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師弟再び」(2015/09/22 (火) 23:55:57) の最新版変更点

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**師弟再び ◆V8Hc155UWA 「メンター...あたし、すっごく眠たいんだけど...今、何時だと思ってるのよぉ...」 「ほらマスター、シャキッとして。そんなに時間取らせないから」 「分かってるわよぉ...ふわぁぁ~...むにゃ...」 「って、いきなり寝ないでよー! もう少しで着くからー!」 眠い眼を擦りながらふらふらと歩くルイズを、メンター――高町なのはが支えながら、二人は夜の特級住宅街を歩いていた。 時刻は日が変わる少し前。彼女達が目指すのは、北の方角だ。 今日もなのはの厳しい指導の下、ルイズは魔法の習得に励んでいたが、 夕方頃になのはが少し席を外したと思うと、帰って来て早々こんな事を言い出したのだ。 『マスター。今夜なんだけど、一緒に来てもらいたい所があるんだ』 理由を尋ねても、夜になってからのお楽しみとだけ。 魔法の練習で身体と精神がクタクタになりながらも、結局目的地を聞き出せないまま、ルイズはなのはに連れて来られた。 そんな事があり、ルイズは絶賛不機嫌である。それはもう、不機嫌の塊である。 「まったく...あんたはマスターを何だと思ってるのよ... そりゃあ、魔法を教えてくれるのは嬉しいわよ? 手助けをしてくれるのは感謝してるわよ? でもね、もうすぐ聖杯戦争本番が始まる時間っていうのに、わざわざ霊体化解いてまで私をここに連れてきた理由を話さないなんて、サーヴァントの自覚あるのかしら...」 「あ、あの、マスター? 独り言言ってるつもりなんだろうけど、バッチリ聞こえてるよ?」 「ふ、ふん! アンタがいけないんじゃないの! それで、私を連れて行きたい場所ってまだなの? もう特級住宅街のエリア抜けちゃうわよ?」 「もうすぐだよ、会ってほしい人たちがいるんだ」 「会ってほしい...?」 どういうことだろうか。 方法は違えど、ルイズもなのはもユグドラシルには本人の意思とは無関係に呼び出された身だ。 もちろん、それぞれの住んでいた世界とは違う場所だ。会うべき知り合いなどいるはずがないのだが... そんな事を考えている間に、先を歩くなのはの足が止まった。 足元は特級住宅街の石畳から変わり、木で作られた橋だった。 この橋を反対側に渡れば、学校が立ち並ぶ学術地区となる。 「何よ、隣の地区と繋がってる橋の上じゃない。ここで誰と――」 「あ、いたいた! なの――じゃなかった! メンターさーーん!!」 「ちょ、ちょっとキャスターさん! 私、もうヘトヘトなんですけどー!」 ルイズの言葉に被るように、反対側の学術地区から元気な声が聞こえてきた。 こちらに駆けてくる影は二つ。 一人は青いショートカットが特徴的な、元気そうな笑顔が印象的な女性だ。 その女性に手を引っ張られてるのは、オレンジの髪が目立つ少女。 少女もルイズと同じく、こちらに向けてブンブンと手を振る青髪の女性に引っ張られてきたらしい。 「.........って...『メンターさん』? なんであんた、メンターのクラス知ってるのよ!?」 「ふふ、相変わらず元気だね、ス...じゃなくて、キャスター」 「ええ、そりゃあもう! 元気が私の一番の取り柄ですから! 英霊になってもそこは変わりませんよ!」 「え、英霊? えと、キャスターさん、この人たちって...」 盛り上がるなのはと青髪の女性二人に対し、ルイズとオレンジ髪の少女は何が何やらといった状況だ。 「あ、ごめんごめん、ちょっと待っててね。レイジングハート、結界お願い」 『All right』 なのなの首にかかっている赤い宝石――なのはの宝具『レイジングハート・エクセリオン』が光を放ち、なのはを中心に結界が展開された。 これで周囲に声が漏れる事はなく、中で何が起ころうとも通常の空間には影響を及ぼさない。 「それじゃ、一応お互いのマスターは初対面だし、改めて自己紹介しよっか? 高町なのは。このピンクの髪の子のサーヴァントです。クラスはメンターだよ」 「って、メンター!? あんたもいきなり真名って何考えてるの!? ていうか、こいつら誰よ!?」 「はーい! 次あたしね! スバル・ナカジマ! 今回の聖杯戦争でキャスターやってます! この子があたしのマスター!」 「キャスターさんまでぇ!? どーゆーことですかぁ!?」 突然の展開に、互いのマスターの頭は盛大にこんがらがっていた。 ◆ 「えーと、簡単にまとめさせてもらうと…」 結界に入った数分後。 頭をウンウン唸らせながら、二人のサーヴァントから聞いた情報をルイズがまとめていた。 「メンターとキャスターは生前の知り合いで、夕方に北西の塔近くを偵察に行ったら偶然鉢合わせて、 それでお互いのマスターの顔合わせもかねて、こんな事を計画したと...」 「る、ルイズちゃんスゴイね! 私、改めて聞いてもよくわかんなかったのに!」 「にゃはは、まさかこの聖杯戦争で知り合いがサーヴァントとして呼ばれるなんて思いもしなかったからね」 「それはこっちのセリフですよー。 しかも呼ばれてる時間が違って、私がなのはさ...じゃなかった、メンターさんの年上になってるなんて...うぅ、やっぱりまだ慣れません...」 生前の関係から、スバルにとってなのはは永遠の師匠だ。 