「あらぁ・・・・・・真紅。なぁにやってるのぉ?」
と、書物を読んでいる真紅の後ろからひょっこりと顔を出す水銀燈。
「……見ての通り読書なのだわ」
「うん。それはわかるわぁ」
何を読んでるのか聞いてるのよぉ~と、真紅に圧し掛かる様に腕を真紅の前に回す水銀燈。
「紅の倉庫に眠ってた古い書物なのだわ。初代が書き残したヤツと……」
そう言いながら真紅は、自分の机の上を指差す。
「二代目が書き残した書物なのだわ」
「まった……学校で読むものぉ? それぇ?」
「別に水銀燈には関係ないのだわ。それとも、恋愛小説でも読んでいてほしかったかしら?」
「う……ま、まぁ……真紅が恋愛小説読んでるなら私もソレ読んでみたいしねぇ~」
「なんなら、コレなんてお勧めするのだわ。恋愛なのかどうか不明だけど」
と、真紅は、パタンと読んでいたページに栞を挟んだ後閉じ机の上に置いた。
そして、机の中から一冊の小説を取り出す。
「どうぞ……なのだわ」
と、水銀燈に見せた表紙には……『マリ○様が○てる』
「ちょっ……し、真紅? そ、その小説は……」
「あら……水銀燈。私とならない?」
「え、遠慮しておくわぁ~今の関係で十分だもの」
水銀燈は、そう言いながらその小説の受け取りを拒否しつつ真紅の言葉も断る。
「二人とも何してるかしら?」
じゃれている(?)二人にそう声かけるのは金乙女の金糸雀。
此方もまた古めかしい大きな書物を傍らに抱えている。
「ちなみに聞くけどぉ……そのふっるぅそぉ~本なぁに?」
「あぁ、コレかしら? 金乙女の倉庫にあった金乙女の歴史書かしら」
「貴女もなのねぇ~……」
そういう水銀燈に、首をかしげる金糸雀。
ふと、真紅の机の上を見れば、同じ様な古めかしい書物が二冊。
「あら、真紅。ソレ」
「そうなのだわ。紅の初代と二代目が残した書なのだわ」
「あとでみせてほしいかしら」
「……まぁ、別にいいのだわ。その代わり、昼ごはんの時に卵焼きの譲渡を希望」
「ソレぐらい容易い御用かしら~」
と、トンッと自分の胸を軽く叩く金糸雀。
そんな二人を見て、あぁ本の虫が二人いるわぁ……と、水銀燈はそんな事を考えつつ
自分も銀乙女の倉庫で初代とか残した書物でも読もうかしら?
せんせーの事もあるし……よくよく考えたら私、せんせーがどんな鬼とかわかってないのよねぇ~。
と、相変わらず真紅に圧し掛かるようにしていた水銀燈は、自分の思考をそう完結させるのだった。
某教師の自宅。
「ただいまですよっと……ふぅ……お? おおぉ!? インターセプターが花を咲かしてる!?」
観賞用サボテンが、小さながらも綺麗な白い花を咲かせているのを見て、某教師は驚きと共に笑顔を浮かべる。
「おぉ……デジカメ……デジカメは何処だ!?」
デジカメを見つけ、サボテンを激写しまくる某教師。
「ふぅ……今日は、いい日だ。うん。インターセプターが花を咲かせたし……
……は?! 今日一日何にも巻き込まれなかった!? スーツも無事だ!!? ゆ、夢だろうか?」