ホライズン ◆nig7QPL25k


 街灯煌めく歓楽街にも、光の届かぬ場所はある。
 路地の裏へと分け入れば、そこは無明の真っ暗闇。
 きいきいと鳴く鼠の声と、がさごそと袋の揺れる音が、暗がりに響くゴミ捨て場だ。
 無法者達が潜む町の、そのまた深き闇なればこそ、隠れて潜む者もいる。

「………」

 その時そこに立っていたのは、そういう類の存在だった。
 全身を覆うのは、灰色の鎧。
 一切の光沢を放たない、無機質なその甲冑は、色彩と諸共に大切な何かが、ごっそりと抜け落ちていたようにも見えた。
 顔面のフルフェイスヘルメットからは、大きな一本角が生えている。一見して印象に残る特徴といえば、せいぜいそれくらいのものだ。
 されど注意深く見てみると、更にもう一つ、腰回りに、大きなベルトが巻かれているのが分かる。
 仮面とベルト。それは商業地区のスーパーを襲った、奇妙な強盗の特徴だ。

「――お前だな。逃げ込んだ盗人というのは」

 だからこそ彼は、その鎧へと、標的を絞り声をかけた。

「!」

 気付いた時にはもう遅い。
 灰色の甲冑の足元では、彼の凶器が渦を巻いている。
 じりじりと音を立て忍び寄り、マスクが振り返った瞬間に、一気呵成に巻き起こったものは――砂だ。

「!?」

 ざあっと大きな音を立て、砂の津波が襲いかかった。
 人一人を包み込み、そのまま丸呑みできるような、それほどに膨大な量の砂だ。
 それがさながら意志を持ち、大蛇のように振る舞って、鎧へまとわりついたのだった。
 たかが砂。手の隙間からも溢れる砂。
 されど砂だ。量が量だ。塵も積もれば山となる。
 両手にすらも収まりきらない、莫大な質量の塊は、強烈な圧力を伴って、灰色の甲冑を拘束した。

「サーヴァントではないようだな。ならば、それを使うマスターか?」

 靴音が鳴る。足音が寄る。
 サンダルの音と共に現れたのは、赤毛を短く切り揃えた男だ。
 十代後半の少年か。されど黒々とした隈が浮かぶ、その青い双眸の光は、凍えるほどに鋭く冷たい。
 そしてその額には、血のように赤々とした色彩で、「愛」の一文字が刻まれていた。
 我こそを愛する修羅となれ。
 母の愛を継ぎ強く生きよ。
 故に我愛羅。
 それこそが巨大な瓢箪を担いだ、赤毛の乱入者――シールダーの真名だった。

「……!」

 返事はない。
 鎧は言葉を返しもせずに、砂の中でじたばたともがく。

「答えないのなら、用はない」

 我愛羅の対応も冷ややかだった。
 たったそれだけの言葉で、執行猶予の終わりを告げた。
 ぐしゃり――と鈍い音が鳴る。
 赤い飛沫が隙間から飛び散る。
 肉を骨を、鎧を砕き、押し潰す砂の圧力が、無慈悲に敵の命を奪う。
 はみ出た首と右腕が、明後日の方向へと曲がり、千切れてぼとりと地へ落ちた。
 砂にて拘束した相手を、圧壊させる砂瀑送葬。我愛羅の操る忍術の中でも、基本にして象徴たる技だった。

「終わったんだな」

 そこへ響いてくる声が、一つ。
 ゴミ袋からこぼれたガラス片を、ぱきりと踏んで現れたのは、同じく赤毛の少女だった。
 凄惨な屠殺場を前にして、娘は僅かに顔をしかめる。
 だが、それだけだ。鎧が掻き消え素顔を晒した、血みどろの生首を目の当たりにしても、その程度の反応しか示さない。
 齢19にして修羅場をくぐり、地獄を生き抜いた少女兵士――カノン・メンフィスこと、羽佐間カノン。
 この少女こそ、かつて忍の里一つを率いた我愛羅を、更に従えるマスターだった。