魔法や戦い方だけでなく、人生の師として様々な事を教わった相手より、年上として聖杯戦争に呼び出された。 可能性は確かにあったが、実際に自分がそうなってしまうとは夢にも思っていなかったのだ。 「で、サーヴァント二人は、なんで私とその響って子を連れてきた訳? もちろん聖杯戦争に関する事なんでしょうけど...まさか、開始時間からいきなりドンパチするって訳じゃないでしょ?」 「もちろん。私とキャスターで夕方に少し話したんだけど、やっぱりお互いのマスターの意見も聞かなきゃいけないからね」 ルイズに問いに、なのはの顔が真剣なものとなる。 ちなみになのはとスバルは、聖杯戦争のサーヴァントで呼ばれたという事実を踏まえ、互いの事をサーヴァントのクラスで呼ぶ事にした。 スバルが時々、なのはの真名を呼びかけてしまうのはご愛嬌である。 なのははルイズ、響の顔を見渡し、スバルが頷いたのを確認し、息を軽く吐いてから口を開いた。 「率直に言うよマスター、そして立花さん。私達で、同盟を組もうと考えているの」 「同盟...ですか? でも、この聖杯戦争って...」 「うん、あたし達は聖杯の奇蹟を巡り、最後の一組になるまで戦わなきゃいけない。 聖杯を手にできるのは、最後の一組になったマスターとサーヴァントだけだからね」 「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 最後は戦うって決まってるんでしょ!? なのに、同盟を組むなんて...!」 「そこだよ。確かに、聖杯を望む二組が最後に勝ち残れば、そこに待ってるのは戦いだけ。 でも、あなた達二人のマスターの願いって何かな? もう一度答えてみて」 なのはの質問に、ルイズと響が顔を見合わせた。 「わ、私は...カトレア姉さまを治せる癒しの魔法を覚えることよ?」 「私は...その、体に融合してる、ガングニールをどうにか抑えられたらなーって...」 「はい正解。それに付け足して私とキャスターの願いは、『自分達のマスターの願いをかなえて、元の世界に戻してあげること』」 「......あっ!」 ルイズが驚きの声をあげる。 どうやら、なのはの言わんとしてる事に気づいたようだ。 一方、響は頭から煙を出さん勢いで唸っていた。 「う~う~...ダメだー! 分からないー!」 「えと、響? ルイズの願いは分かったでしょ? 自分の願いはもちろん分かってるでしょ?」 「だからですよ! 私の願いって、その...聖杯に願わなきゃ、叶えられないじゃないですか! ルイズちゃんの願いは、メンターさんがいればいずれ叶うかもしれないけど...!」 病気を治す癒しの魔法の習得。 確かに困難な道だろうが、指導者――メンターのサーヴァントがパートナーなのだ。 他のマスターとの戦いを極力避ければ、時間こそかかれど叶えられる可能性は高い。 だが、自分の願いはどうだ? 自らの体に融合している聖遺物――シンフォギアの過剰融合を抑えるという、まさに奇蹟に頼らざるを得ない願い。 敵が襲ってくるのなら戦う覚悟はある。だが、聖杯を獲得するために聖杯戦争に乗り、自分から戦いを挑む覚悟は出来ていない。 つまり、聖杯に頼らなくてもいい可能性があるルイズと、聖杯に頼らなくてはいけない響では、状況が違うのだ。 スバルから響の願いと状況を大体聞いていたのだろう。 なのはが、響の肩に手を置く。 「そうだね...私は立花さんの体に融合してるっていう、そのシンフォギアの事を知らない。 キャスターも同じだろうし、私達だけじゃあその融合を完全に防ぐ事はできないかもしれない。 だけど、可能性が一つだけあるの」 ルイズと響を交互に見渡し、なのはは言う。 「マスターが癒しの魔法を覚えたら、それを私がシンフォギア用に改良して、立花さんに教える。 その魔法で、立花さんの侵食を抑えられる可能性があるとしたら?」 「えっ......?」 突然語られた可能性に、響の眼が点となった。 と同時に、頭でなのはの言葉を反復して理解しつつも、どうしても疑惑の考えが浮かぶ。 「で、でも、そんな事できるんですか? 私、魔法なんかとは無縁の世界で生活してたんですけど...」 「うーん、魔力って意味じゃあ問題ないよ。 キャスターから聞いたけど、立花さんがキャスターに提供してる魔力って、体内のシンフォギアから生み出してるんだよね? サーヴァントが見れば魔力の出力って大体分かるんだけど、うちのマスターと同じぐらいは出してるみたいだから、魔力って意味じゃあまず問題ないね。 それに立花さんの世界のシンフォギア。生み出したエネルギーを武器を介して放出してるって意味では、 私の使ってるミッドチルダ式とそんなに変わらないんだ。どっちかと言うと、キャスターが使うベルカ式に近いかな?」 アームドギアと紡ぐ歌を解し、体内の魔力を武器に宿して戦うシンフォギア。 デバイスと力ある言葉を解し、体内の魔力を音声認識で魔法として放出するミッドチルダ式ならびにベルカ式。 確かに、双方の戦闘方法には似通った部分が存在していた。 「もちろん確実じゃないよ。 あたしもメンターさんも、回復の魔法はそんなに得意じゃないから、まずルイズに教える魔法がいつ完成するか分からない。 そこから別の世界の技術...響のシンフォギアに合わせて魔法を組み替えるなんて、かなり可能性は低いかもしれない。 でも...可能性はゼロじゃないでしょ?」 「あっ......!」 ようやく響も気づいた。 ルイズが回復の魔法を習得すれば、ルイズの願いは聖杯に願わずとも叶えられる。 