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もうすぐ正午になろうとしている、強い日差しの下。

陽光を浴びた2体のAC。

光り輝き、空中で激突。

赤は左に持つ火炎放射器を前に押し出して、業火を噴射。
白はレーザーブレードを前へ射突する。

僕の目の前でスローモーションのように動く、2体のAC。

微妙にお互いの位置が左右にずれる。
火炎放射器が、レーザーブレードが、お互いを干渉させた。

その瞬間……轟音と黒い爆炎があたりに散らばった!!

『!!レーザーブレードと火炎放射器が接触、グリッド2の火炎放射器が爆発!!』

火炎放射器の燃料タンクに、レーザーガスが刺し込まれた。
当然火炎放射器は暴発、黙々と黒い煙を上げ、辺り一体を煙幕で覆われた。

『あぁッ!?これは、アクシデント発生か!?』

――――――――・・・・・・
「!ば、馬鹿な!?」
試合の中でいつ何が起こるかはわからないとはいえ、まさかの出来事。

「機体の反応は?」
「大丈夫、まだ反応はあります、ただ……」
「ただ……?」
苦い顔をした整備員。
「機体温度がじわじわ上昇しています。このままでは耐熱温度を超えるかも……しれないです。」
「ラジェータに異常が発生したか…!?」
「いや、ラジェータに異常は発生していません…どうやら単純に機体温度が上がり続けているみたいですね……」

黒煙に支配されたアリーナ。視界は真っ黒だが、二機ともまだ無事らしい。

「!!左腕部破損を確認、火炎放射器もロスト。」
「僕も今メインモニターで確認した、それとグラスコンチェルもまだ動いている。」
メインモニターに送られてくる、ACのアイカメラの映像は、相変わらず煙の中だった。
だが。コクピットモードの映像では、あの黒煙の中でグレイブレイズは相手をロックし続けていた。
2機はまだこの黒煙の中で戦っている!

『黒い煙に包まれたアリーナ、だが試合はまだ続いています、まもなく120秒を経過!』

黒煙の中で何が起こっているのかはわからない。
だが、お互いのACはまだあの中で戦っている。その証拠に、時たまレーザーライフルの高周波着弾音と、チェインガンのパラパラッという発射音が聞こえる。

一時も目を離せない、いつ黒煙の中からでてくるかわからない。
場の空気が一気に緊張する。歓声が無くなった。皆固唾を飲んでこの状況を見守っている。

その空気を破ったのは、それからわずか10秒後。

『黒煙の中からグリッド1、グリッド2が共に生還……だが、これは!?』

アナウンスも驚いていたが、僕も、観客も、そして相手も驚いていたであろう。

2体のACは火炎放射器の燃料を被り、引火させていた。
赤く燃える2体が、地面に着地する。グレイブレイズはメインモニターからの情報通り左腕を破損させ、誤爆を避けるためパージしていた。
コアに搭載されていたEOも片方が無くなっている。
体のあちこちから、赤い炎がメラメラと燃えている。熱が上がり続けているのはこれのせいか。

一方グラスコンチェルは、同じく左腕部を破損していた。火炎放射器の爆発でレーザーブレードごと消えてしまったと思われる。さらに頭部パーツから煙が噴いていた、チャンスだ。


『グリッド1、グラスコンチェルの頭部が破損している!』

AIの制御をしているのは、メインで動かしている頭部パーツ。その頭部パーツが無くなってしまえばAIチューンも戦術チップも意味を無くしてしまう。
頭部が無くなってしまったu-ACは、最低限の攻撃性能だけしか把握できないセーフティモードアタックしかできない。

双方ともボロボロの体を持ち上げた。

グレイブレイズがレーザーライフルを構える。
グラスコンチェルがチェインガンを構える。

お互い、危険温度を突破し、APが減り始める。

傷つきながらもヨロヨロと立ち上がる2機。


これから最後の一勝負といくかと思われたが……


グランコンチェルが……横に倒れる。


『グリッド1行動不能、グリッド2の勝利です!!』

グレイブレイズより先にグラスコンチェルのAPが尽きたのだ。
僕は唖然としたままメインモニターを見る。

「は、あはははは……APが…19、残りAPが……19……19と…0…」

変な気の抜けた情けない声を出しながら、自分の幸運をありがたく思った。勝負が付いた直後、グレイブレイズも頓挫し、動かなくなった。

――わあああぁぁぁぁああああ!!!!!
歓声が、ここまで聞こえてくる。

勝った……僕は、僕達は……


「いやぁぁぁあよっフォーーッ!!!!!勝った、勝っちゃったよ俺達!!!」

隣の整備員が勝利の歓声を上げた。それを機に流れ出したダムの水のごとく他の人たちも喜びの声を出し始める。
「やったやったやったぁ!!」
「とうとう俺達やりとげちまったぜっ!!」
「う、うううぅぅぅぅぅ……もう涙がとまらないぃぃぃ!!!」
「あー主任、もう涙解禁ですぜっ、あぁーーー俺も今日は貰い泣きだぁぁぁぁぁ!!」

僕以上のかなり上を行くテンションの高さで、モニター室は喜びの歓声と嬉し涙で埋め尽くされた。

「やりましたっやりましたねぇ、イルスさん!!!」
「うん……僕ら勝ったんだ。皆……ありがとう……本当にありがとう!!!」
僕も、なんだか貰い泣きしてしまった。その後しばらく整備員の皆と「やったやったっ」とバカみたいに円陣をきっていた。

僕達は、あきらめなかった。今日この日を夢見て、ひたすら上を目指し走り続けた。
崖っぷちの状況から始まった、僕らの戦い。


夢は……ついに成就した。
そしてそれは、僕の新たな夢を掴む為の新たな始まりを意味していた。




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