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背負う覚悟は胸にあるか ◆nig7QPL25k


 時は過去へと遡る。
 北西に位置する塔、ドラスロール。
 この世界樹の魔力を制御し、ユグドラシルに定着させている。
 そういう塔だと設定されている場所だ。
 この場所をスバル・ナカジマが訪れたのは、軽い思いつきが理由だった。

「………」

 強固な結界に守られた、石造りの塔を見上げる。
 奇妙な縄が巻きつけられた、神話の鹿の名を冠する塔は、夕暮れの光を受け朱に染まっている。
 ここに来れば、状況を打開するヒントが、何か得られるのではと思った。
 立花響のガングニールが、世界樹の影響を受けているのなら、何かが確かめられるのではと思っていた。
 しかし、それはかなわない。塔の中に入れないのでは、それが管理する魔力について、調べることはできそうにない。
 周囲に人がいないのを確かめ、砲撃魔法をぶつけてみたが、突破することはできなかった。
 こうなるとここでできることは、もうないと見てよさそうだ。

(戻るか)

 あまり長居するわけにはいかない。
 特に連絡はないが、マスターである響を、長く独りにするわけにもいかない。
 であれば、そろそろ帰るべきか。
 そう考え、身に纏ったバリアジャケットと宝具を、元に戻そうとした瞬間。

「!」

 塔越しに、何かを感じた。
 こちら側の様子をうかがう、何者かの視線を察した。
 緩めた気分を引き締めて、スバルは素早く身構える。
 恐らくは先程の爆発の音を、誰かに聞かれていたのだろう。
 無警戒に飛び出してこない。ただのNPCではないらしい。
 だとすれば、敵マスターかサーヴァントか。危険な存在であることにかわりはない。

「………」

 張り詰める緊張。右手にこもる力。
 狙うは先制攻撃だ。あまりいい気分はしないが、今のこの身は敵とぶつかり、勝つための戦いをしている。
 塔を挟んだ向こう側の、恐らくは太枝の合間に隠れた、何者かの気配を静かに探る。
 攻め入るタイミングを計り、今か今かと待ち続けた後。

「リボルバーシュートッ!」

 遂にスバルは攻勢に出た。
 塔の影から飛び出すと同時に、黒鉄の右手を突き出した。
 リボルバーナックルが放つのは、蒼穹色の魔力の弾丸。
 魔力カートリッジを排出し、放たれる青き射撃魔法が、世界樹の枝葉へと襲いかかる。
 着弾、炸裂。巻き上がる粉塵。
 もうもうと立ち込める煙目掛けて、スバルは一直線に走った。
 『進化せし鋼鉄の走者(マッハキャリバーAX)』の車輪が、エンジン音をかき鳴らし、敵との間合いを一挙に詰める。

「っ!」

 もちろん、敵も馬鹿ではない。
 煙を切り裂くようにして、反撃の凶弾が迫り来る。
 一発目は身をよじってかわした。二発目は防御魔法で弾いた。三発目は跳躍してかわした。
 ばちっ、と鋭い音を立て、塔の結界に当たり炸裂するのは、魔力で作られたエネルギー弾か。
 恐らく敵の正体は、自分と同じキャスターのクラス。
 であれば、このまま距離を詰めて、接近戦で潰すのが常道。
 ベルカ式の魔法を修めた、例外の存在である自分であれば、その戦術も実行可能。

「おりゃあっ!」

 迷わず煙へ飛び込んだ。
 渦巻く拳を突き出した。
 ナックルスピナーが空を裂き、見えぬ標的へと叩き込まれる。
 炸裂したのは、音と光だ。
 敵を殴った手応えはない。薄ぼんやりと見えるのは、防御魔法の桃色の光か。

『Stop!』

 その時だ。
 光と煙の向こう側から、聞き覚えのある声が響いたのは。
 電子音声の届いた直後に、粉塵がようやく晴れてくる。
 塵の向こうに見えるのは、記憶に深く刻まれた、ミッドチルダ式の魔法陣。

