空白の騎士と暗黒の騎士 ◆lkOcs49yLc


紘汰は、中学校へと足を急がせていた。
サガラの言葉から出た「イレギュラー」、月の脳にこびりついたバグ。
ムーンセルは、それを取り除こうと、英霊に関するデータを抹消した。
紘汰は、かつて迷い込んだ武神世界にいた武神鎧武を思い出した。
14の武神ライダーの前に現れた、将を持たぬ謎の武神。
そのイレギュラーが、戦極時代における武神鎧武だとしたら。
コウガネの時の様に、多くの参加者に被害が及ぶ危険性がある。
もしそれが本当なら、何としてもそのサーヴァントを見つけなければならない。

そして分かり合うか、倒すかにする。

そう考えながら、紘汰は足を急がせていた。



それから時間が過ぎ、紘汰とセイバーは、廃ビルが並んでいる廃れた区域を走っていた。

明らかに街から離れてしまってはいるが、学術地区にある中学校にはこちらが近いということで
今此処を走っている。電車やバス等の交通機関は、敵に見つかってしまうために使えない。
無論、ロックビークル、スイカアームズに至っては論外だ、其の上ローズアタッカーは
予選中に破損してしまった。なので、こうして走っている。



人っ子一人いないこの通りを、十分ほど走った頃だろうか。


何やら、人らしき影が目の前に近づいていた。

セイバーも、そこからおぞましいオーラ・・・いや、魔力を感じ取っていた。



◆  ◆  ◆

葛葉紘汰が学術地区へ急ぐ中、偶然か否か、忌夢もまた商業地区へと足を運んでいた。
多くの人が行き交うそこに行けば、サーヴァントが見つかる可能性が高いからだ。
通り魔がいるかは分からないが、それでも他の参加者が見つかることは
あるだろう。そんな事を考えながら、街中を走っていたその時。


<<マスター、サーヴァントの気配を感知した、此方に近づいて来るぞ>>

バーサーカーの、淡々とした、しかし何処か狂気を感じる声が響いた。

<<本当なのか?それは、何処から来ている>>

<<ああ、5時の方向から気配を感じられる>>

ホラーを狩ることを生業としてきた魔戒騎士の鎧たるバーサーカー。
故に、魔力探知はそれなりに出来る。

それを聞くと、忌夢は直ぐ様その方向へと駈け出した。




それから時間が過ぎ・・・忌夢もまた廃工場が並び立つ路上に立った。

<<来る・・・・来るぞ・・・・・此方側に近づいてきている!!>>

バーサーカーの機械的、されど悦びに満ち溢れた声が、忌夢の脳内に響き渡る。



「・・・来るか。」

其の直後、オレンジ色のジャケットに身を包んだ、自分に近いぐらいの年代らしき青年が、形相を変えて此方に
向かって走る姿が、忌夢からは視認できた。そしてそれを確認すると、忌夢は如意棒を取り出し、


「行け、バーサーカー」

自らの使い魔に、実体化を促した。

「了解した。」

マスターの命令が、血に飢えた黒狼の鎖を解き、狂戦士は姿をさらけ出した。


「来い、お前の相手は、ボクだ。」





◆  ◆  ◆





長い如意棒を手に取った、セーラー服を着た女性と、彼女の前に立つ黒騎士を見て、紘汰は一瞬唖然とした顔を
しながらも、走り続けていた足を止めた。


「…サーヴァント!?」

…まさか、この人マスターなのか?
もしかして、こいつがイレギュラーなのか?


紘汰はそのように思考を巡らせる中、忌夢の脳内に声が響き渡る。

<<マスター、奴の近くにサーヴァントの強い気配が感じられる、戦わせろ>>

「…勝手にしろ」

忌夢がそう言った瞬間、バーサーカーは剣を引き抜き、紘汰に向かって斬りかかってきた。
バーサーカーのスピードは相当なものだ、紘汰が戦極ドライバーを巻く時間すら与えるかも
分からない。だが、紘汰には、戦極ドライバーよりも頼りにしている相棒がいた。

「行くぜ!セイバー!!」

「ああ、分かった!!」

紘汰の合図とともに、灰色の小さな竜が紘汰の前方に出現し、そして、


「ウォォォォォォォ!!」


その可愛らしい見た目にそぐわない様なけたたましい咆哮と、大きな光を発した。


「これは…?」

それを背後から見ていた忌夢は、その眩しさに目を覆いながらも、
光り輝く竜のサーヴァントに目を驚かせていた。
マスターは「セイバー」と呼んでいるのに剣を持たない、それも驚きだが…
まさか、奴の宝具か?

