http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1340993270/
「衛星砲につながるエネルギー増幅器を全て破壊する。時間がない、急ぐぞ!」
唯一生き残っている友軍ACに通信を入れるが反応はない。
返答がないのは、集中力を維持したいからだろう。
『無人ACを確認、ミラージュの残していった機体です。』
オペレーターからの通信。同時にACの情報も送信されてきた。
重量二脚でEOコアに速射型マシンガン、ロングブレード、長距離用レーザー、大型リニアガン、ステルス。
俺は友軍ACの状況を横目に分析する。
クレストベースの軽量機だが、防衛戦力に苦戦を強いられてしまったのか武装は左腕のブレードのみだ。
それに比べて俺は幸いにも防衛戦力の少ないルートだったおかげで大した消耗もない。
この状況でどこまで戦えるのかわからないが、今は目標を破壊するしかないのだ。
「俺がこいつを引きつける。お前は目標の破壊に回ってくれ!」
友軍ACにそう告げた俺はOBで無人ACとの距離を詰め、すれ違いざまに両腕のショットガンを撃ち込む。
すかさず反転し、ロックサイトに無人ACを収め距離を離しながらステルスミサイルで牽制。
無人ACの注意がこちらに向き、EOとマシンガンの弾幕が俺に向けられる。
それを予測していた俺は即座にOBを起動し、被弾を最小限に抑えつつロケットを確実に撃ち込んでいく。
友軍ACの様子を探ってみると俺が無人ACを引き付けている間に全16基のうち4基の目標を破壊したところか。
無人ACのEOは2基あるうち1基は友軍ACを狙っている。
友軍ACは機体全体から火花を散らしており、撃破されるのは時間の問題だ。
俺が無人ACを撃破するのが先か、無人ACのEOが友軍ACを撃破するのが先か・・・
そんなことを考えている最中、友軍ACが爆炎に包まれていた。
これは俺1人で任務を完遂しなければいけないことを意味していた。
残存するエネルギー増幅器の数は12基と、まだかなりある。
それに比べ、シルエットの弾数は少ない。
しかし目の前の無人ACを放置してエネルギー増幅器の破壊を優先してしまっては、装甲が持たない。
この状況で任務を完遂するにはどうすればいいか?
少しだけ考えた後、ステルスを展開する相手ではほとんどデッドウェイトでしかないミサイルをパージ。
シルエットのOBを起動して無人ACとの距離を詰める。
極限まで距離を詰め、ステルス展開中の無人ACのマシンガンを目視で重点的にショットガンで攻撃し破壊。
これで敵ACの遠距離攻撃可能な武装はレーザーとリニアガン、そしてEOだけだ。
無人ACの動きに注意しつつエネルギー増幅器をロケットで攻撃し、撃ちつくしたロケットもパージ。
同様にショットガンも撃ちつくしてパージする。
残存するエネルギー増幅器は5基。
シルエットの持ちうる武装の弾薬では全てエネルギー増幅器を破壊するには足りなかったが、それでいい。
まず宇宙空間特有の低重力を生かしてENの消費を抑えながら、エネルギー増幅器と同じ高度を維持。
次に長距離から無人ACにレーザーとリニアガンを撃たせ、それを回避してエネルギー増幅器に当てて破壊。
これが俺の導き出した現状を打破するための最良策だ。
装甲が薄いシルエットでこんなことをするのは危険な反面、機動性の高いシルエットだからこそ可能なのだ。
『全設備の起動再開まで3分。』
作戦失敗までの残り時間を示すカウントダウンとなる館内放送が流れるが、俺は集中力を切らさない。
重要なのは立体マップによるシルエット周辺の地形分析と、敵ACからの攻撃射線の予測。
もうシルエットの武装が存在しない以上、任務達成にはシルエットを囮に誤射を誘発させるしかないのだ。
だがシルエットの装甲は極めて薄く、敵ACの武装の弾数もそれほど多くはない。
確実に敵ACの攻撃をエネルギー増幅器に誘導する必要があるが、破壊のチャンスは非常に限られている。
しかし不必要な立ち回りと回避は敵ACの弾数を無駄にし、エネルギー増幅器破壊のチャンスを大きく減らす。
細心の注意を払いながら、シルエットで敵ACの攻撃を正確に避けていく。
残存するエネルギー増幅器の前でOBを起動してチャージ。
敵ACの砲門から攻撃が放たれた瞬間に次の残存エネルギー増幅器へ移動し、再びOBをチャージ。
OBでの回避が困難な場合は、射線上にデコイを展開して被弾する可能性を少しでも減らす。
この単調な作業の繰り返しでエネルギー増幅器の数を減らしていったが、全てを破壊するのはやはり困難だ。
『全設備の起動再開まで1分。』
残存するエネルギー増幅器は1基。
