です。


 ……というわけで、「揺れすぎバス(USB)問題」を解消するための、安価な方法について提案してみたいと思います。
 ちなみに、ここで提案するのは、あくまでも時間軸を補正することだけに主眼を置いた【USB→TOSLINK(光デジタル)】変換に関するものです。
 TOSLINK(光デジタル)から先の「デジタル→アナログ」変換については、TOSLINK(光デジタル)入力端子のついたDAC(もちろんUSB-DACでもよい)のうち、「貴方にとって【よい音質】だと思うもの」をつなげて使って下さい。
 貴方が気になっていたかもしれない「USB揺れ」がなくなり、そのDAC本来の性能が発揮されるはずです。


 ちなみに、 光(TOSLINK)入力の付いた(USB-)DACを持っていない場合は、以下のコースのうち、19,800円コース(これは光(TOSLINK)入力を持たないUSB-DACでも使える)しかテストできません。
 そのときは、他のコースについては無視して、19,800円コースをお試しいただくことになります。


テストをする前に。

 貴方のパソコンには、ヘッドフォン出力やライン出力など「アナログ音声出力」は付いていますか?
 付いていれば、その音をはじめに聞いてみてください。

 このとき「揺れすぎバス(USB)問題」っぽい違和感がなく、単にノイズが多いだけ……という場合には、アタリのマザーボードを引き当てている可能性があります。
 そのときには、↓の「1000円コース」でも十分に、DAC(もちろんUSB-DACでもよい)の性能を活かせるでしょう。


1,000円コース。

 貴方のパソコンに、光(TOSLINK)出力端子は付いていますか?
 そして、貴方のパソコンのアナログ出力は、揺れのない音を出していますか?

 両者の条件をクリアしているなら、あなたのパコソンについている光(TOSLINK)出力端子は「マトモ」です。
 躊躇することなく光(TOSLINK)出力端子から音声出力を引っ張り出して、手持ちのDAC(もちろんUSB-DACでもよい)に入力してみましょう。
 このとき、光(TOSLINK)ケーブルは必ず新規購入してください(「超」安物で構わないので、「極力緩く巻かれた」物を選んで購入してください……一箇所でも半径60mm程度よりキツいカーブが付いた光ケーブルは、出来るだけ避けてください)。

 揺れがなく、かつDACの味を生かした、良い音が聞こえるはずです。


4,000円コース。

 運悪くパソコンに光(TOSLINK)出力端子が付いていなかった場合、パソコンがデスクトップタイプであれば、先に一つの悪あがきをする手があります。
 光(TOSLINK)ケーブルとともに、3,000円未満の「光(TOSLINK)出力つきの、PCIサウンドカード」を追加で購入してみる……という方法です。

 安物のPCIサウンドカードでも、一応水晶発振子は付いている……ので、「うまく行けば」ちゃんとした音が出るはずです。
 先の『テストをする前に。』の方法で安物のPCIサウンドカードをチェックしてみて、アタリを引けたら光(TOSLINK)接続してみましょう。

 ……ただしこの方法、「アタリを引くまで何枚も買う」とか、「アタリが引けるように高いサウンドカードを買う」とかいう博打をするのは避けてください。
 安物を1枚買ってみて、それでダメなら諦めるのが肝心。


12,000円コース。

 Webブラウザで見るもの(Youtubeの動画とか)を含む、ほとんど全てのアプリケーションから音を出すことを諦めて、『iTunesからの音だけ出せれば良い』という場合は、安価に安定してCDクオリティのクロック精度を引き出す方法があります。
 それが【AirMac Express ベースステーション】という製品を使う方法。
 Apple Storeで売っています。

 LAN経由で音を伝えるDACなので、LAN-DACとでも呼びましょうか。
 この手の製品には、ほかに制御方法が逆の「DLNA」などと呼ばれる規格を使った製品は多いのですが、DLNA対応の出力側機器は、高機能な動作を要求されるために「音声出力のクロック精度が、パソコンと同程度にしか確保できない」場合が多く、それらは今回の目的には向いていません。
 【AirMac Express ベースステーション】のように、出力側機器がユーザーインターフェースを持たない、単純な構造となっているタイプのLAN-DACは製品例が少なく、かつ同種の機器を個人製作すると倍以上の価格になったり、コンパクトさを欠いたりしがちです……ので、素直にAMEを使うのが一番お得です。

