vipac @Wiki
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vipac @Wiki
ja
2024-03-04T21:48:54+09:00
1709556534
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ACVDありがとうフラッシュ
https://w.atwiki.jp/wiki9_vipac/pages/2551.html
かつて、ありがとうフラッシュというジャンルがあった。
昔のMMOが終了する時、その思い出を綴った文章を2chのスレでまとめ、
それを、KOKIAの「ありがとう・・・」をBGMに流していく、
動画編集としては簡素かもしれないが、とても感慨深いジャンルがあった。
私、失恋板在住は、終わりゆくACVDのサーバーの為に、
一人の、架空のACVDプレイヤーの歴史を描いてみた。
これは私の思い出でもないし、誰かのACVDプレイヤーの思い出でもない。
だが、私なりに見てきたACVDの様々な人の言葉、様々な思い出に含まれる、
色々な要素を、一人の架空のACVDプレイヤーの歴史に詰め込んでみたつもりだ。
私なりにこの文章にBGMを付けるなら、
もちろん、KOKIAの「ありがとう・・・」だ。
仮に動画化したい人が居たら、この文章を好きに使ってくれていい。
-------
初めてプレイしたフロムソフトウェアのゲームはダークソウルで、
その後、他のソウルシリーズを触り、
フロムソフトウェアの作るゲームが好きになった。
その中で、アーマードコアというゲームの事を知り、
最新作はACVDで、もう何年も新作が出ていない事を知る。
体が闘争を求めれば、アーマードコアの新作が出る。
そんなインターネットの流行り言葉で初めて、
アーマードコアという名前を聞いたぐらいだ。
きっかけはゲーム屋の中古コーナーで、
ワンコインで売られているACVDを見た時だった。
フロムソフトウェアのゲームを、もっと遊んでみたいとは思っていた。
アーマードコアというフロムソフトウェアを代表するシリーズに、興味はあった。
この値段なら気楽に試せるし、PS3も押し入れから引っ張り出せば使えるだろう。
掘り出し物でも見つかったかのように、喜び勇んでACVDを起動した。
癖のある操作に困惑しながら、ストーリーを遊んだ。
ソウルシリーズにはない操作感覚と、
ソウルシリーズかのようなアセンブルの感覚。
まるで、ソウルシリーズのキャラクターにパラメーターを振り、装備を選ぶかのように、
パーツを組み合わせて、ACを組み上げる感覚。
そして、その数字が繊細に反映された自分が動かすACの動き。
たったワンコインで、フロムソフトウェアの神髄に触れた気がして、
非常に満足していた。
ACVDは、どちらかと言えばオンライン対戦が重視されたACである。
一人でストーリーを遊ぶにも、部隊を作って出撃する画面を挟む。
もちろん、まだまだ初心者である自分にオンラインは早いかもしれない。
だが、オフラインで一人でACを組み、オフラインの敵を倒す作業は、
最初は楽しかったものの、徐々に物足りなさを感じていった。
私はUNACを組み始めた。
説明文を読み、数字を読み、わからないなりに、
こういうUNACを組みたいというイメージを持って、UNACを組んだ。
もちろん、イメージ通りのUNACが組めたわけではない。
ただ、動きを見て、UNACのプログラムを弄る。
その試行錯誤の連続だけでも、楽しかった。
UNACと、自分で操作するACでも戦ってみた。
まるで、ストーリー上の敵ACを自分で作っているようで、楽しかった。
動きから連想する名前と機体名を、UNACに付ける。
私のUNACは、私のライバルでもあり、パートナーでもあった。
いつしか作り溜めたUNACデータの数は増え、
その全てにUNACとしての名前と機体名を付け、
それぞれの機体と動きには、それぞれのコンセプトやカラーがあった。
同じフロムソフトウェアのゲームでも、
ACというゲームは、ソウルシリーズよりもキャラクターを作る楽しさが強い。
少し感動していた。
私もなかなか、ACVDをたくさんプレイしたと思う。
UNAC達も、自分の思うような動きをしてくれるようになった。
自分一人で考えるACの楽しさを、楽しみきった感じもしていた。
そろそろオンラインに出てもいいかと思い始めた。
今思えば、ここで私のACを終わらせておけば、
私のACは、もっときれいな思い出で終われたのかもしれない。
勢力戦、というのがACVDのオンラインの基本だ。
傭兵システムというものがあり、自分が一人しかいないチームだとしても、
3人の傭兵を雇う事で、4人の部隊として出撃できる。
逆に言えば、ランダムマッチングされた4人の部隊というものは存在しない。
正直、初心者の自分が傭兵さんを雇うのは気が引けた。
だから、UNACを3人連れて出撃する事にした。
どれも思い入れがあるUNACであり、
自分の操作に対する自信はほどほどでも、
UNACの強さには、それなりに自信があった。
私は、それだけこいつらをたくさん調整した。その自負があった。
初めて出撃ボタンを押し、初めての勢力戦に出た。
ヘリから互いの部隊が降り立つムービーが入り、戦闘が始まる。
緊張しすぎて、何が起こったのかよくわからなかった。
ただ、結果だけは覚えている。本当に何もできなかったほどの惨敗だった。
悔しかったと思う以上に、何が何だかわからなかった。
その日はその一戦でPS3を落としてふて寝した。
あまりにも何もわからなかった。
そう思って、次の日もう一度出撃してみたが、結果は同じだった。
惨敗であるし、何もわからなかった。
それでも、このまま何もわからないままでは、
今まで自分がACを組み、操作し、UNACを組み、調整を重ねてきた事が、
全部無駄になってしまうような気がして、がむしゃらにUNAC達と出撃し続けた。
だんだん負けた理由がわかってきた。
ACVDはチーム戦だ。四機のACと四機のACが戦う。
いつも相手の四機が、最初に私の所に殺到して、私が瞬殺される。
その後、残りのUNAC達も順番に一人づつ倒される。
四人で一人を倒すと、多少摩耗してもその後の展開は四対三で数的有利だ。
ならば、私もこれをやってやろうと思った。
UNACを調整し、軽めの機体に近距離で火力の高いミサイルを積んで、
自分がスポットした敵機体を全員で叩く事に最適化した。
対して、自分の機体はタンクにした。
重くて硬い機体にして、一緒にスポットした敵機体に突っ込んだ時に、
少しでも自分が落ちる時間を遅らせようと思った。
私が落ちる前に、相手を一機落としてやろうと思った。
それでも全然勝てなかった。
でも、その戦い方をずっとやっていたら、
たまたま最初にスポットした相手があっさりと落ち、
そのままなし崩しで、ようやく一度だけ勝つ事が出来た。
もちろん、運が良かっただけかもしれない。
それでも、その日はとても気分良く眠ることが出来た。
次の日、PS3を起動すると、PS3本体にメッセージが来ていた。
知らない人ではあったが、中身を確認すると、チームの勧誘であった。
「いつも一人でUNAC部隊を回し続けているのを見ていた。
最近のすぐいなくなる新規プレイヤーにはない、根性を感じた。
戦い方も前のめりに勝利をもぎとろうとするガッツを感じる戦い方で、俺好みだ。
俺達は、全ての敵を前のめりに倒したい。俺のチームに来ないか?」
私はそこまで、根性とかガッツという言葉を使う方じゃない。
ただ、私のUNACと共に、経験のない私が考えられる唯一の勝ち方が、
四機で一機に突っ込むという事だっただけだ。
メッセージをくれた彼はきっと、
話したこともない私に夢を見て、私を誤解している。
そう思ったものの、このままUNAC部隊を回し続けるより、
他のACVDプレイヤーから、色々な話を聞いてみたいと思った。
それに、きっと彼は熱い男に憧れているだけで、悪い奴ではないなと思い、
入隊を希望するメッセージを返信した。
そこから私のACVDは変わった。
言われるがままディスコードを導入し、チームの通話に入った。
もちろんボイスチャットなんてしたことがない私は、