そう考えている中、輝きは終わりを告げ、光が発出していた場所には、真紅の竜が羽ばたいていた。

あの時と比べ、首は伸び、大きさは数倍以上になり、そして、翼と角が生えていた。

その角はまるで、それが彼の「剣」であるように見えた。

セイバー…ドルモンの第三進化形態「ドルグレモン」

イグドラシルの意志が生んだデクスドルグレモンとの戦いの中で進化した、新たな姿。




バーサーカーはセイバーの目前で動きを暫く止めていたが、すぐに、

「姿が変わろうと同じだ…この手で、斬り伏せる!!」

再び剣を構え直し、セイバーに剣幕を向ける。


バーサーカーは走りだし、飛び、剣をセイバーに向けて振りかざすが、

セイバーは即座にそれを躱す様にバーサーカーが来た方向と逆の向きに走りだし、
振り切ったかと思えば、その角をバーサーカーに向けて、全速で翔ぶ。

だが、やはりというかバーサーカーはそれを剣で受け止め、2体はお互いの刃を
力任せに押し合う。

抑止力のロイヤルナイツと、護りし者の道から外れた魔戒騎士は、今ここにしのぎを削り合う。


「セイバー!!…今助太刀するぜ!」

それを傍で見ていた紘汰は、直ぐ様戦極ドライバーを腰に当てた。

両端から出た黄色いラインはベルトとなり、紘汰の腰に装着される。

そして、ポケットからオレンジのロックシードを取り出し、構え、叫ぶ。


「変身!!」

『オレンジ!』

紘汰の叫び声に反応するかの様に、スイッチを押したロックシードは開き、

上空に出現した丸いジッパーからは、巨大なオレンジが出現した。

「ふっ、はっ、だぁあ!」

紘汰はそれを上空に構え、ロックシードの向きを裏返し、戦極ドライバーに装填する。

『ロック・オン!』

すると、法螺貝の様なやかましい待機音が流れ行く。
だがそんな物の使用を、敵マスターが許すはずがない。

「させるかぁ!」

忌夢は、忍としての素早さで如意棒を紘汰に振りかざす。
「お前が相手か!」
だが紘汰はそう叫ぶと、上空に飛び上がり、後ろ向けに回転しながらもドライバーのカッターナイフを
落とし、見事に着地。

『ソイヤッ!オレンジアームズ!花道・オンステージ!!』

ふざけたような名乗り音が流れた直後、上空に浮かび上がっていたオレンジは紘汰の頭上に被さり、
戦国時代の鎧に近い形に変形する。紘汰の身体もまた、紺碧のアンダースーツに包まれ、
鎧から出てきた頭には鎧武者の様な仮面が装着されていた。

忌夢はその時に出た余剰エネルギーに弾き飛ばされそうになったのを即時に避け、そしてその姿に驚く。

(まるで、ボク達の忍転身じゃないか…)



右手に取ったオレンジ型の日本刀を構え、叫ぶ。

「此処からは、俺のステージだ!!」

ならばと、忌夢もまた如意棒を構え、叫ぶ。

「忌夢、悪の誇りを舞い掲げる!!」

現代の武者と現代の忍びもまた、己の道を掲げ舞い散らんとする。




◆  ◆  ◆





その頃、紘汰と忌夢の隣では、セイバーとバーサーカーが、未だに互いの刃をぶつけ合っていた。

セイバーは角を、バーサーカーは魔戒剣をぶつけ、互いの力をぶつけ合う。

「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」

力の押し合いは尚も続く。

押されたのは…バーサーカーの方だった。

「ぐはっ!」

首を上に押し上げたセイバーにより、バーサーカーは弾き飛ばされ真っ逆さまに落下、魔戒剣は弾き飛ばされた。
だが、血を求めんとするバーサーカーが、たかが剣を弾かれた程度で終わるはずがない。

