※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

ショッピングモールの事件から数日後
夕暮れ時の香港は九竜

「ここが彼のガレージか…行くよ」
「「「はっ」」」


「はぁ…アリーナはランクアップ認証が下りなくてBに上がれず…ミッションもMT排除ばかり…これじゃ何時まで経っても…」
「宗治さん!!」

溜息を吐きながら、一人で愚痴を溢していると
セシリアが血相を変えて部屋に入って来た

「いきなり何ですか…!?」

急に、左手に痛みが――義手なのに痛みが走り始める

「く…黒服の男達がいきなりガレージに入って来て…!?」
「Mr.Notung?」

セシリアの後ろから黒服の男が現れ、英語で宗治に呼びかける

「…っ…What are you? If you don't have a right reason to see me ,you had better go out. Right now!」

激痛の走る左手を押さえながら立ち上がり、セシリアを自分の後ろに引き寄せると
一番前に居る黒服を睨み付ける――それも並みの男じゃ立ってられないほど冷たく、鋭く

「そんなにピリピリするなよ。折角僕が来てやったんだから」
「!?…よくもノコノコと現れやがったなぁ…!」

黒服の男達の中から、宗治と背丈も年も同じぐらいの青年が出てきて
彼――ネロに宗治が掴み掛かろうとする

「!…」
「なっ、放せこの野郎!!!!」

しかし、黒服に直に取り押さえられてしまい、先制攻撃は失敗
体を振って振り切ろうとするが、ホールドは固く抜け出せなかった

「へぇ、僕の顔を知っててくれたんだ。それとも、その左腕が教えてくれるのか?」
「…」

ネロがしゃがみ込み、宗治の左腕を掴んで少し揺する
既に痛みは怒りと憎悪に掻き消されていた

「まぁ何にせよ、そんなことに興味があるんじゃ無い。僕が興味を持っているのは君の素質だ」
「…何が言いたい?」
「エイルマー財団って知ってるかい?頭の狂ったおかしなな奴らさ。
彼らが先頭に立って進めている地下都市――レイヤード建造計画
なんだけど、あれの最終目的のためにエイルマー財団の中に独立した特殊部隊が設立されることになったんだ」

ネロは立ち上がると、身振り手振りを交えながら話を始めた

「で、その特殊部隊は構想上の主力兵器がAC、つまりレイヴンで組織される部隊でね。
僕が隊長となり、有能なレイヴンに話を持ちかけ、部隊を編成することになった」
「…」
「どーゆうことか…分かるかい?」
「…」
「僕は君に秘められた力を高く買っているんだよ。日本で君と初めて戦った時の後の事だ、
僕が依頼主の用意した臨時ガレージにACを固定し、整備員に言い付けて機体の点検をさせていた、
するとどうだ?戦っていた時は気付かなかったが、右腕のマニピュレーターは再調整が必要な程狂っていて、
左腕の肘などは被弾で限界寸前だった、両足の膝すらもだ。その時僕は心底悔しがったよ、
君の名前を覚えていなかった事を。しかし、君は再び僕の前に姿を現した。ハッキリ言おう、
僕はリサーチャーから君の事を聞いて嬉しかった、凄く嬉しかったんだ。僕と同じ素質を持つ者が生きていたことが、
生まれながらのレイヴン、戦闘好適者――ドミナントに再び出会えたことがね!」

戦いを宿命付けられた者、戦闘好適者――ドミナント
レイヴンならば、誰もが一度は聞いた事がある都市伝説の類である
生まれながらにしてACやMTの操縦に長け、烈火の如き力を以って戦場を制すると言われている

「…狂ってるよ、お前」
「ああ、僕は狂ってる、狂ってるんだ。だから君を僕の部隊に迎え入れたい。
たとえ君が僕の命を狙っているとしても、僕が引き金になる事で君の力が完全に引き出されればそれでいい。
君は強くなってトップランカー――僕の領域に入り、僕は君を強くして楽しめる。利害の一致じゃないか?…放してやれ」
「…」

ネロが自分の用件を話し終えると、黒服に指示して宗治を解放
宗治は立ち上がり、服に付いた埃を払うとネロに近づき
胸倉を掴み、睨みながら返答した

「上等だ…お前の首が近づくなら、それ以上の条件は無い…その特殊部隊とやらに入ってやるよ…!」

台詞に自分の憎悪と怒りを籠めてネロにぶつけ、胸倉を掴んでいた左腕でネロを突き飛ばす

「…っ、その返事が欲しかったんだよ、ノートゥング。満足したから僕はもう帰る。また、会おう」

突き飛ばされた際に僅かに走った痛みに胸を押さえ、捨て台詞を残し、ネロは帰っていった

「セシリアさん」
「レイヴン、ノートゥングはエイルマー財団と長期契約を結んだ…私にはその光景しか見えませんでしたよ」
「…ありがとう御座います」
「…」
「…もう7時か…ご飯食べに行きませんか?」
「…分かりました。貴方の奢りですよ?」
「ハハハ…了解です…」


「ネロ!生きていたか!」
「リック、彼はいきなり人を殺したりはしないさ…SPが居なかったら絞め殺されてたろうね」
「やはり、飛び掛ってきたのか…彼は」
「ああ…しかしだ、彼は部隊への所属を承諾してくれたよ…そういえば、他のレイヴン達は?」
「俺が聞いてる限りじゃあトール、メタトロン、影刃、SAAS等多数が
参加を表明したそうだ。戦略レベルの大規模な部隊になるだろうな」
「そうか…5日後、ロンドンのエイルマー財団本部ビルの大ホールに
参加表明者は集まるようにメールを送っておいてくれ。僕はもう寝る」
「分かった」