「……スバ、ル……?」

 その更に奥から聞こえてきたのは、決して聞き違えようのない、大切な人間の声だった。

「なのは……さん?」

 ツインテールに結ばれた栗毛。
 驚きも露わな青い瞳。
 白を基調としたバリアジャケットに、桃色と金に光る魔道の杖。
 宝具『不屈の心はこの胸に。そしてこの胸に小さな勇気と奇跡を(レイジングハート・エクセリオン)』 。その持ち主はただ一人。
 エースオブエース、高町なのは。
 煙の向こうにあったのは、生前のスバルを教え導いた、敬愛する恩師の姿だった。


 殴りかかった敵サーヴァントが、身内であることを確認し。
 更に敵対意志がないことを知ったスバルは、自らの軽率な行動を恥じ、物凄い勢いで謝罪した。
 もっとも、爆発音を聞きつけたなのはも、相手が危険な存在ではないかと判断したのだ。
 おあいこで手打ちということで、この件は水に流されることになった。

「『大神宣言(グングニル)』の破片を、取り込んでしまった女の子……か」
「正確には別の世界のグングニルで、それも破片から作った武器の、更に断片らしいんですけどね」

 そんな彼女らが行っていたのは、互いの情報交換だ。
 本人同士は味方であっても、マスターが好戦的な人物であるなら、戦わざるを得なくなる。
 幸いにして互いのマスターは、どちらも争いを好んではいなかった。
 なのはとそのマスターは、むしろ戦いに乗ることを拒んでおり、彼女は脱出の手立てを求めて、この塔を調べに来たらしい。
 もっとも、撃槍に毒された響には、それとはまた別の問題があったのだが。

「難しいね。確かに取り込んだのが神器ともなると、聖杯クラスの奇跡でなければ、どうしようもないかもしれないけれど……」

 口元に手を添え、なのはは難しい顔をして思考する。
 常勝不敗、百発百中。
 北欧神話の主神が用いた、神秘中の神秘、『大神宣言(グングニル)』。
 それが聖杯の記録にある通りの神器であるなら、宿された力には計り知れないものがある。
 それこそ、たとえサーヴァントであっても、どうこうできるかは怪しいかもしれない。
 万能の願望機の力なくして、撃槍の毒の摘出は、かなわない願いなのかもしれない。

「……それでも、劣化に劣化が重なっているなら、何とかできるかもしれない」
「本当ですか?」
「うん。今の私はメンターのサーヴァント……教え導くのが本分だからね」

 だが、神話通りの力がなければ、対処のしようはあるかもしれない。
 そう言ってなのはが提示した、ガングニールを抑える術は、こうだ。
 まずは響と顔を合わせ、彼女の肉体の状況を、正確に把握することから始める。
 そして神器との融合を、抑制するための魔法を構築し、それを響へと教授する。
 仮にガングニールの魔力が、ミッドチルダ式の魔法に使えるのなら、撃槍自身の力によって、撃槍を制御することができるはずだ。
 エクストラクラスを得たスバルの師は、そのように状況を分析していた。

「もっとも、不確定要素も多いよ。ガングニール……だっけ。その神器の力が、ミッド式の魔法と、適合するかどうかは分からない。
 それに適合したとしても、それを立花さんの力と技術で、適切に運用できるかどうかも怪しい」
「外部魔力炉から供給した魔力を、自分のものとして運用するのは、結構なレアスキルですからね……
 同じようなものだとしたら、確かに難しいのかも」

 融合症例というのは、なのは達にとっても分からないこと尽くめだ。
 彼女の肉体と同化した神器を、リンカーコアと同一のものとして、単純に捉えていいのかも分からない。
 そうでなかった場合、かつてのプレシア・テスタロッサのように、更に専門的な技術が必要になるだろう。
 そうなればなのはの管轄外だ。自分の知り得ない技術は、さすがに教えようがない。

