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2つの顔

「新人レイヴン同士の試合か、昔を思い出すな・・・」
アリーナの観客席でジノーヴィーはつぶやく。
この頃のジノーヴィーは、レイヴンとしてはまだ中堅レベルの実力だ。
しかし最近になってレイヴンの活躍が活発になったこの地区では、上位ランカーとしての地位を確立している。
「調子はどうかな?」
隣に座った男が話しかけてくる。
「ん?クレストの依頼仲介人さんか。この度はどうも。」
ジノーヴィーが今この席にいるのは、この仲介人の計らいだ。
「いや、礼には及ばないさ。クレスト招待枠が余ってたのでね。」
「余り物の押し付けか・・・」
ジノーヴィーの機嫌が少しだけ悪くなる。
「そういうわけじゃない。この試合に招待するに相応しいレイヴンが他にいなかったのだよ。」
「招待するに相応しい?」
「いや、これは君に話しても仕方のないことか。」
「・・・」
追求しようかとも思ったが、信頼関係に支障をきたしたくなかったので黙り込む。
「それよりだ。少し賭けをしないか?」
「賭け?」
「そう、賭けだ。」
「何を賭ける?金ならパスだ。」
「勝っても負けても、悪いようにはしないさ。君は何も出さなくていい。」
「どういうことだ?」
「君が勝った場合、君のレイヴンランクが1位になるのを約束しよう。」
レイヴンランク1位。この地区での最高の地位だ。
数多くの依頼を果たし、依頼主からの信頼も得なければ到達し得ない高み。
「私が勝った場合、君には我々の専属レイヴンになってもらおう。」
「専属だと?」
思わず聞き返す。

「どちらにしろ、依頼には困らないはずだ。悪くない話だと思わんかね?」
「アークでは専属契約が禁止されていることは知っているはずだ。何故アーク所属の私に専属の話を持ちかける?」
「それは君の実力を我々が見込んでいるからだよ。」
「私の、実力・・・」
「まあ、君が不満ならそうだな・・・」
クレスト仲介人は少し考え込む。
「君が勝てばレイヴンランク1の保証、負けた場合は何もなし、というのはどうだ?」
「受けてみようか、その賭け。」
「その返事を待っていた。さて、どっちに賭ける?」
クレスト仲介人は2枚の資料をジノーヴィーに差し出す。
「これは今回の試合に出るレイヴンのプロフィールだ。どちらかを選びたまえ。」
ジノーヴィーは資料に目を通す。
試合は初期機体で戦いあう単純なものだ。
どちらも活躍を聞いたことのないレイヴンだったが、ジノーヴィーの視線は片方のプロフィールに釘付けになる。
アグラーヤ、それがその女性レイヴンの名前だった。
「同郷のレイヴンか・・・」
思わず声を漏らす。
「決まったかね?」
「ああ。同郷出身ということで、アグラーヤに賭けよう。」
「では私はもう片方のファントムシーフか。」
『観客の皆様、長らくお待たせしました。』
『選手入場。グリッド1、ファントムシーフです。』
『選手入場。グリッド2、アグラーヤです。』
フィールドにリフトでACが上昇し、モニターにそれぞれのエンブレムが表示され、歓声が響く。
『ではこれより、ビギナーマッチを開始します。』
『Ready.... Go!!』