タイムリミットまで極僅かだが、焦ったところで状況が変わるわけではない。
だが回避しきれないEOによる攻撃でシルエットのAP表示は赤く、残り僅かであることを示していた。
残り時間も限られているが、これ以上長引いてはシルエットが大破するのも時間の問題だろう。
モニターに表示されたタイマーによれば残り時間は50秒。
気がつけば敵ACの両肩に装備されていたレーザーとリニアガンはパージされていた。
恐らく撃ちつくしたのだろう。
残された武装はEOと左腕のロングブレードだけだ。
先ほどまでの戦術はもう通用しないが、やや現実的ではないがまだ策はある。
敵ACのAIがこの状況でどうすることが有効かを俺と同じように判断するのならば、だが・・・
残り時間40秒。敵ACがシルエットとの距離を詰めてくる。
残り時間30秒。俺はシルエットを極限までエネルギー増幅器に寄せる。
残り時間20秒。距離が近くなることによりEOの攻撃を間近に受けるが、俺はそれを回避しない。
残り時間10秒。俺はOBをチャージし、敵ACは空中からロングブレードを振りかぶりながらシルエットに迫る。
OB噴射と共にロングブレードが振り切られ、敵ACのロングブレードの切先はエネルギー増幅器を破壊。
だが敵ACのロングブレードが切り裂いたのはエネルギー増幅器だけではなかった。
残り僅かだったシルエットも切り裂かれており、シルエットは制御を失って俺の操縦を全く受け付けない。
OBを噴射したまま制御不能の状態で滑空を続けるシルエット。
恐らくバランサーも死んでいるであろうこの状態で壁面に衝突でもすれば、俺も無傷では済まないだろう。
「脱出する!」
生きているかわからない通信機器にそう一言だけ告げ、俺はパイロットシートごと外に身を投げ出される。
『レイヴン、聞こえますか?応答してください。』
広大な低重力空間に放り出されたが、パイロットスーツ内蔵の通信機からオペレーターの声が聞こえる。
「ACは大破したがどうにか生きている。だが回収には来るな。」
まだ生きている敵ACの様子を気にしながら、通信に応答する。
『え?』
「まだ無人ACが残っている。消耗してはいるが、恐らく現状残された戦力で対処するのは困難だろう?」
『しかし・・・』
「時間はかかるが、このままシャトルまで自力で帰還する。」
『・・・わかりました。そちらの位置は把握しています。私の案内に従って進んでください。』
誰もいない物静かで広大な衛星内を、俺はオペレーターの案内を頼りに黙々と進んでいく・・・
~fin~
「衛星砲につながるエネルギー増幅器を全て破壊する。時間がない、急ぐぞ!」
唯一生き残っている友軍ACに通信を入れるが反応はない。
返答がないのは、集中力を維持したいからだろう。
『無人ACを確認、ミラージュの残していった機体です。』
オペレーターからの通信。同時にACの情報も送信されてきた。
重量二脚でEOコアに速射型マシンガン、ロングブレード、長距離用レーザー、大型リニアガン、ステルス。
俺は友軍ACの状況を横目に分析する。
クレストベースの軽量機だが、防衛戦力に苦戦を強いられてしまったのか武装は左腕のブレードのみだ。
それに比べて俺は幸いにも防衛戦力の少ないルートだったおかげで大した消耗もない。
この状況でどこまで戦えるのかわからないが、今は目標を破壊するしかないのだ。
「俺がこいつを引きつける。お前は目標の破壊に回ってくれ!」
友軍ACにそう告げた俺はOBで無人ACとの距離を詰め、すれ違いざまに両腕のショットガンを撃ち込む。
すかさず反転し、ロックサイトに無人ACを収め距離を離しながらステルスミサイルで牽制。
無人ACの注意がこちらに向き、EOとマシンガンの弾幕が俺に向けられる。
それを予測していた俺は即座にOBを起動し、被弾を最小限に抑えつつロケットを確実に撃ち込んでいく。
友軍ACの様子を探ってみると俺が無人ACを引き付けている間に全16基のうち4基の目標を破壊したところか。
無人ACのEOは2基あるうち1基は友軍ACを狙っている。
友軍ACは機体全体から火花を散らしており、撃破されるのは時間の問題だ。
俺が無人ACを撃破するのが先か、無人ACのEOが友軍ACを撃破するのが先か・・・
そんなことを考えている最中、友軍ACが爆炎に包まれていた。
これは俺1人で任務を完遂しなければいけないことを意味していた。
残存するエネルギー増幅器の数は12基と、まだかなりある。
それに比べ、シルエットの弾数は少ない。
しかし目の前の無人ACを放置してエネルギー増幅器の破壊を優先してしまっては、装甲が持たない。
この状況で任務を完遂するにはどうすればいいか?