それをシンフォギア用に改良し、響がガングニールから溢れる魔力を利用して習得できれば、確かに過剰融合を抑えれるかもしれない。 聖杯に願わずとも、自身の願いを叶える事が可能になるかもしれないのだ。 さらに、なのはとスバルは生前の師弟として、数多くの戦いを共に歩んできたという。 それぞれの能力もほぼ把握しており、もし他のマスターと戦闘になっても、早々と遅れを取ることはないだろう。 スバルが言ったように可能性が高いわけではない。 だが、ゼロではないのだ。 「私のガングニールを抑える事が、出来る...!?」 「今言ったけど、確実な方法じゃないよ。もしかしたら、聖杯を勝ち取って願う方がよっぽど可能性が高いかもしれない。 でも、奇蹟に頼るって意味で考えるなら、どっちも同じ。 勝ち残って聖杯に願う奇蹟か、生き残って方法を見つけ出す奇蹟を願うか。 それを踏まえて、改めてマスター達の言葉を聞かせて。この同盟...どうするかな?」 なのはの言葉に、マスター二人の視線が交わる。 今度は先ほどの困惑した瞳ではなく、光を宿した希望に満ちた瞳。 可能性が低いなら、自らの努力で勝ち取ればいい。 異なる世界から招かれた二人のマスターに共通している、絶対の信念だ。 「...まぁ、足は引っ張らないでよね?」 「もっちろん! 私に出来ることなら何でもやるよ! 改めて、私は立花響16歳!誕生日は9月の13日で、血液型はO型! 身長はこの間の測定では157cm! 体重は、もう少し仲良くなったら教えてあげる! 趣味は人助けで、好きなものはごはん&ごはん! 後は......彼氏いない歴は年齢と同じ!!」 「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ。ルイズでいいわ。 誕生日と血液型はあんたの世界の基準が分からないから割愛するけど、歳は同じ16歳ね。 身長は153サント...あぁ、サントっていうのは私の世界の単位で、そっちのセンチメートル...? ってのと、大体同じだと思うわ。 体重は...こ、ここも割愛させてもらうわ。趣味編み物と乗馬、好物はクックベリーパイね。 彼氏は......き、貴族たるもの、恋に現を抜かしてる暇はないわっ!」 「つまりいない歴=年齢ってことだね! よかったー! 仲良くなれそうだね、ルイズちゃん!」 「な、なれなれしくちゃん付けしないでよ! ど、同盟はいいけど、聖杯戦争のライバルって意味では敵同士なんだからねっ!」 ルイズはそっぽを向きつつ。 響は笑顔で。 二人のマスターは、互いの右手を差し出した。 ◆ 数分後、無事に同盟関係の締結となった彼女らは、今後の方針を固めた。 最大の目標は『ルイズと響に回復魔法を習得させ、響のシンフォギア過剰融合を抑えること』。 そして『二人のマスターを聖杯に頼ることなく、無事に元の世界へ戻ること』。 戦闘に関しては『敵に襲われない限りは、こちらから他のマスターに戦闘を仕掛けることはしない』。 さらに戦闘に関しては、マスター二人は極力前線に出ないという事が話し合われた。 そこに意義を挟んだのは、そのマスター二人である。 「二人にだけ戦わせて、私達はずっと後ろにいるなんて...」 「貴族たるもの、守られてばかりなんて認められないわ!」 響は、戦う力がある自分だけが守られている現状に我慢ならず。 ルイズは、貴族としての誇りがそれを許さないでいた。 だが、歴戦の戦士でもあるサーヴァント二人がその意見を真っ向から受け止める。 「まずマスターだけど、これまでの指導でミッドチルダ式の防御魔法はある程度形になったよね? 全身に纏う『プロテクション』と、前面に展開する『ラウンドシールド』は、それなりの強度で出せるようになった。 でもマスター。肝心の攻撃魔法は? あの爆発魔法は確かに強力だけど、狙いがつけられないと同士討ちの可能性もあるの、分かってる?」 「うぐっ」 「それに響も。さっき、あたしとキャスターさんの宝具に協力してもらって、シンフォギアの融合状態を見てもらったんだけど、 多分、響がまともにシンフォギアを纏えるの、もって3回だと思う。 しかも使うごとに痛みがドンドン増えていく時限爆弾付き。その状態で、真っ向からサーヴァントや他のマスターと殴りあえる?」 「あうっ」 互いのサーヴァントからの指摘に、マスター二人は意気消沈。 結局、なのはとスバルの意見を尊重し、二人は戦闘時は後方待機という方針が決まった。 サーヴァント二人も、自分達の身を案じてくれての発言だ。それが分かっているため、これ以上ワガママを押し通すことはできなかった。 その時、なのはの胸元のレイジングハートが光を放った。 『マスター、時間です。聖杯戦争本戦が開始されました』 「そっか、ありがとうレイジングハート」 他の3人の顔にも緊張が走る。 いよいよ始まる。命がけで聖杯を求める者達の、最後の一組となるまで続く殺し合いが。 なのはの言葉を最後に、結界が解かれる。 戦わずに奇蹟を求めるという、険しく、困難な道のりが始まった。 だが、双方のサーヴァント。 かつて師弟として共に笑い、泣き、戦った二人の魔道師。 二人は、同盟となった面々はおろか、自身すら気づいていない事があった。 メンター――高町なのは。 彼女はよくも悪くも、自分にも他人にも厳しい人物だ。 指導者として後輩や仲間に厳しい指導を行い、結果として大きく成長を遂げる人材も少なくはない。 だが、その指導方針は、ハッキリ言えばスパルタだ。 