 AMEの光(TOSLINK)出力端子は、一般的な「角型」ではなく、ポータブルMDプレーヤーでおなじみだった「丸型コンボ」と呼ばれるタイプなので、光(TOSLINK)ケーブルは若干高くなります。
 光(TOSLINK)ケーブルを買うときには、なるべく「変換アダプタを使わずに使える、はじめから丸→角になっている」物を買いましょう……たとえば「KM-HA12-10@サンワサプライ」のようなケーブルだと、1300円くらいで買えます。
 このケーブルを使って、お手持ちのDACへとデジタル音声を導入してみてください。

 ちなみに……AME単体でも「丸型コンボ」からアナログ出力を引き出すことができます。
 「音質的にはそれなり(あるいは「いくらか悪い」と言うべき)」ですし、左右のチャンネルセパレーションもあまり良くないのですが、時間軸精度だけに限っては似たようにマトモなので、時間軸精度は気になるけど音質は気にならない……という方でしたら、DACを別途接続せずにAME単体でつかうという選択肢もあります。ヘッドフォンシステムでは気になっても、スピーカーシステムではさして気にならない……という感想を持つ方が多そうな、そういう傾向があります。


19,800円コース。

 ラトックのRAL-HUB02(2010年10月下旬に先行端末を10台流通済、2010年11月中旬以降に量産期を流通開始)というUSBハブを使って、「USBのパケットタイミングを補正して送出する」という方法が、選択肢の一つとしてあります。

 考え方としては、37,000円コースでやるような「ハツカネズミ車方式でのパケットタイミング補正」を、USB-DDCではなくUSB-HUB側でやってしまおうという、けっこうシンプルで理にかなった方法……なのですが、S/P DIFの受信とは違って、USB受信の場合は「パケットタイミングが正規化されたからと言って、受信した側の石が正しいタイミングで変換できるとは限らない」ような気がして、個人的にはちっともピンとこないところがあります。

 実機は2010年の10月22日に購入して試しましたが、「USB-DAC内蔵の石によっては、効果をさっぱり発揮できない場合がある」というパターンになると思うので、必ずオススメできるとはかぎらないかも。
 手元のテストですと、以下の2つでうまくいった……ので、「余計なこと」をしていないDACには効果があると考えられます。
  • ONKYOのSE-U55X
  • キットのPCM2704搭載機。

 もともとUSB-DACの内部には「CDレベルと同じ水晶発振子(誤差5~20ppmあたり)」が付いていて、それをDACチップ等がリクロックして使っています。リクロックによって誤差が若干拡大するものの、その時間軸精度を出す能力はある、と。USB2.0 AudioClass2.0で受信できるUSB-DACなら、この精度のままで音楽を奏でることが出来ます。
 それに対して、USB(1.x)のパケットタイミングは、最大で500ppmまで許容されているので、ASYNC受信をしないUSB-DACはこの揺れの影響を、何らかの形で受けて「せっかくUSB-DAC自身が持っている、CDプレーヤーレベルの時間軸精度を、マスキングしてしまう」性質があります……そして困ったことに、近年のDAC部分は1bitDACやHybridDACのものが多く、時間軸のズレが「振幅軸精度を悪化させる」原因にさえなります。
 これを(コストがかかるマルチビットDAC化をせずに)防ぐには、USB(2.0)からUSB(1.x)へと変換するときに、パケットを突っ込むタイミングのズレを「シフトして(ずらして)直せば良い」わけで、そこに着目したのが「ラトックのRAL-HUB02」というわけ。
 コイツによる単独での精度は、CDレベルのUSB-DACへとパケットを投げるには必要十分な「5ppmクラス」なので、(USB-DAC自身が余計なことをしていなければ)十分にUSB-DACの時間軸精度を、本来の「CDプレーヤレベル」へと戻すことが出来るようです。