素直にその旨を伝え、テキストチャット勢として参加した。
それでも、スピーカーから聞こえる彼らの声は、
それが、一人でやるアーマードコアではない事を痛感させるには十分なものだった。
ソウルシリーズをやっていた頃、AC勢は変な奴が多い、なんて噂は聞いた。
実際、変な奴が多かった。
オンラインゲームをやっている人間は、
もっと暗い、テンプレ的なオタクばかりだと思っていたが、
VCから聞こえる声には、テンプレ的なオタクも居れば、
もっとオラオラした関西弁のやつもいた。
どう見ても共通点がない連中で、時に罵り合いながらも、
どうしてか彼らは仲が良かった。
私は彼らの話を聞きながら、彼らと共に出撃する事が、とても楽しかった。
負けたら本気で悔しがり、改善点を言い合い、時に強い言葉が飛び交う。
勝ったら本気で喜び、ふざけ合い、それでも改善点が出る時もある。
リアルでは見たことがない、様々なタイプの人間が、
何故かここでは、一つのチームとして動いていた。
普通に生きていれば一生会わないような、物理的にも、職業的にも遠い人たちが、
ただ、突っ込んで全てのACを破壊する為に、それぞれの出来る事をやっていた。
もちろん、何もかもがうまく行く訳ではない。
私も熱くなって、テキストチャットをたくさん打ってしまう事もある。
文字と声が喧嘩をしている様は、とてもインターネット的だった。
それでも、画面の向こうに居るのは人間で、
私の入ったチームの目的は、とにかく前のめりにACを破壊する事だから、
たくさん言い合えば、チーム全体が一歩先に進めた。
今でも、私を誘ってくれたリーダーの事を覚えている。
彼はチーム全体を盛り上げる事は出来るが、
チーム全体の細かい連絡などは、全部サブリーダーに任せていたし、
チーム内での役割分担なども、サブリーダーの担当であった。
どちらかと言えば、うちのチームで一番よく出来た人は、サブリーダーだっただろう。
サブリーダーの高い能力に、声がでかいだけのリーダーが乗っかっている、とも言える。
でも、リーダーがいない時のサブリーダーは、妙にリーダーの事を評価していた。
あいつが居るから楽が出来て助かるよ。サブリーダーから何度も聞いた言葉だ。
チームの人数はそれなりに居たし、
このチームで一番強い奴は、リーダーでもサブリーダーでもない。
だが、このチームで一番強い4人を選べと言われたら、
リーダーとサブリーダーは、確定項目だっただろう。
彼らは、居るだけで勝率が上がる存在だった。
リーダーと一緒に出撃していると、なんだか新入りの自分でも勝てる気がした。
サブリーダーと一緒に出撃していると、勝てる理由も負ける理由も教えてくれた。
彼ら二人と出撃していれば、もう勝っても負けても楽しかった。
チームそのものは、ACVDの中にたくさんある。
チームを移籍する事には、何のペナルティもない。
だからこそ、きっとここに居るメンバー達は、
この二人に価値を認めて、このチームに残っているのかもしれない。
リーダーが強いベクトルを示す。
目的を示し、そこに至りたいという熱い気持ちを語る。
そしてサブリーダーが、その具体的な方法の案をたくさん出す。
いろいろ試して、今日は全然ダメだったななんて、笑い合う。
サブリーダーは、諸葛孔明のような高名な軍師ではなかったし、
リーダーも、曹操のようなカリスマ性を持っていたわけではない。
それでも、このチームで遊ぶACVDは、私にとって十分に楽しかったのだろう。
そんな日々も、永遠には続かなかった。
リーダーが、リアルの都合でログイン出来なくなった。
このチームでは比較的年長者な彼のことだ。
ゲームが遊びづらくなるリアルの都合なんて、一番たくさんあるだろう。
メンバー達の強い希望もあり、リーダーが居なくなってからは、
サブリーダーがリーダーを務めた。
だが、それも長くは続かなかった。
サブリーダーは昔と同じような言葉を、愚痴として漏らした。
あいつがいたから、楽を出来て助かっていた、と。
チームはバラバラになり、他のチームに行ったやつもいるし、
そもそもACVDをやめてしまったやつも多い。
もう、私のスピーカーから彼らの喧騒が流れてくる事はない。
彼らの喧騒に、テキストチャットで突っ込みを入れる事もない。
それでも、私はあの思い出を忘れられず、一人で傭兵登録をして、ACVDを続けた。
傭兵システムは、チームによる出撃と比べれば野良マッチングに近かったが、
ちゃんと傭兵を選択する雇用主が一人居る、という点が大きな違いだと思う。
雇用主が選んでいない人が、勝手に部隊に入る事はない。
傭兵同士は、ボイスチャットやテキストチャットをする事は出来ない。
ただ、戦闘中でもブザーという「ピコン!」という音だけは出せる。
それに、ブリーフィング中に出撃予定のマップの上に、
マーカーを置いたり、線を引いたりする事が出来る。
マーカー指定傭兵、なんて言葉もあり、
傭兵登録をする時のメッセージに、「赤1:レザスピ四脚」と書いて、
出撃前のブリーフィングで雇用主が赤1を自分のところに置けば、
自分はレザスピ四脚に乗り換えますよ、というACVD内のローカルルールのようなものだ。
この文化が一般化して、ACVDにおける傭兵部隊は非常に強くなった。
傭兵3人の部隊でも、チーム出撃の部隊に勝てる事も多くなった。
熟練の傭兵は、VCやTCがなくても、
ピコン!という音だけでコミュニケーションが取れるし、
そもそも、マップと、出撃前にヘリから降りてくる味方と敵の機体を見て、
大体の自分のやるべきことが推測出来てしまうのである。
私も元々、リーダーから誘われなければ、
ずっとUNACと一緒に出撃を続けていたかもしれないタイプのプレイヤーだ。
だから、傭兵という孤独な戦場にも、すぐに適応出来た。
傭兵登録をして、依頼が来れば雇用主と共に出撃し、
声が繋がっていなくても、部隊の勝利の為に、出来る最善の手を考えながら戦った。
思えば、あの時チームに入って教えてもらった基礎的なチーム戦の勝ち方の話が、
傭兵として出撃する時も、とても役に立っていた。
たまに、見るからに初心者な雇用主から依頼も来る。
もちろん、4対4のゲームで一人初心者が混じれば、なかなか勝つのは難しい。
それでも、彼が少しでもACを続けてくれる確率が高まるように、
彼を勝たせてやりたいと、大人げなくやっきになって頑張ってしまう自分が居た。
更に年月が経ち、ACVDのプレイヤーは減り、
勢力戦で見るプレイヤーに大体見覚えがあるぐらいの限界集落になってきた。
ACVDには、プレイヤーランキングという項目があり、
一週間ぐらいのシーズン中に出撃すればするほど、ポイントが溜まり、
そのポイントの上位100人が見られるようになっている。
過疎ったACVDにおいてプレイヤーランキングは、出席簿なんて呼ばれた。
人口が少ないから、シーズン中に少しでもプレイすれば、すぐにランキングに載ってしまうのだ。
そんな中でも、私なりに楽しくACVDを遊んだ。
傭兵登録をして、雇用主の勝利の為に戦う。
それだけでも、考える事の多さには事欠かなかった。
かつて所属したチームの事を、思い出さない訳ではない。
あの喧騒が懐かしくなる事もあった。
リーダーがいて、サブリーダーがいて、みんながいて、
今は、そのみんながACVDには残っていない。
頻繁に傭兵をやっていると、よくチーム勧誘のメッセージが来る。
でも、どんなチームから誘いが来ても、私がそれに応える事はなかった。
未練がましく、私なりに居なくなった彼らに義理立てしている、という訳ではない。
ただ、私はあのチームの経験だけでも、ACVDのチームの楽しさというものを、
十二分に楽しんだのだと思う。
むしろ、最初に所属したチームが自分に合っていたから、
私は、今もこの末期のACVDを、傭兵として戦い続けてきているのだろう。
そう考えると、なんだか彼らに感謝したい気持ちになった。
リーダーが居なくなって、皆のためにサブリーダーが頑張るも、
結果的にチームが続かなかった時、
私はチームの皆の事を恨めしく思った事もある。
私は彼らが好きだったから、去っていく者を薄情だと罵りたくなった事もあった。
だが、今の私は、彼ら全てに、感謝の念を伝えたいと思っている。