事実、予選期間を費やして指導したルイズの魔法はそれなりの精度となったが、訓練中の体力、魔力、精神力はゴッソリ削られている。 もちろん指導者のクラスで招かれたなのはは、その辺りの事も考え、適度な休息を取らせていた。 だが、聖杯戦争本選が近づき、予選期間を戦わずに過ごした事による自分達の噂の拡散を知り、予定よりもハイペースな指導になってしまった事は間違いない。 指導しているなのは自身や教わるルイズも気づかないうち、少しずつ、本当に少しずつルイズに溜まっていく負担。 それはなのはがかつて味わった、僅かな反応の遅れから瀕死の重傷を負ってしまった、あの11歳の冬と酷似していた。 キャスター――スバル・ナカジマ。 人を助けるための体と力と技を高めた、最高レベルのレスキューフォース。 一直線に安全な場所まで救助者を届ける。それが、彼女が生前抱いていた最大の使命だった。 聖杯戦争は文字通り戦争だ。 なのはやスバルみたいに戦わない道を選ぶ者も確かにいるが、大半は他のマスターを蹴落とすために戦いを挑む。 英霊という規格外の存在が力を振るえば、NPCとはいえ、街の住人に被害が及ぶのは間違いない。 さらにこのユグドラシルには、聖杯戦争の第一予選で脱落しながらも、サーヴァントを失った後で脱出も出来ず、街に取り残された人間がいるかもしれない。 擬似人格のNPCではなく、聖杯戦争に巻き込まれ、戦う力を失った生身の人間だ。 もしも彼女の目の届く場所で、その人物が戦いに巻き込まれて命の危機に陥った時、彼女は冷静でいられるだろうか? 可能性はそれぞれ万に一つだ。 だが、ゼロではない。 それは、マスターに語った確立と、奇しくも同じだった。 【F-3/特級住宅街 橋の上/一日目 深夜】 【ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール@ゼロの使い魔】 [状態] 健康、なのはの指導による疲労(極小) [令呪] 残り三画 [装備] 杖 [道具] なし [所持金] 裕福 [思考・状況] 基本行動方針:メンターから魔術を教わる 1. 夜が明けたら、引き続き回復魔法を教わる 2. 響と共に回復魔法を無事に習得できたら、聖杯戦争からの脱出方法を探る [備考] ※ メンターの指導により、リリカルなのはの世界の防御魔法(プロテクション、ラウンドシールド)を習得しました。 ※ なのはの指導により、少しずつ体に負担が溜まっています。 現状では問題はないですが、さらなる指導で疲労値が蓄積された場合、戦闘中に反応の遅れが生じる可能性が高まります。 【メンター(高町なのは)@リリカルなのはシリーズ】 [状態] 健康 [装備] レイジングハート・エクセリオン [道具] なし [所持金] なし [思考・状況] 基本行動方針: 響・スバル組と協力し、マスターの願いを叶えて元の世界に帰す 1. ルイズと響に回復魔法を指導する 2. 戦闘時にはマスターは前線に出さず、自分が戦う 3. ルイズと響が回復魔法を習得できたら、聖杯戦争からの脱出方法を探る [備考] ※ 立花響、スバル・ナカジマ組と情報を交換し&同盟を結びました 同盟内容は『ルイズと響に回復魔法を習得させ、共に聖杯戦争から脱出する』になります ※ 『姿の見えない戦闘音』の噂が自身を指すものと把握しています 【立花響@戦姫絶唱シンフォギアG】 [状態] 健康 [令呪] 残り三画 [装備] ガングニール [道具] 学校カバン [所持金] やや貧乏(学生のお小遣い程度) [思考・状況] 基本行動方針: ガングニールの過剰融合を抑えるため、メンターから回復魔法を教わる 1. 学校の時間以外は、ルイズと一緒にメンターの指導を受ける 2. ルイズと共に回復魔法を無事に習得できたら、聖杯戦争からの脱出方法を探る 3. 出会ったマスターと戦闘になってしまった時は、まずは理由を聞く。いざとなれば戦う覚悟はある [備考] ※ シンフォギアを纏わない限り、ガングニール過剰融合の症状は進行しないと思われます。 なのはとスバルの見立てでは、変身できるのは残り3回(予想)です。 【キャスター(スバル・ナカジマ)@魔法戦記リリカルなのはForce】 [状態] 健康 [装備] マッハキャリバーAX、リボルバーナックル、ソードブレイカー [道具] なし [所持金] なし [思考・状況] 基本行動方針: ルイズ・なのは組と協力し、マスターの願いを叶えて元の世界に帰す 1. ルイズと響に回復魔法を習得させる 2. 戦闘時にはマスターは前線に出さず、自分が戦う 3. ルイズと響が回復魔法を習得できたら、聖杯戦争からの脱出方法を探る [備考] ※ ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール&高町なのは組と情報を交換し、同盟を結びました。 同盟内容は『ルイズと響に回復魔法を習得させ、共に聖杯戦争から脱出する』になります ※ 予選敗退後に街に取り残された人物が現れ、目の前で戦いに巻き込まれた際、何らかの動きがあるかもしれません。 ---- |BACK||NEXT| |[[虎の穴を前にして]]|[[投下順>本編目次投下順]]|-| |[[虎の穴を前にして]]|[[時系列順>本編目次時系列順]]|-| |BACK|登場キャラ|NEXT| |[[カーテン・コール]]|[[ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール]]|-| |~|メンター([[高町なのは]])|-| |~|[[立花響]]|-| |~|キャスター([[スバル・ナカジマ]])|-|