「とにかく、まずは会ってみないとだね。立花さんは、学術区画の寮暮らしだっけ?」
「あ、はい。なのはさんのマスターは、特級住宅街の方ですよね」

 とはいっても、それを判断するのは、実際に顔を合わせてからだ。
 2人はお互いの住所を確認すると、待ち合わせ場所と時間を決めて、再び会う約束を取り付けた。
 同盟締結をスムーズにするため、今までに話したネガティブな要素は、極力伏せることも加えてだ。
 ぬか喜びに終わるかもしれないが、それでも可能性を疑われて、同盟を反対されるよりはいい。
 それらの約束を決め、この場は解散という流れになった時。

「なのはさん」

 背を向ける高町なのはへと、スバル・ナカジマが声をかけた。

「何かな?」

 呼び声に応じ、なのはが振り返る。
 その先のスバルの表情は、いつになく真剣なものだった。

「あたしはなのはさんのことを、尊敬してますし……今でも、大切な人だって思っています」
「うん」
「だから、なのはさんとは戦いたくない。なのはさんのことを、裏切りたくないと思ってます」

 本心だった。
 スバルにとってなのはとは、命を救ってくれた恩人だ。
 同時に、戦闘機人の力の使い道を、その身で教えてくれた人でもある。
 それほどの大恩ある人間に、仇を返すような真似は、普通はできるはずもない。

「だけどあたしは、響のことも助けたい。
 呪われたあの子の身と心を、それでもと認めてあげられるように、あたしが力になってあげたい。
 あの子は、昔のあたしと同じ……もう一人のあたしなんです」

 それでも今のスバルには、救いたいと思うマスターがいる。
 犠牲の上に立つ命と、人の域を超えた力を持った、立花響という少女がいる。
 兵器の体を持って生まれ、その力で人を害することを、何よりも恐れた一人の少女。
 せめて人助けができればと、血塗れの右手を差し伸ばし、それでも時に手が届かず、涙を流してきた少女。
 立花響という娘は、そんなかつての少女と同じ、もう一人のスバル・ナカジマだ。
 もう一人の自分であればこそ、それがいかに危うい存在か、彼女は痛いほど理解していた。
 だからこそ、そんな傷だらけの少女を、放ってはおけないと思った。

「だから、もしも願いを叶えるために、戦いが避けられないということになったなら……
 あたしは、なのはさんとも戦います。あの子を呪いから解き放つために。あの子が自分を許す日を、きちんと迎えられるように」

 それは反逆の宣言だった。
 必要に迫られたその時は、たとえ恩人に刃向かってでも、聖杯獲得のために戦う。
 命を救い、道を示した、高町なのはに牙を向けてでも、勝ち残り最後の一組を目指す。
 救われ示された自分には、同じように救う義務と、示す責任があるのだから。
 あってほしくない未来だと思った。それでも、可能性がある以上、きちんと宣言しておかねばならなかった。
 それがスバル・ナカジマなりの、けじめのつけ方というものだった。

「……それでもスバルは、呪われたまま、悲しい終わりを迎えることはなかった。そうでしょ?」

 それでも、高町なのはは笑う。
 静かな笑顔でそれを受け止め、逆にスバルに問い返す。
 答えはもちろん肯定だ。スバルは無言で頷いた。
 どれほど悲しいことがあっても、周囲にいた彼女の仲間達が、それ以上の喜びを与えてくれた。
 みんなが支えてくれたからこそ、どんな苦しみや絶望にも、押し潰されることはなかったのだ。

「だったら、どうしたらいいのかを、今度はスバルが教えてあげなくっちゃね」

 そう言うと、なのはは身を翻して、今度こそ塔から立ち去った。
 響のために戦うことを、高町なのはは肯定したのだ。
 それが正しいと信じて、戦うことができるのならば、決して裏切りにはならないと、言外にそう伝えたのだ。
 やがて彼女の後ろ姿は、世界樹の枝の向こうへ消える。

