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**十六夜アキ&ランサー組◆yy7mpGr1KA
◇ ◇ ◇
少女は夢を見た。
闇の中に落とされ、芽吹くことのできない種の物語。
こんな闇の中では育つことはできない。
もし花開くことができても誰も見てはくれない。
そう嘆く種に、『影』が現れ語りかけた。
「僕が君を芽吹かせよう。僕が君を咲かせよう。
だから君は、僕のために花開いておくれ。
そのために忌まわしい太陽を呑みこんでおくれ」
種は影の祝福を受け、怪物として芽吹いた。
そして太陽の力を呑みこみ、怪物として花開いた。
『影』の敵である、『太陽少年』を喰らわんとし、その命尽きるまで怪物であった。
命尽きると、『太陽』の祝福を受け、怪物は『世界樹』の一部となった。
そして、『太陽少年』に大地の祝福を与え、花が一つ、散った。
◇ ◇ ◇
「起きたのね、アキ。まだ夜だけれど。
……寝床に伏せて、悩む時間はおしまい?」
「あなた…いえ。ええ、決めたわ。私は戦う。ディヴァインのために聖杯を手に入れて、彼を蘇らせてみせる」
崩れ落ちるビルの中から救出され、病院にいるはずだった。
しかしいつの間にかユグドラシルという見ず知らずの地にいた。
呼ばれた当初は戸惑うばかり。
デュエルディスクも、デュエルモンスターのことも知らない周りの人々。
現れた女性に聖杯戦争について聞いたが、しばらく混乱は収まらい。
微細ながら崩落の際のダメージ、突如巻き込まれた事態への混乱、なにより大切な人を失くした悲嘆で寝所に篭っていた。
しかしその期間で覚悟は決めた。
願望器をこの手に収めるのだ、と。
「いきましょう、ランサー。
夜こそ聖杯戦争の本番。そしてあなたの時間なんでしょう?」
「…………ええ、いいわ。戦いに否はない。
でも今からだと家族が心配すると思うわよ」
「ッ、あんな奴らどうでもいい!偽物でも本物でも、必要ない!
家族と呼べる人は、ディヴァインは……………もういない……唯一の私の理解者……………」
ランサーに聞いていたNPCの存在。
ただしその中には記憶を取り戻せていないだけの本人がいるかもしれないとも。
この家にいる二人も本物の両親かもしれないと。
そうだとしても、かまうことなどない。
「家族は大事にするものよ?」
「聞きたくないわ!もう私はカラッボよ!………ディヴァイン亡き今………この世のすべては憎むべき物になってしまった…
だからこそ聖杯をとるために邪魔なものなら、破壊できる!排除できる!」
私から居場所を奪う敵には容赦なんて絶対しない………!あなただって……!」
右手を強く握り、その手に宿った令呪を睨む。
しかしそれを行使することはなかった。
「賢明ね。感情的に令呪を使わないのはこちらとしても助かるわ」
「……この、忌むべき印を縛るものは、望むものだから。あなたなんかに費やしてられないわ」
右腕に宿った赤き竜の痣。
それに薔薇の花と蔓が絡んでいる。
アキはここにきて、サイコパワーが弱まっているのを感じていた。
それはサーヴァントへの魔力供給という形で力を消費しているからなのだが、彼女は令呪が痣を縛っているように思えていたのだ。
縋るように、いつくしむように右腕の令呪に触れる。
「あら、赤い竜(ドラクル)、その脚部ね?
ふぅん、私には花がその竜を彩っているように見えるけれど」
「世迷言……」
令呪の形はマスターの身に宿る特性により形を変えるという。
それが痣を彩るなど、受け入れているなど思いたくなかった。
「アキ、あなたが自分の力をどう思うか。聖杯に何を願うか。
あまり強く言いたくはないけど……」
「あなたに何が分かるのよ!」
「あなたが私について分かっているのと同じくらいには、私はあなたを分かっているつもりよ」
拒絶の言葉を、踏み込んで抑え込む。
お互いに夢を通じて過去に踏み込んでいる。
「あなたも咲けない花だったのね……
でもディヴァインという人は、『影』に似ていると思わない?
花(あなた)の蜜(ちから)だけが目当ての、害虫じゃあない?」
「ちがう、ちがう!