「それなりの時間を与えてやったが、サーヴァントが現れる気配はなかった」
「ということは?」
「こいつはマスターでもない。恐らくは敵に操られ、手駒となったNPCだ」

 生前忍であった我愛羅は、気配遮断のスキルを保有している。
 にもかかわらず姿を晒し、時間をかけて攻撃したのは、相手の出方をうかがうためだ。
 その結果がこれだった。相手は明らかにサーヴァントではない上、それを呼び出すことすらもしなかった。

「他人を操り、手下を増やす……厄介な敵がいるようだな」
「マスターかサーヴァントか、どちらの術かまでは分からん。だが、軽視できるものではないだろう」

 聖杯戦争は基本的に、マスターとサーヴァントのタッグマッチだ。
 しかしこのNPCを操った敵には、その前提が通用しない。これが10人20人と増えれば、いかな雑魚とて脅威となる。
 それは今後を戦い抜く上で、決して忘れてはならないことだった。

「……!」

 その、時だ。
 我愛羅がそれを目にしたのは。

「どうした、シールダー?」

 首を傾げるその背後に、突如現れたその姿を。
 本来ありえるはずのない、その不可思議な光景を。
 現実にいるはずのない者が、捨てられた鏡の向こうから――カノンに向けて伸ばしている右手を!

「避けろ、マスター!」
「っ!?」

 珍しく、我愛羅が声を張り上げた。
 その意図するところは分からない。しかし軽視できる状況ではない。
 混乱しながらもカノンは、その場から飛びのき身をかわす。
 入れ替わるようにして奔ったのは、我愛羅の瓢箪から飛び出す砂だ。
 その先にある光景を見届けた時、カノンは我が目を疑った。

「何だ、これは!?」

 手が伸びている。
 それもただ出ているのではない。
 灰色のアーマーに覆われた右腕は、鏡に映った向こう側から、現実世界へと伸ばされていたのだ。

「っ!」

 引きずり出された灰色の鎧は、先ほど倒した者と似通っている。
 違いがあるとするならば、大柄なそれと比較すると、シャープでスリムな印象を受けるということか。
 間違いない。同じ存在に操られた手駒だ。しかしこの光景の何としたこと。
 こいつらは鏡の中に映った、虚像の世界へと潜り込み、動きまわることができるというのか。

「砂瀑送葬!」

 鎧の右半身を砂が包む。
 顔面を飲み込んだ瞬間、砂が牙を剥き獲物を食らう。
 ぐしゃぐしゃと嫌な音を立て、隙間から血飛沫を撒き散らしながら、二人目の鎧は絶命した。
 プレスされたゴミのようなその遺体からは、顔を潰されてしまった以上、身元を特定することもできないだろう。

「なんてことだ……」

 同時にカノンは、判明した敵の能力に、慄く。
 鏡の世界へ入り込み、現実の敵へと襲いかかる能力。
 それを持つということは、こちらが手出しできない死角から、一方的に不意を突き、敵を殺すことができるということだ。
 であれば、もはや安全地帯など、この魔術都市ユグドラシルの、どこにも存在しないのではないか。
 想像以上に深刻な事態に、カノンはその場へと座り込むと、右手で軽く顔を押さえた。


 聖杯戦争の開幕から、一夜明け、朝。
 いつも通りに起床して、登校途中に先輩と出くわし、普段通りに学校へ向かう。
 記憶を取り戻す以前から、そのような習慣を送っていたと、刷り込まれていた日常だった。