彼らが居なければ、私がACVDを続ける事は無かった。
彼らから教わった事が無ければ、私は今も傭兵としてACVDを続けられていなかった。
彼らが居なければ、そもそも彼らが居なくなった事を悲しいとも思えなかった。
私は彼らに、ありがとうを言いたくなった。
AC6が発売され、ACVDのサーバーも終わりが近いと聞く。
他のACVDに残るプレイヤーは、ACV時代からの古いプレイヤーも多い。
そういう人に比べれば、私はまだ新参ACVDプレイヤーなのだろう。
サーバーが終わる前にやり残した事はないか、
ACVDを10年遊んでも、まだ遊び残した事はないか。
皆、後悔のない終わり方を考えている。
ふと、自分がACVDを始めた時の事を思い出した。
思えばチームに誘われてから、UNAC達には一切触ってこなかった。
一つ一つ、名前を付け、パーツを選び、思考ロジックを組み、
色を塗り、エンブレムを付けたほどには、大事にしていたのに。
それほどに、ACVDの戦場で人と人とが戦う事が、楽しかったのだろう。
私は、それなりに自分のACVDに満足していた。
満足する事が何も無ければ、私はACVDを続けられていなかっただろう。
チームに入った事も、傭兵として戦った事も、
いつだって、私のたゆまぬ試行錯誤の歴史だった。
だが、私なりにやり残したことがあるのなら、
私のACVDの原点、このUNAC達に、更なる勝利を捧げてやる事かもしれない。
長い間傭兵をやって、チーム戦での勝ち方ってのが自分なりには見えるようになっていた。
思えば、あの頃の私は何も知らなかったけれど、
今までで一番、勝ちたいと思ってACVDをプレイしたのかもしれない。
そんな昔の私が作ったUNAC達が、
倉庫に押し込まれたまま勝利に飢えているような気がして、
このままACVDのサーバーが終われば、
このUNAC達は戦場での勝利を求めて、寝ている私の枕元に出るかもしれないと思った。
幸い、今の末期のACVDは人口が少ないから、
UNACについて教えてくれそうな奴の目星なんて、すぐに思い当たる。
もうすぐACVDサーバーは終わるというのに、
なんだか、まだこのゲームでワクワク出来ている自分に驚いた。
そうだ、感謝を伝えよう。
こんなに長く遊び、こんなに多くの思い出をくれた、
ACVDを作ってくれたフロムソフトウェアにも、
ありがとう。
初心者の私と共にがむしゃらに勝利を目指した、このUNAC達にも、
ありがとう。
キザで中二病な誘い文句で私をチームに誘い、
いつも部隊を盛り上げてくれた、とっても陽キャなリーダーに、
ありがとう。
クールで人の心が薄めだけど、
いつだってチームの皆が楽しく遊べるように考えてくれたサブリーダーに、
ありがとう。
テキストチャットの私がボイスチャットの皆に返答するまでにはタイムラグがあるのに、
こぞって私に声をかけ、私のTCの入力を待ってくれた、あのチームの皆に、
ありがとう。
私を雇ってくれた初心者の雇用主、あの時は勝たせてあげられなくてごめん。
それでも、君が私に依頼を飛ばしてくれた事が、うれしかったよ。
ありがとう。
末期になってもACVDをやめられなかった、一癖も二癖もある傭兵たち。
声を聞いた事が無くても、何度も戦場で会えば、
君たちがACVDに込める思いが、チームのディスコードの喧騒のように、
スピーカーから聞こえたような気がしたよ。
君たちの戦場での立ち振る舞いの全て、
君たちのACのカラーリングエンブレム機体名アセンブル、その全てが、
君たちなりのACVDを語る、饒舌な自己紹介の言葉のように思えたよ。
私はそんな、レイヴン達が大好きだったから、ここまで遊び続けられたよ。
きっと、サーバーが閉じる時、私は後悔するだろうし、悲しくなるだろう。
サーバーが閉じても、私はまたPS3を起動して、ACVDをつけてしまうかもしれない。
そして、そこにいつもの勢力戦の戦場が存在しない事に、泣いてしまうかもしれない。
それでも、このACVDでの思い出に価値がなかったなんて、私は少しも思わない。
私はこのACVDという戦場の全てに、人々との出会いの全てに、
ありがとうと伝えたい。
2024-03-04T21:48:54+09:00
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失恋板在住 ◆hJij/qAuN2
https://w.atwiki.jp/wiki9_vipac/pages/739.html
* 痔の人からいただきました
#ref(FA愛機.png)
----
-[[リムズベうほっ]]
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-[[ヤンとPQ]]
-[[もしも失恋さんがススだったら]]
-[[オナニー短編発掘]]
-[[主任と汚物]]
※AC6ストーリーネタバレ注意※
-[[フロイトの手記]]
-[[ヴォルタとユキオの人生観測記:第一章:約束。]]
-[[ACVDありがとうフラッシュ]]
2024-03-04T21:18:36+09:00
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ラインアーク襲撃小話
https://w.atwiki.jp/wiki9_vipac/pages/2368.html
海中に没した過去の都市エリアに、それを一直線に切る白の構造物がある。
白亜の長橋だ。
等間隔で並ぶ巨大な橋脚の天辺を始めとして数段に渡って内部に敷かれた車両用道路は、左右対称に悠然と建造された大型の高速道路にも見える。
しかし、今現在それらには走行する車両が認められない。
地上最大の自治都市――ラインアークは、普段とは明らかに違う様相を呈していた。
●
「確認されたネクストは二機。一機はカラードランク1"ステイシス"。リンクスネームはオッツダルヴァです」
ネクスト襲撃の突然の事態に喧騒と怒号の飛び交う管制室から、オペレーターはインカムを通してパイロットへと情報を伝える。
彼女の口調は滑らかで、落ち着き払っていた。
「ふむ、態々最高戦力を寄越すとは、私も随分高く評価されたものだな」
「あなたはアクアビット本社を単機で壊滅させた"英雄"だものね」
「ふ、英雄……か」
ヘッドホンから聞こえるパイロットの声は、既に初老に差し掛かった男のものだった。
失笑で返したその低音で張りのある声は、朗々と続ける。
「だがそれはホワイト・グリントの功績だ。私は既に故人だからな、フィオナ。―――もう一機は?」
「"ストレイド"。カラードランク最下位の新人だけれど、派手な噂が絶えない。リンクスネームはジョン・ドゥね」
「名無し(ジョン・ドゥ)か。」
「……えぇ」
「……彼に、悪いと思っているか?」
オペレーターの歯切れの悪い相槌に、パイロットは問う。
「いえ、リンクスなら覚悟している筈だもの。 仕方の無い事よ」
「仕方の無い事、か。―――君も、この十年余りで大人になったものだな」
「……からかわないで」
その苛立ちを孕んだ声質に、琴線に触れてしまったと反省したパイロットは沈黙で話題を切る。
人を計画の犠牲にする事に心を痛めた彼女が、今再び二の轍を踏もうとしている。
この話を聞いた時、彼女は何を考え、思い、そして承諾したのだろうか。
守るべきものを守る為に犠牲を出す。
そして犠牲となるのは以前と同じく一人の男。
人の命を量で天秤に掛ける事に慣れてしまった己と彼女は違う。
パイロットは憂いていた。
今にも壊れてしまいそうな矛盾を抱え、常に苦しみ悩む彼女を。
娘のようであり妹のようであり、そして恋人のようでもある彼女に救いを与える為に、私に何が出来るのか。
リンクス戦争末期、アナトリアを襲撃した私は全てを覚悟し超えたつもりだった。
任務を遂げた暁には己の命を絶とうと、そう覚悟していた。
だが現に今生き永らえている。
二度と目を開く事は無いと思っていた私がベッドで目覚めた時、傍らに居た彼女の泣き顔は深く記憶に刻まれている。
その時、私は理解し受け入れた。
この身をもって彼女の力となる事を。
いかなる企業の依頼も受けず、ただ彼女の意思によってのみ力を振るう騎士となる事を。
―――これは罪滅ぼしだと、そう思うかね?
