概要
プラネタリウム上映中に、星座の絵を投影するための装置を製作する。
現行の星座絵投影機はその構造上、細かい造形を表現しにくく、また、投影される像も輪郭が明確ではない。この問題を解決するために、光学系(レンズ)を組み込んだ新星座絵投影機の開発を目指した。
現行の星座絵投影機はその構造上、細かい造形を表現しにくく、また、投影される像も輪郭が明確ではない。この問題を解決するために、光学系(レンズ)を組み込んだ新星座絵投影機の開発を目指した。
現行機について
現行機において課題となっている部分を挙げる。これらの問題点を解決するために、新しい仕組み、構造の星座絵投影機開発へと着手した。
▼星座絵原版
現在の星座絵原版は以下のように作られる。
① 透明なプラスチック板に、マスキングテープを貼って絵を描く。
② 塗料(黒、艶なし)を吹きかける。
③ 塗料が乾いた後、マスキングテープを剥がす。
② 塗料(黒、艶なし)を吹きかける。
③ 塗料が乾いた後、マスキングテープを剥がす。
この方法だと、マスキングテープを剥がす際に周囲の塗料が一緒に剥がれてしまうので、細い線、また、細い線が密集した部分を描写するのが難しい。
そのため、現行の星座絵原版は大型にならざるをえず、それを搭載する星座絵投影機も大型化を余儀なくされている。
そのため、現行の星座絵原版は大型にならざるをえず、それを搭載する星座絵投影機も大型化を余儀なくされている。
▼星座絵投影機
先述の通り、現行機は大きく、その構造は取り回しに難がある。当会のプラネタリウムでは、投影機の操作をその場で人が行う。そのため、星座絵投影機に求められるものは少なくない。具体的には、
① 軽くて持ちやすい(星座絵を星座に合わせて投影し、数秒間静止するため)。
② 暗闇でも、どの部分にどういう機巧があるか把握しやすい。
③ 星座絵の大きさを調整しやすい。
② 暗闇でも、どの部分にどういう機巧があるか把握しやすい。
③ 星座絵の大きさを調整しやすい。
などが挙げられる。現行機は②と③を満たしてはいるが、①についてはまだ改良の余地がある。
▼投影像
現行機はレンズをまったく用いておらず、星座絵原版を通り抜けた光を直接ドームへと映している。そのため、投影される星座絵像の輪郭は明確ではなく、常に光がにじんだ状態となっている。
現行機はレンズをまったく用いておらず、星座絵原版を通り抜けた光を直接ドームへと映している。そのため、投影される星座絵像の輪郭は明確ではなく、常に光がにじんだ状態となっている。
星座絵原版
新しい星座絵原版を作るにあたり、参考にしたのがエッチングという技術である。これは、銅版を塩化第二鉄で腐食させることを原理としたものであり、回路の基盤や、模型製作にも用いられている。細かい造形が可能であり、製作による個体差が少ない。
ただし、エッチング処理後の廃液は公害の原因ともなりうる廃棄物であり、適切な処分が必要である。
以下に大まかな製作工程を記す。
① 元となる絵を光沢紙へ、レーザープリンターで印刷する。
② 得られた元絵を、脱脂処理を行った銅箔テープ(厚さ約0.1mm)に重ねて、マスキングテープで固定する。
③ これをラミネーターやアイロンなどを使って、圧力をかけながら熱する。圧力や熱が高すぎると良くない。
④ 圧熱処理が終わったら、元絵が貼り付いた銅箔テープを、丸ごと水の中へ入れて、紙の繊維をふやかす。
⑤ 丁寧に指でこすりながら、紙を剥がす。上手くいけば、元絵が銅箔テープへと転写される。
⑥ 銅箔テープの糊がついている部分をゆっくり剥き出しにして、薄いプラスチック板に貼り付ける。
⑦ エッチング処理をする(エッチング処理剤付属の取扱説明書に準拠する)。
⑧ エッチング終了後、銅箔テープを炭酸水素ナトリウム水溶液(重曹を溶かした水)に浸けて、塩化第二鉄残渣液を中和する。
※⑧の作業を省略すると、銅箔テープが徐々に腐食される。
⑨ 余計な水気を拭き取って、星座絵原版の完成。
② 得られた元絵を、脱脂処理を行った銅箔テープ(厚さ約0.1mm)に重ねて、マスキングテープで固定する。
③ これをラミネーターやアイロンなどを使って、圧力をかけながら熱する。圧力や熱が高すぎると良くない。
④ 圧熱処理が終わったら、元絵が貼り付いた銅箔テープを、丸ごと水の中へ入れて、紙の繊維をふやかす。
⑤ 丁寧に指でこすりながら、紙を剥がす。上手くいけば、元絵が銅箔テープへと転写される。
⑥ 銅箔テープの糊がついている部分をゆっくり剥き出しにして、薄いプラスチック板に貼り付ける。
⑦ エッチング処理をする(エッチング処理剤付属の取扱説明書に準拠する)。
⑧ エッチング終了後、銅箔テープを炭酸水素ナトリウム水溶液(重曹を溶かした水)に浸けて、塩化第二鉄残渣液を中和する。
※⑧の作業を省略すると、銅箔テープが徐々に腐食される。
⑨ 余計な水気を拭き取って、星座絵原版の完成。
上手く製作すると、以下のような写像ができる。
レンズ
レンズは未だ目処が立っておらず、試行錯誤の最中である。候補としては、有機高分子樹脂レンズが挙げられる。樹脂レンズはガラスレンズに対して、分子構造の精密さに劣ると考えられる。しかし、樹脂レンズは軽く、そして割れにくい。調達もしやすく、比較的安価に入手が可能である。精度次第では、樹脂レンズを導入することも視野に入れている。
今後の課題
▼レンズと星座絵原版との兼ね合い。
▼レンズの入手、設計
▼レンズの入手、設計
(文責:concern)