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強盗と仮面とベルト ◆V8Hc155UWA


時刻は既に深夜0時を超え、ユグドラシルの街の建物からは次々と灯りが消えていく。
いまだに光が灯っているのは、ユグドラシルの生活を支える行政地区と政庁。夜になってからが本番だと言わんばかりに人々の声が聞こえる歓楽街。
そして、24時間営業の店が何店舗か存在し、深夜にも関わらず買い物目的の客がちらほら見え隠れする、商業地区ぐらいだろう。

そんな商業地区の一角に見える、先ほどの深夜0時に営業時間を終えたばかりのスーパー。
店のシャッターは既に降ろされ、この時間まで働いてくれたスタッフ達も次々と帰宅し、店内の事務室にただ一人残った店長が今日の売り上げを確認していた。
数日前にこの店で盗みを働こうとした少年達を叩きのめした、老人と孫娘らしき人物を思い出しながら、男性は売り上げ金を金庫にしまおうと椅子から立ち上がる。

その時、後方のドアが空いているのに気づいた。
うまくドアが閉まってなかったか…? そんな事を考えながら、ドアを閉めようと金庫から離れた。

【HOLD VENT】

機械的な音声は、部屋の中から聞こえた。
再び金庫の方を振り向けば、いつのまにかそこにいたのは、異形の仮面をつけた灰色の人物だ。
カメレオンのように広がる眼と、左腿に装着された何らかの道具。
腰にはベルトが巻かれ、カードらしき札が装填されている、何の模様もない四角いケースがベルトの中央に装填されている。。
左手にはヨーヨーのような道具を持ち、右手には先ほどまで男性が売り上げ金を数えていた手持ち金庫。

男性が声を上げるまえに、仮面の人物はヨーヨーを投げつけた。
腹部に直撃をくらい、男性はドアを突き破って店内に吹き飛ばされる。
仮面の人物は武器として使ったヨーヨーを手元に戻し、窓ガラスを突き破って外に飛び出した。

店内に吹き飛ばされた男性が、頭部から血を流しながらも店内をはいつくばって移動し、緊急警報のスイッチを入れたのは、それから数分後の事だった。


スーパーを脱出した仮面の人物――仮面ライダーベルデは、無事に目的の場所へとたどり着く。
商業地区と歓楽街のちょうど中間地点にある、建物の影に隠れた小さい空き地だ。
そこにいたのは、頬のあたりに赤茶けた肌が目立つ赤毛の少年――聖杯戦争のマスターの一人、衛宮士郎。
ベルデは左手に持った手持ち金庫を地面に置くと、士郎が中身を確認する。

「すまないな。キャスターからの次の指示を待っててくれ」

その言葉にベルデがうなずき、腰のベルト――Vバックルから、デッキを取り外す。
するとガラスが割れるような音と共に、ベルデの姿は男性の姿へと変わった。
さきほど金を奪った店と同じ、商業地区に自らの店を持つNPCの男性だ。
男はベルデのデッキを懐にしまうと、何事もなかったかのように路地へと消えていった。

「これで当面の資金はどうにか確保か。我ながら、ひどいやり方だとは思うけど…」
『だが、この方法でしか金を手にする手段はない。それはお前も納得したはずだ』

声は空き地に捨てられた鏡の中から聞こえた。
鏡の世界――ミラーワールドに存在する士郎のサーヴァント、キャスター。
通常のサーヴァントと異なり、自らの宝具によって生み出した鏡の世界――ミラーワールドでしか存在できないという、特殊な条件を備えたサーヴァントだ。

「分かってるさキャスター。勝ち残るためにも、とりあえず金は必要だ。
これだけあれば、聖杯戦争の間ぐらいは寝泊りできるだろ」
『ならばいい。俺は引き続き、ユグドラシルの全域に散らばるようにNPCを洗脳し、仮面ライダーを増やしておく。
オーディンの力は圧倒的だが、お前の魔力では何度も使える訳ではないからな』

鏡の中に見えるキャスターの背後の通路から、2つの影が現れた。
影は鏡から飛び出し、士郎の眼前に立つ。
虎を模した騎士――仮面ライダータイガと、二本のねじれた触覚が印象的な騎士――仮面ライダーインペラー。
二人の仮面ライダーの装甲は、ベルデと同じように灰色に覆われている、ブランク体と呼ばれる姿だった。

『歓楽街の裏でたむろしていた、身寄りのないゴロツキだ。
既に洗脳は終わっている。お前の護衛として、常に近くにいるようにしておく。戦いの時に使え』
「ああ。それじゃあ作戦通りに、他のNPCの洗脳を頼む」

士郎の言葉に頷き、キャスターの気配が鏡の奥へと消えていく。
二人のライダーもそれぞれ変身を解き、街のどこにでもいそうな若者の姿に変わると、それぞれ別の道へと消えていった。
空き地に残されたのは士郎のみとなり、金庫から金を掴むと懐にしまう。