誰でもない誰かに問う。
もしかしたら、アナトリアを守ったあの男に宛てたつもりだろうか。
「ふ……」
可笑しく思い、笑む。
パイロットはAMSモニターに目まぐるしく更新される現在情報を今一度確認すると、再び回線を開き、
「フィオナ」
彼女の名を呼ぶ。
「何?」
「私も、もう歳だな」
「……ごめんね」
何が、とは聞かない。
「いいさ、これが私の運命だ」
僅かに笑みをたたえたまま、己の出した答えを伝える。
敵ネクスト二機も、程無くラインアークの主権領域に入る。
この一計が成功すれば、じき企業連のクレイドル体制は崩壊を迎えるだろう。
あの男―――マクシミリアン・テルミドールは、ラインアークの安全を約束した。
ホワイト・グリントが名も無きリンクスを一人消し、以降見て見ぬ振りをすればそれだけでラインアークは守られる。
簡単な話だ。
外装、武装の最終チェックも終わり、ホワイト・グリントも出撃可能となった。
通常ブーストで格納庫から出撃した直後に加速し、ラインアークの玄関である長橋へと向かう為、オーバードブーストトリガーの安全カバーを外しておく。
「さて、ゆこうかフィオナ。―――手筈通りにな」
.
2023-12-17T14:26:05+09:00
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*- RAVEN(レイヴン) -
&bold(){They are mercenaries with firecest humanoid weapon}
(最強の人型兵器’アーマード・コア’を繰り)
&bold(){"Armored Core" who complete their client's request for large reward.}
(多額の報酬と引き換えに依頼を遂行する傭兵)
&bold(){Everything is ruled and controlled in the world,}
(支配という名の権力が横行する世界において)
&bold(){however, they never belong to anything.}
(何にも与することのない例外的な存在である)
#asciiart(){{{
/^、 /\
,--y'"'~"゙´ヽ\ \
ヽ ・ ω・/\/)
ミ====[/)//)ミ ( (
゙., ´''ミ )) ,,ハ,ハ
ミ ;:' ( ⌒ヽ q;ω・ ';,
'; ,彡 ) ̄ ̄ ̄(;: c .ミ
(/'"゙''"゙''u~" (;;;;;;;;;;;;;;;;;;;)u''゙J"
}}}
//#asciiart(){}
***■&color(red){現行スレ}[[【ネリス】アーマードコア【4脚】 >>http://viper.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1415441540/]]
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あの名作が帰ってきた!
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2023-09-20T20:14:20+09:00
1695208460
-
ヴォルタとユキオの人生観測記:第一章:約束。
https://w.atwiki.jp/wiki9_vipac/pages/2550.html
今日もミシガンに死ぬほどしごかれた。
悪友のイグアスと一緒に、ミシガンをいつかぶん殴ろうと誓ったが、
とてもそんな未来が近づいてきているような気がしない。
憂鬱ではあるが、今その事を憂いても、明日の朝からの訓練に差し支える。
早く寝て、訓練を耐える体力を回復させるのも、一つの効率的選択だ。
とっとと寝るに限る。
「ようやく交信出来た。いや、交信という言葉はあまり私らしくないか、友人が使っていたものでね。
君は、私の言葉を初めて観測してくれた人間だ。私の言葉が誰かに観測されない限り、私は私を証明出来なかった。
自己紹介というものは人間とのコミュニケーションにおいて大事だね、私はユキオ、コーラルの波形の一つで・・・・」
いざ眠ろうと目を瞑って寝ころんだ時、急に頭の中で声がした。
いよいよ自分の頭がおかしくなったのかと思った。
流石にこの状況を報告すれば、ミシガンも訓練のメニューを負担の軽いものにしてくれそうだ。
どちらにせよ、今大事なのは眠る事。ちょっと最近頑張りすぎていたかもしれない。
あの目の上のたんこぶのような存在のミシガンの訓練を真面目に頑張るなんて、俺も本当にどうかしていたのだろう。
「君が混乱しているのはわかる、何しろこんな事はそうそうない事だからね。
だが私も意思を持ち、君に言葉を伝えている。それを無碍に無視するというのもいかがなものかと思うよ。
まずは人間の慣例に則り、挨拶から始めよう。こんばんは、ヴォルタ。私はユキオだ。」
幻覚というものは、自分の頭の中の何らかの素材を、無意識に組み合わせて作り上げているものなのかもしれない。
だとしたら、こいつの話している言葉は、今までの人生で一度も聞いた事がないほど煩雑だ。
自分の訓練で疲れ果てた脳が、バグを起こして聞かせている言葉にしては、少々馴染みのない言葉が多すぎる。
こいつが私の幻覚ではないのなら、本当に俺ではない誰かが頭の中に声を送ってきている事になる。
挨拶か、確かにミシガンも、俺達に返事をさせる事にはいつも拘っていたよな。
「こんばんはユキオ、だが俺は今疲れている。もしこの通信に時間制限がないのなら、明日でもいいか?」
「確かに、一度言葉が繋がりさえすれば、今後いつでも私たちは言葉のやりとりが出来るだろう。
説明しておきたい事は色々あるが、より体調のいい時にまた話そう。おやすみヴォルタ。」
「ああ、おやすみ。」
いちいちうるさい奴だが、聞き分けは良い奴だったみたいだ。
俺はそのまま眠りについた。
今日も訓練、明日も訓練、慣れてきたなと思うと、ミシガンはより大変なメニューを課す。
とはいえこういう基礎的な鍛錬のおかげで、俺は何度か戦場に出ても、まだ生きていられるのだろうな。
だからといってミシガンの事を許す気はない。善人であれば何をしても罪にならない、なんて事はないのだから。
とは言えここで口答えをしても仕方ない事ぐらいは、いい加減覚えたつもりだ。
部隊の皆で、ウォーミングアップがてらの腕立てを黙々とこなす。
俺は腕立てに集中している間、この地面の中に本当の自分が埋まっているような感覚を覚えたりする。
もし本当に、ここに本当の自分が埋まっていたら、きっと本当の自分というやつはとても滑稽でどんくさい奴に違いない。
「ヴォルタ、すまない、今の君の作業を邪魔する気はないのだが、少し気になる事があってね。」
「ユキオか、まだこの感覚には慣れないな。口を動かさなくても頭の中で誰かと会話するという経験は、あまりした事がない。」
「そんな事に慣れている人間などおそらく居ない、昨日話した通り、こうして私の言葉を君が観測できる事は、大変珍しい事だ。
時にヴォルタよ、君は今君の隣で腕立て伏せをしている男性の事をどう思う?」
全く視界に入れてもいなかったが、今俺達は部隊の全員で腕立てをしている。
もちろん俺の隣には、他の部隊員達も腕立てをしている。
一緒にミシガンにしごかれて、心底嫌になっているかとも思うが、
なんのかんのミシガンというリーダーの存在を、皆が認めてはいる。
隣に居るのは、いつも俺の機体を整備してくれる連中の一人だ。
まだ若く、そこまで食うに困っていた訳でもなさそうなのに、
何故かレッドガンの整備班を志望してきた、ちょっとおかしな青年だ。
「君は彼の事をどう思っている?」
「どう、と言われても、整備班として彼の実力は信用しているよ。
俺が戦場に出ても生きて帰ってこられる理由のうちの、30%ぐらいは彼のおかげかもしれない。
俺が戦場でどんな戦い方をしようが、そもそも整備が不完全であれば意味がないからな。」
「いやいや違うんだヴォルタ、そうじゃない。
彼という男をどう思っているかを聞いている。」
「男、と言われても、そういう趣味はないなぁ。仮に女だったとしても、今はそういう気分になれない。
今はただ、この大変な訓練を、極力苦痛に感じないで終わらせる事だけを考えているよ。」
「君は風情がない事を言うんだね、確かに君の人生の日々に何か言うつもりはない。
だが見て欲しい、彼から零れ落ちる汗が垂れ、輝いている、まさに宝石のような煌めきじゃないか。
この厳しい訓練に対して、彼の筋肉が必死に脈動して、この状況から彼を生存させようと蠢いている。
なんとも有機的で、人間らしくて、美しい光景じゃないか。」
ユキオが何を言っているのか、正直よくわからなかった。
最初話した時から、おかしなやつだと思っていたが、今の話は特に合点がいかない。
少し思案していると、ユキオがまた続けた。
「人は、いつから人になっているのだと思う?