**師弟再び ◆V8Hc155UWA 「メンター...あたし、すっごく眠たいんだけど...今、何時だと思ってるのよぉ...」 「ほらマスター、シャキッとして。そんなに時間取らせないから」 「分かってるわよぉ...ふわぁぁ~...むにゃ...」 「って、いきなり寝ないでよー! もう少しで着くからー!」 眠い眼を擦りながらふらふらと歩くルイズを、メンター――高町なのはが支えながら、二人は夜の特級住宅街を歩いていた。 時刻は日が変わる少し前。彼女達が目指すのは、北の方角だ。 今日もなのはの厳しい指導の下、ルイズは魔法の習得に励んでいたが、 夕方頃になのはが少し席を外したと思うと、帰って来て早々こんな事を言い出したのだ。 『マスター。今夜なんだけど、一緒に来てもらいたい所があるんだ』 理由を尋ねても、夜になってからのお楽しみとだけ。 魔法の練習で身体と精神がクタクタになりながらも、結局目的地を聞き出せないまま、ルイズはなのはに連れて来られた。 そんな事があり、ルイズは絶賛不機嫌である。それはもう、不機嫌の塊である。 「まったく...あんたはマスターを何だと思ってるのよ... そりゃあ、魔法を教えてくれるのは嬉しいわよ? 手助けをしてくれるのは感謝してるわよ? でもね、もうすぐ聖杯戦争本番が始まる時間っていうのに、わざわざ霊体化解いてまで私をここに連れてきた理由を話さないなんて、サーヴァントの自覚あるのかしら...」 「あ、あの、マスター? 独り言言ってるつもりなんだろうけど、バッチリ聞こえてるよ?」 「ふ、ふん! アンタがいけないんじゃないの! それで、私を連れて行きたい場所ってまだなの? もう特級住宅街のエリア抜けちゃうわよ?」 「もうすぐだよ、会ってほしい人たちがいるんだ」 「会ってほしい...?」 どういうことだろうか。 方法は違えど、ルイズもなのはもユグドラシルには本人の意思とは無関係に呼び出された身だ。 もちろん、それぞれの住んでいた世界とは違う場所だ。会うべき知り合いなどいるはずがないのだが... そんな事を考えている間に、先を歩くなのはの足が止まった。 足元は特級住宅街の石畳から変わり、木で作られた橋だった。 この橋を反対側に渡れば、学校が立ち並ぶ学術地区となる。 「何よ、隣の地区と繋がってる橋の上じゃない。ここで誰と――」 「あ、いたいた! なの――じゃなかった! メンターさーーん!!」 「ちょ、ちょっとキャスターさん! 私、もうヘトヘトなんですけどー!」 ルイズの言葉に被るように、反対側の学術地区から元気な声が聞こえてきた。 こちらに駆けてくる影は二つ。 一人は青いショートカットが特徴的な、元気そうな笑顔が印象的な女性だ。 その女性に手を引っ張られてるのは、オレンジの髪が目立つ少女。 少女もルイズと同じく、こちらに向けてブンブンと手を振る青髪の女性に引っ張られてきたらしい。 「.........って...『メンターさん』? なんであんた、メンターのクラス知ってるのよ!?」 「ふふ、相変わらず元気だね、ス...じゃなくて、キャスター」 「ええ、そりゃあもう! 元気が私の一番の取り柄ですから! 英霊になってもそこは変わりませんよ!」 「え、英霊? えと、キャスターさん、この人たちって...」 盛り上がるなのはと青髪の女性二人に対し、ルイズとオレンジ髪の少女は何が何やらといった状況だ。 「あ、ごめんごめん、ちょっと待っててね。レイジングハート、結界お願い」 『All right』 なのなの首にかかっている赤い宝石――なのはの宝具『レイジングハート・エクセリオン』が光を放ち、なのはを中心に結界が展開された。 これで周囲に声が漏れる事はなく、中で何が起ころうとも通常の空間には影響を及ぼさない。 「それじゃ、一応お互いのマスターは初対面だし、改めて自己紹介しよっか? 高町なのは。このピンクの髪の子のサーヴァントです。クラスはメンターだよ」 「って、メンター!? あんたもいきなり真名って何考えてるの!? ていうか、こいつら誰よ!?」 「はーい! 次あたしね! スバル・ナカジマ! 今回の聖杯戦争でキャスターやってます! この子があたしのマスター!」 「キャスターさんまでぇ!? どーゆーことですかぁ!?」 突然の展開に、互いのマスターの頭は盛大にこんがらがっていた。 ◆ 「えーと、簡単にまとめさせてもらうと…」 結界に入った数分後。 頭をウンウン唸らせながら、二人のサーヴァントから聞いた情報をルイズがまとめていた。 「メンターとキャスターは生前の知り合いで、夕方に北西の塔近くを偵察に行ったら偶然鉢合わせて、 それでお互いのマスターの顔合わせもかねて、こんな事を計画したと...」 「る、ルイズちゃんスゴイね! 私、改めて聞いてもよくわかんなかったのに!」 「にゃはは、まさかこの聖杯戦争で知り合いがサーヴァントとして呼ばれるなんて思いもしなかったからね」 「それはこっちのセリフですよー。 しかも呼ばれてる時間が違って、私がなのはさ...じゃなかった、メンターさんの年上になってるなんて...うぅ、やっぱりまだ慣れません...」 生前の関係から、スバルにとってなのはは永遠の師匠だ。 魔法や戦い方だけでなく、人生の師として様々な事を教わった相手より、年上として聖杯戦争に呼び出された。 可能性は確かにあったが、実際に自分がそうなってしまうとは夢にも思っていなかったのだ。 