試合がスタートし、グリッド1,2共にリフトハンガーが解除される。
だが同じ新人レイヴンであるはずなのに、操作の差は歴然だった。
開始直後の過剰ブーストによる熱暴走でほとんど身動きが取れなくなっているグリッド1。
それに対しグリッド2はうまくブーストを小刻みに吹かしながらグリッド1への距離を詰める。
徐々に距離を詰めていくグリッド2に対し、グリッド1はライフルを乱射。
しかし1次ロックやノーロックばかりで長距離から発射される弾のほとんどは、グリッド2の細かい機動には当たらない。
グリッド2はその応酬に、半固定目標となっているグリッド1へとミサイルを次々と撃ち込む。
グリッド1のコア迎撃機能がミサイルを撃墜していくが全て撃墜できるわけもなく、何発も被弾しAPが削られる。
ある程度距離が詰まるとグリッド2はミサイルをパージして軽量化し、ライフルを撃ちながらさらに距離を詰める。
距離が詰まった分グリッド1のライフルも命中しやすくなったが、ミサイルで受けたダメージを取り返すには足りない。
そして極限まで距離が詰まったとき、グリッド2がブレードでグリッド1に一閃。
『グリッド1、行動不能。グリッド2の勝利です。』
そのアナウンスと共に会場は歓声とブーイングに包まれた。
新人とは思えない見事なパフォーマンスだ。
「君の勝ちだな。」
「ああ。同郷であの実力、戦場では出会いたくないものだな。」
「では、君のレイヴンランク1位は我々が保証しよう。」
「楽しみにしてるよ。」
冗談半分に聞いていたジノーヴィーは皮肉交じりにそう言って席を立った。

アリーナでの試合から1ヶ月程度が経ったある日、ジノーヴィーの元へ1通のメールが届いた。
[Title:(重要)専属契約警告]
[From:レイヴンズアーク]
[あなたには、クレスト社との専属契約の疑惑があります。]
[他クライアントと比べ、クレスト社との依頼受諾数が著しく多いのが原因となっています。]
[このような状況が続くのであれば、レイヴンズアークからの追放も検討しなければなりません。]
[以降、秩序正しい依頼の選択を期待します。]
ジノーヴィーは賭けのことなどすっかり忘れ、依頼をこなしていた。
しかしクレスト社との依頼ばかり請けていた覚えはない。
アークのデータベースへアクセスして自分の依頼受諾履歴を確認すると、受けた覚えのない依頼が山ほど履歴に残っていた。
「どいうことだ、これは!?」
思わず叫びだしたあと、あのときの賭けのことを思い出し、レイヴンランクを確認する。
レイヴンランクは1位になっていた。
2位との圧倒的な差をつけて。

思い立ったジノーヴィーは、例のクレスト仲介人と連絡を取った。
「あんたらの仕業か?」
「どういうことだね?」
「データベースに私の請けた覚えのない依頼ばかりある。全てクレストの依頼だ。」
「ああ、そのことか・・・」
仲介人は落ち着いた声で続ける。
「君のレイヴンランクを1位にするのには、苦労したよ。」
「私はランク1位など望んでいない。」
「アグラーヤにはよく活躍してもらった。」
「アグラーヤ?何故そこで彼女の名前が出てくる?」
「彼女は元から、我々の専属レイヴンなのだよ。」
「どういうことだ?」
「だから言っただろう?彼女は我が社の専属レイヴンだ。」
「それとこれと何の関係がある?」
「君の機体を拝借して、彼女に我が社の依頼をこなしてもらっていただけだよ。」
「なんだと!?」
ジノーヴィーは思わず声を荒げる。
「データベース介入などに少々手間取ったが、君の機体のおかげでアグラーヤの存在は表に出ないで済んでいるよ。」
クレスト仲介人は相変わらず落ち着いた様子だ。
「私をアークから引きずり出して専属レイヴンに仕立て上げるつもりか?」
「そんなつもりはない。何か問題でもあるのかね?」
「あんたらが私の機体を使ったせいで、私に専属契約の疑惑がかかっている。」
「そうか、すまない。」
「賭けの話はなしだ、もう私の機体を使うな!」
ジノーヴィーはそう叫び、通信を一方的に切った。
まさかこんなことになるとは思っていなかったが、こうなってしまえばもはや成り行きに任せるしかない。

専属契約警告が届いてから、再び月日が経った。
データベースの依頼受諾履歴はあの日以来、ジノーヴィー本人が受けたものだけになっている。
専属契約疑惑が晴れて追放の恐れもなくなり一息ついていたところ、あるニュースが目に付いた。
[ベイロードシティにミラージュの特殊部隊が侵攻、新人レイヴンとデュアルフェイスの迎撃により撃退。]
このような依頼を請けた覚えはない。データベースを確認する。
やはりあった、ジノーヴィー本人の受けた覚えのないクレスト社の依頼。
ジノーヴィーは頭を抱え込む。
クレスト社がデュアルフェイスを自由に扱える以上、成す術がなかった。
そんな折、クレスト社から依頼が入った。
依頼内容は、新型機のテストに協力して欲しいとのことだ。
だが資料の機体構成はデュアルフェイスとほとんど同じだ。
疑問を感じながらも他に依頼がなかったこともあり、その依頼を受諾した。