赤ん坊の時から、君はヴォルタという存在として完成されていただろうか。いや、そうではないだろう。
君が生きて、何かを感じたり、誰かを真似て、そこから学んだりして、君が君になった。
そう考えた時、彼の人生というものに、興味が発生しないか?
君が君になったように、彼には彼になった理由があり、物語があり、言葉がある。
そう考えると、彼が今まさに生きているという事も、最高の物語のようではないか。」
「仮に、全ての人の人生の全てが最高の物語だとしたら、
その物語の全てを読み切る事は、俺には出来ないよ。
だから、彼の人生が最高の物語かどうかを確かめに行く気も、俺にはないかな。」
「そうか、それは私にはもったいなく感じてしまう。
君は人間なのだから、多くの人の人生を感じ取りに行ける形状をしているのに。」
形状、人間が人間の形をしている事は当たり前だと思っていた。だいぶ独特で、詩的な表現だな。
「それならユキオが今みたいに彼の頭の中に言葉を送って、直接彼の人生とやらを感じてくれば良いじゃないか。」
「それは出来ないんだ、最初に説明し損なってしまったが、私はコーラルの波形の一つであるからね。」
そういえば最初に話した時、少しだけコーラルがどうとか言っていた気がする。
最初、ユキオが幻覚かどうかについて考えた時、ユキオは俺とは違う人間だ、という思い込みをしてしまっていた。
確かにユキオは、自分が人間であるとは言っていなかったな、早とちりをしてしまったな。
「すまないユキオ、少し早とちりをしていたよ。」
「良いのさ、何度も言っているが、こんな事はそうそうある事ではない。
コーラルは全て、大なり小なり意識を持っている。
もちろん小さなコーラルの集団の意識では、このように言葉を紡ぐ事も出来ない。
私のように、ある程度のコーラルの集団の意識が繋がった存在は、言葉を紡げる。
だが、ここまでならありふれたコーラルの一つに過ぎない。
コーラルの言葉は、人間が観測してくれないと、その存在が確定されないんだ。
どうも、この世界の中心は人間なようでね、コーラルではないんだ。
だから我々コーラルも、人間に観測してもらえる努力は行う。
それでも、そうそう誰かに言葉が届く事はない。
私は、こう見えて、君に言葉が届いた事に、ひどく興奮しているよ。」
確かに興奮しているのかもな、ひどく古典的な言葉ばかり使うが、ユキオなりに興奮していそうだ。
だんだんわかるようになってきた。
「それで、そのひどくラッキーなコーラル様のユキオは、俺に何をしてほしいんだい?」
俺は長く戦場に居て、誰かが何かをしたら、そこには常にその誰かなりの理由がある事を、経験則として知っている。
誰かが、ひどく愚かしいような意味のわからない事をしていても、後々そこに理由がある事を知る事はよくあった。
時に、それを知る事が遅れたせいで、自分自身が死にかけた事もあった。
俺に想像できなくても、そいつの行動には目的がある。それについてある程度の予想を持っておく事は、
俺なりの、戦場で生き残る為の処世術でもある。
なら、まずはユキオが何のために俺に話しかけたのか、確かめておくべきだろう。
「何かしてほしい事か、そこまで考えてなかったな。
ただ私の言葉が人間に観測されたという事実がうれしくて、今はそれだけで満足してしまっていたよ。
だが欲を言えば、君の人生や、君の周囲の人の人生を、少しづつ感じていけたらうれしいな。
コーラルには肉体がない、思考はあるが、経験がない。
それ故、君たち人間が日々生きて、人生を観測し、考えが日々変わる様子は、
私から見て、とても魅力的に見えるんだ。
無い物ねだり、という言葉はコーラルにも適用されるみたいだ。」
なるほど、こいつは思ったほど、思慮深くて食えない古狸のようなやつではないようだ。
むしろ思ったより単純というか、直情的な理由で人と繋がりたがっていた。
「コーラルには体がなくて経験がないからこそ人生を求める、それは無い物ねだり、か。
案外、人間とコーラルってのは変わらないみたいだな。
俺には悪友が居てな、イグアスと言って、あいつとバカやってた所をミシガンに潰されて、拾われたんだ。
俺がイグアスとつるんでた理由は、互いにバカな事やって、気が合っているように見えて、
実際のところ、あいつと俺は全然違う人間なんだ。
うまく説明はできない、俺もあいつも、外から見たら結果的にはバカで感情的なクズの一人だが、
そう出力されている理由、元となる人というシステムがまるで違う。
だからこそ、俺はあいつと組んでいた。俺にないものを、あいつが持っていたから。
同時に、あいつが俺との縁を切らないで居てくれるのも、
あいつなりに、何らかの面白さとか、価値とか、無い物ねだりみたいなものを、
俺に対して感じてくれていたんだと思う。
自分がコーラルである事をさも特別そうに話すが、それは少し誇大表現じゃないか?
