Novel
EL5
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匿名ユーザー
「はい。これで大丈夫。」
「あ、ありがとう。」
「ううん。こちらこそ、足手まといでごめんなさい。」
イヴは、ユリウスの怪我を見て、包帯をしまった。
気まずい。
気まずい雰囲気が二人の間にたちこめる。
双方、動こうともしない。立ち上がろうともしない。
なにも話そうとしない。
ただじっと座っているだけ…。
「…もう暗くなる。
どこかで野宿するか。」
ユリウスはそういうと、イヴは「うん。」とうなづきながら立ち上がった。
ユリウスは立ち上がると、森の奥へとつっきていく。
イヴもそれに続いて歩く。
やがて、ほこらのようなところが見えた。
ユリウスとイヴは、ほっとしたような笑顔で、そのほこらへと走っていく。
「よし。これなら雨にもぬれないだろう。」
ユリウスとイヴは、ここで寝ることにした。
このほこら、見た目よりずっと頑丈で全て石造りだった。
多少ひび割れたブロックがあるが、石は規則正しくならんで、隙間風も入ってこない。
「うん。しっかりした造りだな。」
「でも変だわ。こんな、人も足を踏み入れないような森の奥にほこらがあるなんて…。
誰がなんのためにつくったのかしら?」
「ま、とりあえず今は今を考えろってことだ。」
ユリウスは適当な場所を見つけると、ごろんとよこに転がった。
そのとき、背中に激痛が走り、ユリウスは表情をゆがめ、体を丸めた。
「ユリウス!?」
「あ、いや。なんでもない。」
「…そう。」
イヴは、心配そうな声でそうつぶやいた。
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