新型機テスト当日、ジノーヴィーは試験場の地下でデュアルフェイスと大差ない機体に乗り込んでいた。
説明によるとこの機体は、各種内装の性能を大幅に向上させる特殊機構が組み込まれているらしい。
『それでは、テストを開始します。全力で挑んでください。』
デュアルフェイスがリフトで上昇する。リフトが停止した先にあったのもデュアルフェイスだった。
「お前がこの機体の本来の持ち主か。」
女の声の通信が入る。恐らく相手のデュアルフェイスからだ。
「私とお前、どちらがこの機体をうまく扱えるか、見物だな。」
女はそう言うだけ言った後、一方的に通信を切った。
『それでは、開始してください。』
[メインシステム 戦闘モード、起動します。]
戦闘が始まり、双方のデュアルフェイスが動き出す。
グレネードランチャーの火力で押すのがジノーヴィーの戦術だ。
遠距離サイト武器のグレネードランチャーに合わせてFCSも遠距離特化型を選んである。
迷わずグレネードランチャーを選択し、相手に向けて発射する。
しかし発射されたグレネードは狙いを外れ、壁に当たって爆発する。
何度も相手に向かってグレネードを撃ち込むが、相手の読みが鋭く当たらない。
「そんなものか、失望した。」
突然相手のデュアルフェイスから通信が入り、ジノーヴィーは一瞬そっちに気をとられる。
「お前にその機体はもったいない。私が勝ったらその機体は私に貸せ。」
女はまた一方的に通信を切った。
「私の機体を貸せだと?」
操作に再び集中しながらジノーヴィーはそう声を漏らした。
相手の位置を確認していると、相手のデュアルフェイスがグレネードランチャーをパージして接近してくる。
グレネードランチャーをパージした相手のデュアルフェイスのスピードはなかなかのもので、一気に距離を詰められた。
ジノーヴィーは必死に後退しながらグレネードを放つが逃げ切れず、捕捉うまくいかずにグレネードも当たらない。
そしてブレード一閃を食らい、ジノーヴィーのデュアルフェイスに撃破判定が下りる。

『テスト終了、お疲れ様でした。』
[システム、通常モードに移行します。]
「約束だ、その機体は私に貸せ。」
「ずいぶん非常識な女だな。それが人に物を頼む態度か?」
「お前のレイヴンランクをランク1位まで上げたのは誰だと思う?」
「私のレイヴンランクを?まさか・・・」
「やっと気づいたか。」
「アグラーヤ、か?」
「そうだ。」
「・・・」
ジノーヴィーは何も言えなくなってしまい、そのまま地下へ向かうリフトへデュアルフェイスを載せた。

そしてその日からデュアルフェイスは、ジノーヴィーとアグラーヤの共用機体となった。
アグラーヤは愛機のジオハーツとデュアルフェイスを使い分け、ジノーヴィーのランクを維持しつつクレスト社に貢献し続けた。
ジノーヴィーも個人で依頼をこなしていったが、クレストに不利な依頼は無意識のうちに避けるようになっていった。

そんな日々が続いていた折、アグラーヤが撃破されたという報せがジノーヴィーに届く。
偽の依頼でベイロードシティの屋上に呼び出され、撃破されたらしい。
ジノーヴィーが相手を調べてみると、ベイロードシティでミラージュの特殊部隊を迎撃したときにいた新人レイヴン。
助けた場所で助けた相手に殺される、皮肉な話だ。
ジノーヴィーはアグラーヤの死を悲しんだが、それも僅かな時間のことだった。
クレスト本社とその地区の支社が対立し、クレスト支社と深い関係になっていたジノーヴィーもその争いに巻き込まれていった。
デュアルフェイスで本社部隊と交戦を続けるが、本社の大部隊が相手ではいくらACでも歯が立たない。
そこで支社の部隊は放棄されたベイロードシティに本社部隊を追い込み、そこで一気に決着をつける作戦を立案。
ジノーヴィーもその作戦に参加し、ベイロードシティ内に誘い込んだ本社部隊を全て撃破した。
しかし支社部隊は全滅し、ジノーヴィーの傷ついたデュアルフェイスのみとなった。