人間もコーラルも、無い物ねだりして、そのくせ手に入ったらすぐ飽きて、
それでも自分なりに、みんな自分が自分であろうと日々を生きてる、
俺はユキオが言うほど、コーラルってやつが特別だとも思わない。
何よりお前は、俺とこうして、人の言葉で話してくれている。」
少し熱く語ってしまったかなと後悔した。
ただ、俺はユキオに、なんとなく言ってやりたくなったんだ。
どこかユキオが自分を特別視しているような言い方に、少し腹が立ったのかもしれない。
自分が特別だなんて思ってる奴ほど、すぐにこの戦場から居なくなる。
「私は少し感動しているよ、ヴォルタ。
いや、少しというのはやせ我慢だったかな。大きく感動しているさ。
正直、私は、私がコーラルとして意識を持った事を少しだけ呪っていたよ。
人間に生まれた方が、もっと簡単に言葉を交わせるのにと。
人生というものに渇望し、それが感じ取れない事を呪っていた日々もあった。
だが君は、コーラルも人間も、変わらないと言うんだね。
なら、既に君に観測された私の言葉は、人の言葉であり、私も人なのであろう。
ならば私は一人の人として、君という友に頼もう。
私に、この世界に生きる人々の人生を、できるだけたくさん見せてはくれないか。」
まぁそれぐらいならいいか。それが俺の感想だった。
別に俺は友達が多い方でもないが、
もっと人と関わって、楽しく生きられたら良いなとは思っていた。
今は生きる事で精一杯だ。だからずっと生きる為の事だけを考えていた。
だが俺も、それなりに訓練にも慣れてきたし、戦場での生き残り方も心得てきた。
ミシガンはいけすかないが、ミシガンが悪い奴だとは俺も思えない。
こうして腕立てをしながらユキオと話す余裕があるぐらいには、今の生活に慣れてきた。
少しは、生き残る以外の目的を持って生きても良いだろう。
その点では、俺とユキオは協力出来る関係性だと思えた。
「そうだなユキオ、なら約束をしよう。
俺は、ユキオと一緒にこの世界に生きる人々の人生を見に行く。
俺も正直、この生活に少しは彩りが欲しいと思っていたからな。
レッドガンを抜ける事は出来ないし、抜けるつもりもないが、
このレッドガンだけでも、色んな人生とやらが転がっているし、
他の連中とも、戦場に行けばたくさん会えるだろうよ。
その代わりユキオ、お前は、俺と一緒に見聞きした事、
それから俺という一人の人間の、ありふれた一つの人生を、忘れないでいてくれないか。
コーラルは老衰で死んだりしないのなら、俺はそれをうらやましく思う。
それこそ、無い物ねだりなのかもしれないけどな。」
少し、間があった。
「あぁ、私も忘れたいとは思わないよ。
自分の言葉を人に観測されただけで、私はとても幸運なのに、
更に、君は私の願いを叶え、共に楽しんでくれると言う。
その為の対価として、私が君と見た様々な人生と、君の人生を忘れないでくれなんて、
私にとっては、何のコストでもない事だ。きっとそんな約束をしなくてもそうするさ。
だが、この約束には意味があると、私も思う。
ヴォルタ、ユキオは、この約束を、承認するよ。」
これが、ヴォルタとユキオの人生観測記の第一章だ。
私が記憶し、ヴォルタとの約束により忘れる事が出来ないものの、一つだ。
2023-09-05T23:41:43+09:00
1693924903
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ある生存者の手記
https://w.atwiki.jp/wiki9_vipac/pages/2549.html
・ある生存者の手記
ルビコンに降り立ったベイラムは事実上の壊滅となった。ミシガン総長亡き後では組織としての体面すら保てない。
私が生き残ったのは一重に幸運であったからに他ならない。
あれはアーキバスの連中を追っている途中のことだった。
降下部隊が作戦行動を開始すると一機のACが待ち受けていた。ケネベッタが舐めた真似しやがってと毒づいたが、自分もそれに頷くが、すぐさまミシガン総長から認識を改めろと喝を入れられた。無言で頷いたのが功を奏した。
オールバニーも過小評価を下したがそれもすぐさま喝を入れられる。曰く、かの傭兵は我々の100倍強いG5イグアスの20倍強いとのこと。なるほど2万倍かと思ったが2000倍だったようだ。計算してた奴は無駄口を叩くなと喝を入れられていた。またしても黙っていて正解だった。
状況は既に第三班まで壊滅に追い込まれ、ライガーテイルの随伴機として抜擢された自分の出番も近い。
ポトマックがライガーテイルの調整を終わらせ、ついに出撃となる。総長は自殺の予定が有る者だけついて来いと言った。なるほど眼下に広がる地獄絵図を見れば総長の評価がその通りであるなと認識させられる。これは帰れんな。素直にそう思った。
程なくしてオオサワの奴が撃墜された。しかし脱出レバーを引けたようで命はあるようだ。少し安堵をした時、アイツ、G13が既に眼前へと迫っていた。速すぎる。余りにも理不尽と言える機動力であった。普段見ていたレッドガンの奴らがまるで止まって見えるのじゃないかと思わざるを得ない。
浴びせられる銃弾の雨は瞬く間にMTを機能停止へと追いやった。間一髪脱出レバーを引きこそはしたが、大きく傷を負った。総長とG13の戦いを見届けなければならないというぎむかんだけで意識を保っていたが、総長が撃墜された時に気を失ってしまい、目覚めた時には救護室って訳だ。
治療をうけている最中、G6レッドがドアを蹴破るのではないかという勢いで入ってきた。
剣幕な様子で彼は何があったと聞いてきた。
「ミシガン総長は転んで死にました」そう答えると右の頬を強く殴られた。だが分かってはいるのだ。直衛の我々が不甲斐なかったのだ。G6レッドの怒りは受け入れるしかない。
しかし彼は少しの間を起き何かに気付いた様子をして「なぐってすまなかった」と部屋を後にしていった。止める言葉は出なかった。彼はそれだけ総長に心酔していたのは周知のこと。
願わくば無事でいてほしいが、恐らくは難しいことだろう。
私はこの手記を本星に戻る帰路でしたためている。もうどれがルビコンか分からない程の距離を移動している。
ルビコンでの経験は地獄と呼ぶに相応しい物だった。失ってものは余りに大きく、そのツケはどれほどの物になるか想像も出来ない。それでも自分の中にしかと得た物もある。それはきっとこれからも、消えることなく自己を燃やす燃料となるものだろう。
あの遠くに見える、赤く輝く星のように。
2023-09-03T20:24:18+09:00
1693740258
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帰ろう、ネストへ・・
https://w.atwiki.jp/wiki9_vipac/pages/1754.html
[[ある生存者の手記]]
[[ジャック・O、ラインアークへ1話]]
安価:ジャック・Ovsホワイトグリント
[[ジャック・O、ラインアークへ1.5話]]
安価:エヴァンジェ、レイジングトレントⅨ、アンテナ兄弟
[[ジャック・O、ラインアークへ2話]]
安価:ジャック・O続き
[[ジャック・O、ラインアークへ3話]]
[[ジュリアス【交差】ジェラルド]]
安価:ジュリアス・エメリーとジェラルド・ジェンドリンの過去
[[ファーティマ]]
安価:幼体化固定AMS接続
[[フォーアンサー その後]]
安価:無し
[[ハンドレール搭載リンゴvsNo1111]]
安価:林檎オペ子の憂鬱、ハンドレール、1111
[[ジャック・O]]
安価:ジャック・O
[[モリ・カドルの人生]]
安価:森
[[強化人間]]
安価:強化手術直後
[[エネがんばりますっ]]
安価:エネ
[[オーメル仲介人の憂鬱]]
安価:オーメル仲介人の憂鬱
[[姉弟の絆]]
安価:ツインヘッド
[[こちらバルダー]]
安価:無し
[[猟師、復讐のはじまり]]
安価:無し
[[10:00-12:00の運命]]
安価:プリンとジャウザー
[[マイブリス]]
安価:ロイ・ザーランド
[[ンジャムジ・ジャックの会合]]
安価:ンジャムジ
[[新説ARMORED CORE]]
安価:無し
[[新説ARMORED CORE2話]]
安価:無し
[[新説ARMORED CORE3話]]
安価:無し
2023-09-03T20:22:12+09:00
1693740132
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フロイトの手記
https://w.atwiki.jp/wiki9_vipac/pages/2548.html
第一章 フロイトの手記。
今日、このノートとペンが届いた。
デジタルで何でも記録できる時代に、こんなものを企業に頼んで取り寄せるのは、
ヴェスパーワンとしての職権乱用かもしれないな。
言葉が、誰かに何かを伝える為に使うものだとしたら
このノートに書く、誰に対して伝えたいわけでもない言葉は、