「………」

 違うのは、その学校の先輩が、やたらとそわそわしていることか。
 陽光に照らされた赤毛の少女は、しかしその爽やかな空気の中にあって、裏腹におどおどとしている。

「さっきから何を気にしてんだよ、先輩?」

 天羽奏は怪訝な顔をし、カノン・メンフィスへと尋ねてみた。

「あ、いやその……」

 返すカノンの言葉は、要領を得ない。
 真面目で物怖じしない彼女にしては、随分とらしくない態度だ。
 何かあったのではないか。もしかしたらその何かとは、聖杯戦争に関わることか。

「……夕べ、幽霊を見てしまってな……窓ガラスに映っていたものだから、どうしても気になっていたんだ」

 しかし、ややあって返ってきた返事は、随分と拍子抜けなものだった。
 見間違いだとは思うんだがと、そう付け足したカノンの返事に、奏は両目をぱちくりとさせる。

「……っははははッ!」

 そして同じく間を空けた後、大声でげらげらと笑い出した。

「やはり、そうだよな……すまない、馬鹿馬鹿しい話をして」
「はは……ホントだよ。意外と可愛いとこあるんだな、カノン先輩も」

 腹を抱えながら言った奏の言葉に、カノンは少し頬を赤くする。

「幽霊なんているわけがないし、いたとしても、魔術師の使い魔だ。いち女子高生のカノン先輩が、わざわざ狙われる理由なんてないだろ?」
「い、いや、分からないぞ。私の学校の成績を妬んだ、ライバルの犯行かもしれん」
「自分で言うかよそういうことッ!」

 もはや理屈が支離滅裂だ。
 それがおかしくってたまらなくて、カノンの背をばしばしと叩きながら、奏は高らかに笑った。
 思えばこんなやりとりも、随分と懐かしいものになってしまった。
 死んでからそれほど時間も経っていないのに、風鳴翼とこうしていたことが、遠い昔のことのように思えてしまう。
 それは状況が変わったからか、あるいは本当に長い間、ここに閉じ込められていたのか。
 その辺りの解答を、真面目に考え込もうとするほど、奏は生真面目な人間ではなかったが。

「とにかく安心しなって。先輩が心配してるようなことは、絶対に起きやしないからさ」

 だから、この話題もここまでだ。
 可愛らしい先輩をいじるのも、この辺りまでにしておこう。
 困った顔をしたカノンに対し、奏はそう言いながら、一歩前へと歩み出た。
 もうすぐ彼女らの高校だ。学年が一つ違う奏とカノンは、もちろん向かうべき教室も違う。
 故に彼女は一足早く、別れの言葉を口にすると、勢いよく校門へと向かっていった。

《……お前じゃないよな?》

 そしてその場から離れたのは、一つ、確認したいことがあったからでもあった。
 傍らに並ぶ存在へと、念話をもって語りかける。
 不可視のバーサーカー――トーマ・アヴェニールという名前すらも、奏には知る術がないような相手だ。
 自分勝手な行動を取れるほど、高尚な理性を有してはいない。
 それでも幽霊と聞かされて、最初に思い浮かんだのは、この英霊の写し身・サーヴァントだ。

《………》
《まぁ、違うんだったらいいけどよ》

 当然ながら、返事はない。
 肯定も否定も示しようもないのだが、ひとまずはその沈黙を、前者の意として受け取ることにした。
 そもそも夕べこのサーヴァントは、奏と一緒に行動していたのだ。
 カノンの家を通った覚えもない。であるなら、彼女がトーマの姿を、万が一にも見ることはない。
 そう分かっていながらも尋ねたのは、やはり何かしらの反応を、期待していたからなのだろうか。
 この、未だ狂気に甘んじ沈黙する、漆黒のサーヴァントに対して。

「……幽霊なんているわけがない、か」

 それにしても、と。
 そういえば、と思い出し、ぽつりと小さく口にする。

「妙なことを言うもんだな、あたしも」

 幽霊がいないとするならば。
 死後の魂がどこへも逝けず、消えてしまうというならば。
 それを否定する死人の私は、一体何だというのだろう。
 未だ自分は、あちらではなく、こちらの人間でいるつもりなのか。
 割り切っているはずの自分にも、どこかで死を否定したいという、そんな考えがあるのか。
 そんな風に思いながら、それを振り切るようにして、奏は教室へと急いだ。