「…」

バーサーカーは起き上がったと思えば即座に黒い鎌の様な得物を引き抜き、上空にいるセイバーに向かって再び
飛びかかる。
セイバーは直ぐ様避けようとするが、遅かった。
刃はセイバーの項に齧り付き、

「うぐっ!!」

セイバーが唸り声を上げる。
バーサーカーが手にとっているのは、「暗黒斬」
嘗て1000体のホラーを短時間で喰らった、正に底なしの口。
これで、セイバーの魔力はバーサーカーに喰われる…かと思われたが、

「何!?」

セイバーは息を荒げ身体をぶんぶんと振り回してはいるが、しかし精気を吸われている気配は全くしなかった。


彼の宝具「そこにあり、受け継がれる命(X抗体)」は、ウィルスからデジモン
を守ったワクチン。そしてこれは、陰我の塊となった暗黒騎士の呪いの攻撃にもまた、
通用する代物であった。


だが、それでも、相も変わらずセイバーはもがき続けることしか出来ない。
セイバーはまだ真の姿であるアルファモンとしての姿を開放してはいない。
ドルグレモンでは勝てなかったオメガモンを遥かに上回るその力でなら、
バーサーカーを倒せるかもしれない。だが、神霊としてのその力は
膨大な対価を要求する。いくら紘汰がオーバーロードとはいえ、
予選で持ちこたえるのは極めて難しい。紘汰が極アームズに変身して
魔力を供給すれば、「究極戦刃王竜剣」を引き抜いて尚あのような状態に
保てるほどには安定するが、それもまた切り札だ、今は使えない。

ならば、と。

「コウタ、一瞬だけだが持ちこたえてくれ!」

セイバーはそう叫ぶと、再び光輝く。

「うぅっ!?」

バーサーカーは若干動揺しながらも、光となったセイバーにしがみついていた。

光が消えた時、バーサーカーの暗黒斬が食いついていたのは、

巨大な騎士の肩だった。

これこそがアルファモン、伝承のみで語られる、ロイヤルナイツにおけるギャラハッドのごとき存在。

「フン!」

空白の騎士は、その凄まじい力で、バーサーカーを振り放す。

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

バーサーカーは再び宙を舞い、錆び付いたビルの屋上に着地した。
アルファモンはその直後にドルグレモンの姿に戻り、視線をバーサーカーに向け直す。

まだ、戦いは終わってはいない。




◆  ◆  ◆


「うぐっ!」

鎧武が、呻き声を上げ膝を付く。

アルファモンが喰らう魔力は、「狂化」を施した大英雄に匹敵する。
流石に「デジタライズ・オブ・ソウル」を撃たなかったとはいえ、それなりに
魔力は消費したとは言える。

忌夢は、この隙を見逃さなかった。

恐らく、生身ではあの鎧武者に敵うはずがない。
それは戦って分かった。
ならばと。

忌夢は巻物…秘伝忍法書を取り出し、空中に放り投げる。

「忍・転身!!」

詠唱とともに、秘伝忍法書は螺旋を忌夢の周りに描き、
彼女の姿はさながらドイツの軍人の様な姿に変わる。

「うおっ!アンタも変身出来んのか!?」

体勢を立て直した鎧武は、一瞬で服装を変えた忌夢の姿に仰天する。

「ボクをあまり馬鹿にしてもらっては困るな…!」

そう吐き捨てた忌夢は、先程とは比べ物にもならないスピードで
鎧武の目前に迫り、圧倒的な素早さとパワーで如意棒を
振り回し、鎧武に連続で攻撃を叩きつける。

「うっ!ぐほっ!ぐあああああああああ!!」

鎧武は回転しながら宙を舞い、地面に倒れる。

(アイツのパワー、さっきとは全然違う…)

仰向けになりながらも鎧武はそう考える。

カチドキ、ないし極なら、あのパワー相手にも何とかなるかもしれない。
だが、今は使えない事は、セイバーからも釘を刺されているし、
紘汰にもそれくらいの事なら分かる。
エナジーロックシードなら行けるか…いや、レモンでもあのパワーに対抗できるのか?
だったら、パワー重視の旧型ロックシードだ!!