ディヴァインは私と同じ!世界に拒まれて、だからこそ私を認めてくれた!求めてくれた!」
慕う男を害虫などと言われ、感情をあらわにする。
巨大な怒りと……ほんの少しの葛藤。
「今まで動かなかったのはその人を失くしたから?聖杯戦争になじめないから?
……迷ってたんでしょう、あなたに手を差し伸べてくれた人がいたから」
「あなたが、闇に落ちて吸血鬼になった存在がこんな先の見えない戦場で的外れの説教!?」
フォーチュンカップの戦い。
星を冠する竜と青年とのデュエル。
彼は確かに受け入れてくれた。
それでも、ディヴァインが…………
それに帰る方法もわからないこんなところで、どうしろと……
「ええ、そうね。今は聖杯戦争。この上ない影の中、この上ない闇の中。
それでも、花のすることは一つよ。
太陽(きぼう)に向けて、枝葉(て)を伸ばしなさい。
太陽(きぼう)に向けて、花(えがお)を咲かせなさい。
たとえ夜でも、日の当たらない影でも、明日もまた日は昇るのだから。
あなたも女(はな)なら、それを忘れちゃ決してダメ。
太陽が眩しすぎるというなら、あなたは星を目指せばいい」
「……私にとっての星はディヴァインよ。聖杯は絶対に必要なの」
迷いはある。
それでも、それしかできない。
それしか、考えたくない。
「ふぅ、頑固なコね。でも帰路がないのは事実。
いいわ、私が連れて行ってあげる。
私は赤きドゥラスロール、陸を司るイモータル。
太陽樹としてでなく、不死種として降臨したのは戦うためなんでしょうから。
この闇の向こう、光の射す世界へ。その道中、存分に悩みなさい」
動機については、少々遺憾。
でも勝者が一人の戦場で、少女を守るために戦うのは上々。
血を吸う鬼が人殺しなどためらうものか。
このマスターのため、綺麗な花に付き物の棘になろう。
(にしてもよく私を呼べたわね……太陽樹と一つになったのに、またイモータルになるなんて思わなかった。
生い立ちもあるけど、赤い、植物を司る、竜/吸血鬼(ドラクル)が縁になった?
……ううん、やっぱりここが世界樹だからでしょうね)
元より自分は世界樹から落ちた種の血統、暗黒樹。
最期に同化した太陽樹も同様。
だからこそ世界樹は、太陽樹でなく、自分だけを認識できたのだろう。
(でも、なんでこんなところで、私なんかを?
……ここが噂に聞く、遥か蒼空の果てで白銀の騎士が宝物を求めるものに与える試練、蒼空の塔?
聖杯っていうのはムゲンの可能性を秘めた願望器よね……
それとも古の大樹の上層で死者の軍勢を勧誘するという黒騎士の伝説?
ここはまぎれもなくユグドラシル、それにサーヴァントっていうのはまさに死者の軍勢(エインヘリヤル)ね……
黒兄様の言っていた楔も気になるし……何が起きているのかしら、この世界樹で)
【クラス】
ランサー
【真名】
ドゥラスロール@続・ボクらの太陽
【パラメーター】
筋力C 耐久B 敏捷B+ 魔力A+ 幸運B 宝具B++
【属性】
中立・悪
【クラススキル】
対魔力:C
第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。
【保有スキル】
死徒:A
暗黒物質ダークマターによって変異した、イモータルと呼ばれる吸血種。
世界樹の末裔、暗黒樹が変異した死徒であり、在り方としては死徒二十七祖第七位アインナッシュに近い存在である。
能力としては自身を含む植物の自在な行使、使い魔として蜂を操るなど。
当然だが彼女に吸血されたものは才覚によっては死徒と化す。
世界樹の枝葉:B
ユグドラシルの末裔、暗黒樹が死徒化した存在であり、肉体の消滅後はおなじくユグドラシルの末裔である太陽樹と一体化した。
大地と太陽の祝福を受けており、実体化している間はユグドラシルおよび大地から魔力が供給される。
また太陽の力を蓄える性質のあるユグドラシルの末裔としての特性から、死徒でありながら日光を弱点としない。
同ランクの神性も内包する。
陣地作成:―(C)
自らに有利な陣地を作り上げる。
暗黒樹の根を伸ばし、大地から魔力を吸い上げる。
さらに本体近くでは後述の宝具による戦闘がより強力に行えるようになる。
しかしここは世界樹の上に建造された町であり、世界樹の末裔の一部たる彼女の根はすでに巡っているも同然。