【C-5/学術地区・一般高校/一日目 早朝】

【天羽奏@戦姫絶唱シンフォギア】
[状態]健康
[令呪]残り三画
[装備]通学鞄
[道具]財布
[所持金]やや貧乏(学生の小遣い程度)
[思考・状況]
基本行動方針:人々を守りながら戦う
1.積極的に聖杯を獲りには行かない。巻き込まれるかもしれない人命を守るために戦う
2.バーサーカー(=トーマ)の現状には納得していない。狂化の向こうにある本心に、自分の歌を伝え届ける。
3.とりあえずいつも通り日常を過ごし、学校で授業を受ける
[備考]
※カノンの幽霊話については、ただの勘違いだと思っています

【トーマ・アヴェニール(バーサーカー)@魔法戦記リリカルなのはForce】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]『銀十字の書』
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:?????
1.とりあえずは奏の言う通りに動く
[備考]
なし




《意外と言ってみるものだな……》

 十数分前のやり取りを、回想する。
 幽霊を見たという言い訳は、傍らの相棒から耳打ちされたものだ。
 本当にそれで納得されるのかと、半信半疑ながらも言ってはみたが、意外とすんなりと通った。
 馬鹿馬鹿しい話だが、だからこそ、ただの与太話として流されたのかもしれない。
 そんなことを考えながら、羽佐間カノンは教室の席につき、我愛羅へと念話を送っていた。

《すまない。死霊を用いた使い魔の術を、魔術師が有していたことを失念していた》
《いや、いいさ。疑われずに済んでいるから、問題ない》

 詫びる我愛羅に対して、答える。
 確かに操霊術という線は、考えられもしたようだが、それは奏も一笑に付している。
 あの様子なら、誰に話が漏れたとしても、さして問題はないだろう。

《それにしても、霊を操る術か……シールダー達の世界にも、そういう忍法は存在するのか?》

 故にこの場は、場をほぐすために、世間話をすることにした。
 昔ならこうして気を利かせることなど、到底できやしなかっただろう。
 奏からは堅物と言われたが、これでもカノンも成長しているのだ。人として生きる今ならば、それくらいの気配りはできた。

《あるにはある。だが危険な禁術だ。簡単に使えるものではない》
《そうか》
《マスターの世界には、なさそうだな》
《多分な。色々とSFじみた現象には、馴染み深くなってしまったが、そうしたオカルトとはまだ縁がない》

 我愛羅の問いに、そう返した。
 異星体フェストゥムの存在は、確かに科学では説明がつかない。
 珪素で自らを形成し、同化にて他者を取り込むその在り方は、まさに神話の魔物そのものだ。
 しかしそれはあくまでも、宇宙の常識の範疇でしかない。ファフナーや竜宮島の技術も、その延長に過ぎない。
 地球に元から存在している、超自然的な現象というものには、カノンは未だ出会ったことがないのだ。

《だが、そうだな……死んだ人間の霊というのが、いてほしいとは、思っている》

 それでも。
 経験がないということは、実在を否定することとイコールではないと、カノンはそう付け足した。

《散っていった魂が、苦しみの記憶を最期にして消えてしまう……それではあまりにも、浮かばれないからな》

 あちらとこちら。
 彼岸と此岸。
 生者と死者の境界線。
 霊魂の存在というよりは、そんな死後の世界への願望かもしれない。
 カノンが否定しなかったのは、そうした感情あってのものだ。
 侵略者によって蹂躙され、傷つき倒れていった多くの者達。
 その魂が、苦しみと悲しみの只中で、死後の安寧すら許されず消えていく――それはあまりにも残酷だと、彼女はそう思ったのだ。
 せめて肉体から解き放たれ、痛みを忘れたその後くらいは、穏やかに生きていてほしいと。