「で、サーヴァント二人は、なんで私とその響って子を連れてきた訳? もちろん聖杯戦争に関する事なんでしょうけど...まさか、開始時間からいきなりドンパチするって訳じゃないでしょ?」 「もちろん。私とキャスターで夕方に少し話したんだけど、やっぱりお互いのマスターの意見も聞かなきゃいけないからね」 ルイズに問いに、なのはの顔が真剣なものとなる。 ちなみになのはとスバルは、聖杯戦争のサーヴァントで呼ばれたという事実を踏まえ、互いの事をサーヴァントのクラスで呼ぶ事にした。 スバルが時々、なのはの真名を呼びかけてしまうのはご愛嬌である。 なのははルイズ、響の顔を見渡し、スバルが頷いたのを確認し、息を軽く吐いてから口を開いた。 「率直に言うよマスター、そして立花さん。私達で、同盟を組もうと考えているの」 「同盟...ですか? でも、この聖杯戦争って...」 「うん、あたし達は聖杯の奇蹟を巡り、最後の一組になるまで戦わなきゃいけない。 聖杯を手にできるのは、最後の一組になったマスターとサーヴァントだけだからね」 「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 最後は戦うって決まってるんでしょ!? なのに、同盟を組むなんて...!」 「そこだよ。確かに、聖杯を望む二組が最後に勝ち残れば、そこに待ってるのは戦いだけ。 でも、あなた達二人のマスターの願いって何かな? もう一度答えてみて」 なのはの質問に、ルイズと響が顔を見合わせた。 「わ、私は...カトレア姉さまを治せる癒しの魔法を覚えることよ?」 「私は...その、体に融合してる、ガングニールをどうにか抑えられたらなーって...」 「はい正解。それに付け足して私とキャスターの願いは、『自分達のマスターの願いをかなえて、元の世界に戻してあげること』」 「......あっ!」 ルイズが驚きの声をあげる。 どうやら、なのはの言わんとしてる事に気づいたようだ。 一方、響は頭から煙を出さん勢いで唸っていた。 「う~う~...ダメだー! 分からないー!」 「えと、響? ルイズの願いは分かったでしょ? 自分の願いはもちろん分かってるでしょ?」 「だからですよ! 私の願いって、その...聖杯に願わなきゃ、叶えられないじゃないですか! ルイズちゃんの願いは、メンターさんがいればいずれ叶うかもしれないけど...!」 病気を治す癒しの魔法の習得。 確かに困難な道だろうが、指導者――メンターのサーヴァントがパートナーなのだ。 他のマスターとの戦いを極力避ければ、時間こそかかれど叶えられる可能性は高い。 だが、自分の願いはどうだ? 自らの体に融合している聖遺物――シンフォギアの過剰融合を抑えるという、まさに奇蹟に頼らざるを得ない願い。 敵が襲ってくるのなら戦う覚悟はある。だが、聖杯を獲得するために聖杯戦争に乗り、自分から戦いを挑む覚悟は出来ていない。 つまり、聖杯に頼らなくてもいい可能性があるルイズと、聖杯に頼らなくてはいけない響では、状況が違うのだ。 スバルから響の願いと状況を大体聞いていたのだろう。 なのはが、響の肩に手を置く。 「そうだね...私は立花さんの体に融合してるっていう、そのシンフォギアの事を知らない。 キャスターも同じだろうし、私達だけじゃあその融合を完全に防ぐ事はできないかもしれない。 だけど、可能性が一つだけあるの」 ルイズと響を交互に見渡し、なのはは言う。 「マスターが癒しの魔法を覚えたら、それを私がシンフォギア用に改良して、立花さんに教える。 その魔法で、立花さんの侵食を抑えられる可能性があるとしたら?」 「えっ......?」 突然語られた可能性に、響の眼が点となった。 と同時に、頭でなのはの言葉を反復して理解しつつも、どうしても疑惑の考えが浮かぶ。 「で、でも、そんな事できるんですか? 私、魔法なんかとは無縁の世界で生活してたんですけど...」 「うーん、魔力って意味じゃあ問題ないよ。 キャスターから聞いたけど、立花さんがキャスターに提供してる魔力って、体内のシンフォギアから生み出してるんだよね? サーヴァントが見れば魔力の出力って大体分かるんだけど、うちのマスターと同じぐらいは出してるみたいだから、魔力って意味じゃあまず問題ないね。 それに立花さんの世界のシンフォギア。生み出したエネルギーを武器を介して放出してるって意味では、 私の使ってるミッドチルダ式とそんなに変わらないんだ。どっちかと言うと、キャスターが使うベルカ式に近いかな?」 アームドギアと紡ぐ歌を解し、体内の魔力を武器に宿して戦うシンフォギア。 デバイスと力ある言葉を解し、体内の魔力を音声認識で魔法として放出するミッドチルダ式ならびにベルカ式。 確かに、双方の戦闘方法には似通った部分が存在していた。 「もちろん確実じゃないよ。 あたしもメンターさんも、回復の魔法はそんなに得意じゃないから、まずルイズに教える魔法がいつ完成するか分からない。 そこから別の世界の技術...響のシンフォギアに合わせて魔法を組み替えるなんて、かなり可能性は低いかもしれない。 でも...可能性はゼロじゃないでしょ?」 「あっ......!」 ようやく響も気づいた。 ルイズが回復の魔法を習得すれば、ルイズの願いは聖杯に願わずとも叶えられる。 それをシンフォギア用に改良し、響がガングニールから溢れる魔力を利用して習得できれば、確かに過剰融合を抑えれるかもしれない。 聖杯に願わずとも、自身の願いを叶える事が可能になるかもしれないのだ。 