完全に廃墟となったベイロードシティの中央で、デュアルフェイスの中でジノーヴィーはそんな過去を思い返していた。
まだアグラーヤの香水の香りが残るパイロットシート。
それだけが、ジノーヴィーの心の支えとなっていた。
「私が頼るものはもうない。だがアグラーヤ、私を見守ってくれ・・・」
返事があるわけもなく、コックピット内にむなしく言葉が響く。
『ジノーヴィー、聞こえるか?アーク経由で増援のレイヴンを呼んだ。君はそこの警戒を続けてくれ。』
クレストからの通信だった。信号は支社のもの。
「了解。引き続き警戒を続ける。」
応答を終え、通信を切る。
「しかし補給もなしに警戒か、酷使されたものだ。」
思わず愚痴をこぼすが、それを聞く相手は誰もいない。
『ジノーヴィー、もうすぐ増援のレイヴンが到着する。指定ポイントで合流してくれ。』
「了解。ポイントへ移動する。」
ジノーヴィーが指定ポイントへ移動すると、そこにいたのはアグラーヤを撃破したレイヴンだった。
「皮肉なものだな。」
「・・・」
思わず相手に通信を入れてしまったが、返事はない。
その代わりに、友軍信号が解除された。
それに気づいたジノーヴィーは即座に距離を取り、ビルの瓦礫へと機体を隠す。

『ジノーヴィー、悪いが消えてくれ。君の撃破を持って、我々の降参表明とする。』
支社からの通信は完全に切られた。呼び出してももう応答しないだろう。
「裏切られることなど、傭兵の常とは言え・・・」
ジノーヴィーは敵レイヴンに通信を入れる。
「だが、今この瞬間は、力こそ全てだ!」
そう、力なくして生き残れはしない。
だが、逆にいえば力さえあれば生き残れるのだ。
「・・・」
「私を超えてみろ!!」
それは虚勢だった。傷だらけのこの機体では勝てる見込みはないだろう。
しかし仮にも、ジノーヴィーはランク1位だ。
実力でそこまで上がったわけでなくても、ジノーヴィー自身の努力が無駄だったわけではない。
ジノーヴィーとアグラーヤ、2人の力を合わせてのランク1位なのだ。
いびつな形での2人の存在証明、それがこのランクだ。
ジノーヴィーはこれを誇りに思っていた、だから虚勢を張れた。
それに相手はアグラーヤを撃破したレイヴンだ。
そしてここはアグラーヤが散ったベイロードシティの中だ。
この相手に、この場所で、撃破されて死亡するなら本望だった。
敵レイヴンへの忠義を尽くし、ジノーヴィーは死に行く戦闘を開始した。

~Fin~



僕は荒廃したベイロードシティの中に佇む1機のACの残骸を見つけた。
見たことがある、あれはデュアルフェイスだ。
なんでこんなとこにあるんだろ?
これ、修理すれば動くかな?
そう思った僕は機体表面をよじ登り、コックピットハッチをこじ開ける。
中を見るとパイロットスーツ姿の男が死んでいる。
死体には興味ないし、邪魔だから捨てた。
パイロットシートに座って計器類をいじると、通常モードが起動した!
動く、動くぞ!!
機体損傷が大きすぎて戦闘モードにできないけど、修理すれば使えるよね?
こんなとこに捨てておくのはもったいないし、もらっちゃおう。
ついでに僕の機体にしちゃえ。
名前は誰かに決めてもらおう。
エンブレムはこのままだといけないから変えないとな。
でも考える時間がもったいないから、反対にして使っちゃえ。
この機体で、僕は最強のレイヴンになるんだ。
ランク1位の機体が、負けるはずがないんだ!!

