第9話『アッガイって何?』
午後の授業が終わり、掃除の時間なのだが…帰り支度を始める僕。
自慢じゃないが、入学してから一度も掃除をしたことがない。
そそくさと教室をでて、昇降口で靴を履き替え外にでると、校門の所に少女が立っていた。
その娘が、こっちに向かってピョンピョンと飛び跳ねながら、手を振り始めた。まだ掃除の時間だ…あたりには僕以外誰もいない。
ってことは、僕に手を振っているのか?しかし、この距離じゃ顔が見えない。
平静を装って近付いていくと、立っていたのは薔薇水晶だっだ。
とりあえず、薔薇水晶と分かったので手を振り返すと、益々嬉しそうに手を振ってくる。
薔「JUN。…遅いよ」
遅いと言われましても…ね。約束してたわけじゃないし。
J「お前、なんでこんなとこにいるんだ?」
薔「…JUNを待ってた。」
J「なんで?」
薔「……恋人が一緒に帰る…当然」
と、言って軽くVサインをする。
掃除もしないでバカなことを…てか、誰が恋人だよ。
J「一緒に帰りたいの?」
薔「……うん」
まぁ、一緒に帰るくらいいいか。ということで、薔薇水晶と一緒に帰ることになった。
校門をでて、しばらくの間、薔薇水晶が今日の出来事を話していた。
薔「……で…きらきー……が……で……なの」
楽しそうに雪華綺晶さんの話をする薔薇水晶。彼女のことが大好きなんだろう。そんなことを考えると思わず笑みがこぼれてしまう。
薔「……私…変なこと言った?」
J「いや、違うよ」
そう言いながらも笑っている僕を見て困惑する薔薇水晶だったが、諦めたようにまた話始めた。
薔「JUNは……どのシーンの…アッガイが…好き……?」
J「はィ!?」
素っ頓狂な声をだしてしまった。
アッガイってガンダムのアレか?
僕はガンダムに詳しくない。
アッガイだって名前だけで、どんなナリをしてるのか知らない。
J「ごめん。ガンダムあんまし知らないんだ」
薔「!?」
いや、そんな『え?ギャグでしょ?てか、そのギャグ全然面白くないよ』みたいな顔されても困りますよ…
その後、薔薇水晶のガンダムトークを延々と聞かされ、僕んちの近くまで来た時気付いた。
J「僕が普段帰る道で来たけど、薔薇水晶んちってこっちなの?」
薔「…?……だって…JUNの家で…遊ぶ……」
何言ってんの?
ダメに決まってんじゃん。
男の1人暮らしだよ?めちゃめちゃ汚いんだよ?
薔「え~……イジワル…」
と、言われまし………うっ!?
卑怯だ……涙目上目遣いなんて
J「……次…次、一緒に帰った時には入れてあげるからさ…」
満面の笑みを浮かべ
J「///」
抱きついてきた
薔「…ありがと。JUN」
そう言って、僕からはなれると駆け足で帰って行った。
薔(…JUNに……抱きついちゃった…///)
続く