「サーヴァントなんて超常の力を使ってまで最初にしたことが、まさか泥棒とはな……はは」

分かっている、自分はもう決めたはずだ。
この身を悪に落としてでも聖杯を勝ち取り、必ず美遊を……義理とはいえ、大切な妹が助かる世界を作り上げると。
そのためなら、他人を陥れてでも勝利を掴み取る。泥をすすってでも勝ち残ってみせる。

金を全て懐に入れた所で、いつのまにか商業地区が騒がしいことに気づいた。
キャスターの宝具によって生み出されたライダーデッキの仮面ライダーは、霊体になることはできない。
金を奪ってこいとベルデに命令し、それは叶ったが、おそらく盗みに入った店の住人が警報を鳴らしたのだろう。

士郎はフードを被りなおし、足早に裏路地を走り出す。
護衛として残された二人のNPCの気配がついて来る事を確認し、このまま人ごみに紛れながら、今夜寝泊りできる場所を探そう。
頭に叩き込んだユグドラシルの地図を脳裏に浮かべながら、ここから近いのは学術地区か歓楽街のどちらかと判断。

「学術地区は夜は人が少ないだろうし、警備員も巡回してそうだな…ってことは、やっぱこっちか」

自分の姿格好も、歓楽街にたむろする人間に見えなくはない。
背後に遠ざかる商業地区の騒ぎを横目に、士郎は歓楽街の闇へと消えていった。


「お疲れ様でしたぁっ!」

さかのぼること10分ほど前。
商業地区でのアルバイトを終えた葛葉紘汰は、日払いの給料袋を片手に店を後にした。
運よく知り合った女性に紹介された商業地区の食事処のバイトだが、初日にしてはなかなかの成果だ。
その足で手近な食品店で適当な食料を買うと、人目を避けるように裏路地へと入った。
少し進んだ場所で足を止め、誰もいない自分の真横へと声をかける。

「セイバー、いいぞ」
「ああ」

瞬間、霊体化を解いて現れたのは、紘汰のサーヴァントであるセイバーだ。
もっとも、紘汰の前に最初に現れた究極体――アルファモンの姿ではなく、成長期のドルモンへとその姿を変えていた。
戦闘力がほぼ皆無となってしまう姿だが、魔力消費を抑えるための形態として、普段はこの姿でいる事を聖杯戦争開始前に話し合っていたのだ。
姿を見せたドルモンに対し、紘汰は先ほど買った肉の塊を差し出す。

「遅くなって悪かったな。ほら、食えよ」
「ありがとうコウタ。でもいいのか? コウタはオーバーロードになった影響で、食欲がなくなってるんだろ?
オレはサーヴァント…っていうかデジモンだし、コウタが食べないならオレだって……」
「いいんだよ。デジモンだって、人間と同じように腹は減るだろ?
食べておけば、少しは魔力の足しになる。遠慮しないで食ってくれよ。俺の事は気にしないでさ」
「……分かった、いただくよ」

地面に置かれた肉にドルモンがかぶりつく。
なんだかんだ言って美味しそうにかじりつくあたり、やはりサーヴァントやデジモンでも腹は減っていたのだろう。
ドルモンだけでなく、今日のバイト先に訪れた客や、街を歩く人々が幸せそうに何かを食している姿を見ていると、自分の体の変化を改めて思い知らされてしまう。

食事をしても何も感じなくなった味覚は、体がオーバーロードに変わっていく副作用だ。
最初は味が薄く感じ、食欲が無くなっていき、紘汰の世界に生まれた、とある果実の栄養分を直接体に取り込むだけで満足する体となってしまった。
後悔はない。世界を救うために、犠牲という名のルールをぶち壊すために、自らが求めた力の代償だ。

(魔術都市ってぐらいだから、どうにか味が分かるようになる魔術とか使える人いないかなぁ…いねぇだろうなぁ…)

それでも紘汰はまだ若い。元の世界で姉が作ってくれる料理の味が恋しいと思うこともあれば、普通に食事を楽しみたい感情だってある。
ドルモンが淹れてくれたあのコーヒーのような飲み物の味が分かった時は、久々に感じた味にえらく感動したものだ。

その時、さきほどまで紘汰達がいた表通りから、人々のざわめく声が聞こえた。
食事を終えたドルモンもその騒ぎに気づく。

「なんだろ…? なんか騒がしいな」
「……セイバー、一応霊体化しておいてくれ」
「分かった」

ドルモンが霊体となった事を確認し、紘汰は裏路地から表に出る。
騒ぎが聞こえた店の方を向くと、いつのまにか大勢の野次馬が集まっていた。
人の隙間から見えるのは、店の主人と思われる男性が頭から血を流しながらタンカで運ばれていく光景。
何事だろうか。とりあえず紘汰は、手近な所にいた野次馬の男性達に声をかけた。

「なぁ、何かあったのか?」
「強盗らしいぜ。店の売り上げ金、みーんな取られちまったんだってよ。犯人は捕まってないみたいだな」
「あー、運ばれた店長さんが、うわごとみたいにブツブツ言ってたなぁ…『仮面とベルトつけた奴』とかなんとか……?」
「か、仮面とベルトぉ!?」