《それにそうした人達が、見守っていてくれるのなら、生きて戦い続ける私も、前を向いて進んでいける》

 ここにいたいとそう願える、勇気をもらえる気がするのだ。
 カノンはそう締めくくった。
 ここにいる偽物などでない、本物の両親の魂が。
 面倒を見てくれた先輩や、受け入れてくれた仲間達が、あちらから励ましてくれるというのなら。
 それならば、こちらに生きている自分も、せめてもう少しは頑張ろうと、そう思えるような気がするのだ。

《そうか》

 カノンの言葉に対する返事は、短く簡素なものではあったかもしれない。
 それでも、その時の我愛羅の言葉は、いつもの無機質なものよりも、少し柔らかく聞こえた気がした。



【C-5/学術地区・一般高校・3年生教室/一日目 早朝】

【羽佐間カノン@蒼穹のファフナーEXODUS】
[状態]健康
[令呪]残り三画
[装備]なし
[道具]通学鞄、財布、ベレッタM92(15/15)
[所持金]やや貧乏(学生の小遣い程度)
[思考・状況]
基本行動方針:優勝する
1.基本的にサーヴァントを狙う。マスターはあまり殺したくない
2.とりあえずいつも通り日常を過ごし、学校で授業を受ける
3.鏡やガラスに気をつけ、灰色の鎧達(=仮面ライダー)から狙われないようにする
[備考]
※雅緋が歓楽街の無法者を支配しているという話を聞きました
※『仮面とベルトをつけた強盗(=仮面ライダーベルデ)』を倒したと思っています。
 他にも複数仲間がいて、自分の命を狙っていると考えています。

【シールダー(我愛羅)@NARUTO】
[状態]健康
[装備]『我が背負うは風なる影』
[道具]忍具一式
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:マスターを補佐し、優勝へ導く
1.基本的にサーヴァント狙い。マスターは悪人のみ狙う
2.鏡やガラスに気をつけ、灰色の鎧達(=仮面ライダー)から狙われないようにする
[備考]
※雅緋が歓楽街の無法者を支配しているという話を聞きました
※『仮面とベルトをつけた強盗(=仮面ライダーベルデ)』を倒したと思っています。
 他にも複数仲間がいて、自分の命を狙っていると考えています。




 壁紙も椅子も粗末なものだし、ベッドはぎしぎしと軋んでうるさい。
 水道水なんて口にしようものなら、一発で腹を壊してしまうだろう。
 そんな安宿ではあったものの、されど衛宮士郎にとっては、その小汚さが懐かしい。
 切嗣と共に正義の味方として、各地を放浪した時には、こんな宿に泊まったことが多々あった。
 決して明るい思い出ではなかったが、彼と共に過ごした時間は、全てが悪いものではなかったと思う。

「……やっぱりあの作戦は、そう何度もは使えないな」

 そんな部屋の中で、士郎は、神崎士郎からの報告を受けていた。
 仮面ライダーガイの契約者を確保した直後、砂使いのシールダーが襲来。
 神崎自身の存在は捕捉されなかったが、ガイは呆気無く死亡。
 その後、事前に確保していたライアを使い、奇襲を試みたものの、これも空振りに終わり返り討ちにあった。
 マスター一人の情報と引き換えにするには、釣り合わない大きな損失だ。

『確かに、撤収したマスターは、周囲の鏡やガラスを警戒していた』
「種が割れちまえば分かりやすい手だし、目につきやすい分怖いんだ。もう大人しく引っかかってはくれないだろうさ」