 ちなみにRAL-HUB02は、 「USB-DACの試聴機を置いていて、自由にモノをつなげて聞ける環境になっている」ようなオーディオショップでは、たぶん速攻で導入すると思います
 普通のUSB-DACが、何の工夫もなしに良く聞こえるし、それで害はない……となれば、「売りたい(利益率の大きい)USB-DACにだけRAL-HUB02を取り付けて、差が大きいかのように見せかける」ことができますので。
 そーゆーわけで、貴方がRAL-HUB02を買うか否かに関係なく、RAL-HUB02の「姿形と型番」は覚えておくことをオススメします。あと、裏でこっそりRAL-HUB02をかませるような店があるかもしれないので、RAL-HUB02がない状態で評価する必要があるなら「PCとUSB-DACが、ケーブルで直結されているのが見えていること」も確認するべきでしょう。
 なお、RAL-HUB02は「もともとASYNC受信タイプの」USB-DACが持つ空気感を向上させる効果はない(パケットシフトについての話)ので、そういった機器は引き続きPCと直接接続されていたりするはずです。
 ……まぁ、店によっては「堂々と見せて、比較試聴させて、RAL-HUB02も抱き合わせでお買い上げさせる」方向に行くかもしれないですけど……。


 ……そういえば。
 RAL-HUB02は「1万円のUSB-HUBと、1万円のEIAJ5VなACアダプター(RAL-AC05-03、SA-15029RF)が、抱合せ販売されているもの」である……ということに、お気づきですか?
 もしも、あなたが既に持っているUSB-DACが、運良く「EIAJ5Vでセルフパワー受電できる」機種なら、以下のように繋いでみて下さい。
  • 「RAL-HUB02のタイムシフトハブ部分」には、「AC-DC5-BK(amazonなら1200円くらいで買える、EIAJ5V送電のACアダプタ) 」か、USB-DACについていたACアダプターを使って、電源を供給する。
  • (↑と↓の間を、出来るだけ短いUSBケーブルで接続する)
  • 「EIAJ5V対応の、USB-DAC(SE-U55SXIIとか)」には、「RAL-HUB02にオマケで付いてたRAL-AC05-03」を使って、電源を供給する。
 RAL-HUB02の電源については「電源ノイズが時間軸確保には影響しない」ので安物に差し替えつつ、USB-DAC側には「電源品質が振幅軸品質に直結するので」いい電源を奢ってやる……というふうにすると、RAL-HUB02自身が出すノイズの影響をUSB-DACは受けずに済むため、ほとんどコストを掛けずに「よりまともな状態へと引き戻す」ことが出来るようになります。
 このあたりは、2010年のUSB Advent Calendar……ではなくて、クリスマス企画として書きました。
 http://d.hatena.ne.jp/maple_magician/20101224/1293197751
 http://d.hatena.ne.jp/maple_magician/20101225/1293279058
 こーゆー「スワッピングネタ」をクリスマスイブに書くってどーよ?……って気もするのですが、 いずれにせよこれも『実際のUSB-DACには付属してないのに、店頭の試聴機にだけこっそりと、RAL-HUB02付属の【RAL-AC05-03 (SA-15029RF) 】がUSB-DAC用のセルフパワー用電源としてつかわれていたりするかもしれない』 ので、あなたがこれを買うか否かに関係なく、必ず RAL-AC05-03 (SA-15029RF) の姿形と型番は覚えておくことをオススメします。


37,000円コース。

 ここまで来ると「全然安くないだろ!」ってツッコミが入りそうです……けど、将来的にはここの値段がグッと下がることを期待して、あえて書いておくことにします。
 ちなみに、 2010年11月中以降は【19,800円コース+ふつうのUSBDAC】を組み合わせれば、安価で同じ効果を得られ、使い勝手も悪くない ……ので、2010年11月中以降に「37,000円を投資する」だけの意味はなくなります。
 このコースで紹介するUSB-DACを「DACとして使ったときの音質」については評価する予定が全くないので、それについては他所のレビューを参照するなどしてください。


