目を覚ますと、嫌気がするくらい眩しい朝日が窓から差していた。
目を擦りながらゆっくりと体を上げる。
横に目をやるとルミエが寝てる、自分もその横で体をのばす。二人とも全裸で。

何度目かの光景を後に、彼女は仕事場へと向かって行った。
隣で寝ていたルミエが専属オペレータである事を今更思い出し、途方に暮れる。
仕事を持って来てくれるのはほとんどがオペレータだ。
自分で探す事もあるが、大体はオペレータがレイヴンの好みにあわせ依頼を持ってくる。
ガレージに来たは良いが、肝心の仕事が無い。
このまま彼女が目を覚ますまで待っていても良いが、暇なのは彼女の性に合わないかった。

目の前の通信機の電源を入れると一人の人物に連絡を試みる。
彼女にしてみれば第二の仕事斡旋者である偽・ワイズという男だ。
年がら年中仕事という名目でありとあらゆるレイヴンのプライバシーを踏みにじる。
得たレイヴンの情報を契約者に提供するという一応はリサーチャーである。
幼なじみという間柄故か、彼から情報を引き出すのは容易い。
何より彼はとある女性の事になるとやたらと短絡的になるので騙すのも楽で良い。
だが、今回はなるべくまともな方法で仕事を紹介してもらおうと思っていた。
なによりオペレータが居ないのだから当然の事だろう。
なるべく簡潔に、それでいて自分の全てを網羅したメールを送る。

【仕事ちょーだい】
【無い】
【なるべく簡単なのが良いんだけど、オペレータ無しでも大丈夫そうなの】
【無い】
【報酬は別に問わないから、暇つぶし程度の奴でお願い】
【無い】
【どうせなら独りじゃなくて数人でやる方が楽出来て良いなー】
【無い】
【まさか嫌がらせじゃなく本当に無いんじゃないでしょうね】
【その通り。そして今日、俺は自主休業だ】
【自主休業?あんたが?なんで?】
【誕生日】

「ああ…」と独り呟くレイヴン[ヴァネッサ=ウィリアム]
自分の誕生日なんかいちいち記憶しない男だから、おそらくは例の彼女のだろう。
仕事が無いとわかり、一方的に通信機の電源を切る。
ちょうどそこへ急ぎ足でルミエがやって来た。かなり慌てている様子だ。
「ちょ…っと、なんで…起こして…くれ…ないんですか」
息も絶え絶えに言葉を漏らす彼女を前に、椅子の上足を組み直して言う。
「面倒だから」
頭と共に走って乱れた肩までの髪をだらりと垂れ流し、ルミエが沈み込む。
瞬間、キッと眼前の女性に目を向ける。
女性にしては背が高く、スタイルも良し。普通にモデルで通用する妖艶な美女を睨み。
その豊かすぎる胸元に資料を叩き付け荒っぽく言う。
「仕事ですッ!」
「あら、ありがと」
一夜を共にした女性を前にあまりに素っ気なく答える公の彼女。
彼女の公私を分ける基準はベッド。性格の変わり目はベッドの上か否か。

仕事の内容はテロリストの排除。レイヴンなら誰でも一度はやるだろう仕事だ。
無論、彼女も何度もこの手の依頼を請け負っている。
今回は稀なケースだが、レイヴンが2人雇われる事になっている。
武装テロリストの数が半端でなく、そして場所も広い。
掃討が作戦目標であるため、念のため2人という訳だ。
そして仕事を共にする相方のレイヴンの準備がまだ整っていない、とのこと。
偶然、目的地点の途中にそのレイヴンのガレージがあるらしく、様子を見に行く事に。

「あー…ACを見上げるのは久々」
巨大な兵器の足下に立つ彼女に後ろからルミエが声を掛ける
「レイヴンはコクピットに乗るのが仕事ですからね」
「あー…まぁ、そうなんだけど」
あー…あー…といかにもダルそうにしゃべり続ける彼女にルミエが軽く小突く。
「…なに?」
振り向きつつ眉根をつり上げた美女が睨みつける。
「はぁ…一緒に仕事する人がすぐ近くに居るのにそのダルさ加減は無しです」
正論と言えば正論である。だらしない人と一緒に仕事したいなどとは思わないだろう。