少しだけ考えた後、ステルスを展開する相手ではほとんどデッドウェイトでしかないミサイルをパージ。
シルエットのOBを起動して無人ACとの距離を詰める。
極限まで距離を詰め、ステルス展開中の無人ACのマシンガンを目視で重点的にショットガンで攻撃し破壊。
これで敵ACの遠距離攻撃可能な武装はレーザーとリニアガン、そしてEOだけだ。
無人ACの動きに注意しつつエネルギー増幅器をロケットで攻撃し、撃ちつくしたロケットもパージ。
同様にショットガンも撃ちつくしてパージする。
残存するエネルギー増幅器は5基。
シルエットの持ちうる武装の弾薬では全てエネルギー増幅器を破壊するには足りなかったが、それでいい。
まず宇宙空間特有の低重力を生かしてENの消費を抑えながら、エネルギー増幅器と同じ高度を維持。
次に長距離から無人ACにレーザーとリニアガンを撃たせ、それを回避してエネルギー増幅器に当てて破壊。
これが俺の導き出した現状を打破するための最良策だ。
装甲が薄いシルエットでこんなことをするのは危険な反面、機動性の高いシルエットだからこそ可能なのだ。
『全設備の起動再開まで3分。』
作戦失敗までの残り時間を示すカウントダウンとなる館内放送が流れるが、俺は集中力を切らさない。
重要なのは立体マップによるシルエット周辺の地形分析と、敵ACからの攻撃射線の予測。
もうシルエットの武装が存在しない以上、任務達成にはシルエットを囮に誤射を誘発させるしかないのだ。
だがシルエットの装甲は極めて薄く、敵ACの武装の弾数もそれほど多くはない。
確実に敵ACの攻撃をエネルギー増幅器に誘導する必要があるが、破壊のチャンスは非常に限られている。
しかし不必要な立ち回りと回避は敵ACの弾数を無駄にし、エネルギー増幅器破壊のチャンスを大きく減らす。
細心の注意を払いながら、シルエットで敵ACの攻撃を正確に避けていく。
残存するエネルギー増幅器の前でOBを起動してチャージ。
敵ACの砲門から攻撃が放たれた瞬間に次の残存エネルギー増幅器へ移動し、再びOBをチャージ。
OBでの回避が困難な場合は、射線上にデコイを展開して被弾する可能性を少しでも減らす。
この単調な作業の繰り返しでエネルギー増幅器の数を減らしていったが、全てを破壊するのはやはり困難だ。
『全設備の起動再開まで1分。』
残存するエネルギー増幅器は1基。
タイムリミットまで極僅かだが、焦ったところで状況が変わるわけではない。
だが回避しきれないEOによる攻撃でシルエットのAP表示は赤く、残り僅かであることを示していた。
残り時間も限られているが、これ以上長引いてはシルエットが大破するのも時間の問題だろう。
モニターに表示されたタイマーによれば残り時間は50秒。
気がつけば敵ACの両肩に装備されていたレーザーとリニアガンはパージされていた。
恐らく撃ちつくしたのだろう。
残された武装はEOと左腕のロングブレードだけだ。
先ほどまでの戦術はもう通用しないが、やや現実的ではないがまだ策はある。
敵ACのAIがこの状況でどうすることが有効かを俺と同じように判断するのならば、だが・・・
残り時間40秒。敵ACがシルエットとの距離を詰めてくる。
残り時間30秒。俺はシルエットを極限までエネルギー増幅器に寄せる。
残り時間20秒。距離が近くなることによりEOの攻撃を間近に受けるが、俺はそれを回避しない。
残り時間10秒。俺はOBをチャージし、敵ACは空中からロングブレードを振りかぶりながらシルエットに迫る。
OB噴射と共にロングブレードが振り切られ、敵ACのロングブレードの切先はエネルギー増幅器を破壊。
だが敵ACのロングブレードが切り裂いたのはエネルギー増幅器だけではなかった。
残り僅かだったシルエットも切り裂かれており、シルエットは制御を失って俺の操縦を全く受け付けない。
OBを噴射したまま制御不能の状態で滑空を続けるシルエット。
恐らくバランサーも死んでいるであろうこの状態で壁面に衝突でもすれば、俺も無傷では済まないだろう。
「脱出する!」
生きているかわからない通信機器にそう一言だけ告げ、俺はパイロットシートごと外に身を投げ出される。
『レイヴン、聞こえますか?応答してください。』
広大な低重力空間に放り出されたが、パイロットスーツ内蔵の通信機からオペレーターの声が聞こえる。
「ACは大破したがどうにか生きている。だが回収には来るな。」
まだ生きている敵ACの様子を気にしながら、通信に応答する。
『え?』
「まだ無人ACが残っている。消耗してはいるが、恐らく現状残された戦力で対処するのは困難だろう?」
『しかし・・・』
「時間はかかるが、このままシャトルまで自力で帰還する。」
『・・・わかりました。そちらの位置は把握しています。私の案内に従って進んでください。』
誰もいない物静かで広大な衛星内を、俺はオペレーターの案内を頼りに黙々と進んでいく・・・
~fin~