「かなわないな」

 その背中を見送ったスバルは、本人には決して聞こえないように、小声でそう呟いていた。
 暗くなり始めた空の下で、今はいない恩師に向けて、スバルは深く頭を下げていた。


 それから時間が経ち、現在。
 両陣営の対話が終わり、同盟が締結された後のこと。
 メンターのサーヴァント・高町なのはは、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールを伴い、彼女の住まいへと向かっていた。
 響の回復魔法修得のために、クリアしなければならない問題は多い。
 それでも、可能性はゼロではないと、そう言い切れる出会いにはなった。
 何より、スバルの入れ込むマスターが、どんな人間かを知ることができた。
 なるほど、彼女が救いたいと、心から願うだけのことはある。
 危うさこそはあるけれど、それでも面構えは立派だ。真っ直ぐな良い子なのだろうというのが、僅かな出会いから察することができた。

《ねぇ、メンター。あんなので本当に頼りになるの?》

 霊体化したなのはへと、隣のルイズが問いかける。
 眠気もあってか、ルイズの方は、あまり機嫌がよくないようだ。
 必然、スバル達に向ける目も、どうしても懐疑的なものになってしまう。
 あの間抜けそうなコンビと、手を組み共闘し合うことになって、本当に大丈夫なのかと。

《大丈夫だよ。ああ見えて頼もしい子だから》
《そういえばあのキャスターは、あんたの教え子だったかしら》
《うん……本当に強い子だよ、スバルは》

 遠い記憶を振り返りながら、なのはは懐かしむように言った。
 自分では分かっていないかもしれないが、スバルは本当に強く育った。
 明るく見えて繊細な子だ。彼女はその繊細さゆえに、何度も深く傷ついて、何度も涙を流してきた。
 それでも、その度に己を奮い立たせ、困難に立ち向かってきた。
 最初から傷つくことのない者よりも、傷ついても前に進める者の方が、強い人間であるということもある。
 彼女の愛弟子――スバル・ナカジマとは、そういう類の人間だった。

(あれならきっと、大丈夫)

 あたしはなのはさんとも戦います。
 そう決然と言い放った姿を思い出す。
 自分を信頼してくれることよりも、それ以上に大切な理由を、きちんと持っていたことが嬉しかった。
 そのためなら、たとえ刃を交えることになっても、後悔はしないだろうと思えた。

(私も頑張らなくっちゃね)

 もちろん、そうならないに越したことはない。
 自分だってできることなら、戦友と戦いたくはないのだ。
 そのためには自分の考えたプランを、見事に成功させなければ。
 明日からは忙しくなるぞ。そう己を奮い立たせ、なのははルイズと共に帰路へとついた。

《……ん?》

 その時だ。
 その辺りに配置したはずの、監視用のサーチャーが、なくなっていることに気がついたのは。


「なかなかにナメた真似をしてくれるじゃねえか」

 発光する魔力の球体を、ぐしゃりと右手で握り潰す。
 キーパーのサーヴァント――ハービンジャーが、その存在に気がついたのは、特級住宅街に忍び込んでから、しばらく経過した後のことだ。
 侵入者の存在を監視する、魔術によって作られたサーチャー。
 警邏の兵隊もうろついているからか、彼らに見咎められない程度の、少量のものしか用意されていない。
 それでもそのサーチャーの存在は、読み通り狙うべきターゲットが、この区画にいることを意味していた。

「一生の不覚だわ」

 苦々しい顔で言ったのは、マスターの両備だ。
 本来ならば忍として、潜入工作に精通した自分が、真っ先に気付かなければならない仕掛けだった。
 しかし、魔術というものへの理解のなさが、監視カメラを見落とすという、あるまじき失態を招いてしまった。
 選抜メンバー候補がこの有様とは。人一倍プライドの高い両備は、己の失態を強く恥じる。