目の前に立つ青を基調としたカラーの二脚型ACの脇から一人、ひょっこり現れた。
「すいませーん、準備に手間取っちゃって。上がって来て良いですよー」
声からして女性のようだ、少し声に幼い感じがあるが遠くて姿が良く解らない。
上に昇った彼女達を出迎えたのはやはり女性だった。
そしてヴァネッサが初対面の女性に必ず聞く質問。
「貴方、歳は?」
「え?○2歳です」
少女の答えが上手く聞き取れない。下1ケタが2としか解らない。
「え?」
「○2歳です。」
やはり聞き取れない音として成り立っていないような声を出す。
「あー…まぁいいか。何歳だって。私はヴァネッサ。よろしく」
差し伸べられた手に握手を返して目の前のレイヴンが答える。
「宜しくお願いします。アルスです」

「もうすぐ作戦領域に到達…って、え?」
ルミエが最後に素っ頓狂な声を上げた、即座に聞き返す。
「え?って何よ。ちゃんと説明して」
「武装集団なんて何処にも居ませんよ…これ」
「ちょっとちょっと、なにそれ!?どういうこと?」
「急いで情報を取得します。でも、とりあえず投下は…どうします?」
少々ヴァネッサは考え込んだが、アルスが即答した。
「行きましょう。何も無ければ何も無いで良いですし」

「ゴミ掃除は終えたぜー、首尾は上々」
ACコクピット内で通信する男。かなり陽気な声でしゃべり続ける。
「大体、こんなチャチいテロリスト相手にテストなんて意味ないと思うけどな」
通信機から少し陰鬱な声が聞こえてくる。
「テストだからこそ、だ」
「へーぃへい。俺は見てるだけだから暇な事この上ないんだがな。」
「で、結果はどうなのよ?俺達にちゃんと貢献できるんだろうな?」
少々間をあけてからまた少し陰鬱な声が答える
「テストのテスト、のようなものだ。結果は予想通りだ」
「あぁー?なんだそりゃ?それじゃ…って、おお!?」
言いかけた所で驚きの声を上げるレイヴンに陰鬱な声の男が声を少しだけ荒げる
「どうした!暴走でもしたか?」
「ACが二機こっちにやってくる。ははぁ…さてはこいつらの掃除を依頼された奴らか」
「丁度良いじゃん、こいつの対ACテストってことで」
「まぁ…良いだろう。我々としても願ったりだ」

作戦領域に降り立った二人が見た者は2機のAC
白黒のいかにも量産型のような外見の二脚型ACと漆黒のこれまた二脚型ACだった。
『敵ACを確認、神楽です』
頭部AIが告げる音声を聞いてヴァネッサが首を傾げる。
「聞いた事無いなー。第一テロリストは何処?私たち騙されたのかしら?」
「…でしょうか」
暗い声をアルスが絞り出す、と突然相手側のACから無駄に陽気な男の声が届いた。
「どーも、レイヴン諸君。もしかしてここにいたテロリスト排除に来たのかな?」
馬鹿みたいに緊張感のない声。ヴァネッサは少々いらつきながら答えた。
「そうよ。で、あんたは何?何か知ってるの?」
「うーん、そうだな。ちょっと説明するから聞いてくれねぇか」
陽気な声にアルスが即答した「どうぞ」

「ここに居たテロリストならコイツが全部排除した」
「コイツは…えーと自立型AIで動くACで、そのテストにここにいたのを排除したのさー」
「AIアーキテクトのアレフ、ガルーシャ、レグナスって3人が作り上げた傑作だ。」
「ああ、悪い。今の名前は忘れてくれ…ああ、でも良いか。」
「で、コイツの名前がアルーシャス。3人の名前適当に取ったっていう。安易だろ?」
「そんでもって、ここからが本題」
ここで一区切り付けたかのような沈黙が数秒。
「本題…なんですか?」
アルスの質問にやけに静かに、しかしはっきりゆっくり答える陽気な声
「対AC戦闘のテストを今ここでお前達相手におっぱじめる。」
言うが早いか、漆黒のACアルーシャスがアルスのスタードラゴンに向かって突進した。

「よーし、俺暇になるから相手してくれよ。」
ブーストを吹かしつつ距離をつめてくるAC神楽にバズーカを撃ち込み応戦する。
容易くバズーカを躱し、更に距離をつめると同時にレーザーライフルで一撃。
引きつつ切り返してこれを躱し、レールガンとバズーカを同時に発射。
器用にこの2つを躱してみせた陽気な男は距離を離して滞空する。
「何考えてるの?それじゃただの的よ」
「ああ、いや。俺はアイツを見届けなきゃいけないんだな、これが」
「ふぅん、頑張ってね。私はあんたを見逃さないけど、ね!」
EOを起動し、ACベリアルがブーストを目一杯吹かす。