すでに陣地は完成した状態であり、実質意味をなさない。
なお魔力吸収については先述のスキルによるもので十分であるため、そちらもほぼ意味をなさない。
命の遺産:D+
核が破壊され現界不可になった時、自動発動する。
余剰魔力の全てを使いマスターの傷・魔力を癒す。
さらにマスターの才覚によっては癒しの魔術を習得することがある。
【宝具】
『血の如く赤き薔薇が咲き誇る(スカーレッド・ドゥラスロール)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人
死徒、イモータルである彼女そのもの。
陣地作成により影響を及ぼし、かつ自身の視界内にある範囲にユグドラシルの末裔、暗黒樹の一部を自在に生やし武器とする。
此度の聖杯戦争では会場が彼女の始祖たる世界樹であるため、視界内で無条件に発動可能。
根は触腕の如く、鞭の如く振るわれる。
枝には棘が生えており、それを射出することもできる。
花粉には毒があり、対魔力や毒への耐性のないものが吸い込むと目は霞み、体力も激しく消耗する。
実は棘の生えた鉄球のようで、上方から落としたり投げつけたりする投擲武器となる。
そして最も強力なのは後述の『枝』である。
『大神宣言・枯渇前夜(グングニル・オリジン)』
ランク:B++ 種別:対人宝具 レンジ:1~8 最大捕捉:10人
ドゥラスロールの行使する、自らの一部たる暗黒樹の枝。
棘の生えたランス状の巨大な枝を地中から高速で突き出し、攻撃する彼女の究極の一。
オーディンの持つ槍、『大神宣言(グングニル)』の材料となった世界樹、その末枝による一撃であり、運命干渉による回避を無効とする。
【weapon】
・ポイズンビー
彼女の花粉に群がる毒蜂。
刺されれば対魔力や毒への耐性を持たない者は目が霞み、体力も激しく消耗する。
使い魔としての行使も可能。
【人物背景】
赤きドゥラスロールの異名を持つ、陸を司る不死種(イモータル)。
元は日の当たらない影に落とされた世界樹の種。
当然育つことはなく、朽ちいくはずの身を彼女は誰にも必要とされないと嘆いた。
そんな種子に『影の一族』のイモータル、黒のダーインが力を与え、死徒とした。
ダーインに協力を求められ、必要とされる喜びに満たされながら任務として、そして自らの成長のために大地から太陽の力を奪う暗黒樹となった。
太陽の恵みを失った大地は枯れ、自らと同じ世界樹の末裔たる太陽樹も朽ちようとしていた。
それを解決しようとするヴァンパイアハンター、太陽少年ジャンゴと対決。
与えられた任のため、何より同朋を守るために闘争を繰り広げるも敗北。
最期には太陽の力を一身に受けて消滅するが、その際に光の暖かさを知り改心。
太陽樹を一つになることで大地に太陽の恵みを戻す。
さらに自らを倒したジャンゴに大地の祝福を授け、以降は太陽樹として世界を見守り続ける。
光の無い地に落ちたがゆえに、誰かに必要とされることを、役目と光を与えられることを望んだ少女。
そのために一時は奪う側に堕ちてしまったが、最期に双方に恵まれ、人に与える側の存在となった本来は心優しい存在。
【サーヴァントの願い】
誰かに必要とされる限り、誰かに恵みを与える事。
誰かに必要とされたがっているアキがそれを望むなら聖杯をとることも考えるが、できるなら彼女にとっての太陽を見つけてあげたい。
【基本戦術、方針、運用法】
本来ならポイズンビーによる偵察と、根を伸ばしての前準備に重きを置くキャスター型の動きをする。
しかし世界樹という特異な戦場であるが故の遊撃が可能。
魔力の供給を常に大地と世界樹から受けるため消費に関しては気にせずガンガンいける。
その豊富な魔力を生かし、宝具の乱発が戦略の中心か。
【マスター】
十六夜アキ@遊戯王5D's
【令呪】
右腕。
赤き竜の痣、ドラゴン・レッグに巻きつく薔薇の蔓と花。
蔓が一画目と二画目、花で三画。
【マスターとしての願い】
ディヴァインを生き返らせ、アルカディアムーブメントを再興する。
【weapon】
・カードデッキ
本来は武器ではない。
カードゲーム「デュエルモンスターズ」の、40枚+エクストラデッキで構成されるカードデッキ。