 世界の境界線を跨ぐ。
 ミラーワールドから手を伸ばし、あちらからこちらへと引きずり込み、消滅させる。
 敵マスターを鏡へと閉じ込めるというのは、確かにちゃんと決まってくれれば、一撃必殺の戦術だ。
 しかしシールダーのマスターには、そのからくりがバレてしまった。
 であれば、もう同じ手は食わないだろう。近くにある鏡という鏡に、片っ端から警戒の目を向けて、奇襲に備えようとするはずだ。
 故にこの手は、他のマスターに対しても、慎重に打たなければならない。
 士郎は改めて、己が戦術の、利点と弱点を見極め直した。

「そういえば、今日は外が騒がしいな」

 言いながら、士郎は窓の外を見やる。
 歓楽街はその裏側に、多くの闇を抱えたエリアだ。
 その日陰を好んでいるような、いかにも危なげな連中達が、何やらピリピリとした気配を漂わせている。
 特にこの歓楽街で、騒動が起きた様子はない。
 だが、この一晩のうちに、状況に何らかの変化が起きたのは確かだ。

「キャスター、調べてきてくれるか」
『いいだろう』

 であれば、無視することはできない。
 士郎は神崎へと指示を出し、情報収集を命じる。
 鏡の世界で息を潜めて、聞き耳をたてられる神崎士郎は、アサシンにも匹敵する優秀な諜報員だ。
 程なくして神崎の顔は、ガラスに映った部屋の中から、ドアを開け外へと消えていった。
 遠からずして衛宮士郎は、真相を知ることになるだろう。
 この町を騒がせる事態の発端が、遠く離れた行政地区での、マスター同士の戦いであることを。
 闇を束ねる白き女帝――雅緋が、手傷を負って根城へ落ち延び、その身を隠しているということを。



【B-8/歓楽街・安ホテルの一室/一日目 早朝】

【衛宮士郎@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!!】
[状態]健康
[令呪]残り三画
[装備]干将・莫耶
[道具]オーディンのライダーデッキ
[所持金]数日寝泊りできるほど
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い
1.情報収集に出た神崎が帰還するのを待つ
2.宿を拠点として、他のマスターを探す
3.赤毛のマスター(=羽佐間カノン)を警戒。多分ミラーワールドからの奇襲は、二度と通用しない
[備考]
※護衛として、仮面ライダータイガ、仮面ライダーインペラーに変身するNPCが近くにいます。
 戦闘時には即座に現れ、士郎を援護するように洗脳されています。
※シールダー(=我愛羅)およびそのマスター(=羽佐間カノン)の外見特徴を把握しました

【キャスター(神崎士郎)@仮面ライダー龍騎】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]ライダーデッキ×7
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針: マスターの戦いを見届ける
1.歓楽街が騒がしい。緊張の原因を調査する
2.ユグドラシル全域からNPCを選別し、仮面ライダーを増やす
3.赤毛のマスター(=羽佐間カノン)を始末する
[備考]
※町のNPC3人を洗脳し、ベルデ、インペラー、タイガのデッキを渡しています。
 また、現時点でガイ、ライアのデッキが破壊されています。

【『ライダーデッキの仮面ライダー』】
【仮面ライダータイガ(歓楽街のゴロツキNPC)】体力100%・現在地 B-8 歓楽街・安ホテルの一室
【仮面ライダーインペラー(歓楽街のゴロツキNPC)】体力100%・現在地 B-8 歓楽街・安ホテルの一室
[備考]
士郎の護衛として、常に近くで行動しています。
戦闘時には即座に乱入し、士郎を守りながら戦闘を行います

【仮面ライダーガイ(歓楽街のゴロツキNPC) 死亡】
【仮面ライダーライア(歓楽街のゴロツキNPC) 死亡】



BACK NEXT
求める未来を目指せ 投下順 刻まれるカウント
冷たい伏魔 時系列順 -

BACK 登場キャラ NEXT
カーテン・コール 天羽奏 -
バーサーカー(トーマ・アヴェニール -
振り返るもの、向き合うべきもの 羽佐間カノン -
シールダー(我愛羅 -
強盗と仮面とベルト 衛宮士郎 -
キャスター(神崎士郎 -