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クイーンズランス、BFFの中央集権化の象徴。
アンシールの飼い主達は、その船と共に沈んで逝った。
リンクスによる中枢の直接攻撃など、BFFにとって、いや、全ての企業にとっても異例の出来事だっただろう。

彼はその時、BFF本社側の、本当に些細な依頼を受けて居た。彼には、全くと言って良い程落ち度はない筈だった。

だが現にアンシールは、その瞬間から、BFF主戦力のリンクスから、BFF残党勢力の一人になった。
嫌な世の中、嫌なリンクス、何もかも嫌な物だらけだった。
アンシールは灰皿をヒステリックにつつき回しながら苦い顔をする。

「俺の次の依頼はなんだい?」

自嘲気味に、そしてほんの少しヒステリックにオペレーターに問い掛ける。
答えが判らない訳では無かった。
おそらく、「今は状況を確認しない事には動きようがない」といった類いの事だろう。
オペレーターが渋い顔をこちらに向ける前にアンシールは立ち上がる。
「はいはい、それなら俺は一服してきますかね」
彼は、顔を合わせるのも窮屈と言わんばかりにベランダへスタスタと走り去って行った。

企業のリンクス。ともなると、彼の居住区には恵まれた設備が在る。アンシールはベランダで早速煙草を吹かし始めた。
後ろでは事務担当やらオペレーターが騒がしく動いている音がする。
だが、そんな雑音も気にならない程、太陽の沈んだばかりの夜景は静かだった。

アンシールはさっきまでのざわざわとして煩い情報を頭で整理し始める。
BFFはもうお終いだ、幹部連中が軒並み御陀仏。企業としての形を保つ事すら出来ないだろう。

中央集権化等の企業体質が悪かったとは思わない。
ただ、死んだ奴っていうのは、致命的なミスをしたというだけの、可哀相な奴等だ。

アンシールはそれ以上死人について考えるのは止めてしまった。

次に考えるのはBFFの残党勢力の事だ。
首から上を一撃でかっさらわれた形になるこの企業、戦力そのものは大企業に相応しいだけの物が在るが、統率が取れない以上、やはりこのまま各個殲滅されるだろう。

その残党にリンクスという強力な戦力で加勢するべきだろうか…
アンシールは顔をしかめると、火の付いた煙草をベランダから投げ捨てる。
その光は何処かに飛んで行って、他の何者にも引火せず消えて行った。

「これは、無しだ」

彼はすっきりした顔でベランダから騒がしい部屋に戻る。
オペレーターが状況を報告したいらしく、こちらへ真っ直ぐ向かって来る。
アンシールはこのオペレーターの事務的な顔が嫌いだった。だが、アンシールはこの顔を信用していた。

「BFFの残党勢力を報告します。ノーマル主体の混成部隊がかなりの数、集結しているようですが、目的は判りません。」
「また、ラズグール地下施設を占拠した小規模勢力が一つ」
「その他、スフィアを防衛する戦力、サイレントアバランチが…」

イライラしたアンシールが再び自嘲的な笑みを浮かべる
「判った判ったよ。皆は俺がBFF社員として死ねる場所が無くならないか、気にしてくれてる訳だろう?」

アンシールがそう言った時、その場の空気が一瞬凍り付いた。事務作業の忙しい音がピタリと止まった。

だが、オペレーターはいつもの事務的な表情で言った、
「いえ、あなたが安心して煙草を吸える場所を探して居るんですよ」

アンシールは拍手をしながら笑った。腹の底から笑った。そしてオペレーターに皮肉な目線を送ると、目を細めながらベランダで煙草を吸い始めた。



相変わらず状況は緊迫して行く、部屋の中の事務作業の音も止まらない

アンシールはふと、ラズグールで戦っているBFFの残党の事を想像してみた。
狭いパイプで円筒をつないだような複雑な地形
ECMを展開し、主力ノーマルの補足を避け、細い通路の出口にレーザーMTを配置し、ネクスト相手にでも善戦するだろう。
だがそれでも、全てネクストの前に潰滅させられる。これは、アンシールの経験から来る、事実だった。

ネクストに対抗出来るのはネクストのみ…
そして俺もネクスト…

オペレーターの声がする
「BFFノーマルの大部隊がゼクステクス世界空港を占拠しました」

無理なんだ、ノーマルでは、何人あつまっても、すぐネクストがやってくる…ネクストに全滅させられる…

「あ、そうか」

アンシールは間の抜けた声を出した。

「もうとっくに、ネクスト戦争は始まっていたんだ。」

少し驚いたように、アンシールは繰り返す。

「もうとっくに、BFFはネクスト戦争に負けてた居たんだ」

その直後、オペレーターの声が聞こえてきた。

「ヘリックス、1、2、共に、サイレントアバランチと共に、撃破されました。」


「俺は定めし、BFFに殉じることもなく、ネクスト戦力として活動もしなかった、親不孝者とでも言うべきかな?」
アンシールはベランダから部屋に戻り、その部屋の全員に語りかける。
その口には、牙が生えているように見えた。

「俺はただ、本社の連中が犯した馬鹿な事を、しなかっただけなんですよ。」
アンシールは奥歯に力を込め引きつった笑いをする。
「致命的なミスをね、しなかっただけなんですよ」

含み笑いを絶やさず、アンシールはオペレーターに近付き、肩を叩いた。
「レイレナードとの連絡は付いたかな?」
皆の視線がオペレーターに集まる中、一テンポ置いて、オペレーターが事務的な表情で答えた。
「ええ、チームの方とのミーティングの予定は既に…」

「そう、ありがとう、ではそろそろ俺も、予定を考えなくてはいけませんねぇ…」
オペレーターとアンシールは部屋を出て行った。

ほんの少しの間、静寂が在った。
だがしかし、次の瞬間には、再びこの部屋は事務作業の音で満たされて行った。



アンシールはオペレーターと共にエグザヴィルに来て居た。

レイレナード社の精鋭ネクスト部隊、今日からここに所属する事になるのだろう。
そうなれば残して来た機体も連中も連れて来る必要がある。
最も、心配はしてない、きっと来るだろう。彼らに、俺以外の居場所は無いのだから。

戦争には、戦争を、ネクストにはネクストを。
ネクスト戦争には、ネクスト戦争を。

レイレナードなら俺の望む物をやってくれる、本気でそう思って居た。
BFFも、その残党も、可哀相な奴等だ。致命的なミスを犯してしまった。可哀相な奴等だ。

「俺はあいつらとは違う、絶対に失敗しない。」
その様子を怪訝そうに覗き見るオペレーター
「企業を乗り換えてまでリンクスとして生きて、何をするつもりなんですか?」
アンシールは笑って答えなかった


アンシールの機体、レッドキャップ。その左手にはレイレナード製のブレードが取り付けられている。

戦闘自体は右手のスナイパーライフルと左背中のスナイパーキャノンで遠距離戦行う為、滅多に出番は無い。

このブレードを装備する彼なりの理由はこうらしい。
「BFFだけじゃない物を、昔から使ってみたかったんだ。」




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