(AI…人は、乗ってない)
向かってくる漆黒のACを前に、アルスは至極冷静に相手を分析する。
左手にグレネード、右手にグレネード、あげく両肩にまでグレネード。
(AIじゃないと無理だよねぇ…)
飛んでくるグレネードを次々躱す、がアルスはそのグレネードに違和感を覚える。
(なんか…ちょっと早くなってないかなぁ)
次から次へと飛んでくるグレネードの速度が見るからに上がっている。
ライフルとミサイルを的確に当て続けながらひるむことなくグレネードの嵐を躱す。
だが、あからさまに可笑しいグレネードの弾はスタードラゴンに直撃。
「きゃああ!」
大げさに揺れるコクピットの中、アルスが悲鳴を上げる。

悲鳴を聞き、一瞬だけ声の方を見ると爆発炎上するスタードラゴンの姿。
目の前のACパイロットもテストの経過を見ているらしく、動きが止まっている。
「おーおー、やっぱすげぇなぁ。AI様々だな」
「よそ見とは余裕ね」
不意をついたつもりのバズーカがいとも簡単に躱される。
(最近、デタラメな連中と戦う事が多いなぁ…)
(私一応アリーナランカーなのに、自身なくすじゃないの!)
思いつつ、やはりアルスの身が気になる。悲鳴の後は特に何の反応も無い。

(痛いです…もう手加減しませんからね)
グレネードを数発被弾し、機体もかなり損傷している。
右腕にいたっては肘から先が無くなっている。
今更のように頭部AIが告げる『右腕部破損』
「えーい、本気でやっちゃます!」
緊張感の無い奮いの声とは裏腹に、グレネードの嵐をくぐり抜けアルーシャスに接近。
一閃、左手のブレードでアルーシャスの左腕を切り落とす。
間を開けずに連動を追加したミサイルを発射、反動でひるませたとこをもう一斬り。
背中からコアの大部分に大きな爪痕を残す。同時に肩のグレネードの砲台も鉄クズにする。
残った右手のグレネードを紙一重で躱しつつ最後のブレードを展開。
「これで終わりです。残念でした♪」
あっけなく右手が吹き飛び、ACアルーシャスは全ての武装を失う。

「うそだろ!おい、なんだあれ。話が違うぞ。AC相手にも楽勝なんじゃないのか!」
「馬鹿な…そんなはずは。人間が…アレの攻撃を」
「何わけわかんねぇこといってんだよ!負けは負けだろ。知らんぜ、俺は逃げる!」
「くっそ、俺達にあんなもん使わすつもりだったのか。」
「あ、じゃあねー。俺の役目は終わり、サヨナラ」
陽気な男は全力で逃げて行く。
戦いながら実力差を実感したヴァネッサは追撃をせず、ただ呆然とアルスの方を見る。
中途、戦闘を中断しアルスとAIの戦闘を見守る形になっていた。
「良くわかんないけど…一件落着?」
「みたいですねぇ」
目の前で信じがたい動きでACを切り刻んだレイヴンが緊張感の無い答えを返した。

依頼の方はテロリストは事実上排除されたという事で終わった。
一応、目的は(自分たちがやったわけではないが)達成されたので報酬も変わりない。
今、ヴァネッサ、アルス、ルミエは報酬片手に酒を飲んでいる最中。
アルスはヴァネッサに半ば無理矢理連れて行かれた状態。
ルミエはもうなんだかあきれかえって何も言わない状態。
1人で馬鹿みたいに酒を飲み続け、順調に酔い酒臭くなった残りの美女1人。
酔っぱらったヴァネッサがやたら絡んで来るからアルスは苦笑を続ける。
しかも妙に体を触って来るから身の危険までも感じるアルス○2歳。

ついに歯止めのきかなくなっただらしない美女が一目を気にせず行動に出る。
店内のボックス席でいきなりルミエをがっちり抑えて濃厚なキス。
傍目で見るアルスが思わず目を背けたくなるくらい、無駄に舌を絡める。
「ちょ…あ…!」
抵抗空しく数秒良いように扱われる専属オペレータ。
オペレータとレイヴンでこんな関係が成り立っている事に恐怖を覚えつつ、席を立つ。
すると、後ろから手を掴まれ。振り返れば眼前にニヤリと笑う美女の笑み。

自宅へと続く通路、右手にうつろな目をしたオペレータ。
左手に空しく抵抗を続ける今日知り合ったばかりの女性レイヴン。
「ちょ…っと、何するつもりですか。離して…離して下さいー」
「だーいじょーぶ。後悔はさせないから」
「何意味わかんないこと…何する気なんですかッ!」
「うふふふふふー…何って酒 池 肉 林」
淫乱レイヴンヴァネッサ、今日も今日とて本能の赴くままに。

「…ここは…どう…?」
「ぁ…んぅ……あんッ♥」





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