「ま、細けぇことは気にすんな。どの道勘付かれる前に、獲物は見つかったんだからよ」

 ニヤリと笑みを浮かべながら、ハービンジャーは眼下を見やる。
 ピンクブロンドの髪をした、十代そこらの少女の姿があった。
 こんな夜中に用事もなしに、うろついているような年齢ではない。
 であれば、用事があるということだ。それも隣の両備のように、荒っぽい用事と見て間違いない。

「万一間違ってたら、色々と厄介なことになるわ。だから証拠も残らないくらいに、一撃で消し飛ばしてやりなさい」
「弱い者いじめは趣味じゃねえが、まぁ了解だ。派手にぶちかましてやるぜ」

 がつん、と両の拳をぶつけ合わせる。
 それに呼応するかのように、英霊の四肢が光を放つ。
 その身を眩く染め上げるのは、黄金色の甲冑だ。
 至高の宝具、『牡牛座の黄金聖衣(タウラスクロス)』 。神話の鎧をその身に纏い、伝説の黄金聖闘士が、臨戦態勢へと入る。
 ばちばちと弾けるのは雷電。スパークを伴う雷の小宇宙。
 己がセブンセンシズの下に、強大な魔力を練り上げながら、ハービンジャーは跳躍する。
 鎧と鎧の隙間から、盛り上がる筋肉が覗いた。ぐっと構えた右の拳に、気合いと魔力が満ち満ちた。

「なっ!?」
「ぬぅりゃあッ!」

 標的が接近に気付いたようだ。だがもはや何もかもが遅い。
 黄金聖闘士の光速の拳と、その中でも並ぶもののない超パワー。
 速度と威力のメーターを、限界以上に振り切った拳は、もはや小娘には止められない。
 裂帛の気合いを吐き出すと共に、轟然と空を切り裂いて、渾身の一撃を振り下ろす――!

「――ッ!」

 ばこん。
 衝撃と共に、大地が砕けた。
 鈍く大きな音を立て、石畳が粉々に吹き飛んだ。
 もうもうと立ち込める煙と、吹き荒れる嵐のような稲妻が、その破壊力を物語る。

「……ほぉ」

 それでも、手応えはなかった。
 あれほどのパワーとスピードを込めた拳は、しかし敵を捉えていなかった。
 砕けた瓦礫には、肉片どころか、血の一滴もこぼれていない。
 煙を払い、マントを翻し、黄金の猛牛は身を起こす。
 単眼の視線を向けた先には、見覚えのない人影があった。
 純白の戦装束を纏った、小娘とは違う若い女性――読み通り、サーヴァントを連れていたわけだ。
 であるなら、それなりには楽しめる。
 魔術の杖を油断なく構え、小脇にマスターを抱えた女に、ハービンジャーは不敵に笑いかけた。


 迂闊だった。
 噂がばらまかれている以上、敵襲を警戒はしていたつもりだった。
 それでも、用心が足りなかった。開幕早々に攻めてくると、そこまで考えてはいなかったのだ。

「メンター、あれって……!」
「うん。見つかっちゃったみたい」

 粉塵の中から現れたのは、見上げるほどの大男だ。
 左目の潰れた粗暴な顔に、不釣り合いな黄金の甲冑。
 されど身にまとう気配は、荒くれ者のそれではなく、英霊としての風格を備えている。

「今のタイミングでかわすとはな。褒めてやるぜ」

 凄絶な笑みを浮かべながら、ハスキーな声が語りかけた。
 この男、恐らく相当にできる。
 恐らくは奴の宝具であろう、あの太陽の色に輝く鎧からは、尋常ならざる気配を感じる。
 後世に名を馳せるほどの大英雄――第一戦の相手としては、相当に高いハードルだ。

「キーパー、って、何? 奴のクラス……」
「! 私と同じ、エクストラクラス……!?」

 困惑するルイズの呟きに、なのはは両目を見開いた。
 敵対者のステータスを見るマスターの目が、基本クラスに存在しない、第八以降のクラスを視認したのだ。
 これは厄介なことになった。知らず、なのはの頬を汗が伝う。
 通常七つのクラスには、それぞれに得意分野が存在する。
 たとえばランサーのクラスは、基本的にはスピードの速い、攪乱戦法を得意とする相手だ。
 ライダーであれば乗り物を警戒する必要があるし、アサシンならば隙を突かれないよう、慎重に気配を探る必要がある。
 しかし相手はエクストラクラス。そういった予備知識というものが、一切存在しない未知の相手だ。

(どう対策を打てばいいのか、分からない……!)