 USBでデータを引っ張り出したときに、そこからマトモな精度で音を出す方法として「ASYNC」と呼ばれる方法があります。
 ハードウェア的にもソフトウェア的にもいくつかのやり方があって、(特にソフトウェアコストと内蔵バッファメモリーコストに依存して)当然製品価格もかなりばらつきます。
 もっとも、今回は「CDプレーヤー精度を出す」ことと「DACは別の製品で賄う」ことが満たせれば良いため、「ASYNC受信であって、光(TOSLINK)出力が付いている」もののうち、一番やすい製品をあてがえばOKです。
 この方法、何が良いかといえば、「USB-DACの利点そのままに、アプリケーションを問わず音を出せる」ということ。19,800円コースが仮に失敗だった場合、しばらくはこれが「汎用環境では最安」ということになりそうです。

 2010年10月11日現在、その最も安い製品が『ラトックシステムのRAL-2496UT1、amazon価格で37,000円』なので、こういうことになっています。
 ラトックのASYNC受信は、他のメーカーの方法と比べて「構造上低コストに出来るしかけ」であるものの、CDプレーヤー精度を出すには十分な造りです。
 それと、パーツグレードを下げて光(TOSLINK)出力を省いた製品は既に『ラトックシステムのRAL-2496HA1、実売で13,700円』として売られていて、構造もほとんど同じ……なので、2012年頃までには同メーカーも需要に気づいて【ASYNC受信対応、光(TOSLINK)出力対応、低価格】ってゆーラインナップが出ると考えられます。
 まぁ、今は仕方がないので、オーバースペックとわかっていてもRAL-2496UT1を使うしかないんですけどね……。

 そして、ここからつなぐ光(TOSLINK)ケーブルには、なるべく1,000円コースで紹介したのと同じ基準で選んだケーブルを使ってください。


 #ってゆーか、ラトックシステムが『RAL-2496シリーズに内蔵させている、TAS1020B使用の「USB→デジタル」コンバーター』部分だけをモジュール化して、国内のUSB-DACメーカー全部に向けて外販してくれれば、それが一番手っ取り早い気がする……。


 ちなみに、お手持ちのUSB-DACに「RAL-HUB02 (タイミングシフトHUBと、低ノイズACアダプターの抱き合わせ販売品)」と「AC-DC5-BK(amazonなら1200円くらいで買える、EIAJ5V送電のACアダプタ) 」を追加で組み合わせると、だいたいRAL-2496UT1と同額くらいになるんじゃないかと思います。
 RAL-2496UT1の単体でも、RAL-HUB02+お手持ちのUSB-DACでも、効果は似たようなもの……なのですが、時間軸優先の場合には【RAL-2496UT1の単体】のようなASYNC機構内蔵型が有利ですし、RAL-2496UT1の音質が好みじゃなければ【RAL-HUB02+お手持ちのUSB-DAC】の構成を選ぶほうが幸せになれると思います。
 ……いずれにせよ、2010年度末の時点で「Asynchronous転送対応などによって得られる、時間軸+振幅軸の両方をまともにするソリューション」のために投資してよいコストは、総額で4万円未満というのがボーダーラインになると思います。そして、2011年度末には、このボーダーラインが「3万5千円~3万円未満」くらいにまで下がるでしょうね……。


50,000円超コース。

 ……いまは「ガン無視」していて良いはなし、ですけど、とりあえず。
 19,800円コースのところでチラッと書きましたが、『USB2.0 AudioClass2.0』対応のDACなら、ASYNC転送とかのモードを使わなくても、十分にまともな精度で音楽を奏でることができます。
 これは「USB1.xみたいなラフな精度でやっていたら、転送がさっぱり成立しない」ってゆー、USB2.xらしい理由……なんですけどね。
 この手のDACは、「それに対応するDACチップが、どこまで安くなるか」に沿って決まる……ので、数年待たないといけないはずです。
 高くても、結果として得られる効果は「19,800円コース」と変わらないので、「高いものが欲しい」という方以外は、手を出す意味がありません。


 ……ちなみに、同じく19,800円コースのところでチラッと書きましたが、「マルチビットDAC」を採用するDACを使えば、こういった機器による対策よりも、若干よい効果を得られます。
 マルチビットDACは、1bitDACやHybridDACが持つ「時間軸ブレによって、振幅軸精度がずれてしまう」という悪癖を持っていない……ので、時間軸ズレの影響をあまり出力端には持ち込まずに済む、ということになります。
 「無管理のUSB1.x」による時間軸精度の劣化度は、約1桁です……が、それに対してマルチビットDACによる許容度はビット数倍(16bit階調のDACなら1.2桁分くらい)の擬似補正効果が出るので、家の中に「マルチビットDACを搭載して、TOSLINK入力が付いている、CDプレーヤー」が転がっていたら、それを活用するといいと思います。