紘汰の脳裏にそんな事が浮かんだ後、すかさずベルトのホルダーからロックシードを
取り出し、スイッチを押す。

『パイン!』

そして立ち上がり、オレンジとそれを付け替えると、再びカッターナイフを振り落とす。

『ロック・オン! ソイヤッ!』

ジッパーが再び開き、オレンジの鎧が消滅しパインの鎧が装着される。


『パインアームズ! 粉砕・デストロイ!』


「パインパインにしてやるぜぇ!」

またまた聞こえたやかましい音声とともに、鎧武が新たな姿を見せる。

そして鎧武は、パインの様なチェーンアレイを忌夢に向かって振り回す。
だが忌夢もまた負けじと如意棒を回転させ、それを弾き返す。


「なっ!」

紘汰が再び後ろへ位置をずらすと…忌夢が叫んだ。

「秘伝忍法!」

忌夢は回転させた如意棒に、触れただけで焦げてしまいそうな程の雷を、如意棒に収束させる。


秘伝忍法。現代の忍における必殺の技。


「ハァァァァァァ……!」


如意棒の回転速度と雷が比例するように増大していく。


「マズい!!」

紘汰は即座に危ないと考え、戦極ドライバーのカッターナイフを振り落とす。

『パイン・スカッシュ!』

紘汰もまた、チェーンアレイを振り回しながら一回転し、
上空へと跳躍する。忌夢のチャージも、
丁度終わった所だ。


「ローリングゥゥゥ…サンダァァァァァァ!!」

忌夢は如意棒を、さながら手裏剣のごとく投擲する。


「ハァァァァァァ…セイハァァァァァァァ!!」


紘汰もまた、上空でチェーンアレイをサッカーボールのごとく蹴飛ばす。

忌夢が投げ付けた雷の竜巻と、鎧武が蹴りつけたパイナップルは、

上空で激しい爆発を上げ、ぶつかり合う。




彼らが今ここで鎬を削り合うのは、ある意味では偶然であった。
紘汰のいたファミレスは、忌夢の探している「通り魔」が、
現在向かっている先であった。

そんなちょっとした関係を持った二人は今も尚、

空白のロイヤルナイツと、災禍の魔戒騎士を駒に取ってぶつけ合っている。







【C-6/廃ビルが並ぶ路/1日目午前】



【葛葉紘汰@仮面ライダー鎧武】
[状態] アーマードライダー鎧武変身中
[令呪]残り3画
[装備] 無双セイバー、パインアイアン
[道具] 戦極ドライバー、ロックシード一式
[所持金] 貧乏(一日程度の生活費)
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争を止める。
1. 今いるバーサーカーとそのマスターと戦う。
2. サガラの言う「イレギュラー」を探す。
[備考]

  • 「罪歌」の影響を受けているかは不明です。
  • 少なくともオレンジ、パイン、カチドキ、極のロックシードは所持しています。
  • パインアイアンを忌夢にぶつけました。




【セイバー(アルファモン)@DIGITAL MONSTER X-evolution】
[状態] ドルグレモン変身中、健康
[装備] 無し
[道具] 無し
[所持金] 無し
[思考・状況]
基本行動方針: 紘汰と共に、聖杯戦争を止める。
1. バーサーカーと戦う。
2. 自らの燃費がとても気になる。
[備考]

【忌夢@閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明-】
[状態]健康、忍転身
[令呪]残り三画
[装備]如意棒
[道具]秘伝忍法書、外出鞄、財布
[所持金]普通
[思考・状況]
基本行動方針:優勝し、聖杯を雅緋に捧げる
1.街に出て、敵マスターを探す。キーパー(=ハービンジャー)のマスターも知っておきたい
2.まずこの鎧武者を倒す。
3.呀には極力そのままで戦わせる。いざという時には、装着して戦う
4.そこらのNPCでは、呀を使いこなせないらしい。無理に代わりの体を探すことはしない
5.呀を再び纏うことに、強い恐れ
[備考]
  • 秘伝忍法「ローリングサンダー」を葛葉紘汰にぶつけました。




【バーサーカー(呀)@牙狼-GARO-】
[状態]
[装備] 暗黒斬
[道具] 魔戒剣、暗黒斬
[所持金] 無
[思考・状況]
基本行動方針: 戦う。
1. セイバーと戦う。
2.
[備考]
  • 魔戒剣を落としました、近くに刺さっているので多分拾えると思います。



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