ブラック・ローズ・ドラゴンをエースカードに、それをサポートする植物族と薔薇の名を冠するモンスター群のデッキを用いる。
・デュエルディスク
本来は武器ではない。
デュエルモンスターズをプレイするための立体映像(ソリッドビジョン)投影機であり、左腕に装着することで使用する。
彼女は先述のデッキと後述の能力によりデュエルによらない武器として用いることができる。
その際にはアドバンス召喚のルールに従わずローズ・テンタクルスを召喚するシーンが散見しており、ルール無用のリアリストとなる。
・ブラック・ローズ・ドラゴン
本来は武器ではない。
前述したカードデッキに投入されているモンスターカード。レベル7・攻撃力2400・守備力1800のドラゴン族シンクロモンスター。
シンクロ召喚に成功した時にフィールドのカードを全て破壊する効果と、墓地の植物族モンスターを除外することで相手の守備表示モンスターの攻撃力を0にし、さらに攻撃表示にするという、二つの強力な効果を持つ。
5000年に一度起こるシグナーとダークシグナーの闘争においてシグナーの一人が持つべき竜であり、世界に一枚しか存在しない。
とある施設の封印に用いられたキーカードでもある。
ちなみに黒薔薇の花言葉は「恨み」「憎しみ」「貴方は私のもの」「束縛」。
真紅の薔薇の花言葉は「永遠に愛してる」。
・髪飾り
有り余る超能力の制御装置として着けている。
外せば能力を全開で発揮できるが、それはほぼ暴走させるのみで制御できない。
逆に強い感情の高ぶりによって能力が暴走したときには髪飾りが外れてしまうことがある。
【能力・技能】
・カードゲーム
デュエルモンスターズのプレイングスキル。
秘密結社アルカディアムーブメントに所属し鍛えた技能は優秀なものであり、デュエルアカデミアに所属すればトップクラスの成績を誇る。
・サイコデュエリスト
いわゆる超能力者。
この能力により、デュエルによる立体映像(ソリッドビジョン)でのダメージは現実のものとなってしまう。
モンスターの攻撃により対戦相手に実際にダメージが発生し、建造物の破壊なども起きてしまう。
原作終盤において本来のものである癒しの力として覚醒するが、今の彼女ではそこまで至らない。
それでも強大過ぎる力であり、先述の髪飾りに加えてある種の催眠によっても抑えている。
その封は「冥界への入り口は魔女の島にある」という言の葉によって解き放たれる。
この能力によりサーヴァントへの魔力供給を可能としている。
・シグナ―
5000年に一度、ダークシグナーと戦う宿命を負った選ばれし戦士。
証として赤き竜の一部を象った痣を持ち、彼女は右腕に竜の脚ドラゴン・レッグを持つ。
時空改変による記憶改竄の影響を受けない、魂を吸収し生贄にしようとする神の力に抗うなどの耐性を持つ。
痣を持つ者の近くにいる人物も庇護可能。
なおこの能力によって召喚時の記憶改竄を免れたが、逆に聖杯戦争の知識も得られなかったためそれに関してはドゥラスロールに教わった知識に依存する。
【人物背景】
デュエルアカデミアに通う、どこにでもいる少女……のはずだった。
しかし生まれ持ったサイコデュエリストとしての力は成長と共に増大していき、学友や家族を傷つけるようになってしまう。
それを当然周りは恐れ、ついには両親とも溝ができてしまう。
そのため彼女は自らの有する超能力を忌むべき力と呼び、嫌う。
それは自らの持つもう一つの力、シグナーの痣にも同様の感情を向けるきっかけとなる。
周りの人も、自らの力も嫌い、そしてその感情の捌け口として不毛な破壊を繰り返す日々。
しかし内心では居場所を求める思いとは別にその破壊を楽しむ一面もあった。
そんな中で自分と同じサイコデュエリスト、ディヴァインに出会い、サイコデュエリストのための組織アルカディアムーブメントの一員となる。
ディヴァインに能力を鍛えられ、制御法を学び、彼に心酔するようになっていく。
そして彼の指示に従い、彼の望む世界――その実はディヴァインの復讐でしかないが――を作り出すために尽力。
フォーチュンカップに出場し、体制にくさびを打ち込もうとするが失敗。
その後アルカディアムーブメント本部がシグナーの敵、ダークシグナーの手によって崩落し、病院に運ばれていた時間軸からの参戦。
【方針】
居場所を奪う敵は容赦なく倒す。