――ケミカル・ダイン――
生化学工業メーカー
主な業務……バイオテクノロジーを応用した、合成食料品の生産
薬物の研究・開発・生産も盛んに行われている
二大企業の一つ、クローム社と提携関係

――WARNING――
機密ファイルを開きます。パスコードを入力してください……

code:***

――OK――

――!ファイルが破損しています――

――新efg商j品――
クhei:ム社をスko]サーとした、バzsuリf;oの開;@@:。
第一実nk場として、ガル:^ddめ

「選ばれし民は、我々と同じ志を、昔から抱いていた……」
「ケミカルダイン、それは既に滅びし開祖にして、『母』の半身を創りだした先人」
「開祖たるケミカルダイン社と、同じく選ばれし民である我々の創り出した『贄』」


合計八機のACを大破させた、凄絶かつ滅茶苦茶な決勝戦から二週間が過ぎた。
見事優勝した三銃士+は、賞金を四等分した後――解散。
大会の為の急造チームだった彼らが、元々の三銃士とプロジェクターに戻る事は自然な事だった。
……勿論、優勝記念の宴は四人で楽しんだ訳だが。

決勝戦にて大破したACは、大会側から四日後に戻ってきた。
その為、レイヴンとしての仕事は出来る筈なのだが……

「……なぁ、たまには普通の武装で出てみんのか?」
接客用のグラスを洗うプロジェクターの背後から、店主が呆れたような声で言う。
彼は大会後、一度も出撃する事無く(正確には依頼が全く無い)ひたすらアリーナに没頭する日々を過ごしていた。

「そうすりゃ、少しはランクも上がるだろうに……
 今みたいに名物ランカーだの何だのと言う輩の口も、少しは変わるぞ?」
黙々とグラスを洗い続け、店主の声に耳を貸さないプロジェクター。

「心配してやっとるのに、なんじゃその態度は……」
楽しそうに洗い物を続ける彼の態度に、店主はがっくりと肩を落とす。

「好きでやってんだからさ、良いじゃない。
 それによ、パイルバンカーは危険すぎて、ミッションには持って行けねぇよ」
音を立てて動き始める旧式の乾燥機に、洗い終わったグラスが放り込まれた。

アリーナでは必ずパイルバンカーを使用する……それは、彼の損な信念の一つだった。
だが、大衆娯楽の一つと化したアリーナでは、そのようなスタイルも快く迎えられる。色物として、ではあるが。

アリーナ、ミッション問わずにパイルバンカーを装備して行くツワモノも、いないわけでは無いが。

――チリン
今時珍しい、鈴を用いた入り口の呼び鈴が店内に響く。
「客か?珍しいな。あんたの店に俺以外の客が来るなんざ」
ほっとけ、という顔を向けた後、店主はカウンターへと向かっていった。


「えぇーっ!クイックトリガー、まだ帰ってこないの?」
交渉から帰ったばかりのスウィフトに、露骨に不満そうな顔をしたヘクトが叫ぶ。

「コアが品切れだとよ。ただでさえお前のACは品薄のパーツで組んであるんだ。
 レッグパーツがスムーズに入手できただけでも、喜べ」
四人のACのうち、ヘクトの機体だけが未だに帰ってこない。
最も損傷が激しく、全てのパーツが修復不能なのは彼女のACだけであった。

「他のパーツにするって手は、駄目なのか?」
「無理だ。大会側は、あくまでも出場機体のみを無償で修復・提供の姿勢を崩さねぇ。
 自腹で代用のコアを用意する事も資金的に無理だ。」

あっさりと却下された代案に両手を広げ、『お手上げ』のポーズをとるジョー。
四人一組のチームである彼等は、普通のレイヴンに比べて約四倍の戦力と維持費を併せ持つ。
ACのパーツ、武器弾薬、そしてレンタルガレージの維持費……
一機でも莫大な費用がかかるACを四機も所持しているのだから、チームの台所事情はとても厳しい。

「……ったく、あんなに派手に壊す馬鹿がどこにいるんだ」
名指しこそされなかったが、スウィフトのイヤミは自分に向けられたものだとわかる。
だが、ヘクトには言い返す言葉が無いのも事実だった。
あの決勝で彼女達に残ったものは、頬の傷跡位なものだったから。