冴えない男がデュアルフェイスが持ち去る光景を、私は瓦礫の影から見ていた。
「なんてひどいことを・・・」
ACから投げ捨てられたパイロットスーツの遺体を抱え、私は泣いた。
しかしここで悲しんでいても仕方ない。遺体は私のトレーラーへと運び込んだ。
トレーラーの荷台の中でヘルメットをはずしてみると、同郷出身者の特徴がしっかりある顔立ちの男だった。
「間違いない、ジノーヴィー・・・」
幸い、密閉されたAC内の空調がずっと生きてたおかげか、死体は腐乱してはいなかった。
腐敗を進めないためにトレーラー内の空調を限界まで下げて、ジノーヴィーの遺体を固定し、私はトレーラーの運転を始める。
行き先は、私とジノーヴィー、そしてアグラーヤの祖国にある墓地だ。
アグラーヤの機体と遺体も、私が手に入れてそこに埋葬してある。
戦場で果てても祖国で2人一緒に埋葬されるのが本望だろう。
レイヴンであった証である機体と共に。
だが、ジノーヴィーのデュアルフェイスはあの冴えない男に持ち去られてしまった。
ジノーヴィーとデュアルフェイスを引き離したあの男を、私は許せなかった。
トレーラーのハンドルを握る手に思わず力が入る。
「何としても見つけ出してやる、何としてでも!」
デュアルフェイスを取り戻す、1人そう誓った。

やっぱり、ランク1位の機体はいいなぁ。
僕は思わず見とれてしまう。
修理してもらってエンブレムも張り替え終わったデュアルフェイスの前で僕はうきうきしていた。
そうだ、名前だ。
「ねえ。」
僕は機体の整備をしてるおじさんに声をかける。
「ん、何だ?」
「この機体、名前付けてよ。」
「名前って、こりゃデュアルフェイスだろう?」
「デュアルフェイスじゃダメなんだ!ほら、エンブレム違うでしょ?」
「いや、それでもこれはデュアルフェイスだろう?」
「デュアルフェイスはダメ!何か違うの考えてよ!」
僕は年不相応に駄々をこねる。
「ちっ、しょうがないな・・・」
整備のおじさんは腕を組んで考え込む。
(どんな名前になるかな・・・)
「ピンチベックとかどうだ?」
「じゃあそれでいいや。ありがとう。」
「ん、まあな。さて、もう動かせるぞ。」
「本当!?」
「ああ、嘘はつかねぇ。終わったんだからもうさっさといけ!」
「うん、ありがとう!」
ピンチベックに乗り込んで操縦を始めながら、僕はお礼を言った。
「もう来るんじゃねぇ!!」
去り際にそんな怒鳴り声が聞こえた気がした。

ジノーヴィーの遺体をアグラーヤの遺体の横に埋葬したあと、私はあの男についての情報を調べた。
そしてやっと、情報屋が仕入れた情報であの男の尻尾を掴むことができた。
この地区を中心に世界を混乱に陥れた特攻兵器が現れる、その前日にレイヴンになったという新米レイヴンらしい。
「ACの操縦は試験で動かしただけ、か・・・」
トレーラーの中で情報屋のレポートを読み終わり、最後の一文が思わず口に出る。
目の前にはサングラスで人相のわからない男がいる。この男が情報屋だ。
「ああ、そのようだ。他に知りたいことは?」
「潜伏先はわかるか?」
「簡単さ、ちょっと待ってろ。」
この情報屋、つかみどころがない人間だが情報の速さと正確さは本物だ。
「出たぞ。アライアンスに加入し、ACを扱う戦術部隊から戦力外通知、その後仕方なく本部部隊に配属。」
「戦力外通知だと?」
「ああ、そのようだ。しかし何故こんな冴えない男を追っている?」
「何でも調べられるんだろ?それぐらい聞かないで調べれるだろう。」
「わかってるねぇ、お嬢さん。」
情報屋の男はそう言いながら私の肩に手をかける。
「やめろ、気持ち悪い。」
私はその手を振り払う。
「お嬢さんにあんな男はもったいないぜ。何なら別のいい男も調べて・・・」
「もういい、帰れ!」
「はいはい帰りますとも。じゃ、情報屋"エド・ワイズ"をごひいきに。」
情報屋のエド・ワイズはそう言って私のトレーラーから出ていった。