 相手は見るからに強敵。しかも手の内は分からないと来た。
 おまけに発展途上のマスターを、庇いながら戦わなければならない。
 これは相当な窮地だと、高町なのはは眉をひそめ、黄金の敵対者を睨み据えた。



【F-3/特級住宅街/一日目 深夜】

【ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール@ゼロの使い魔】
[状態] 健康、なのはの指導による疲労(極小)
[令呪] 残り三画
[装備] 杖
[道具] なし
[所持金] 裕福
[思考・状況]
基本行動方針:メンターから魔術を教わる
1.襲撃してきたサーヴァント(=ハービンジャー)に対処する
2.夜が明けたら、引き続き回復魔法を教わる
3.響と共に回復魔法を無事に習得できたら、聖杯戦争からの脱出方法を探る
[備考]
※メンターの指導により、リリカルなのはの世界の防御魔法(プロテクション、ラウンドシールド)を習得しました
※なのはの指導により、少しずつ体に負担が溜まっています。
 現状では問題はないですが、さらなる指導で疲労値が蓄積された場合、戦闘中に反応の遅れが生じる可能性が高まります

【メンター(高町なのは)@リリカルなのはシリーズ】
[状態]健康
[装備]『不屈の心はこの胸に。そしてこの胸に小さな勇気と奇跡を(レイジングハート・エクセリオン)』、バリアジャケット
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:響・スバル組と協力し、マスターの願いを叶えて元の世界に帰す
1.襲撃してきたサーヴァント(=ハービンジャー)に対処。まずは応戦しつつ、お話を聞く
2.ルイズと響に回復魔法を指導する
3.戦闘時にはマスターは前線に出さず、自分が戦う
4.ルイズと響が回復魔法を習得できたら、聖杯戦争からの脱出方法を探る
5.万が一、魔法で響を救うことができなかった場合は、スバルと戦うことも覚悟する
[備考]
※4つの塔を覆う、結界の存在を知りました
※立花響、スバル・ナカジマ組と情報を交換し&同盟を結びました。
 同盟内容は『ルイズと響に回復魔法を習得させ、共に聖杯戦争から脱出する』になります
※『姿の見えない戦闘音』の噂が自身を指すものと把握しています
※特級住宅街の各所に、少数のサーチャーを配置しています。
 鯨木かさねの一団が捕捉されているかどうかは、後続の書き手さんにお任せします

【両備@閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明-】
[状態]健康
[令呪]残り三画
[装備]スナイパーライフル
[道具]秘伝忍法書、財布
[所持金]やや貧乏(学生の小遣い程度)
[思考・状況]
基本行動方針:優勝し、聖杯を手に入れる
1.白服のサーヴァント(=高町なのは)達と交戦する。自身は後方から援護射撃
2.復讐を果たすこと、忌夢と戦うことに迷い
[備考]
※『魔術礼装を持った通り魔(=鯨木かさね)』の噂を聞きました
※『姿の見えない戦闘音』の正体が、白服のサーヴァント(=高町なのは)だと確信しました
※忌夢が本物であるかどうか、図りかねています。また、忌夢の家が特級住宅街にはないことを調べています
※特級住宅街に置かれた、サーチャーの存在を確認しました