思わず声が出てしまった。
怪訝な顔をした野次馬達に「わ、わりぃ! ありがとな!」と礼を言うと、少し離れた建物の影へと隠れる。
その顔は驚きに包まれており、懐からバックルのような機械と、右腰からオレンジ色をした錠前のような道具を取り出した。

「仮面に、ベルトって……まさか…!?」

紘汰の戦う力として、数多くの戦いを共に潜り抜けてきたアイテム――『戦極ドライバー』と『オレンジロックシード』。
これを用いて変身する『アーマードライダー鎧武』は、たった今野次馬から聞いた特徴と一致する。
すなわち、『仮面』をつけ『ベルト』のようなものを装着している、一番の外見的特長と。

(まさか、この街に俺以外のアーマードライダーがいるのか……
いや、NPCの住人は魔術師か一般人だし、魔術となんの関係もない戦極ドライバーやゲネシスドライバーがある訳がない……!)
「コウタ、どうした?」

気づけば自分のすぐ隣に、霊体化を解いたドルモンがいた。
確認しなければならない。自分の杞憂なら問題ないが、もしもこの考えが真実だとしたら……

「セイバー、わりぃ。まっすぐ帰る予定だったけど、ちょっとついてきてくれるか?
念のため、いつでも戦闘に入れるように進化の準備しといてくれ」
「それは構わないけど…さっきの騒ぎ、まさか他のサーヴァントが?」
「わからねぇ……だから、確認しないと」
「分かった、だけど気をつけてな。もう本戦は始まってるんだから」

ドルモンの言葉に頷き、騒ぎのあった店の横の路地へと入る。
野次馬の一人が、犯人らしき人影が歓楽街側に走っていく姿を見たと言っていた。
仮面にベルトと言うだけで、アーマードライダーだとは限らない。ただ単に、強盗が顔を隠すためにつけていただけかもしれない。
それでも紘汰は、脳裏に浮かんだ考えを全否定する事ができなかった。
懐の戦極ドライバーを無意識のうちに握り締め、紘汰は歓楽街への道をまっすぐ走り出す。

途中、歓楽街へと向かう紘汰と一人の男性がすれ違った
懐にベルデのライダーデッキを潜ませたその男が、紘汰が探している仮面とベルトの人物だったと、紘汰は最後まで気づかなかった。



【C-7/歓楽街と商業地区の境/一日目 深夜(午前0時過ぎ)】

【衛宮士郎@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!!】
[状態] 健康
[令呪] 残り三画
[装備] 干将・莫耶
[道具] オーディンのライダーデッキ
[所持金] 数日寝泊りできるほど
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い
1. 騒ぎで商業地区が慌しくなったので、歓楽街に移動
2. 今夜寝泊りできる場所を探す
[備考]
※護衛として、仮面ライダータイガ、仮面ライダーインペラーに変身するNPCが近くにいます。
 戦闘時には即座に現れ、士郎を援護するように洗脳されています。

【キャスター(神崎士郎)@仮面ライダー龍騎】
[状態] 健康
[装備] なし
[道具] ライダーデッキ×9
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針: マスターの戦いを見届ける
1. ユグドラシル全域からNPCを選別し、仮面ライダーを増やす
[備考]
※ 町のNPC3人を洗脳し、ベルデ、インペラー、タイガのデッキを渡しています。

【『ライダーデッキの仮面ライダー』】
【仮面ライダーベルデ(商業地区の男NPC)】体力100%・現在地 C-7 商業地区側
[備考]
商業地区で商売をしている男NPCです。
盗みに入った店の主人に変身後の姿を見られ、『仮面とベルトをつけた強盗』として、C-7を中心に噂が広がりました

【仮面ライダータイガ(歓楽街のゴロツキNPC)】体力100%・現在地 C-7 歓楽街側
【仮面ライダーインペラー(歓楽街のゴロツキNPC)】体力100%・現在地 C-7 歓楽街側
[備考]
士郎の護衛として、常に近くで行動しています。
戦闘時には即座に乱入し、士郎を守りながら戦闘を行います



【葛葉紘汰@仮面ライダー鎧武】
[状態] 普通
[令呪] 残り三画
[装備] 戦極ドライバー
[道具] オレンジロックシード
[所持金] やや貧乏(一日分のアルバイト給料)
[思考・状況]
基本行動方針: ユグドラシル(聖杯戦争)を許さない
1. 仮面とベルト…まさか、アーマードライダー…!?
2. 犯人らしき影は歓楽街側に行ったらしい。追いかけて確認しよう!
3. 味覚を取り戻す方法、魔術都市なら………ないよなぁ
[備考]
※ ズボンの右腰にオレンジロックシードをつけてます。他のロックシードの手持ち状況は、後の書き手の皆様にお任せします
※ 職場を紹介した鯨木かさねの『罪歌』の洗脳を受けているかは不明です
※ アーマードライダーがユグドラシルにいる可能性を考えてます

【セイバー(アルファモン)@DIGITAL MONSTER X-evolution】
[状態] 普通(ドルモン状態)
[装備] なし
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針: 命を受け継ぎ、生き、託す
1. 紘汰と一緒に犯人らしき人物を追う
[備考]
戦闘時以外は魔力の消費を抑えるため、ドルモン状態でいることにしました



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