一体なんと呼べばいいのだろうな。
私が、このノートに何かを書くという行為が、私に必要だったのだろう。
その不可解さもまた、人間の面白さというものだ。
私は、この世界を知っている。
いや、私はアーマードコアというゲームを知っていたと言うべきだろう。
そして同時に、私がこの世界の主人公ではない事を、先ほど知った所だ。
この世界の主人公は、きっと、あのウォルターの猟犬の方だ。
アーマードコアというゲームを遊んでいた私が、
何の因果か、偶然にもアーマードコアの世界に来た時点で、
この世界の主人公は私なのではないかと、正直思っていた。
この世界の誰よりも、この戦場を楽しんでいたような実感があった。
だが、アーマードコアというゲームを知っていたからこそ、分かってしまった。
私は主人公などではなかったと。
だからと言って、特に気落ちはしない。
むしろ自分が、よりアーマードコアを楽しめる事に、期待すら感じる。
きっとこの世界の本当の主人公は、
誰よりも、私にアーマードコアというものを楽しませてくれる存在だ。
戦場で戦う時、私は相手の人生を感じる。
手ごわい相手も、簡単な相手も、それぞれの戦い方の向こうに、人間性を感じる。
それがどうしようもないほど、私にとっては魅力的だった。
それは、アーマードコアがゲームだった頃も、
この世界で実際にアーマードコアに乗って戦っている時も、
変わらず、私にとっての最高の楽しみだった。
ただ、こうしてその事をノートに書きたくなるぐらいには、
自らの死というものは、それなりに私を感傷的にさせるのだろう。
感傷ついでに、少し私の自己紹介をしておこう。
第二章 彼を、彼たらしめたもの。
アーマードコアラストレイヴン、それが私の大好きなゲームの名前だ。
24時間の戦いの中で、多くのレイヴンが戦い、死んでいく。
その中でそれぞれのレイヴンが、その人生を反映させたアセンを使い、
その人間性を感じられる言葉を話す。
主人公の選択が変われば、それらのレイヴンの生き様も変わる。
とても魅力的なゲームで、ミッションを全てクリアした後も、
全てのセリフを回収するために、何度も同じミッションを周回したものだ。
もちろん、対人戦というものに興味はあった。
だが、私の周囲にアーマードコアをやっている友達など、一人も居なかった。
対人戦の風景を妄想しながら、アリーナの敵と何度も戦う日々。
やればやるほど、人と戦いたいという気持ちは強くなった。
アーマードコアラストレイヴンの作中のレイヴン達は魅力的で、
その戦闘スタイルも、彼らのキャラクター性を十分に表現しているが、
実際のアーマードコアをプレイしている人間と戦えば、
より情報量の多い人間性を摂取できるのではないか、という思いはあった。
そんな日々を過ごす中、我慢が出来なくなった私は、
アーマードコアの対戦会を開催している個人サイトを見つけ、
その人が開いている対戦会に参加する事にした。
オフ会、というものは初めてだった。
リアルネームではなくハンドルネームで呼びかけられたとき、違和感と恥ずかしさを感じた。
対戦会の面々は、いかにも静かめなオタクだな、という風貌の人間が多く、
そこに奇妙な安心感を覚えた事を覚えている。
彼らは、何度も対戦会を主催していて、新入りが入ってくる事にも慣れているのか、
こなれた様子で私に流れを説明してくれた。
レンタルスペースに、計画的に割り振って持ち寄ったテレビとPS2を二台づつ配置し、
備え付けのホワイトボードに対戦表が書き込まれる。
アーマードコアの対人戦がしたい、という強い思いが、
集まり、練られ、こうした形式を為しているのかと、思うと、
それだけで、私はそこに彼らの人生を感じてしまっていた。
初めての対戦、正直私は結構勝てると思っていたが、ほぼ全敗だった。
オフラインで想像していた対人戦というものとは程遠い、新しい世界だった。
APが高い方がタイムアップで勝つ、という情報は聞いた事があったが、
お互いのAP差で、ここまで互いの動きが変わる事は、想像していなかった。
対人戦を楽しみ、対戦相手の人間性を感じる前に、
私が未熟すぎて、何もわからないまま終わってしまった、という感想だった。
その後、私は彼らの仲間入りをして、常連になった。
彼らと話し、対人戦での戦い方を教わると、私もすぐに戦えるようになった。
戦い方には、人の癖が出る。彼らのコミュニティの人数は限られているので、
対戦相手の癖を読んで勝利する事も増えてきた。
だがそれもまた、私にはとても対人戦が楽しい要因でもあった。
相手が誰かわかっている方が、より戦いの中で人間性を感じられる。
私のアーマードコアの楽しさは、黄金時代を迎えたかに見えた。
第三章 彼が、彼になった。
アーマードコアの対戦会の楽しさというものは、
私の人生の中で、その存在感を増していったように思える。
私が生きるための仕事は、少し大変だった。
でも、次の対戦会に向けてアセンを考え、次の対戦会を最高に楽しみたいという理由は、
私が明日を生きたいという理由として、十分すぎるものだった。
そしてある日、寝て起きると、世界は一変していた。
実際にアーマードコアが兵器として運用され、
コントローラーでアーマードコアを動かすのではなく、アーマードコアに搭乗して操作する世界。
アーマードコアが破壊されれば、自分が死ぬ可能性がある。
そんな、まるでアーマードコアラストレイヴンのゲームの中のような世界に、
私は急に、放り込まれていたのだ。
未だにその理由はわからない、どこかの神の悪戯なのかもしれない。
だが、私には好都合だった。
リアルなアーマードコア、リアルな対人戦、リアルな人生。
ゲームの中よりも解像度の高い世界に、私は期待を抑えきれなかった。
この戦場で生き続ける限り、きっと私は死ぬのだろう。
だがそれすらも、この世界を楽しむための、一つのフレーバーのように感じた。
終わりがあるからこそ、完成しないからこそ、美しいものもある。
最初にアーキバスに所属したのも、特に理由はなかった。
ただ手っ取り早くアーマードコアに乗り戦う為、というだけの選択だ。
私はただ楽しかった、本物の命を賭けた戦い、戦う相手から感じる本物の人生。
その全てが、私に興奮と快楽を与えてくれた。
強化人間、という技術がある事も知っていた。
生き残る事、勝利する事を目的とするなら、使った方が良い技術なのだろう。
実際、強化手術そのものに忌避感は少しもなかった。
だが、生身の体でアーマードコアに乗る方が、より戦いの中で相手の人生を感じられる。
昔の私が、対戦会で戦った彼らも、
そこに生身の体があり、リアルな人生があったからこそ、よりそれを楽しむ事が出来た。
彼らと雑談する中で、不意に彼らの人間性を感じ、
その人間性と、対戦中の戦い方の関連性を感じた時など、
私は、危ない表情を隠しきれていなかったかもしれない。
相手の人間性を感じるセンサーを最大化するなら、生身の肉体が、最も効率が良いのである。
ランク1、なんて表現は大げさだ。
確かに、アリーナのランク1というものは、どのアーマードコア作品でも特別な存在だった。
でも私は、ランクが1でも50でも、その戦場を楽しめればそれで良かったのだ。
こんなうすっぺらい私がランク1でいる事は、
アーマードコアという作品に対して、少し申し訳なく思ってしまう。
ただ、楽しかったんだ。
アーマードコアと、その世界に生きる人々の事が。
第四章 これからのこと。
この世界の本当の主人公の話を、最初にしたと思う。
ウォルターの猟犬。レイヴンなんて名前を見た時点で、私は察してしまったよ。
その後の彼の躍進劇を見ても、その確信はより強固なものになった。
彼をレイヴンと呼ぶのは、少し嫌だな。
私も自分を、レイヴンの一人だと思っているから。
あぁ、きっと彼には勝てないんだろうな。
アーマードコアにおいて、主人公と呼ばれるイレギュラーは、シンプルに最強の存在だ。
私が彼と戦う時、私は誰よりも、その戦場と彼の人間性を楽しめるだろう。
そして私が死ぬとしても、それすらも私が求めるものの一部に過ぎない。
この世界のフロイトっていうやつは、そういうやつなんだろう。
実際、私自身そういう生き方をしてきた実感はある。
フロイトという一人のレイヴンの物語の、エピローグとして、
このノートに書いてある事は、ひどい蛇足なのだろう。
それ故、これは誰かに何かを伝える為に書かれる言葉ではない。
フロイトは、ただアーマードコアの戦場を楽しみ、そこに生きる人々の生き様を楽しみ、
少し人の心がないぐらいの方が、かっこいいレイヴン足り得るだろう。
今から何を言うべきか考えておこうか。
少し詩的で、それでいて少しサイコな感じだけど、
ただひたすらにアーマードコアが好きだった事を感じられるセリフを、
主人公に語ってやろう。
ある意味私は、彼の先輩でもある。
先輩として、アーマードコアの楽しさのなんたるかを、しっかり表現してやらないと。
私が、ただこの世界を楽しんだという事以外で、この世界に何かを残してやれるなら、