「あれ、客じゃないのか?今時、ピンポンダッシュなんてあるのかね?」
開きかけた新聞から目を離し、早くも戻って来た店主に目を向ける。
「客じゃよ……お前さんのな」
俺……?と自分を指差すプロジェクターに、店主は首を縦に振った。

「ぃよう」
一番見たく無い顔が、店の隅で待っていた。マネージャーのヒールだ。
折角の開店休業気分を台無しにされた。こいつが直接来る時は、大抵ロクでもない仕事が待っている。

「仕事だ。ようやくお前に依頼がきたぞ」
アリーナでの迷走が続くプロジェクターには、あまり依頼が回ってこない。
その上、メールもたまにしか確認しないという有様だ。アリーナには積極的なのだが……

「しかし、こんなに頻繁に顔を合わせるレイヴンとマネージャーってのは中々いねぇぞ」
基本的にレイヴンは、所属する傭兵管理機関からあてがわれたマネージャーと、ネット上でやり取りをする。
その大半が、マネージメントとオペレートを兼用する人材だ。

「……オメェが何にも確認せずにフラフラしてっから、直接出向いてやってんだ!少しは感謝しろ」
当の本人にとっては、聞き飽きた怒声が店内に響く。


「やはり、センチュリオン……!」
空港だった建造物に寄生するかのように、巨大な『白い塊』が取り付いている。
その様を映し出すスクリーンを、二人の男が見つめていた。

「なんという事だ……何故、過去の遺産を、得体の知れないモノを、奴等は必要とする?
 何故だ!?我々にはAMIDAがあるではないか!何故、今になってケミカルダインの……」
後退した頭髪に猫背。冴えない風貌の彼が、ヘクト達が「KYK」と呼ぶキサラギの強行派ではない、
いわゆる反対派のリーダーである。

現在のキサラギ社は、このスクリーンに映る『モノ』をめぐり、内部分裂を起していた。
キサラギの生体兵器、登録ナンバー110105、「シャミー」という愛称で呼ばれるAMIDAが偶然発見したカプセル。
旧世代、それも、大深度戦争中に製作されたと思われる、『生体兵器』の細胞の一部が保存されていた。
ケミカル・ダイン社で開発され、更に改良を加えた未知の細胞。
現代のキサラギ社の技術を持ってしても、完全な解析が不可能だった、過去からの贈り物。
発見した「シャミー」のハク製が、本社ビルのロビーに飾られる程の発見だった。

『AMIDA』で一応の完成形に入ったと思われたキサラギの生体兵器産業は、
この発見で更なる発展を遂げる……そう唱えたキサラギの研究者がいた。
安部と呼ばれたその研究者は、自らの考えに同調する同志を集め、
発見された細胞の使用権を求め社長に直訴。社長はそれを承諾した。

――そして、細胞の危険性を訴える反対派と、頑なに進化を望む強行派の対立が始まった。

(所詮、目糞鼻糞な気もしますが、アレをのさばらせておく訳にはいきませんからね……)
隣で「AMIDA……AMIDA」と呟く反対派リーダー、ウィルソンを無視し、
映像から割り出せるデータを解析するレミントン。
元同僚のよしみで、この問題の解決を依頼として引き受けたものの、事がここまで大きくなるとは思いもしなかった。

「これは厄介ですね……目に見える範囲だけを叩いても、効果は無さそうです」
「だろうな。見えている物は、所詮氷山の一角。バルガスごと焦土にしたとしても、十中八九再生する」
冷静さを取り戻したウィルソンも、端末で手を踊らせつつ、続ける。
「恐らく、地下深くに根を張るように生命種を分散させているのだろう。
 だが、施設に寄生するように根を展開させているとすれば、ある程度生命核の場所は割り出せる」
スクリーンが切り替わり、施設一帯の断面図が表示される。
凄まじい数で繁殖していく生命種は施設の動力、つまり電力等に寄生して成長している。
そして、最も強大な動力源……つまり施設の心臓部、動力炉に生命核がある可能性が最も高い。

「しかし……こんな深くの物、一体どうやって叩くのですか?」
生命核と思われる反応は、施設最深部にあった。
攻撃目標の位置は判明したが、肝心の手段が無くては意味が無い。

「手なら有る。とびっきりのヤツがな」
怪しい程自信溢れる返答に、漠然とした不安がレミントンを襲った。





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