 それと、もう一つポイントが……「タイムシフトHUBや、ASYNC対応」等による補正効果と、「マルチビットDAC」による擬似補正効果は、それぞれ別個に(乗算的に)働きます。
 したがって、『片方だけの補正行動では、違和感が消えない』という場合は、下手に片方だけをさらにレベルアップさせるのではなく、まず「両方やる(タイムシフトHUBを突っ込んで、かつマルチビットDACを使う、とか)」という作戦を採用すると、回り道せずに確実な効果を得られます。


70,000円コース。

 これは特別なこと……ではなく、前述の「マルチビットDAC」に関する話です。
 ここでは、より安価なコースで「とにかくDDC段への対策を安価にやろう」という方針を採ってきました。
 理由は単純で……DDC段への対策は、比較的安価な対策でさえも十分に「DAC段の問題によってマスクされてしまう領域にまで回復できるので」さっぱり効果が出なくなるから。


 そんなときに覚えておいて欲しいことは……揺れすぎバス問題の解消方法として、2つのレイヤーがある、ということ。
  • DDC段……パケットタイミングの揺れを減らす(タイムシフトHUBなどを使う、高精度クロックを導入する、etc……)方法。
  • DAC段……パケットタイミングの揺れに影響されにくい仕掛け(非1bit-DAC)を使う方法。
 ちなみに、「DACに高精度クロックを突っ込めば、DAC対策にもDDC対策にもなるよね」とか考えるのはやめましょう……その方法では、たぶん意図に反してDDC対策としてしか効きませんので、投資対効果が『すさまじく悲惨』なことになります。「ネック工程に対してピンポイントで1桁分の効果を提供するかどうか、さっぱりわからない」外部クロックを「ン万円掛けて」導入するのは、正直『泥沼にはまりきってから』でも十分だと思いますし、個人的にそーゆー『根拠のない博打』はオススメしません。


 そこで、70,000円コースでは「別レイヤーでの対策なので、確実に1.2桁分の効果を上乗せできる」マルチビットDACを『DDC対策済みの環境に、追加で』導入する事をオススメします。
 もともと1bitDACは、振幅軸精度1bitの信号を複雑にオンオフさせることで、たとえば16bit分の広大な振幅軸を、端から端まで表現しています……ので、原理的に「16倍の高い時間軸精度」が必要となります。
 それに対してマルチビットDACは、たとえば振幅軸精度16bitの信号をアナログの階段状にそのまま出すため、1bitDACよりもたとえば16bit分低い時間軸精度で、おなじ振幅軸精度を確保できます。


 こうして、マルチビットDACは「原理的に」時間軸精度のぶれに強く、かつ「原理的に」DDC段対策とケンカしない方式なので、マルチビットDACを「すでにDDC段対策済みの」環境に導入すれば、確実に1.2桁分の時間軸精度向上を果たせるわけです。
 もっとも、マルチビットDACは「新品だと結構高い」……ので、たとえば【Denon DCD-S10の初代】など、値段がこなれていて評価の固まっている中古品を導入してみましょう。このクラスの中古だと、運がよければ送料込みで6万円からちょっと足が出る程度で買えます。


 元のヒドイ環境から比べれば、「DDC段対策」と「DAC段対策」との効果はそれぞれ同程度にある……ので、どちらかだけをやれば良いよ、という場合には、同じ効果を安価に得られる「DDC段対策」だけをやれば大丈夫です。
 それで効果が足りない、という段になった時点で、はじめて「DAC段対策」をやってみましょう。
 安価なはずの「DDC段対策」も、度が過ぎると高価になってしまいます……DDC段対策「だけ」に突っ走るのはコストパフォーマンスが悪すぎるので、順序としてはあくまでも「なるべく安価なDDC段対策」と「なるべく安価なDAC段対策」の組み合わせを、第二ステップとして選びましょう。