【キーパー(ハービンジャー)@聖闘士星矢Ω】
[状態]健康
[装備]『牡牛座の黄金聖衣(タウラスクロス)』
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:両備について行き、共に戦う
1.白服のサーヴァント(=高町なのは)達と交戦する。できればマスターよりも、サーヴァントの方と戦いたい。
2.両備の迷いに対して懸念
[備考]
※『魔術礼装を持った通り魔(=鯨木かさね)』の噂を聞きました
※『姿の見えない戦闘音』の正体が、白服のサーヴァント(=高町なのは)だと確信しました
※特級住宅街に置かれた、サーチャーの存在を確認しました




 遠くで響いた爆発の音は、この耳にも確かに届いている。
 夜の暗闇の静けさが、先ほど出会った人々の窮地を、確かに響に伝えている。

《響……!》

 霊体化を解かせて確かめるまでもない。己のサーヴァントの顔は、見ずともありありと想像できる。
 スバル・ナカジマが、焦っていた。
 心に聞こえた念話の声は、いつもの余裕が信じられないほどに、焦燥の色を滲ませていた。
 橋の向こうの町にいるのは、キャスターのサーヴァントの恩人だ。
 別れて間を置かず聞こえた音は、その人が襲われたことの証明に他ならない。
 ならばどうする。自分はどうする。
 戦うことのできないこの身に、一体何をすることができる。

「………」

 そんなこと、考えるまでもなかった。
 あそこで窮地に晒されているのは、自分を助けてくれた人を、更に助けた大切な人だ。
 そうでなくても、危険な目に遭っている人を、放っておくわけにはいかない。
 シンフォギアを纏えないことも、命が脅かされていることも、その事実の前には関係なかった。
 人助けをすることを躊躇うようでは、それはもう立花響ではないのだ。

「……行きますッ!」

 正義を信じ、握り締めて。
 こうすることが正しいのだと、一点突破の決意を握って。
 迷いのない決然とした声で、立花響はそう叫んでいた。



【E-3/学術地区/一日目 深夜】

【立花響@戦姫絶唱シンフォギアG】
[状態]健康
[令呪]残り三画
[装備]ガングニール(肉体と同化)
[道具]学校カバン
[所持金]やや貧乏(学生のお小遣い程度)
[思考・状況]
基本行動方針:ガングニールの過剰融合を抑えるため、メンターから回復魔法を教わる
1.ルイズ達を助けに行く
2.学校の時間以外は、ルイズと一緒にメンターの指導を受ける
3.ルイズと共に回復魔法を無事に習得できたら、聖杯戦争からの脱出方法を探る
4.出会ったマスターと戦闘になってしまった時は、まずは理由を聞く。いざとなれば戦う覚悟はある
[備考]
※シンフォギアを纏わない限り、ガングニール過剰融合の症状は進行しないと思われます。
 なのはとスバルの見立てでは、変身できるのは残り3回(予想)です。

【キャスター(スバル・ナカジマ)@魔法戦記リリカルなのはForce】
[状態]健康
[装備]『進化せし鋼鉄の走者(マッハキャリバーAX)』、リボルバーナックル、ソードブレイカー
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:ルイズ・なのは組と協力し、マスターの願いを叶えて元の世界に帰す
1.なのは達を助けに行く
2.ルイズと響に回復魔法を習得させる
3.戦闘時にはマスターは前線に出さず、自分が戦う
4.ルイズと響が回復魔法を習得できたら、聖杯戦争からの脱出方法を探る
5.万が一、回復魔法による解決が成らなかった場合、たとえなのはと戦ってでも、聖杯を手に入れるために行動する
[備考]
※4つの塔を覆う、結界の存在を知りました
※ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール&高町なのは組と情報を交換し、同盟を結びました。
 同盟内容は『ルイズと響に回復魔法を習得させ、共に聖杯戦争から脱出する』になります
※予選敗退後に街に取り残された人物が現れ、目の前で戦いに巻き込まれた際、何らかの動きがあるかもしれません。

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メンター(高町なのは
立花響
キャスター(スバル・ナカジマ
虎の穴を前にして 両備
キーパー(ハービンジャー