ネロは宗治の所からそのまま車で自分のガレージに戻ると
リックに指揮下に入るレイヴンを確認し
暴君は着替えもせずに自室のベッドで眠りに就いた――


――5日後、ロンドン、エイルマー財団本部屋内大ホール

「やあ皆、挨拶は要らないな?単刀直入に言おうか、覚悟の無い奴はここから出て行って普通にミッションをしていろ
必要なのは覚悟のあるレイヴンだけだ。これから僕らは世界中で戦争を起こしに往くことになる。人類のため、地球のためにだ」

ホールに入ると、壇上に立ったネロが演説を始めたばかりだった
ドアの閉じる僅かな音を聞き取ったのか一瞬目が合い、口元に微笑を讃えている

「ま、僕はそんなことには興味は無いんだが…戦いが起こるというのなら別だ、僕の目的はそこにある。
君達の目的も多分、これから始まる事々の中にあるんだろう。利害の一致ってやつだ。
じゃ、僕は長ったらしい話が嫌いだから話はこれで終わりにするよ。後は彼が説明するから」

あまりにも短いネロの演説にその場に集まった多数のレイヴン達が唖然とし、その後の進行を押し付けられた男――リックですら
悠然と立ち去っていくネロを尻目に呆然と立ち尽くしていた


「殺す、絶対に殺してやる。あの程度で長い話だったら俺を勧誘しに来た時の話はもっと長い話じゃないのかよ…あー、殺してやりたい」
「私まで変な目で見られるから止めてください…ほら、変なこと言ってるとフライも冷めちゃいますし」

レストランに入り、フィッシュアンドチップスを食べながらセシリアに愚痴を溢す

「文にしてたった5行分が長いんですよ?何から何まで狂ってやがる…」
「これ以上愚痴ってるとポテト貰っちゃいますよ」
「…ッ」
「これを食べてお店を出たら、空港に向かいます。予定通り、香港まで帰りますので」
「了解…」

十数分後、二人はレストランを出て、タクシーをゲット
近場の空港まで直行し、そのまま香港へと帰還した


――数日後

「レイヴンの強さっていうのは、敵との相性も勿論なんだが、スタイルによった技術レベルの高さに関係してくる」
「…」
「例えば、私なら接近戦に必要な操縦技術を中心に練習している。両腕のマシンガンが攻撃の中心だからな」
「とすると、俺なら白兵・中距離戦技術を中心にあらゆる肩兵装を使いこなせる様にしろ…と」
「そういうことだ。面倒な説明はこれで終わりにして実技訓練に入る。本気で行くから、本気で迎撃しろ。戦闘の中で技術を磨くのが一番だ」
「了解っ」

香港へ帰ってからはこれから同僚となる先輩レイヴンとの特訓の日々が続いた

「敵に主体的な行動を許すな!常に自分の思い通りの距離を保ち、敵に隙を与えずに攻撃しろ!」

VRシミュレーターが作り出す仮想空間でAC「バイオレントスナール」を相手にAC戦を想定して訓練を行っているのだ

「ほう、腕を上げたじゃないか!昨日よりは長持ちしそうか!?」
「ッ…」

至近距離から四方八方に弾幕を張って来る敵ACに対し
ブースターを駆使し、自分の得意とする距離に持ち込もうと善戦するも
直に追いつかれ、攻撃する暇が無い

「ええいっ!」
「懐に飛び込んで一撃必殺を狙う、いい判断だ。が、まだ踏込みが甘いぞ!」
「避けられた!?グッ…!」

咄嗟に、追ってくる敵の方向に機体を飛び込ませブレードで一撃必殺を狙うが
避けられた挙句、上空から弾丸の雨を浴びせられ機体からの警告が響く

【頭部及びコア損傷、戦闘能力低下。機体ダメージ増加、AP残り30%】
「糞がっ…全機能をフルマニュアルにセット…主武装を肩にチェンジ!」
「?…何をする気だノートゥング、戦闘中だぞ!」
【全機能をマニュアルへ移項。肩部兵装展開】
「戦闘だからですよ!…これでも喰らいやがれっ!」
「…!?」
「ウォッ!?…」

基本的に、ACはほぼ全てがコンピューター制御されている
人間が担当するのは体の各部に動きを与えるという、脳の一部の機能でしかない
それをフルマニュアルにするということは、人間がACの各部位の調節から
何から何まで同時にこなさなければならない――すなわち、完全に脳となるということである
理論上、フルマニュアルでACを操るのは不可能であるとされているが
実は、完璧でなくとも一部のことなら出来る
その一部の中で宗治が行ったこととは、反動抑制機能のカット

――つまり、構え撃ちの解除である

「ガッ…ハッ…」
「ハァ…ハァ…やったか!?」

勿論、2脚ACは華奢で、肩キャノンの反動を抑え切れないが故に片膝を突いて撃つのだから
それを解除するということは強力な反動を直に喰らうということでもある
落下体勢で無防備だったバイオレントスナールに対して、
空中に躍り出たヴェレスタは容赦無く肩部グレネード砲を放ち――敵も自分も盛大に、吹っ飛んだ

「ノートゥング…本気で来いとは言ったが…VRシミュレーターで死ぬのは洒落にならん…ぞ…」
「…訓練終了、飲み物買って来ますねー」
「…この野郎…ッ!」

戦闘は判定で引き分けとなり、バイオレントスナールの操縦者――バレットハンターは全身打撲で病院送り
宗治も筋肉痛でしばらく動けない日々が続くことになってしまった




| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
@wiki - 無料レンタルウィキサービス | プライバシーポリシー