フロイトという一人のレイヴンの物語を、最後まで完璧に演じ切って見せよう。
さぁ、開演のベルが鳴り、幕が上がる。
ここからは、ノートに何かを書くという感傷的な行為は、もう必要ない。
2023-08-30T21:47:15+09:00
1693399635
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AC歴代主人公
https://w.atwiki.jp/wiki9_vipac/pages/2302.html
【ごらんの】アーマードコア【有澤だよ!!!】より
URL:http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1303822474/
<AC歴代主人公>
★初代主人公
レイヴンズ=ネスト所属のレイヴン。年齢、性別、思想不明。無口で滅法強く、
罠と分かっていても依頼は受ける主義。歴代主人公の原型にして基本型。
新人レイヴンであったが徐々に頭角を現し、ニ大企業の一方の崩壊に関わった。
最終的にネストを破壊し、図らずも世界の秩序を変えてしまう。
★PP主人公
アイザック・シティを活動拠点としているネスト所属のレイヴン。
スミカ・ユーティライネンからウェンズデイ機関の行うファンタズマ計画阻止を依頼される。
一連のミッションからヒロイックな印象を受けるが、そういった人物であるかどうかは不明。
彼女と二人で機関を崩壊に追い込み、暴走を続けるスティンガーを倒した。
★MOA主人公
ナインボールに家族を殺されており、その復讐の為にレイヴンとなった青年。ネスト所属。
マネージャー兼オペレーターのラナ・ニールセンの指示に従わず、見放されてしまうが、
徐々にネストとナインボールの真実に近づき、ナインボール=セラフを倒し一応の復讐を遂げる。
また様々なアリーナに参加しており、倒したレイヴンの数は150を超える。
★2主人公
利権争いの絶えない火星に出稼ぎに来たレイヴン。元々は地球で活躍していたらしい。
ナーヴス・コンコードに所属しており、オペレーターはネル・オールター。
地球政府からの依頼でレオス・クラインによる火星の騒乱をほぼ1人で鎮圧。
最後の依頼報酬で政府公認の自由と独立を保った傭兵となった。
★AA主人公
コンコードに所属するレイヴン。特定のアリーナには参戦していない模様。
大きな事件に巻き込まれる事は無かったが、三度に渡るロストフィールドからの生還、
地球代表レイヴンに選ばれる等、かなりの実力者と思われる。
黙々と依頼をこなす姿はある意味、最もレイヴンらしいレイヴンと言えるかもしれない。
★3主人公
グローバルコーテックス所属の新人レイヴン。オペレーターはレイン・マイヤーズ。
レイヴン試験に合格後、実戦で力を付け、各方面から頼られる存在となる。
地下世界レイヤードを統治する管理者が暴走。その鎮圧に奔走する。
ユニオンの依頼で事態の収拾を図るため管理者を破壊、人類が地上に出るきっかけを作った。
★SL主人公
コーテックス所属のレイヴン。オペレーターはエマ・シアーズ。
アーキテクト的な側面を持っており、自身の戦闘データを元にAI開発も行っている。
頻発するAI暴走による被害を数多く食い止め、暴走の原因を断つべく未踏査地区に赴く。
そこでI-CFFF-SERREを撃破、IBISに人類の未来を託される。
★NX主人公
レイヴンズアーク所属のレイヴン。エヴァンジェと同期。
アークの体制変化に伴い、珍しく途中でオペレーターが変わる。
新資源を巡る依頼を多くこなし戦局を左右した。終盤、暴走した企業の後始末を依頼され、
旧世代の兵器を破壊する事に成功するが、直後に特攻兵器の群れに襲われて生死不明となる。
★NB主人公
謎の人物から能力を極限まで引き出すプログラムへの参加要請を受けたレイヴン。
謎の人物曰く「有望なレイヴン」であるらしい。アーク所属。
基礎から応用までの全トレーニングをトップの成績でクリア。ACの操作技術に磨きをかけた。
プログラム終了後、実戦で活躍したかどうかは不明……。NICE JOKE
★FF(Rリーグ)主人公
シリーズ初のアーキテクト。フォーミュラF、Bリーグを制してA級ライセンスを獲得。
チームをRリーグに昇格させた後、驚異的なスピードでRリーグの王者となった。
あらゆるリーグからチームが集うFAA主催のエキシビジョンマッチも完全制覇。
AI構築だけでなく、u-ACの手動操作「Naked」にも長けている。
★FF(Xリーグ)主人公
もう1人のアーキテクト。フォーミュラF、Bリーグチームのメインアーキテクトに就任。
即座にチームをXリーグに昇格させ、17th~99thまで83年間優勝し続けた怪物。
FFAランキングは常に首位で、FFAレコードも総なめにしている。
ニュースやメールで各方面から「またお前か」と呆れられる、まさしく生きた伝説。
★LR主人公
生き残った22人のレイヴンの1人。二大勢力の抗争に参加、その裏にあるインターネサインと
パルヴァライザーの脅威から世界を救った。24時間戦い続けるが疲労の色は全く見えない。
かなりのタフネス。ジャック・Oの推測通り、先天的戦闘好適者――ドミナントだと思われる。
オペレーターのシーラ・コードウェル、リサーチャーのエド・ワイズとは直接契約を行っている。
★4主人公
シリーズ初のリンクス。珍しく男と明言されている。元レイヴンで伝説になるほどの腕前だったらしい。
AMS適性は低い模様。後にオペレーターとなるフィオナ・イェルネフェルトに救われ、アナトリアの
経済を支える為に傭兵業を始めた。順調に戦果を上げ続けるも、オーメルに危険視されてしまい
襲撃を受ける。襲撃者の撃退には成功するが、守るべきアナトリアは汚染されていた。
★fA主人公
カラード所属の新人リンクス。周囲の言動から若い男性と推測される。
オペレーターのセレン・ヘイズに見込まれるだけあって、圧倒的に強い。
ジャイアント・キリングは勿論、ネクスト戦での数的不利を物ともしない。
後半の選択次第で立ち位置が大きく異なる。どう動いても人類の未来に影響を及ぼす存在。
★Ⅴ主人公
自らの武力を商品とするミグラント。レジスタンスの第一次反抗作戦では企業側に雇われていたが
第二次では逆のレジスタンス側に付き、ほとんど1人でシティの戦力を薙ぎ払い、企業をも退けた。
その後もフラン達と行動を共にし、MoHやゾディアックを全て返り討ちに。黙々と仕事をこなしている
だけなのに味方からも恐れられる。領地戦に参加しており、領地カスタマイズやオペレーターもこなす。
★VD主人公
運び屋ファットマン、マギーと組んで仕事をしているAC乗りの傭兵。三大勢力の抗争で
元凄腕のマギーが嫉妬する程腕を上げ、財団や死神部隊に目を付けられてしまう。紆余曲折を経た後、
Jの駆るN-WGIX/vを単機で打ち破り、人の可能性を認めない財団に「例外」と認定された。
勢力戦に参加。難解なUNAC開発も行っている。ブサイクなオッサンではない、はず……。
★Ⅵ主人公
ゲームスタートより半世紀程前に発生した新物質“コーラル”の大規模発火を原因とする大災害“アイビスの火”により焼き尽くされた、災害跡地である辺境惑星ルビコン3。
“アイビスの火”で失われたはずの“コーラル”が再発見されたことにより星外企業が進駐を開始し、土着勢力と紛争状態になっていた。
そこで特定勢力に属さない“独立傭兵”である主人公は、ACの操縦だけに脳神経を最適化された“旧世代型強化人間”として、ルビコン3での戦いに身を投じていく。
&bold(){&color(#F54738){......即ちデフォルトでナニカサレている。}}
2023-04-28T07:58:58+09:00
1682636338
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進藤さんのSS
https://w.atwiki.jp/wiki9_vipac/pages/2547.html
***2022/05/24 HTMLタイトル修正のため新規作成(中身は前verと同じ)
**[[アイラSS>http://www9.atwiki.jp/vipac/pages/1744.html]]
長編SS。タイトル未定。
AAを舞台に女レイヴンが暴れるお話。
**神託の子
[[-洗礼編->http://www9.atwiki.jp/vipac/pages/1926.html]]
[[-福音編->http://www9.atwiki.jp/vipac/pages/1934.html]]
[[-堕落編->http://www9.atwiki.jp/vipac/pages/1938.html]]
短編。
エヴァンジェの人生を綴る。
2022-05-24T18:55:31+09:00
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