さらに、なのはとスバルは生前の師弟として、数多くの戦いを共に歩んできたという。 それぞれの能力もほぼ把握しており、もし他のマスターと戦闘になっても、早々と遅れを取ることはないだろう。 スバルが言ったように可能性が高いわけではない。 だが、ゼロではないのだ。 「私のガングニールを抑える事が、出来る...!?」 「今言ったけど、確実な方法じゃないよ。もしかしたら、聖杯を勝ち取って願う方がよっぽど可能性が高いかもしれない。 でも、奇蹟に頼るって意味で考えるなら、どっちも同じ。 勝ち残って聖杯に願う奇蹟か、生き残って方法を見つけ出す奇蹟を願うか。 それを踏まえて、改めてマスター達の言葉を聞かせて。この同盟...どうするかな?」 なのはの言葉に、マスター二人の視線が交わる。 今度は先ほどの困惑した瞳ではなく、光を宿した希望に満ちた瞳。 可能性が低いなら、自らの努力で勝ち取ればいい。 異なる世界から招かれた二人のマスターに共通している、絶対の信念だ。 「...まぁ、足は引っ張らないでよね?」 「もっちろん! 私に出来ることなら何でもやるよ! 改めて、私は立花響16歳!誕生日は9月の13日で、血液型はO型! 身長はこの間の測定では157cm! 体重は、もう少し仲良くなったら教えてあげる! 趣味は人助けで、好きなものはごはん&ごはん! 後は......彼氏いない歴は年齢と同じ!!」 「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ。ルイズでいいわ。 誕生日と血液型はあんたの世界の基準が分からないから割愛するけど、歳は同じ16歳ね。 身長は153サント...あぁ、サントっていうのは私の世界の単位で、そっちのセンチメートル...? ってのと、大体同じだと思うわ。 体重は...こ、ここも割愛させてもらうわ。趣味編み物と乗馬、好物はクックベリーパイね。 彼氏は......き、貴族たるもの、恋に現を抜かしてる暇はないわっ!」 「つまりいない歴=年齢ってことだね! よかったー! 仲良くなれそうだね、ルイズちゃん!」 「な、なれなれしくちゃん付けしないでよ! ど、同盟はいいけど、聖杯戦争のライバルって意味では敵同士なんだからねっ!」 ルイズはそっぽを向きつつ。 響は笑顔で。 二人のマスターは、互いの右手を差し出した。 ◆ 数分後、無事に同盟関係の締結となった彼女らは、今後の方針を固めた。 最大の目標は『ルイズと響に回復魔法を習得させ、響のシンフォギア過剰融合を抑えること』。 そして『二人のマスターを聖杯に頼ることなく、無事に元の世界へ戻ること』。 戦闘に関しては『敵に襲われない限りは、こちらから他のマスターに戦闘を仕掛けることはしない』。 さらに戦闘に関しては、マスター二人は極力前線に出ないという事が話し合われた。 そこに意義を挟んだのは、そのマスター二人である。 「二人にだけ戦わせて、私達はずっと後ろにいるなんて...」 「貴族たるもの、守られてばかりなんて認められないわ!」 響は、戦う力がある自分だけが守られている現状に我慢ならず。 ルイズは、貴族としての誇りがそれを許さないでいた。 だが、歴戦の戦士でもあるサーヴァント二人がその意見を真っ向から受け止める。 「まずマスターだけど、これまでの指導でミッドチルダ式の防御魔法はある程度形になったよね? 全身に纏う『プロテクション』と、前面に展開する『ラウンドシールド』は、それなりの強度で出せるようになった。 でもマスター。肝心の攻撃魔法は? あの爆発魔法は確かに強力だけど、狙いがつけられないと同士討ちの可能性もあるの、分かってる?」 「うぐっ」 「それに響も。さっき、あたしとキャスターさんの宝具に協力してもらって、シンフォギアの融合状態を見てもらったんだけど、 多分、響がまともにシンフォギアを纏えるの、もって3回だと思う。 しかも使うごとに痛みがドンドン増えていく時限爆弾付き。その状態で、真っ向からサーヴァントや他のマスターと殴りあえる?」 「あうっ」 互いのサーヴァントからの指摘に、マスター二人は意気消沈。 結局、なのはとスバルの意見を尊重し、二人は戦闘時は後方待機という方針が決まった。 サーヴァント二人も、自分達の身を案じてくれての発言だ。それが分かっているため、これ以上ワガママを押し通すことはできなかった。 その時、なのはの胸元のレイジングハートが光を放った。 『マスター、時間です。聖杯戦争本戦が開始されました』 「そっか、ありがとうレイジングハート」 他の3人の顔にも緊張が走る。 いよいよ始まる。命がけで聖杯を求める者達の、最後の一組となるまで続く殺し合いが。 なのはの言葉を最後に、結界が解かれる。 戦わずに奇蹟を求めるという、険しく、困難な道のりが始まった。 だが、双方のサーヴァント。 かつて師弟として共に笑い、泣き、戦った二人の魔道師。 二人は、同盟となった面々はおろか、自身すら気づいていない事があった。 メンター――高町なのは。 彼女はよくも悪くも、自分にも他人にも厳しい人物だ。 指導者として後輩や仲間に厳しい指導を行い、結果として大きく成長を遂げる人材も少なくはない。 だが、その指導方針は、ハッキリ言えばスパルタだ。 事実、予選期間を費やして指導したルイズの魔法はそれなりの精度となったが、訓練中の体力、魔力、精神力はゴッソリ削られている。 もちろん指導者のクラスで招かれたなのはは、その辺りの事も考え、適度な休息を取らせていた。 