「アライアンスか・・・」
特攻兵器の襲来で組織の維持ができなくなった元三大企業の集合体がアライアンスだ。
当然戦力の規模も大きく、機体の管理なども厳重だろう。
それに加え、ACを中核とする戦術部隊まで存在する。
さすがに私1人が生身で手に負える相手ではない。
目には目を、歯には歯を。
ここはやはりACで戦いを挑むのが妥当だろう。
トレーラーを墓地の近くの廃倉庫へ走らせる。
廃倉庫にはアグラーヤのジオハーツが撃破当時の状態で保存してある。
アグラーヤには申し訳ないが、デュアルフェイス奪還までの間、拝借させてもらおうと思ったのだ。
しかし廃倉庫に到着して改めて状態を見ると、修理したとしても動かせる状態ではなかった。
頭部と両腕部は比較的軽微な損傷だったが、コアおよび内装と脚部が修理のしようがない損傷具合だった。
頭部と腕部を拝借し、他は私自身で仕入れた。
そして情報屋のエド・ワイズに各方面へ売りに出してもらい、私のレイヴン活動がスタートした。
デュアルフェイスは私が取り戻す、誰にもこの邪魔はさせない。
しかしアライアンス戦術部隊から戦力外通知を受けるようなデュアルフェイスの持ち主だ。
いつどこの誰に撃破されるかわかったものじゃない。
だから危険を覚悟で、対AC戦闘の依頼を積極的にこなす。
そして誰かが彼を撃破する前に、その誰かを撃破する。
ACを撃破すればするほど私の名声は上がり、依頼も増える。
あとはあの男を私が仕留めるだけだ。

~Fin~

解説とか
所要時間5~6時間くらい
書く前に思いついたネタ
  • デュアルフェイスとジオハーツのCOM分析と実戦術の違い。
 デュアルフェイス=グレネードランチャーを装備。ジノーヴィーはグレ祭りだが、ベイロードシティでは近接主体の戦術?
 ジオハーツ=機動力を生かした近接がCOM分析。アグラーヤの戦術はCOM分析通り。
 このことからデュアルフェイスの中の人が2人いる疑惑。
解説など
  • NX本編でのアグラーヤ初登場ミッション「クレスト侵攻阻止」の描写がない理由。
 アグラーヤ死亡描写は展開に関係あるから書いたけど、このミッションはジノーヴィー視点だと書きにくかった。
  • ジノーヴィーとアグラーヤの絡みの描写が皆無の理由。
 「テストで負けて仕方なくデュアルフェイスの所有権を共有」これが唯一の接点であるという設定。
 ジノーヴィーはアグラーヤのことをよく思っていなかったので人間同士での交流は皆無の設定。
序盤のアリーナは実はクレストからジノーヴィーへの「騙して悪いが」イベント。
アリーナ自体はアーク主催という設定。しかしこの試合の裏にはクレストの力が大きく影響していて実質クレスト主催。
どう見ても新人レイヴンにふさわしくない実力のアグラーヤが出場しているのはそのため。
クレストがアグラーヤを出場させたのは彼女を使って試合をコントロールするため。
仲介人が専属契約という条件を簡単に引き下げたのは、どちらに転んでもジノーヴィーをクレスト側に引き込めるから。
つまり賭けを受けてしまった以上、その時点で既にジノーヴィーははめられていたのです。
Q.旧世代の遺産はどうした?
A.ジノーヴィーが旧世代の遺産に語るのはベイロードシティの戦闘中だしどうでもいっか、と省略。
Q.ファントムシーフって誰だっけ?
A.NX最弱ランカー。初期ランカーではなく補充の1人目だったかな?
反省点とか
戦闘描写が苦手です。
誰かが先に書いてそうなネタだね!




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