 データをシンクする側は、以下のようなものを準備すれば良いでしょう。
  • パソコンのS/P DIF出力がまともだった場合……光デジタルケーブルまたは同軸デジタルケーブル。
  • iTunesで使えれば良いとき……12,000円コースの「AirMac Express」+光デジタルケーブル。
  • USB-DACとしての使い勝手が必要なとき……19,800円コースの「RAL-HUB02」と、光or同軸デジタル出力だけの安価なUSB-DDC(3千円のHA INFO USB to COAX Converterとか、そーゆーレベルで十分役目を果たせる)
 無駄なところにはコストを掛けず、「目的を理解して、それを達成するために必要な機材を導入する」ようにすれば、10万円とかからずに「かなり良いところ」にたどり着けるわけです。


 新製品を導入したい欲求に駆られたときは、まずこういう組み合わせによって得られるコストパフォーマンスとの『比較』を行ってみるほうが良いのかもしれません。
 投資するべきポイントを間違えると、6桁中盤とか突っ込んでもダメ……とか、そーゆーことになっても不思議ではない点に注意。ステップアップするなら、きちんとポイントを押さえて、「当てずっぽうではないステップアップ」を目指しましょう。


 ちなみに、DDC段に付いて一定の対策ができた後については、「スピーカーを使うときにはマルチビットDAC(+AutoGEQ搭載のアンプ)」を選び、「ヘッドフォンを使うときには1bit DAC」を選ぶのが、コストパフォーマンスよく好みの音にたどり着くための近道です。この組み合わせを掛け違えると、『すさまじく高価な発声機器や、すさまじく高価なDACが必要になってしまう』ことになり、コスト対満足比が悲惨なことになります……ので、そのあたりには十分ご注意を。
 貴方が「ヘッドフォンオーディオ」の時間軸向上を望んでいるのならば、マルチビットDACの導入は『オススメしません』。マルチビットDACは強烈なアナログフィルタを必要とする都合上、『スピーカーで聞くには気にならないが、ヘッドフォンで聴くとすごく気になる音質低下』を招きがちであるにもかかわらず、『ヘッドフォンでは左右の音が混ざらないので、どうせ空気感は再現できない』ためです。このときは、仕方がないのでDDC段対策のみで突っ走るしかないでしょう……。
 逆に、もしも貴方が「スピーカーオーディオ」の時間軸向上を望んでいるのならば、マルチビットDACの導入は『まさにうってつけ』です。マルチビットDACの強烈なアナログフィルタは『スピーカーで聞く音質劣化はそうきつくない』にもかかわらず、マルチビットDAC自体の対ブレ性能が発揮されて『空気感のレベルをきっちり1桁分向上させて、濃密な定位感を再現してくれる』ものです。


 世の中のインチキなオーディオ屋は、おそらくこのあたりの事を知らない「葱を背負った鴨」が迷い込むのを待ってるのだと思います……そういうやつらには、背負ってる葱を振り回すなり、投げつけるなりしてやれば良いのでは、と。多少勉強代が掛かったとしても、最終的に自分が食われたりしなければ、それで十分じゃないか……というところでしょうか。
 ここで書いてきた「揺れすぎバス(USB)問題」については、あと数年経てば、普通のUSB DAIR LSI(USB→DAC用データへの変換チップ)が普通にフォローしてくれる時代が来て、そーゆー石が普通のUSB-DACにも載る時代が来ます。そのときには、インチキなオーディオ屋は勝手に自滅すると思いますし、このページは『無事に』無意味なものと化すはずです……けれども、それが普通になるまでの数年間は、ひとまず「やるかどうかは別として、知っておくこと」が有効な武器になると思います。
 「理を知れば真実は聴かずとも解る」とか言うつもりはありませんけれども、「どこを狙えば、どういう効果があるのか」を知っておけば、『迷って似たような機器を買い捲り、とっかえひっかえテストする悪夢』にははまらずに済むはずです……というか、私自身がかつて「ヘッドフォンばかりをたくさん買い捲ってドツボにはまった」ので、もうそういう悪夢は繰り返したくないんですよね……。


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