だが、聖杯戦争本選が近づき、予選期間を戦わずに過ごした事による自分達の噂の拡散を知り、予定よりもハイペースな指導になってしまった事は間違いない。 指導しているなのは自身や教わるルイズも気づかないうち、少しずつ、本当に少しずつルイズに溜まっていく負担。 それはなのはがかつて味わった、僅かな反応の遅れから瀕死の重傷を負ってしまった、あの11歳の冬と酷似していた。 キャスター――スバル・ナカジマ。 人を助けるための体と力と技を高めた、最高レベルのレスキューフォース。 一直線に安全な場所まで救助者を届ける。それが、彼女が生前抱いていた最大の使命だった。 聖杯戦争は文字通り戦争だ。 なのはやスバルみたいに戦わない道を選ぶ者も確かにいるが、大半は他のマスターを蹴落とすために戦いを挑む。 英霊という規格外の存在が力を振るえば、NPCとはいえ、街の住人に被害が及ぶのは間違いない。 さらにこのユグドラシルには、聖杯戦争の第一予選で脱落しながらも、サーヴァントを失った後で脱出も出来ず、街に取り残された人間がいるかもしれない。 擬似人格のNPCではなく、聖杯戦争に巻き込まれ、戦う力を失った生身の人間だ。 もしも彼女の目の届く場所で、その人物が戦いに巻き込まれて命の危機に陥った時、彼女は冷静でいられるだろうか? 可能性はそれぞれ万に一つだ。 だが、ゼロではない。 それは、マスターに語った確立と、奇しくも同じだった。 【F-3/特級住宅街 橋の上/一日目 深夜】 【ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール@ゼロの使い魔】 [状態] 健康、なのはの指導による疲労(極小) [令呪] 残り三画 [装備] 杖 [道具] なし [所持金] 裕福 [思考・状況] 基本行動方針:メンターから魔術を教わる 1. 夜が明けたら、引き続き回復魔法を教わる 2. 響と共に回復魔法を無事に習得できたら、聖杯戦争からの脱出方法を探る [備考] ※ メンターの指導により、リリカルなのはの世界の防御魔法(プロテクション、ラウンドシールド)を習得しました。 ※ なのはの指導により、少しずつ体に負担が溜まっています。 現状では問題はないですが、さらなる指導で疲労値が蓄積された場合、戦闘中に反応の遅れが生じる可能性が高まります。 【メンター(高町なのは)@リリカルなのはシリーズ】 [状態] 健康 [装備] レイジングハート・エクセリオン [道具] なし [所持金] なし [思考・状況] 基本行動方針: 響・スバル組と協力し、マスターの願いを叶えて元の世界に帰す 1. ルイズと響に回復魔法を指導する 2. 戦闘時にはマスターは前線に出さず、自分が戦う 3. ルイズと響が回復魔法を習得できたら、聖杯戦争からの脱出方法を探る [備考] ※ 立花響、スバル・ナカジマ組と情報を交換し&同盟を結びました 同盟内容は『ルイズと響に回復魔法を習得させ、共に聖杯戦争から脱出する』になります ※ 『姿の見えない戦闘音』の噂が自身を指すものと把握しています 【立花響@戦姫絶唱シンフォギアG】 [状態] 健康 [令呪] 残り三画 [装備] ガングニール [道具] 学校カバン [所持金] やや貧乏(学生のお小遣い程度) [思考・状況] 基本行動方針: ガングニールの過剰融合を抑えるため、メンターから回復魔法を教わる 1. 学校の時間以外は、ルイズと一緒にメンターの指導を受ける 2. ルイズと共に回復魔法を無事に習得できたら、聖杯戦争からの脱出方法を探る 3. 出会ったマスターと戦闘になってしまった時は、まずは理由を聞く。いざとなれば戦う覚悟はある [備考] ※ シンフォギアを纏わない限り、ガングニール過剰融合の症状は進行しないと思われます。 なのはとスバルの見立てでは、変身できるのは残り3回(予想)です。 【キャスター(スバル・ナカジマ)@魔法戦記リリカルなのはForce】 [状態] 健康 [装備] マッハキャリバーAX、リボルバーナックル、ソードブレイカー [道具] なし [所持金] なし [思考・状況] 基本行動方針: ルイズ・なのは組と協力し、マスターの願いを叶えて元の世界に帰す 1. ルイズと響に回復魔法を習得させる 2. 戦闘時にはマスターは前線に出さず、自分が戦う 3. ルイズと響が回復魔法を習得できたら、聖杯戦争からの脱出方法を探る [備考] ※ ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール&高町なのは組と情報を交換し、同盟を結びました。 同盟内容は『ルイズと響に回復魔法を習得させ、共に聖杯戦争から脱出する』になります ※ 予選敗退後に街に取り残された人物が現れ、目の前で戦いに巻き込まれた際、何らかの動きがあるかもしれません。 ---- |BACK||NEXT| |[[虎の穴を前にして]]|[[投下順>本編目次投下順]]|[[三様の想い]]| |[[虎の穴を前にして]]|[[時系列順>本編目次時系列順]]|[[三様の想い]]| |BACK|登場キャラ|NEXT| |[[カーテン・コール]]|[[ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール]]|-| |~|メンター([[高町なのは]])|-| |~|[[立花響]]|-| |~|キャスター([[スバル・ナカジマ]])|-|

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